1. 「大人の近代史」今だからわかる日本の歴史
  2. #197 太宰治「斜陽」新しい時..
2025-03-11 26:15

#197 太宰治「斜陽」新しい時代を生きる葛藤

spotify apple_podcasts youtube

★番組運営のため寄付を募集しています

☞ https://otokin.com/sponsorship


舞台は戦後の日本。

それまで身分制度としてあった華族が廃止され、

没落していく貴族階級をテーマにした小説。

道徳の過渡期の犠牲者が革命を起こす姿を象徴的に描いています。------------------------

★ブログ

☞ https://otokin.com/archives/2070

------------------------

★お便りはこちら

☞ https://bit.ly/2YkUaRB

------------------------

★YouTube☞ https://www.youtube.com/@otonanokindaishi/videos

------------------------

★Instagram

☞ https://www.instagram.com/otonanok/

------------------------

★X

☞ https://twitter.com/@otonanok

------------------------

★大人の近代史公式グッズ

☞ https://suzuri.jp/otonanokindaishi

------------------------

<過去の文学回>

#181 小川未明『野ばら』https://open.spotify.com/episode/1FpOsporjR0G003bcH2eOy?si=T3tEuKzkQj6v2zsM9urDQw


#168 梶井基次郎『檸檬』

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/168-e2lnhpl


#157宮沢賢治と「雨ニモ負ケズ」

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/157-e2icme9


#148森鷗外「舞姫」クズすぎる男の苦悩

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/148-e2fcq7o


#100「海と毒薬」遠藤周作~日本人の倫理観~

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/100-e1tr552


第71回 川端康成「伊豆の踊り子」短編小説

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/71-e1k69le


第61回 三島由紀夫『金閣寺』

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/61-e1gmimg


第38回 夏目漱石「こころ」~明治の道徳~

https://podcasters.spotify.com/pod/show/shi-kindai/episodes/38-e18h9cv


サマリー

太宰治の小説「斜陽」では、戦後の日本における貴族の没落が描かれている。登場人物たちの複雑な人間関係を通じて、家族制度の変化や新しい時代を生きる葛藤が明らかになる。「斜陽」では、家族の病弱さや自殺、社会の変化に対する絶望が表現され、主人公のカズコが道徳革命を通じて新しい人生を選ぶ様子が強調されている。また、時代が大きく変わる中での人々の幸福感や葛藤も描かれており、特に過去と現在の感覚の違いについて考察されている。作品を再読することで新たな視点を得られることも示されている。

