これ全部ディズニーが自分で持っているIPなんですよね。
他社のキャラクターは一切入れない。
この徹底ぶりがディズニーの推し勝ちの根幹にあります。
そしてこの戦略の最大の結晶が、2024年6月6日にオープンしたディズニーシーのファンタジースプリングスです。
その投資額がすごいんです。
なんと3200億円。
日本のテーマパーク拡張としては過去最大です。
テーマはアノと雪の女王、ラプンツェル、ピーターパンの3作品で、しかも475室のファンタジースプリングスホテルまで整設されている。
年間で750億円の売上増が見込まれているそうです。
3200億円ですよ。
一つのエリアにこれだけ投資られるのは、やっぱりディズニーならではなんですよね。
自分たちが持っているIPだから、世界観を隅々まで完璧にコントロールできる。
もう映画の世界に住めるぐらいのレベルの体験を作り込んでくる。
これがディズニーの推し活の強さだなって思います。
そしてディズニーの推し活を語る上で絶対に外せないのが、ダッフィー&フレンズです。
シェリーメイ、ジェラトーニ、ステラルー、クッキーアン、リーナベル、オルメルと、もうたくさんいるんです。
私は正直ステラルーぐらいまでで泊まってるんですが、こんなに仲間たちが増えていたなんて調べていて驚きました。
このキャラクターたちって、実は映画にもテレビにもほとんど出てないんですよ。
東京ディズニーシー限定のオリジナルIPなんです。
つまりパークに行かないと会えないわけですよね。
この希少性が推し活のエンジンになっている。
ぬいぐるみバッジ、通称ぬいばを持ってパークを歩いて、推しキャラのグッズを身につけて写真を撮って、SNSにぬいどりをアップする。
これってもう完全にアイドルの推し活と同じ構造じゃないですか。
2025年はラッフィー&フレンド20周年。
4月8日からカラフルハピネスと題したイベントが開催されていて、20周年限定グッズは記録的な売り上げを叩き出しています。
そして2022年に登場したリーナベル。
この狐のキャラクターは中国と日本で爆発的な人気を獲得しました。
上海ディズニーでは長蛇の列ができ、転売価格が低下の何倍にも跳ね上がった。
1つのキャラクターの追加がこれだけの経済効果を生むパーク限定IPの推し活ポテンシャルの大きさがわかりますよね。
ディズニーの推し活を象徴するもう一つの文化がバウンドコーデです。
ディズニーでは仮装が原則禁止されています。ただ、ハロウィン期間のみ例外とされています。
だからファンは私服の範囲で推しキャラの色を取り入れるというスタイルを編み出した。これがバウンドコーデです。
例えばラプンツェルなら紫のワンピース、アリエルなら緑のトップス、推し色で全身を統一した概念コーデが人気なんです。
コスプレとは違う、あくまで日常のオシャレの延長線上で推しへの愛を表現する。
このさりげなさがディズニーの上品さというブランドイメージとぴったり合っているんですね。
そしてバウンドコーデの入り口として機能しているのがカチューシャなんです。
これつい買っちゃうんですよね。私も何個も持ってました。
価格帯は1900円から3500円。発売直後に売り切れ属質で転売が横行するほどの人気です。
1日1個の個数制限が導入されるほど。
たかがカチューシャ、されどカチューシャ。
あの耳をつけた瞬間にディズニーの世界の住人になれるっていう感じ。
これが推し勝つの魔法なんですよね。
一方USJの推し勝つ戦略はディズニーとは全く違います。
一言で表すなら旬のIPハンティングです。
USJにはディズニーのようなミッキーに匹敵する自社IPがありません。
でもそのことを弱みではなく強みに変えました。
世の中で今一番熱いIPを次々とパークに取り込む戦略です。
その象徴がユニバーサルクールジャパン。
2015年から毎年開催されている恒例企画で、
2026年は5大作品が一同に集結しました。
まずジュジュ使いセンザリアル4Dが完全新作のオリジナルストーリーで帰ってきた。
名探偵コナンワールドでは謎解きやコースターが楽しめる。
ソーソーのフリーレンはUSJ初コラボということでこれだけでもファンは大興奮ですよね。
さらにモンスターハンターワイルズはなんとレストラン体験という代わりだね。
