江戸時代の名前の構成
スピーカー 1
名は、太郎を表す。始まりました。
大人の近代史、よろしくお願いします。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
有名な言葉だから、もちろん知ってはいるけど、なんでそれを選んだのかな?
スピーカー 1
これはね、今日のテーマに関係してくるので、もうテーマそのものかもしれない。
スピーカー 2
どういうこと?
スピーカー 1
今日は名前の歴史というか、近代史の部分をちょっとやりたいなと思って。
スピーカー 2
名前って、おが太郎みたいな、そんな感じのこと?
スピーカー 1
そうそうそう。氏名とも言うけど。
スピーカー 2
だから、おが太郎でしょ?
そう、おが太郎ね。
そんな感じね。分かった。
スピーカー 1
名は太郎を表すってさ、その人の名前が、その人自身を表してるっていうことなんだけど、
今日はね、この言葉もすごく深く関係してるテーマなので、選びました。
スピーカー 2
まあ、なんとなく想像はついてきたけど。
スピーカー 1
そうだね。というか、おが太郎ってさっき言ったけど、これも名は太郎を表してないからね。
スピーカー 2
え、そう?
スピーカー 1
俺のじいちゃんの名前じゃん、これ。
スピーカー 2
そもそも違うけどね。
スピーカー 1
そもそもさ、なんで俺につけてる?
スピーカー 2
太郎でもねえし。
太郎でもないからさ。
スピーカー 1
高校の時からさ、当然のように呼んでるけどさ。
スピーカー 2
いや、まあ、なんか、おが太郎って感じだったじゃん。
いや、芝居には太郎って言ってたからね。
もう、名前ちげえわって言うね。
スピーカー 1
まあ、ということで、今回のね、テーマがその名前についてなんだけども、
これのテーマやるので、2つのリクエストに答えられるかなって思ってます。
冒頭に最初1個と一番最後にもう1個読もうかなと思ってます。
じゃあ、1つ目のリクエストを一部抜粋して読みます。
これはね、にじさんからいただきました。
で、幕末のね、四大ひときりのコメントに対してなんだけども、
しばりょう太郎のとぶがごとくを読み、ひときりはんじろうは知っていました。
他の3人は知らなかったので興味深く聞きました。
確か中村はんじろうは後にきりの年明けと名前が変わったと思いますが、
昔の人はどうして名前を変えていたのですかね。
聞きながらふと不思議に思いました。
最後に、きょうTシャツが届きました。
さっそく着てみました。大人かわいいデザインがとても気に入りました。
いつかどこかでおときんTシャツを着た人に会えることを夢に見ながら。
っていうのもちょっといただいたので一応読みました。
スピーカー 2
ありがとうございます。
Twitterとかでもね写真あげてくれてるしね。
スピーカー 1
にじさんはすごいね。
そうそうありがたいね。
スピーカー 2
いや本当PR部の一番かもしれないけど。
スピーカー 1
ここのさちょっと興味深いのがさ、
昔の人はどうして名前を変えていたのですかねっていうところ。
これさ結構やっぱさ掘っていくと興味深いところだったなと思って、
ちょっと今回このテーマも含めて話したいと思います。
現代ではさ、
氏名って呼ばれる氏と名の2つの要素で名前って構成されてるんだけど、
この氏は生とか苗字で呼ばれるけど、
これはさ現代では生まれた時点で決まっていて、
新しく作り出すってことはほぼできないんだよね。
スピーカー 2
そうだね確かに。
スピーカー 1
海外の人がさ日本に帰化する場合とか国際結婚の場合とかの例外はあるんだけども、
ほとんどの人は新しく作り出すってことはできない。
スピーカー 2
なんかそう言われるとちょっと感慨深いね。
スピーカー 1
そうそうそうだよね。
一方さ名はさ下の名前って呼んだりするけど、
これはさ多くが両親によって新しく命名されるものなんだよね。
正当な理由があれば変更はできるけども、
これもさ変えるにはさ家庭裁判所の許可が必要とか、
その変更っていうのは容易じゃない仕組みになってるんだよね。
そのためさ基本的には名前は一生変えないっていう人が大半で、
それが今の常識になってるんだよね。
これはさ明治の初頭から定着した常識で、