太宰治の生涯と影響
スピーカー 1
画家パブロ・ピカソは言った。 子供は誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家でいられるかどうかだ。
スピーカー 2
始まりました。大人の近代史、よろしくお願いします。 よろしくお願いします。
これはさ、芸術的な面っていうのはさ、これ子供の時から育ったんだけど、すごく疎かったの。A下手だし、G下手だし、みたいな感じ?
で、もちろん大人になってもそこは変わらないわけじゃん。 おが太郎はさ、芸術面も火出てるじゃん。万能型なんだけどさ、正確に言うと。
嘘でしょ。いやでも長まろのそのさ、下手だっていうのはさ、なんかそれは自分でそう思ってるってことでしょ?
スピーカー 2
違う違う違う違う。誰が見ても下手なんだ。 特にGはすごい下手でさ、小学校の時とか真面目にやってるのに、俺普通に怒られるからね。
いや、だからその教育が良くなかったんじゃない? まあ教育は良くないと思うけど、でも下手な事実は変わらないしさ、それってか今もっと下手になってるからさ、描かなくなっちゃったから。
スピーカー 1
いやどうなんだろうね。だってこのパブロ・ピカソってさ、若い頃すごい写実的というか、めちゃめちゃ上手い絵描いてたけどさ、
スピーカー 2
晩年の絵はもう俺には理解できない。なんだこれはっていう絵になってるじゃん。 まあピカソは結果論だと思ってて、売れた絵がそういう絵だったっていう話だと思っててさ。
スピーカー 1
だってどんな絵でも描けるわけでしょ。ああいう絵じゃなくてもさ、まあ普通に上手い絵も描けるわけじゃん。 まあ確かにね、かなりの数描いた人だもんね、この人はね。
スピーカー 2
そう、まあそういう意味で言うとね、何が当たるかわからないし、何が人の心を射止めるかもわからないっていうところだよね、芸術って。
スピーカー 1
ああ、そういうことか。いやでもやっぱり。いやいや、どういうことなんだよ。 自分のさ、子供とか見ててもさ、なんかこんな色使いするんだっていうさ、わーって思う時あるもん。
ああ、子供はやっぱ独創的だよね、その辺は大人に比べて。 いつの間にかなんかそれがさ、みんなだいたい一緒のような色使いで形を描いてっていうね、不思議だよね。
スピーカー 1
まあそれがいいのか悪いのかって感じだけどね。 そうそうそう。まあそんなわけで、今日は長丸がどんな芸術的な話術で大人の問題を語るのか楽しみです。
スピーカー 2
今日は問題じゃなかったね。 あ、そうなの? 今日ね、また文学会です。
おお、来ました。 そう、もうこれで今離脱率がここで上がっちゃうのはちょっと残念なんだけど、ちょっとごめんなさいと。
スピーカー 1
今日やりたいのは、太宰治をやりたいんだけれども。 うわーすごい。
スピーカー 2
そう、で太宰治ね、あの、まあ渡路知ってると思うけど結構リクエスト多いのよ、太宰治やってくださいみたいな。 うんうん。
で、じゃあもうみんな太宰治と言ったら人間失格だろって思うかもしれないけど、今日やるのは社養をやりたいと思います。
えー、まあちなみに自分は知らないんだけども。 あ、でもなんか話ぐらい聞いたことあるんじゃないの?
これ有名なやっぱ話っていうか小説だから、まあなんとなく、なんかああそういう話もあったねみたいなところかもしれないね。
スピーカー 1
あ、そうなんだ。 うん、普通に映画化とかもされてるし。 へえ。
スピーカー 2
まあそんな感じで今日は社養についてやりたいんだけれども、まずちょっと軽く太宰治についてちょっと話しておきたいと思います。
うん。 太宰治は、えっとまず1909年に生まれました。
はい。 で、青森県のめちゃめちゃ大地主の家に生まれたのよ。
あ、そうなんだ。 そう、だからね、もうすっげぇ金持ち。
うん。 もうぼっちゃんだよぼっちゃん。で、11人兄弟の10番目に生まれるのよ。
はい。 そう、まあ兄弟も多い。まあ昔の家って感じだよね。めっちゃさ、昔の大地主の家でお金持ちでっていう感じ。
で、家は尾形隆一と一緒で、あの、まああれだよね、豪農だよね。豪農であって、しかもその儲けた金で金融業とかやってたりとか、まあいろいろちょっとこうね、お金を儲けるような仕事いっぱいやってたわけよ。
やめろよ、俺は嘘だろ。 え、豪農じゃなかったっけ? じゃないよ。
あ、違う。えっと、まあそんな感じで、とにかくすごいお金持ちのぼっちゃんでした。
で、太宰治自体、勉強とかもすごいできた人らしいんだよ。 うん。
だから学校の成績はもう常に優秀で、まあトップクラスだったわけよ。まあそんな彼だから、大学は東京大学に行くんだよね。
うん。 そう。そこで文学を学ぶんだけれども、そんな中で要は小説家にこうなっていくっていうような感じなんだよね、彼は。
はい。 で、その小説家を目指したっていうところなんだけれども、多分ね、これは彼が優秀だったからっていう部分ももちろんあるのかもしれないけども、なんかね、