そして東野圭吾さんのマスカレードリアルミステリーショーで体感できるという、
もうどこから手をつけていいかわからないくらいの豪華さです。
毎年ラインナップを変える。
去年来た人にも今年はまた違う体験があると思わせる。
これがUSJの推し勝ち設計の革新です。
特に呪術会戦は2022年の初登場から4年連続でコラボを実施。
毎回新作ストーリーで復活するから、ファンは今年の呪術はどうなる?と毎年楽しみにしているんですね。
期間限定という終わりがあるからこそ、今行かないとという緊張性が生まれる。
これはディズニーのいつ行っても会える戦略とは真逆のアプローチですよね。
そしてUSJの推し勝ち戦略において最も注目すべきは2つの巨大IPの取り込みです。
まず、スーパーニンテンドーワールド。
マリオの世界を完璧に再現したこのエリアは、2021年のオープン以来、USJの集客エンジンになっています。
2024年12月には、ドンキーコングカントリーが世界で初めて開業し、敷地面積が1.7倍に拡張。
新コースター、ドンキーコングのクレイジートロッコも加わりました。
そしてこのエリアで何がすごいって、パワーアップバンドっていう腕につけるデバイスがあるんですけど、
これが3200円くらいで、これをつけてパークの中を歩くとブロックを叩いてコインを集めたり、ボスを倒したりできるんですよ。
まさにゲームの中に自分が入り込んでいる感覚。
これって究極の推し勝ち体験だと思いませんか?
そしてもう一つがポケモンです。
2026年1月22日に、USJとポケモン社が正式に大型プロジェクトを発表しました。
かつてないほどインタラクティブなポケモン体験。五感を刺激する超リアル体験。
2026年はポケモン30周年です。
まずは日本で先行デビューし、その後世界のユニバーサルパークに展開する計画です。
任天堂のマリオとポケモン。日本が世界に誇る2大ゲームIPを両方揃えたUSJ。
これは自社IP帝国のディズニーに対する最強他社IP連合という対抗軸です。
もう一つUSJの推し勝ちで重要なのがコスプレ文化です。
ディズニーが仮想を原則禁止にしているのに対し、USJはハロウィン期間以外も通年でコスプレOKなんです。
これがものすごく大きいんですよね。
アニメのコスプレでUSJに行く。呪術回戦のキャラになりきってパークを歩く。
推しのコスプレでノーリミットパレードを見る。
この自由度の高さがSNS時代の推し勝ちと完璧にマッチしているんです。
2026年3月からは25周年ディスカバーUパレードも始まりました。
テーマソングはバウンディーさんの書き下ろしディスティニージャーニーズ。
ピカチュウが25匹登場し、ミニオンズ、マリオ、ポケモン3両のキャラクターが一堂に会する約40分間のパレード。
ディズニーのバウンドコーデがおしゃれ上品だとすれば、USJのコスプレは派手、自由、全力。
この対比が実は2つのパークの推し勝ちの本質的な違いを象徴しているんです。
ここからはそれぞれの戦略がもたらす天国と地獄を見ていきましょう。
まず天国の部分から。
ディズニーのリピーター率ってなんと約9割あるんですよ。
一度あの世界観にハマったら何度でも帰ってくる。
自社IPだからブランドのコントロールが完璧で、夢と魔法の世界観が決してブレない。
さっきお話ししたファンタジースプリングスに3200億円を投じられるのも、
自分たちのIPだからこそリターンが計算できるという安心感があるからなんですよね。
じゃあ地獄は何かというと変化が遅いんです。
自社IPを守ることが最優先だから、大胆な冒険がしにくい。
そして私が一番気になっているのは、2020年に年間パスポートを自主的に廃止したこと。
この影響で18歳から39歳の来園者が約40万人も減ったと言われています。
推し勝ちの一番の怖そうですよ、この年齢層って。
ここが離れていくのは、長い目で見ると本当に大きなリスクだと思います。
さらにチケットの高騰、最高1900円。
もう庶民のレジャーではなくなった。こんなに高いなら年に1回しか行けないという声がSNSにあふれています。
量より質戦略は客単価を上げるけれどファンの裾野を狭める。
推し勝ちの入り口が狭くなっているんです。