今日はねそんな常識をもう1回見つめ直す回にもしたいなと思ってます。
スピーカー 2
なるほど小片郎改名か。
スピーカー 1
改名なんで俺が改名するんだよ。
スピーカー 2
いや見つめ直すって言ったから。
スピーカー 1
ちょっとね時代を江戸時代まで遡ってみたいと思うんですけど、
ちなみにさ今回は江戸時代よりささらに昔の経緯っていうのは、
できるだけちょっと話さないようにします。
もっと本当はさその前の経緯っていうのもあるんだけど、
これ話すとさ結構複雑で不確かな部分も多いから、
結果ねなんかわかりにくく伝わっちゃうっていうのがあるんで、
今日は江戸時代からにさせてください。
江戸時代ではさ一生同じ名前でいる人っていうのはまずいなかったんだよね。
そうで名前を変えることが当たり前で、
生まれてまずはさ幼名から始まって、
成人名、当主名、隠居名なんかのこの人生の節目で、
その当時の人は改名したんだよね。
でこれがあの常識だったんだよね。
で当主名ってちょっと今あんまり使わないんでちょっと補足すると、
これはさ家の主のことなんだよね。
昔の人はさ代々その家を絶やさないように当主を立てて、
先代から受け継いであの相続することをこう大事にしてたんだよね。
そのさ当主がある程度こう年齢を重ねると、
隠居して当主名をさ息子なんかに譲って、
本人は隠居名を名乗るっていうことをしてたんだよね。
そうだからさ当主名は代々同じ名前を先代から引き継いで、
名乗るっていうことも習慣だったんだよね。
これはさ今だと歌舞伎の世界で少し残ってるんだよね。
スピーカー 2
なんかそうだよね世襲だよね名前って。
スピーカー 1
そうそう例えばあのダンジューローとかね。
市川恵比蔵からさあの市川ダンジューローになったけど、
こんな感じにさ名を受け継いでいくんだよね。
これはさ江戸時代では身分の高い人に限らず一般庶民でもこの習慣はあったんだよね。
これはさあの村とかの集団の中でその名前が今まで築き上げてきた信用だったり、
功績を継承するっていう意味合いもあるし、
継承したよっていうことを他者に認識させるっていう目的でもあるんだよね。
身分を表す名前の構成
スピーカー 1
そうで現代の人とさ江戸時代の人で大きな違いの一つに冒頭で言った名は体を表すっていう概念が江戸時代にはあったんだよね。
江戸時代のさ名前そのものには社会的な地位をある程度こう表す役割があって、
例えばさどうもこんにちは越前の神ですって言われたら絶対身分高いじゃんって思うじゃん。
スピーカー 2
何たらの神だしね。
スピーカー 1
そうそうこれはさ現代にはほぼない感覚で、
普通にさ生きててさあのクラスのこの名前を見てさこの子身分高いなとか多分思ったことないと思うんだよね。
スピーカー 2
まあ名前じゃあね小野江とか出てきたらちょっと嫌って思うけどね。
スピーカー 1
それはある。
スピーカー 2
サイオンジーとか。
スピーカー 1
でも逆に出会ったことないよね。
スピーカー 2
ないね確かに。
まあ滅多にいないでしょ。
スピーカー 1
そうそうだからまあ普通は出会わないくてその感覚が結構大きく違うなっていうのはあって、
でここから名前の構成を改めて当時のを振り返りたいんだけど、
ちょっとねここからがねあの少しややこしくなるんで、
頭をねちょっとできるだけ柔らかくしていただけるとありがたいです。
なんだよその前振りは。
スピーカー 2
もう少し柔らかい方がいいかな。
スピーカー 1
本当?まだ硬い?
スピーカー 2
俺が一番硬いんだけどね。
いやいやそんなことはないでしょ。
スピーカー 1
でちょっとこれわかりやすくできるだけ話そうとするんで、
あの細かい部分ははしょってちょっと言っちゃう時もあるんであらかじめねご了承ください。
はい。
で例としてね大隈重信をちょっと挙げてみます。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
彼のさ江戸時代の正式名称っていうのは大隈八太郎菅原重信なんだよね。
スピーカー 2
長いね。
スピーカー 1
そうそうまあ今こそさ大隈重信って知られてるけど、
このささっきの長い中で江戸時代彼は普段からどこの部分で呼ばれてたと思う?