太宰治って多分イメージ的になんかすごいさ、思い悩んだイメージがあるじゃん。 うん。
なんかまあ多分人間失格とかそういうイメージが強いんだけど、まあでもまさにその通りなんだよ。この人、人生にすごくこう悩んだ人なんだよね。
そうなんだ。 そう。だからまあなんかいろんな変な問題行動を起こしたりとか、そのまあ左翼活動にいきなり傾倒したりとか、
まあ自殺未遂も何回も起こしてたりとかっていう感じで、まあちょっとこう、なんだろう、世間一般からするとちょっと危ない人って言ったらあれなんだけれどさ、ちょっと違う、おかしい人みたいなところもあったんだよね。そんな面もあったと。
うん。 まあ太宰治の話はちょっとこの程度にしておきたいんだけど、まあ最終的には結核にかかっちゃうんだよね、太宰治って。
「斜陽」の設定と登場人物
スピーカー 2
で、そういう療養生活とかも続く中、多分こううつうつとしちゃうんだよ。で、最終的に1948年に当時いたその愛人と入水自殺して亡くなっちゃう。
で、去年38歳っていう若さで亡くなっちゃうんだよね。 ああそうなんだ。 そう。ちなみにあのおときんでも取り上げた芥川隆之介いるじゃん。
うん。 芥川隆之介が超大好きなの、太宰治は。 あ、太宰治が好きなの。そうそう。だからまあ憧れの芥川隆之介もね、やっぱり自殺してるでしょ。
うん。 そう。まあなんかそういうところでシンパシーとかあったのかなっていう気はするけどね。
ああ、なんかそういう小説家とかって多いね。 なんかね、まあなんとなくわかる気はするけどね。やっぱそういうさ、小説に何をこう書くかっていうのにもよるけれどさ、人の心模様とかそういうのを書くとさ、多分見たくないものも見えてくるし、
自分のやっぱそういう思いをこう描写したりとかっていうこともあるだろうから、やっぱそういう人の方がどちらかというと深く考えたり思い悩む傾向あるんじゃないのかなっていう、まあ偏見です。
えー、なんかそんな気する。 うん。まあちょっとそれは完全に俺の勝手な思ったことだからちょっといいんだけれども。
で、今日やりたい社養にもう早速入りたいと思います。 はい。 社養ってさ、いわゆるさ、社養産業とかって言葉あるじゃん。
スピーカー 1
簡単に言うともうちょっとこう傾いちゃってて、落ち目ななんか産業とかのことを社養産業とかって言い方するじゃん。 そうなんだ。
スピーカー 2
その社養なんだよね。 うん。 で、この話って超簡単に言うと、家族ってあったじゃん。あの貴族の家族ね。 うん。
家族が没落していく話なんだよ。簡単に言うとね。 しかもこの社養っていう言葉はあのもともとそういう没落するみたいな意味はなかったんだけれども、
なんと太宰治のこの小説がきっかけで社養っていうのはそういう落ち目なもの、あの没落していくものみたいな意味が付け加えられたんだよね。
スピーカー 1
だから言葉をちょっとこう意味を変えてしまったみたいな、そういうなんかすごい小説でもあるもん。 へぇー。
スピーカー 2
そう。で、あらすじのところにちょっと入りたいんだけれども、この社養に出てくる人物、まあ何人もいるんだけれども、大まかに言うと4人出てきます。
うん。 まず1人が主人公がカズコっていうの。まあ女性だね。で、年齢は29歳で基本的にこの社養はこのカズコの目線で書かれてるのよ。
女性目線で書かれてるってこと。で、次にカズコの母親が出てくる。 で、この母親は、あ、ちょっとカズコのところでもちょっと言うべきだったのかもしれないけど、カズコにせよこの母親にせよ、
もともと家族なのよ。元家族。貴族の家族ね。 ただこの社養の舞台っていうのは戦後なんだよ。
つまり家族制度が廃止されたところでの話なのね。 そんなところで、要は母はずっと家族として何十年と生きてきた、その上品さとか美しさっていうものをこう
持ったままなんだよね。 で、もう1人ナオジっていうのがいるのよ。ナオジはカズコの弟。
で、このナオジは終戦した時だから、そのぐらいの年代の人だからさ、もちろん戦争に行ってたわけよ。
スピーカー 1
で、ナオジはなんとアヘン中毒になってて、なかなか帰ってこれなかった。 戦争から。で、物語ではしかもアル中にもなるのね。
スピーカー 2
まあそんな感じの弟がいた。で、もう1人が上原っていう男。 この上原が小説家であって、ナオジの友人なのよ。
まあ友人というか師匠みたいな関係どっちかっていうと。ナオジが小説とかそういう物書きになりたいっていう思いがあって、上原とこう
信仰してたみたいな、そういうイメージで捉えてもらえればいいと思う。 大きく言うとこの4人が登場人物で、で、さっきも言った通り舞台は戦後すぐの日本なんだよね。
家族制度の変化と葛藤
スピーカー 2
で、日本は敗戦で、まあもちろん負けてボロボロになっていて、復興していくさなかの物語なんだけれども、家族制度っていうのは、家族を扱った回でちょっと触れたけれども、1947年に廃止されるんだよね。家族制度自体。
