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第20回 歴史のバトン【戦国編】第14走者 徳川慶喜(2/4話)
2026-07-24 09:29

第20回 歴史のバトン【戦国編】第14走者 徳川慶喜(2/4話)

徳川慶喜の第2話

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今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。 ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
さて、徳川慶喜の物語も、今夜で第2話。 崩壊寸前の江戸幕府のトップ、第15大将軍となった天才が、いよいよ歴史の針を大きく動かす大勝負に出ます。
前回は、御徒家での厳格な教育によって波外れた天才へと育った吉信が、 言い直すけによる厳しい処罰を乗り越え、
今明を極める京都の最前線で圧倒的な政治センスを発揮したところまでを見てきましたね。
誰からも逃げ出したいと思われていた崩壊寸前の幕府の重荷を背負い、 ついに最後の将軍となった覚悟のお話でした。
将軍となった吉信は、すぐさま驚くべきスピードで幕府の近代化改革に着手しました。
フランスから莫大な資金と軍事顧問団を呼び寄せ、 古臭い武士の軍隊を最新鋭の近代的な軍隊へと生まれ変わらせていったのです。
さらに、幕府の組織そのものをヨーロッパ風の合理的な象徴へと組み替えるなど、 その頭脳と行動力は他の追随を許しませんでした。
これには、幕府を武力で倒そうと密かに同盟を結んでいた薩摩藩の最豪高森や、 長州藩の志士たちも大いに焦りを感じ始めました。
このまま吉信に天才的な改革を進められては、幕府を倒す口実がなくなってしまう。
彼が将軍である限り、政治の主導権は永遠に徳川に握られたままだ。
危機感を募らせた新政府側の勢力は、天皇から幕府を撃てという秘密の命令書を取り付け、 武力によって徳川家を完全に抹殺するための戦争の準備を急速に進めていきました。
迫りくる戦争の足音を、吉信は京都の二条城の中で冷徹に見つめていました。
今日本人が二つに分かれて血を流す大戦争を始めれば、 その隙を突いて外国の軍隊が日本を侵略し、植民地にされてしまうかもしれない。
それだけは絶対に避けなければならない。
そこで吉信の天才的な頭脳が、日本の歴史をひっくり返す前代未聞のウルトラシーともいえる奇策を弾き出しました。
新政府軍が武力で幕府を倒そうとするのであれば、 その前に幕府そのものを自分からなくしてしまえばいい。
これこそが歴史にその名を刻む大政奉還という正規の大勝負でした。
吉信は全国の主要な藩の代表たちを二条城の大広間に緊急召集しました。
波いるあらあらしい武士たちを前にして、吉信は凛とした態度で、 将軍が持つ日本最高の統治権力をすべて京都の天皇にお返しすることをおごそかに宣言したのです。
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吉信が宣言した大政奉還は、日本中のすべての武士たちの度肝を抜く、あまりにも鮮やかな先制攻撃でした。
権力を朝廷に返上し、将軍という地位を自ら捨てることで、 新政府軍が計画していた徳川を討つための大義名分を文字通り一瞬にして消し去ってしまったのです。
徳川が悪いことをしているから倒すという理屈が、これで全く通用しなくなりました。
しかし、吉信の真の狙いは単なる時間稼ぎや逃げ隠れではありませんでした。
当時の朝廷の公家たちには、日本という国を動かすための具体的な政治の知識も、 外国と交渉するための実務能力も一切ありませんでした。
つまり、権力を返されたところで、実際の政治は吉信の力を借りなければ一日たりとも回らないということを彼は完全に見抜いていたのです。
新しく作られる新政府の中でも、圧倒的な実力を持つ自分が事実上のトップに座り、 新しい形の徳川の支配を続ける。
それこそが天才吉信が書いた完璧なシナリオでした。
この吉信の圧倒的な知性を前にして、激しい怒りと焦りを燃やしたのが薩摩藩の最後を高森たちでした。