スピーカー 2
八太郎?
スピーカー 1
あ、正解。
スピーカー 2
そこだよね。なんかそこだよなと思って。
スピーカー 1
そうそうこの部分が一番呼ばれるところで、
この部分は通称とか俗称って言うんだよね。
でちょっと長い名前でもう一度上から一つずつ見ていきたいんだけど、
大隈は家の名前現代のさ苗字と思ってもらっていいんだけど、
で次にさっき言った八太郎通称だね。
でその後にさまたなんか菅原重信ってまたなんか今で言うと苗字名前がもう一個あるみたいなのがあるんだよ。
このね菅原っていうのは古来からの一族の名で宇治とか本世っていう言い方もするんだよね。
スピーカー 2
あ、先祖の名前みたいな感じ?
スピーカー 1
そうそうでこれさあの菅原家とかさ結構古くからあったりすんじゃん。
で他にもさあのここの部分って他の人だと源野とか、
例えば藤原の藤と使って藤とかいうあの一族の名を使ってる人もいるんだよね。
だからなんとなくさその昔からあるような名なんだよね。
で重信っていうところは名乗りとか実名あと意味なとかいう言い方もするんだよね。
ここはね普段ね江戸時代では滅多に使うことはない。
そう庶民なんかはあの生涯通じて必要ないから設定しないっていうことも多くて、
そう大熊重信はさ割と位の高い節だからまああったんだけども。
そうで次にさ2つ目がさ水の越前の神源の忠邦っていうのをちょっと挙げたいんだけど、
スピーカー 2
水の忠邦か。
スピーカー 1
そう水の忠邦こう言われるとさそんな長いんだって思っちゃうね。
スピーカー 2
そうだね確かに。
スピーカー 1
これもさあの同じような構成なんだけど、
この中でさまあ普段呼ばれるのはこの2番目に来る越前の神ってとこなんだよね。
でさっきさ大熊重信は八太郎だったじゃん。
越前の神とさ八太郎だとどっちがさ身分が上だと思う?
スピーカー 2
まあ越前の神でしょ。
スピーカー 1
そうなんだよね。
そうそうさっきからちょっと出てきた何々の神って語尾につくものって官名って言って相当高い身分じゃないと名乗れないんだよね。
これはさ古来の朝廷時代の官職名に由来するもので庶民とかがもちろん勝手に名乗るってことはできない。
ここにさ名は体を表すっていう表現がさまあ合ってるかなと思って冒頭で言ったんだけども、
その人の身分がさ呼び名で当時は判断ができるんだよね。
で次にさちょっと苗字について触れたいんだけど、
苗字と家紋の役割
スピーカー 1
よくさ江戸時代までは庶民は苗字を持っていなかったとか言われることあるんだけど、
これはさ必ずしも正しくなくて武士から一般庶民の間のほとんどの人が苗字は持っていたとされてるんだよね。
これはさまあ例えばさっき言った大熊八太郎菅原繁信って言ったら大熊の部分を今言ってるんだけど、
たださ庶民は公の場で使うことがなかったんだよね。
むしろ禁止されてたんだよね。
で使う機会がないから苗字自体を忘れてしまってるっていうケースもある。
これねちょっとね本でね今の感覚で言うと家紋みたいなものっていうのがピッタシな例えだなと思って。
おそらくさどの家でもさ今家紋ってあるけどさほとんどの人がさ使う機会滅多にないと思うんだよ。
スピーカー 2
ちょっと待って家紋がもうあれだよねわかんない知らないもんね。
スピーカー 1
あ知らない?
スピーカー 2
自分の家紋なんてあるの?ぐらいの感じだよ。
スピーカー 1
ああだからそれ苗字忘れてるパターンだね。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
自分もねこれ唯一1回だけ親になって初めてさ息子の5月人形買ったの。
その時にさあの兜の横に自分の家の家紋を飾ってくれるってサービスがあったんだよね。
で家紋なんてあんのかなって親に聞いたらさ本当にあって初めてそこで認識したぐらいなの。
スピーカー 2
何大型老家の家紋ちなみにどんな感じなの?