つまりそれまで一般市民とは身分っていう意味で違った家族っていうものがなくなって、その家族だった人たちっていうのは一般市民になるんだよね。
で、例えばさ、はいじゃあ今日から家族制度廃止ですって言ってさ、じゃあ昨日まで貴族の暮らししてた人がさ、明日から一般市民ですって言って、急にさ一般市民のような生活をするかっていうと、まあしないよね。
難しいよね。 そう。身分の上では一般市民になってもやっぱりその家族らしいその貴族っていうさ、生まれながらの貴族だからね。
だからやっぱりそういうものはなかなかこうもう身に染み付いちゃってるものだから、なかなかこう一般市民になろうと思ってもなかなかなれないんだよ。
で、なれなくて初めその父親も死んじゃってるのね。亡くなっちゃってて。で、母親と家族で暮らしてるんだけれども、母親も家族もなかなかこう上流階級の暮らしが身に染みちゃってて、なんかこう一般市民の庶民に溶け込めなかった。
特に母親は。で、家族はそんな中でももう庶民の暮らしに溶け込もうとして、まあ単純にやっぱお金がなくなってきちゃって、このままじゃまずいってなって、やったこともないけど畑仕事をしたりとかそういうふうに頑張ろうとするのよ。
で、まあ母親は全然そういう庶民の暮らしにもうあえて溶け込もうとしないで、やっぱこう貴族として、なんだろ、誇りがあったっていうよりはもう本当単純に上品な母親だったのよ。だから、私は貴族ですみたいな感じのスタイルをこう貫くのね。
だから、その家族が畑を耕している姿とか見て、でも家族にはこれ向いてないなっていうのを察知すると、なんかそんなことやんないでも着物とか売ってお金にしようよみたいなことを言って、家族がそうやって頑張って働こうとしてるんだけれども、違うことでお金を得ればいいじゃないみたいな感じのことを進めたりするわけね。
結果的に家族も、なんかそうだなって思って高い着物を売って、そういうのをお金に変えて生活していく形になるのよ。ただ母親は病気になっちゃうんだよね。血格ね。
始めはもちろん、物語の始めはそういう血格だなんていうのは全然出ないんだけれども、だんだんだんだん徐々に徐々に症状が悪化していくのよ。物語を通じて。
で、だんだんだんだん病弱になっていくんだけれども、貴族としての品位は保ち続けたまま、ただどんどん弱々しくなっていっちゃうっていうところなんだよ。母親は。
そんな母親が弱々しくなっているところに、弟の直寺が帰ってくるのよ。直寺は、ちょっとさっき言ったけれども、戦争に行ってたんだけれども、
アヘン中毒になっちゃってて、とてもじゃないけど帰れなかったの。ちなみにそもそも直寺は死んだと思ってたの。
でも、実は生きてます。ただアヘン中毒になってるから帰れませんみたいな感じのことを聞いて、しかも帰ってくるっていう風になって突然帰ってきちゃうのよ。
で、帰ってきたっていうのは、もちろんアヘン中毒が一応治ったからなんだけれども、ただアヘンの代わりにアル中になっちゃってるのよ。
だから帰ってきて早々、数子とかが着物を売って得たお金があるじゃん。そういうお金を持ち出して飲み歩いてるみたいな、そんな感じの生活を送るんだよね、直寺は。
で、一応ちょっとさっき軽く上原のところでも言ったけれども、直寺はそういう物描きだったりとか芸術的なものに憧れていて、
それで一応自称を芸術家を名乗ってたわけよ。私は芸術家ですみたいな、そのイメージ。で、直寺と上原は酒飲み友達みたいなものでもあったし、
そういう小説家、上原が小説家だから小説家で教える先生と生徒みたいな感じの関係性もあったっていうところで、
要は仲が良かったんだよ、とにかく。仲が良かったんだけれども、ある日、数子が上原に会いに行くことがあるのよ。
で、それは直寺のためにお金を持っていくっていうシーンだったんだけれども、そこで、ごめんちょっと時代がちょっと前後しちゃった。これ直寺が戦争に行く前の話ね、今。
ちょっと上原に会うっていう話は。 過去に上原に数子を会いに行ったことがあるのよ。
スピーカー 1
そこで、なんと数子は上原にキスをされちゃうの。
スピーカー 2
で、そのキスが数子にとっては何かこう忘れられない?ときめきみたいなのにずっとなってるのね。
別にそこで何か関係があったわけじゃないんだよ。男女の関係になったわけじゃなくて、あくまでもキスだけだったんだけれども、
ただ、上原は妻子持ちなんだよ。奥さんいるの。子供もいるの。
スピーカー 1
小片郎って感じだけどさ。 いいんだよ。意味がわかんない。
スピーカー 2
それはいい。とにかく数子は、直寺が全然戦争行く前の話なんだけれども、
そのぐらいの頃からちょっと上原のこと気になっちゃってたんだよね。
で、物語はそれでちょっと一回また時代戻すけれども、戦後の直寺が帰ってきたところに戻るんだけれども、