このままでは、またしてもあの怪物に政治の主導権を握られてしまう。
あいつの首を物理的に跳ね落とさない限り、本当の新しい時代などやってこない。
そう確信した新政府側の勢力は、吉信が京都の二条城にいる隙を突き、 牧比浦に軍隊を動かして御所を完全に包囲しました。
そして天皇の幼い身代わりを利用する形で、 王政復古の大号令というクーデターを強行したのです。
それは、徳川幕府の廃止を宣言すると同時に、 吉信に対し、これまでの徳川の領地を全て朝廷に差し出し、
全ての官職を辞退せよという、あまりにも一方的で過酷な命令でした。
全ての財産と名誉を力づくで剥ぎ取り、 徳川家を完全に無力化しようとする容赦のない罠でした。
この理不尽な要求に対し、吉信の足元にいた旧幕府軍の兵士たちは激しい怒りに震えました。
薩摩の卑怯な罠を許すな、今すぐ京都へ攻め込み、 敵を叩き潰すべきだ、という主戦論が大合唱のように巻き起こったのです。
一触即発の爆弾を抱えたまま、吉信は部下たちの暴発を抑えるため、 一度京都の中心部を離れ、大阪城へと本拠地を移すことを決めました。
自分の完璧な計算が、相手の暴力的なクーデターによって崩されていく。
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大阪城の冷たい天守閣の中で、吉信は迫り来る時代の荒波を前に、 一人深く静かに考え込んでいました。
大阪城へと退いた吉信の願いも虚しく、 時代の歯車は最悪の衝突へと向かって突き進んでいきました。
急爆不分の兵士たちの怒りはもはや限界に達しており、 薩摩藩による江戸での挑発行為なども重なって、
ついに京都の南に位置する戸場と伏見の地で、 両軍が正面から撃突する母親戦争の火蓋が切られてしまったのです。
戦いの序盤、吉信の率いる急爆不分は、 神聖不分の3倍以上の圧倒的な兵力を持っていました。
しかし神聖不分の陣頭に、 三千と輝く二式の御旗が掲げられた瞬間、戦況は一変しました。
二式の御旗とは、すなわち天皇の軍隊であることの証です。
これによって吉信と急爆不分は、 一瞬にして国に反逆する賊軍という立場に追い落とされてしまったのです。
水戸徳川家という、 誰よりも天皇への忠義を重んじる環境で育った吉信にとって、
自分が朝廷の敵になるということだけは、 絶対に犯してはならない最大のタブーでした。
味方の兵士たちは、まだ戦えると生きまいていましたが、 吉信の心は完全に折れてしまいました。
国を二つに割る大戦の責任者には絶対になりたくない。
その強い思いから、吉信は夜の闇に紛れて、 僅かな側近だけを連れて大阪城を秘密裏に脱出するという、
前代未聞の行動に出ました。
残された何万もの兵士たちを置き去りにし、 軍艦に乗って江戸へと逃げ返ってしまったのです。
この敵全逃亡ともいえる決断は、 味方の武士たちからは激しい裏切りとして非難され、
歴史上でも彼の最大の汚点として語り継がれることになりました。
しかし、彼が一心に卑怯者の泥をかぶって戦線を離脱したからこそ、
戦争が日本全土を消毒にするような破滅的な泥沼化を免れたことも、 また紛れもない事実でした。
江戸へ戻った吉信は、一切の反撃の意志を捨て去り、 関栄寺の一室に籠って、
ひたすら朝廷に対して強順の意を示し続けました。
かつての天才としてのプライドも、将軍としての権力も、 全てを自ら投げ出し、
ただただ歴史の裁きを静かに待つ身となったのです。
こうして、最後の将軍吉信の手から、全ての権力の綱が完全に離れ、
物語はいよいよ新時代へと向かう最終章を迎えることになります。
しかし、そのお話はまた次のお話。
今夜のお話はこれでおしまいです。
どれほど理不尽な時代の濁流に飲み込まれ、泥をかぶることになろうとも、
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最悪の破滅だけは防ごうと孤独な決断を下した吉信の苦悩に思いを馳せながら、
今夜はどうか、全ての張り詰めた気持ちを緩めて、
温かい布団の中で静かに穏やかな眠りについてくださいね。
それではおやすみなさい。
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