スピーカー 1
いやてかもうすでに忘れてるそんな存在。
スピーカー 2
もうそれですかよ。
スピーカー 1
そうなんだよ。見ればわかるけど。
スピーカー 2
えこれって大人の人どうなのかな。え家紋知ってますかコメントください。
スピーカー 1
あ確かにもうちょっとだから上の世代は逆に少し馴染みがあるんじゃないの。
スピーカー 2
えそうかなもう俺だって親もさじいちゃんばーちゃんもみんなまあ親母親は生きてるけどさあの死んじゃってるからさマジでもう誰も知らないと思うよ。
スピーカー 1
あー使う機会がないとね。
スピーカー 2
もうこれで永久に葬り去られました。
マガマロ家って感じ。
スピーカー 1
そうかいやでもね調べればいけると思うんだよな。
スピーカー 2
あでもそれ苗字が一緒だったら一緒ってわけじゃないでしょ。
スピーカー 1
そうそう他の人の苗字が一緒でもその家の家紋っていうのがあるから。
スピーカー 2
だからオガさんっていうオガ太郎と関係ないさオガさんがいてもダメでしょってことだよね。
スピーカー 1
必ずしもダメじゃないもしかしたらなんかねいくつかパターンがあるんだよね似たような。
スピーカー 2
あーそうなんだ。
スピーカー 1
俺もあんま詳しくしないまあそんなちょっと存在だなっていうのがいい例えだなと思って。
スピーカー 2
いや俺今この家紋にびっくりしたよ。そんなんあるんかいみたいな。
あんなもう家紋なんてもう俺武士の世界が最後だと思ってたもんむしろ。
スピーカー 1
うそあそう家紋テーマにしてもよかったね。
スピーカー 2
家紋テーマでもいいよなんなら。
スピーカー 1
これさ江戸時代の人によって苗字はそんな感覚だと思ってもらって
そんな苗字をさ庶民が稀に使ってるっていうケースがあるんだよね。
江戸時代の名前の使用
スピーカー 1
これはね例えば金銭の借り入れの時に作成される借用証文っていうまあ今の借用書だね。
これにね苗字付きの名前で使用されたっていう例がまあいくつか残ってるんだよね。
これはさあの当時苗字は普段使わないんだけどこういう時に苗字を書いた方がより丁寧だっていう概念があったんだよね。
ここまでちょっとまあいろいろ言ったんだけど自分が大事だと思うのはやっぱり江戸時代までは通称の部分だけが普段使うなっていうとこなんでね。
それ以外はさほとんど使わなくてまあだからといってさこう苗字が名乗れなくて悲しいとかさそういう感覚もまあない。
それがその当時の常識だった。
スピーカー 2
まあ不便さもなさそうだもんね今の感じだと。
スピーカー 1
そうそうそれで成り立っちゃってんだよね。
これさ現代とはまたちょっと違うんだけどSNSとかさまあポッドキャストのコミュニティもさちょっと連想しちゃって。
例えばさリクエストくれた虹さんだってさ本当は苗字あると思うんだよ。
まあだよね多分名前でもないだろうしね。
でもさうちらの中でさそれって必要なくてさあああの虹さんねとかさまあその感じでさもう成立してるんじゃん。
そもそも俺らの名前がそれだしなっていうか。
これあと自分のねあの割と好きで聞いてるギチの完全人間ランドっていう番組あるんだけどすごい素敵なコミュニティができてるんだけどその中にねあのホンダさんっているんで。
でただね2人目のホンダさんっていうのもいるの。
なにホンダかぶりしちゃったってこと?