直寺が帰ってきて、ドラムスコみたいな感じなんだよね、直寺って要は。
別に家族に対して態度が悪かったとかそういうことじゃないんだけれども、
働かないし、ずっと飲み歩いてて、もうどうしようもないなみたいな感じで、
そんな中、母親は病弱だったけれども、ついにその結核だっていうことが判明して、
しかも結核が悪化しちゃうんだよ。
で、治療の代えもなく、そのまま亡くなってしまう。
直寺の帰還と葛藤
スピーカー 2
で、亡くなって、母の葬儀が終わって、
数子は母親とずっと一緒に暮らしていこうっていう気持ちはあったんだけれども、
一緒に暮らしていこうと思った母親はいなくなってしまった。
で、直寺がいるけど、多分寂しさっていうのもあったんじゃないのかな?
家族がね。
だから、私は上原に会いに行こうって言って、会いに行くことにするのよ。
もちろん直寺にバレたくないっていうのもあったから、
直寺が別の女性を連れ込んでいるときに、
よし、私今なら行けるっつって会いに行くの。
で、上原に久々に会うわけよ。
年数で言うと数年、10年は経ってないぐらいだと思うんだけれども、
ぐらい久々に会いに行ったら、
上原は結構くたびれちゃってるのよね。
そのぐらい年月経ってるから。
だけれども、結局ね、上原のこと、家族は好きだから、
上原とそこで一夜を共にするのよ。
で、一夜を共にして家に帰ると、なんと直寺が自殺をしてるの。
で、直寺の遺書が残ってて、
で、この遺書に書かれてたことは、直寺が人妻に恋をしてしまった。
ちなみにこの人妻っていうのが、正確な描写はないんだけれども、
上原の奥さんなんだよね、たぶん。
で、要は人妻に恋をしてしまった。
で、すごい苦しいですと。
で、庶民として自分は生きようといろいろ頑張ったんだけれども、
もう無理ですって。
私には庶民っていうものが合わないんです。
私は貴族なんですって言って締めくくられてる遺書だったの。
で、母も失ったし直寺もいなくなってしまった。
結果的に上原も、いやお前遊びだからみたいなそんな感じで、
道徳革命と新しい時代
スピーカー 2
家族は上原にも捨てられちゃう。
上原は妻子いるから、当然じゃ当然じゃん。
で、なんと家族は上原の子供を見ごもっちゃう。
で、これ物語の最後なんだけど、
上原に家族から手紙を書いて、それが最後になるんだけれども、
その手紙の内容が、なんかね、んーって感じなんだけど、
私がこの今見ごもっている子供は、あなたの奥さんに抱かせたいって。
しかも、それは直寺の子供として、
直寺がどこかの女に生ませた子供なんですよって言って、
あなたの奥さんに抱かせてあげたいんです、みたいなことが書かれてる。
そんな感じで物語は終わる。
で、さっき最後さ、ちょっと、
家族の手紙の話を言ったけれどもさ、
そこで、上原の奥さんに直寺の子供として抱かせたいっていう描写が多分、
スピーカー 1
直寺が恋をしてたのは上原の奥さんなんじゃないかって思われる部分なんだよね。
スピーカー 2
はいはい。
そう。他に、なんか、そういう断定するようなものがないから、
多分そうなんだろうとしかちょっと言えないんだけれども。
スピーカー 1
これ、えっと、ダブルで不倫してたってこと?
スピーカー 2
あ、違う。直寺は不倫してないよ。
スピーカー 1
あ、そうなの。
スピーカー 2
うん。直寺は、どっちかっていうと俺みたいな感じ。
スピーカー 1
やめろよ。
スピーカー 2
で、上原は、小賀太郎ね。
スピーカー 1
より複雑でよくわかんなくなったな。
難しいな。人間関係が。
スピーカー 2
そう。まあ、出てくる人間は今4人しか言ってないじゃん。
あ、まあ、上原の奥さんがいるけどさ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、ちょっとこの話さ、じゃあ結局何なのかっていうところで考察に入りたいんだけれども。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
社養っていう言葉が表す通り、
まあ、いわゆるその家族、貴族だよね。
貴族の没落について書いてるんだよ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、もともと家族たちは社会を持ってる家族だったんだけれども、
1947年に家族制度が廃止になって、まあ一般人となってしまいました。
で、母親は一般市民として生きたのではなくて、
貴族のまま衰えて亡くなるっていう道を選んだの。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
で、直治は一般市民になろうと頑張るんだけれども、