そうそうそうしたらこの2人目のホンダさんはホンダさんじゃない方のホンダさんって言われてる。
スピーカー 2
なんかわかるようなわかんないような。
スピーカー 1
そうそうそう一見さこれ旗から見てるとさどっちがどっちかわかんないけどでもこのコミュニティ内ではそれで成立しちゃってるんだよね。
スピーカー 2
じゃない方で伝わっちゃうわけね。
スピーカー 1
そうそうそういやなんかこれも面白いなって思ってさ。
何の話だっけこれ。
スピーカー 2
だからあの苗字とかいらなかったって話でしょ。
スピーカー 1
そうそうだからその感覚っていいなって思って。
これがさどの場面でもこの通称を使うっていうのが今と違うとこなんだよね。
で明治になってさそれがちょっと変わっていくっていうのはこの後に説明したいんだけど。
その前にさこれ今庶民と武士の話をしたんだけど朝廷側のちょっと部分を話したくて。
明治時代の名前の変化
スピーカー 1
主にあの京都の朝廷では異なるね名前の習慣があったんだよね。
ここがねまたねややこしいところでちょっと深くは触れないんだけど。
例えばさ朝廷では姓名が姓名ってあの大熊重信で言ったらの後半の菅原重信のとこね。
そこがさ正式に登録されて使われていたりとか。
公家とかはさ互いの名前を実名。
重信の部分だね大熊で言うと。
その部分を呼んだりとか武士とか庶民とはちょっと風習がだいぶ異なってたんだよね。
この風習の違いが後にね名前の問題として表面化してくるのが明治になってからなんだよね。
武家ではささっきも出たあの越前の神を例にすると。
これはさ越前の国の長官をしてるっていうわけではないんだよね。
昔はね名前と実務がイコールだったらしいんだけど。
江戸時代ではさその実務とはもうかけ離れているのが実体で。
これはね他にもそうで例えば堺歌の神っていうのがいるんだけど。
これね古来は歌僚の長官で朝廷で音楽に関する仕事をしてたんだよね。
だけどさ実体はそんなことしてないわけで。
これらの官名はさ江戸時代ではただ偉い役職だってことで使われているんだよね。
この官名自体を名乗るにしても幕府が朝廷に申請をして許可をもらって初めて名乗ることができるっていう風習があった。
これはさ昔天皇が臣下に名前を与えるっていう風習の名残っていう風にされてて。
江戸時代はさ名目上だけどこの主従関係のような風習が残ってたんだよね。
それが幕末になっていくと尊王思想が高まってきて天皇の権威を回復するべきだっていう動きが出てくるんだよね。
彼らの主張を正当化する一つにこの名前の風習も挙げられたんだよね。
それで王政復古の大号令に始まって母親戦争を経て討伐に成功してる。
この討伐派っていうのは天皇朝廷の権威が後ろ盾にあって討伐に成功してる側面があって。
だからその後にできた明治政府っていうのは朝廷の名前の習慣っていうのも無視することができなかったんだよね。
こうして始まった明治時代において数年間はこの名前をどうするかっていうことで議論とか案がいろいろ出されて、
本当にここのとこ数年間複雑なんだよね。
明治維新は下級武士を中心にそれまで幕府の重要役でない者たちが政権をひっくり返したわけじゃん。
そうすると名前を見れば身分が分かった常識が通用しなくなってくるんだよね。
例えば新政府の軍務機関を担ってた軍務官っていう役職があるんだけど、
これ副知事に大村政次郎がなってて、準副知事に小賀大名言がなってる。
江戸時代まではこんなことはありえなかったんだよね。
この準副知事に小賀大名言って言って、大名言って言ったらもう本当に位の高い簡易で、
それが何の簡易でもない大村政次郎が役職的には上に来てるっていう状態が起こってるんだよね。
ここにもうすでに名は体を成してないっていう問題が出てきちゃってる。
そうすると大村政次郎にしても政府の高い役職に就いてる人にも、
それにふさわしい名前に変えればいいっていう案も出されたんだよね。
だけど名前は変えたくないっていう自体者が結構続出して、
この案も結局うまくいかなかったんだよね。
それから明治政府は官名が実態と合ってないっていうこともあって、
明治2年に旧来の官名をすべて廃止したんだよね。
これを百官廃止とも言うんだよね。
そのため例えば越前の神とか何々の神っていった昔からあった官名などがすべて廃止されたんだよね。
明治政府の動きと氏名
スピーカー 1
だから今名前の語尾に何々の神って付く人あんま聞かないよね。
スピーカー 2
いないんじゃないかな。いるのかな。
スピーカー 1
いや俺ねちょっと調べたんだけど、タレントで言うとパイパイでかみぐらいしかいなかったね。
スピーカー 2
え?どゆこと?本名が?
スピーカー 1
いやいや、これあの、系名。
あ、でかみね。
スピーカー 2
そうそうそうそう。
わかるか。
スピーカー 1
いや、なんかごめん正しくは彼女は途中ででかみちゃんに変えてるから。
スピーカー 2
いやいいよ、そこじゃないそこじゃない。
スピーカー 1
もしかしたら彼女もこの旧官名から取ってるのかもしれない。
スピーカー 2
いや取ってないでしょ。
スピーカー 1
まぁでもある意味名はタイを表してるよね。
スピーカー 2
まぁだってそういう風にアリウッシがつけたんじゃない?確か。
スピーカー 1
あ、そうなのこれ?
スピーカー 2
確かそうじゃなかった?ちょっとごめんなさい違ったら申し訳ない。
スピーカー 1
ここあんま深く掘ってもダメだ。
スピーカー 2
まぁそうです。関係ないからっていうか。
スピーカー 1
それでね、廃止をされて、二官六将制っていうのを設けたんだよね。
これあの人議官とか、打譲官とか、あと民務省大蔵省とか、新たな制度を作ったんだよね。
その役職に就く人にはさ、その官名を名乗ることができるっていう風にして、
ここにさ、江戸時代は官名と実際の職務が異なってたんだけど、これを一致させるっていう狙いがあったんだよね。
で明治3年になると、通称明治自由令って言われるものが明治政府から出されたんだよね。
それまでさ、庶民にとって明治を役所とか公の場で使うってことは、
領主から特別許されない限り禁じられていたんだよね。
そのためさ、明治を公の場で名乗る、または名乗れないかで、
社会的地位を判別するっていう役割も果たしてたんだよ。
それが突然、庶民も明治を公の場で名乗るのは自由ですよっていう許可が出されたんだよね。
これに対してさ、驚きとか不満を表明しているところもあって、
当時の奈良県知事なんかは、明治交渉の自由化は、
これまで明治交渉によって識別できた上下の区別、
すなわち社会の根幹にある秩序を破壊する、
実行すれば大変なことを引き起こすかもしれないっていうふうな抗議をしてるんだよね。
それからもさ、この氏名についての議論っていうのはいろいろあってさ、
いろんな案が出て、その数年間複雑にいろんなことが起こるんだよね。
結果、氏名には通称と実名がその時まだあって、
同じ用途のようなものが2つある。これが紛らわしいから、
どちらか一つで良くないっていうことに結果があった。
明治5年には、個人が持つ名っていうのは通称、実名、
どちらか一つだけにせよっていう布告が正式に出されるんだよね。
それで、戸籍法によって国民っていうのは一つに決めた名字と名を登録させられて、
これが国家公認の氏名となったんだよね。
これが今にも通じる氏名なんだけども、
この時に、西郷隆盛なんかは通称は吉野助だったんだけど、
この時、実名の隆盛を取ったんだよね。
だから、今、西郷隆盛っていう名で今日知られてるんだけども、
それから、冒頭にあった二次さんのリクエストの件なんだけど、
中村藩次郎の場合は、もともと持っていた実名の隆盛を選んだんだよね。
明治は、祖先の桐野九郎在門っていう人がいて、
その桐野から取って、桐野利明にしたって言われてるの。
それから、明治政府っていうのは改名を全面的に禁止する、改名禁止令っていうのも出してるの。
ここに氏名は一生涯変えないっていう現代の常識がこの時から誕生してる。
さらに、ちょっとバーッとやったことだけ言うんだけど、
明治8年に平民苗字筆章令っていうのが出されて、
これは、苗字交渉を自由化していたんだけども、
苗字をいまだに実態としては名乗らないっていう人も多くいて、
今後は必ず苗字を名乗るようにっていうものなんだよね。
その時に、先祖代々の苗字がわからない人もいて、
それだったら新たに決めて名乗ってくれっていうふうに言った。
ここに一部の人で苗字が不明になっていた人が新たに苗字を作ったっていう、
この話が面白いから江戸時代までは庶民は苗字は持ってなかったっていうような
拡大解釈が起こったっていう要因ともされてるんだよね。
ここでなぜ明治政府っていうのはこれほどまでに苗字にこだわって
名を変えることを禁止していったのかっていうところに触れたいんだけど、