苦しみながら全然なれなくて、最終的には貴族として自殺を選んだの。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、家族は庶民になることを受け入れて、その後生きていくことになるんだよね。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
で、これは最後のカズ子の手紙にも書かれてるんだけれども、
これも難しい話だなって思ったんだけどさ、
私たちは道徳の過渡期の犠牲者であり、古い道徳に打ち勝ち革命を起こしたっていうことを言ってるのよ。
なんじゃそれ?って感じじゃん。
スピーカー 2
えー、難しいね。
そう。
まあ、簡単に解釈するとすると、まあ要は家族制度っていうものがなくなったっていうのは、いわゆるその道徳の過渡期なわけじゃん。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
まあ別に家族制度がなくなったことだけを言ってるんじゃない。
戦争に負けたっていう時代背景もあるし、そういうものをひっくるめて、この時代はそういう道徳の過渡期であって、私たちはその犠牲者なんですと。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、その古い道徳っていうのが、まあいわゆる貴族としての自分だよね。
自分たちのその道徳的なものに打ち勝ちっていうのは、私は一般市民になるんだっていう、貴族を辞めて一般市民になるんだっていうことで打ち勝って革命を起こしたみたいなことを言ってるのよ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、ここは俺はちょっとよくわかんないんだけど、恋しい人の子を生み育てることが私の道徳革命だっていうことをカズコは言ってるのよ。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
自分の意思で多分そういう道を選んで生きるんだっていう思いが多分そういう道徳革命なんだっていうことを言ってるんだと思うんだけれども、まあ簡単に言うと、いわゆる古い体制からこう脱しようとする人の姿っていうのがカズコが象徴してることなんだよね。
スピーカー 1
あー、昔はあれだもんね。好きな人と結婚できるわけじゃないもんね。
スピーカー 2
そう。で、それで私は好きになった人の、結婚したわけじゃないけれども子供を身をもってその子供を育てるんですみたいな、そんなのが私にとっての道徳革命なんですよみたいなことを言ってるのよ。
スピーカー 1
あー、はいはい。
スピーカー 2
だから、シャヨっていうのは新しい時代を、要は戦争が終わってそういう身分制度っていうのもなくなった新しい時代を生きる人たちの葛藤を描いた作品なんだよ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
もっと広い目線で見ると敗戦で沈んだ日本人の生き様?こう生き様のこういう人たちがいたんだよっていうのをピックアップして描いたものだっていうところなんだよね。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
で、最後になるんだけれども、この話、実話じゃないんだけれども、モデルケースがあって。
スピーカー 1
あ、そうなんだ。
スピーカー 2
そう。カズコにはモデルになったって言われてる女性がいるのよ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
ダザイの愛人に太田静子っていう人がいるんだけれども、この人が書いた日記とかそういう、なんだろう、ダザイとこう話した内容とかそういったものがこのシャヨっていう小説になったんじゃないのかって言われてるんだよ。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、ちなみにこの太田静子に関してはダザイとの間に子供がいるのよ。
スピーカー 1
あ、そうなんだ。
スピーカー 2
うん。調べてもらえれば分かるんだけれども、娘さんも有名な人。
スピーカー 1
へー。
スピーカー 2
普通に物書き。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
つまりなんだけれども、これって植原はダザイなんじゃないかっていう。植原がダザイでカズコがその太田静子みたいなそんなところが繋がってくるんだよね、この話。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
そう。だから実話じゃないんだけれども、ちょっとこう実際にあった話とかそういったものをモデルケースにして書いた小説なんだよね。だからちょっとこう読んでもらうとなかなかリアリティがあるというかさ、
そもそもこれ元の方で話したけどさ、女性目線で書いた話なのよ、小説なのよ。だってカズコが主人公でカズコ目線で書かれてる小説だから。