もちろん市民平等の観点から国民全員が苗字を名乗れるっていうところもあったかもしれないんだけど、
一番大事なところは国家が国民個人を管理把握するっていう必要があったんだよね。
江戸時代までは各地の領主が独自の運営を行って、
それぞれの割とコンパクトな社会集団があって、
それを束ねる幕府っていう構造があったんだけど、
明治になると中央集権国家の体制になって、
中央政府が一括して国民個人を管理するようになったんだよね。
だからホンダさんじゃない方のホンダさんって言われても国家は管理できないわけなんだよね。
それまで江戸時代は通称だけを使った名だったんだけど、
同じような実態は名前もあるし、その名もコロコロ変えられちゃうから把握できないんだよね。
だからそういう問題があって、それで管理してどうするっていうところなんだけど、
一つに徴兵の問題があったんだよね。
明治政府は明治6年に徴兵令を施行してるんだけど、
これは国民の義務として成人男性に対して兵役の義務を課したんだよね。
だけど初めは徴兵対象者の80%近くが兵役逃れをしたんだよね。
明治政府は国民の管理が十分にできてなかったためにこういう事象が発生してるっていうふうに考えたんだよね。
国民一人一人戸籍に登録させて管理をするっていうのを徹底するようにした。
現代でもその常識が受け継がれて、基本的には親がつけた名前を一生使って解明するにしても、
家庭裁判所で正当な理由が認められないと解明はできないっていう風になってるし、
だから、現代の名前っていうものは国家に管理されるためにできた常識であるとも言えるかなと思って。
今日はちょっとそれを伝えたかったです。
スピーカー 2
支配されてるんじゃないの?みたいな。
スピーカー 1
ということで、でかみはどう思った?
スピーカー 2
でかみはね、俺は縄体を表したと思ってるけど。
スピーカー 1
あ、そうなの?いやいや、そこじゃなくていいわ。
あ、そこじゃない?
スピーカー 2
でもほら、名前をつける時ってやっぱり、親が子供に名前をつける時の話だけど、やっぱり何らかの意味を持たせてつけるわけじゃん。
スピーカー 1
あ、そうだね。
スピーカー 2
わかんないけど、ルーレットとかつってさ、これとかって決めてるわけじゃないでしょ、きっと。
だから少なくともこういう子供になってほしいとかさ、親の願いだったり、なんかわからない、自分の名前から一文字取ってとかかもしれないしさ、何らかの意味があってつけてる名前なわけじゃん。
それが縄体を表すっていうのかどうかはまた違う話なのかもしれないけど、
少なくとも今の名前のつけ方が、何だろう、小片郎が最後に言ってたみたいに国に支配されているっていう感じには、俺は正直思ってはないからっていうところかな。
名前の選択権と自由な選択権
スピーカー 1
あ、まあいいわね、そう。でも元々のさ、発端はそういうところから来てるっていうのをちょっと伝えたところがあって。
スピーカー 2
いや、わかってるよ。
スピーカー 1
でもさ、これ思うとさ、さっき言ったさ、親がつけたっていう名前って、昔の人で言うと妖妙なとこなんだけど、そこからはさ、自分の意思だけじゃないけど、自分で決める選択権っていうのも残されてるんでね。
だからそこもなんかすごいな、自分がどういうふうにこう今後名乗っていくかとか、この人の野後を継ぎたいとかさ、そういう選択権をまあ選べるっていうところもなんか今の感覚にないなと思って。
スピーカー 2
まあでもこれはゆくゆくできるでしょ。
スピーカー 1
ああ、やっぱできるかな。
スピーカー 2
どんどん個人主義にこう、世界っていうかさ、世の中的には向かってってるからさ、だって性別ですらもう選べんだぜ。
スピーカー 1
確かにね。まあね、夫婦別姓とかもね、今言われてるしね。
スピーカー 2
ね。日本はだからその辺はまあ遅いっちゃ遅いしさ。
スピーカー 1
うんうん。
スピーカー 2
グローバルスタンダードからしたらちょっと遅めな気はするけど、まあ保守的というか、まあそれが良い悪いじゃなくて。
スピーカー 1