スピーカー 1
うん。
幸福感と葛藤
スピーカー 2
だけどダザイはもちろん男じゃん、ダザイ子さんは。でもやっぱそういう女性目線で書けてるっていうのは、そういう女性が何かモデルにあったんじゃないのかっていうところが言われてることなんだよね。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
で、そんな感じで今日写用をやって、最後にその写用の中にある言葉をちょっと1個だけ引用したいんだけれども、「幸福感というものは悲哀の川の底に沈んでかすかに光っている砂金のようなものではないだろうか?」っていうフレーズがあるのよ。
スピーカー 1
へー。
スピーカー 2
これね、なんかこの言葉はグッとくるものがあってさ、なんか幸福ってやっぱ難しいよねって。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
そう。小片郎は幸福の絶頂、ほとんど人生幸福の絶頂期なんだけどさ、小片郎は。で、そんな幸福の絶頂期からの小片郎から見た、ちょっとこの写用に関して最後締め込めでお願いします。
スピーカー 1
俺はなんかいいんだよ、別に。
スピーカー 2
いやいやいや。
スピーカー 1
なんかそうだね、時代が大きく変わる時というか、うちらその家族っていうのがあんまり認識のない時代だけれどさ、そういう身分があって、いつかそこが移り変わる時って、今から見ると逆になくなってよかったんじゃないのとか思うんだけど、
その時の当事者にとってはすごく大きな変化だったし、まさにある意味犠牲者のようなさ、すごく大変な思いをしたんだなっていうのが、ちょっとそこの小説から感じ取れたかなと思って。
スピーカー 2
俺さ、これ若い時に一回読んでて、で、今回やろうと思ってもう一回読んでさ、たぶん読んだの20年ぐらい前だと思うんだけど、20年ぐらい前に読んで、その時に思ったことと今回読んで思ったことがやっぱ違って、なんかね、自分の中でもやっぱその20年ぐらいの間でこういろいろ変わるものがあるんだなっていうのはすごい思ったね。
スピーカー 1
あ、そうなの。
スピーカー 2
20年前読んだ時さ、俺どっちかっていうと、座間を見ろって思ったもん。
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
お貴族没落してやったぜ、座間を見ろみたいな。俺お金持ち嫌いだからさ。
スピーカー 1
そう。
スピーカー 2
俺ずっと貧乏育ちで今も貧乏だしさ、なんかやっぱ金持ちに対してはさ、ジェラシーだよね、もう一言で言うと。
そういうものあるしさ、やっぱりちょっとこうね、嫌な感じのところはあるからさ、なんか若い時なんかそれが顕著だったからなおさら、お貴族は没落してよかったじゃないかみたいなところちょっと思っちゃったんだけどさ。
今もさ、別に貧乏は変わらないはずなんだけど、やっぱちょっとこう変わったよね、感覚が。
スピーカー 1
貧乏ではないでしょ。
スピーカー 2
いや貧乏だよな、そんな平均より下なんだから。まあそれを貧乏というかどうかして置いといてたけど。
で、だからやっぱりね、何が言いたかったか、このさ、いちいちその俺が、その貧乏が貧乏じゃないかはちょっといいんだけれどもさ、あの、何が言いたかったかっていうと、
過去に読んだことがある作品でも、ちょっとね、また改めて読んでみると意外と違う感想を得たりとかっていうのはあるんだなっていうのがちょっと思って。
おときんの中ではさ、たぶんこの車用って有名な話だから、たぶん読んだことある人たぶんいっぱいいると思うんだけれども、
何十年か前に読んだなっていう人もちょっと今またもう一回読んでみてくださいと。
青空文庫にあるんで、ただで読めるんで、読んでみればまた違った感想がちょっと出てくるかもしれないし、まあ何かしらこう刺激もあのもらえるかもしれないんでちょっと、
せっかくこうね、おときんの文学会聞いていただけているような、たぶん文学好きな方だと思うんで、ちょっとぜひ読んでいただけたらなと思います。
スピーカー 1
そうだね、やっぱなんか自分の価値観って生きていくうちに変わるんだなって思うね。
スピーカー 2
うん、ほんとそう思った。
スピーカー 1
はい、いや素晴らしい回でした。
じゃあということで、今回は太宰治の車用でした。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
じゃあもしよかったらこの番組、評価の星だったりとか、いいねボタンなど押していただけると励みになりますので、ぜひよろしくお願いします。
スピーカー 2
はい、ポチッとお願いします。
スピーカー 1
それでは最後まで聞いていただいてありがとうございました。
スピーカー 2
ありがとうございました。
26:15

コメント

スクロール