はいはい。というわけでちょっと自分もね、このテーマ自体がすごく難解で、何回読んでも何言ってんだろうっていうところがね、いろいろあって苦戦した回なんだけど。
スピーカー 2
難解なだけに何回も読んだ。
いや、そんなことはない。
スピーカー 1
かけたんじゃないんだ。
かけてない。思ってもなかったわ。
スピーカー 2
あ、そう。
スピーカー 1
あ、で最後にちょっとあのリクエスト、もう一つ頂いてたやつをちょっと読むと、これはねちょっと一部抜粋しますけど、樹脂のハゲさんから頂いたものです。
はい。
60歳の若いじいさんです。Tシャツ買いました。
誰もやらなかった近代史に切り込んでいただきありがとうございます。
お二人の会話も聞きやすく毎週通うの配信が楽しみです。
民族学的な切り口の小片郎さんと大きな視点の永室さんのどちらも素晴らしいです。
たまに放送される番外編はパーソナリティの背景が垣間見れて素敵です。
これからも無理せず長く続けてください。
その中に二つあるリクエストもらってるんですけど、その一つの平民苗字筆章義無礼というのがあったので、それも絡めて今回お話ししました。
スピーカー 2
はい、まああれだね、あのやっぱり小片郎って言ったらさ、もう民族的なさ視点のさ、ほらね、で有名な方なわけじゃん。
スピーカー 1
全然有名ではないわ。
スピーカー 2
あ、そう。まあでもさ、なんかどっちかっていうと一つのことをさ、こう没頭する方が多分向いてるキャラではあるじゃん。本来的には。
スピーカー 1
なんか自分もそっちの方が好きなのかなって、なんかこのポッドキャストやってきてちょっと思い始めたんだよね。
スピーカー 2
そうそう、あの能力値的にはほらバランスがいいしさ、結構何やっても大体できんじゃん。
でもさ、どっちかっていうとこう、何だろう、集中して一個のことやった方が多分強いんだろうなっていうところがあって、なんかそのすげー聞いてくれてる方なんだなって思うよね。
スピーカー 1
いや嬉しい。いやでも中丸も大きな視点のっていう、やっぱりスケールが大きいんだよね。
スピーカー 2
スケールはね、大きいかもしれないけど器はちっちゃいんだよ。
なんだそれは。
スピーカー 1
いやーなんかちょっとまたTシャツも買いましたって、あの本当にこれ別に示し合わせたわけじゃなくて本当になんか書いてくださっていてありがたいですね。
スピーカー 2
そうですね、まあ買ってない方は是非。
スピーカー 1
あ、あとちょっと誰もやらなかった近代史に切り込んでいただきっていうのが、なんかこのフレーズもちょっと嬉しかった。
スピーカー 2
まあ確かに近代史ってだけにこうフォーカスしてるのってあんまないんだよね。
スピーカー 1
本当にない。
なんかやりづらいのかなやっぱり。
スピーカー 2
いややりづらいと思うよ。メディアにもとりあえず使われないと思うよ。
じゃあこれ小片郎のアイディアがちじゃん、完全に。
スピーカー 1
いやいやいや、逆にだからそれが難しいけどね。こう気軽に聞けるっていうものではまだまだないからさ。
スピーカー 2
まあね、しかも一応日本の近代史に絞ってるからね。
スピーカー 1
あ、そうそうそう。
スピーカー 2
日本の近代史なんてそれはそれはもう結末はもう最悪なわけじゃん。
スピーカー 1
まあそうだね。
スピーカー 2
うん、もうね、戦争でたくさん人が死んでっていうもう最悪なその結末の終点に行くところがさ、この日本の近代史だからね。
うんうん。
でもだからこそ知っておいてほしいなっていうことは多いけどね。
スピーカー 1
うんうん。じゃあまあということで今回は名前の近代史でした。
はい。
いろんな媒体で聞いている人いるんですけども、スポティファイとかアップルポッドキャストとか評価の星をこう押すところがあったりとか、あとはフォローボタンとか各媒体であるんで、ちょっとねぜひ概要欄を見て、もしよかったらポチッと押してくれると嬉しいです。
スピーカー 2
はい、ぜひともよろしくお願いします。
スピーカー 1
はい、それでは最後まで聞いていただいてありがとうございました。
スピーカー 2
ありがとうございました。