USJの天国は分かりやすくて、常に新しい話題を提供できることですよね。
世界のテーマパークの入場者数デートとして最も権威のある2024年のTEAECOMのレポートを実際に見てみました。
するとUSJの年間入場者数は約1600万人で、なんと3年連続で東京ディズニーランドを上回って世界3位なんです。
もちろんディズニーシートを合算すれば東京ディズニーリゾート全体の方が多いんですけど単体パーク同士で比べたらUSJが勝っている。
これってやっぱり毎年変わるIPコラボの話題性が集客力に直結しているってことだと思うんですよね。
一方で地獄は何かっていうと結局他社のIPに頼っているということはその契約が切れたらそこで終わりなんですよ。
しかも毎年新しいコラボを仕掛け続けないと話題が途切れてしまう。旬を見極めるマーケティング力が常に求められているわけです。
もし一つでもハズレのIPを引いてしまったらその期間の集客がガクッと落ちるリスクがある。
そしてチケット価格、実はUSJの方がディズニーより高いんですよ。最高11900円で国内テーマパーク最高額。
しかも入場者数は2017年以降公式発表を一切していないんです。
推計値でしかわからない。この不透明さに対してはやっぱり批判の声もありますよね。
さてここからはグッズの話をしたいと思います。
推し活においてグッズってやっぱり一番大事な接点の一つじゃないですか。
実際推し活市場の調査でも支出のトップは公式グッズで30.7%。テーマパークのグッズ戦略って推し活の製品を直接左右するんですよね。
ディズニーのグッズ戦略の革新は希少性です。
さっきお話ししたラッフィー&フレンズはパーク限定ですし、映画グッズもパーク限定デザインがあったりする。
ここでしか買えないっていうのがやっぱり強いんですよね。
しかもこれ季節ごとにデザインが変わるんです。
ハロウィン限定があってクリスマス限定があってイースター限定があって、
毎シーズン新しいグッズが出るから前回も買ったけど今回のも可愛いっていう沼にはまり続ける。
一人当たりのグッズ購入額が約5100円という数字はまずにこの永遠に欲しくなる設計の成果だと思います。
ただし問題もあります。人気グッズの転売が横行していることです。
カチューシャやダッフィーのぬいぐるみがメルカリやヤフオクで定価の何倍もの価格で出品されています。
個数制限やスタンバイパスの導入で対策はしていますが根本解決にはいたっていません。
前回の放送でおしかつコラボの天国の地獄をお話ししましたが、転売問題はディズニーも例外ではないんです。
USJのグッズ戦略の革新は期間限定です。
クールジャパンのコラボグッズってリベント期間が終わったらもう買えなくなるんですよ。
今行かないと手に入らない。今買わないともう二度と出会えない。
この緊急性がファンの購買を一気に加速させるんですよね。
呪術回戦のグッズが欲しい人、鬼滅の刃のグッズが欲しい人、名探偵コナンのグッズが欲しい人。
みんなそれぞれのおしのグッズを手に入れるためにUSJに行くわけです。
もうこれってテーマパークに遊びに行くっていうよりはおしかつの遠征ですよね。
おしかつ消費の調査でも遠征費が支出の23%を占めているんですけど、テーマパーク自体が聖地巡礼の目的になっているっていうすごい時代だなって思います。
最後にこれからのテーマパークおしかつがどこに向かうのか、ちょっと未来の話をさせてください。
2025年5月22日にアメリカのオーランドにエピックユニバースっていう巨大なテーマパークがオープンしたんです。
ユニバーサルオーランドリゾートの4つ目のパークで、なんと従来のユニバーサルパークの2倍の面積、5つのワールドに50種類以上のアトラクションが入っている。
何が注目かっていうと、このパークのコンセプトがイマーシブ体験に完全特化してるんです。
ハリーポッターの世界の1920年代パリ魔法書があったり、スーパーニンテンドーワールドの新しいバージョンがあったり、ヒックとドラゴンの世界があったり、全部がその世界の中に入り込む体験として設計されている。
これ世界のテーマパーク業界の基準を一気に引き上げるものだと思うんですよね。
そしてこの波は間違いなく日本にもやってきます。
ディズニーは2027年に新しいスペースマウンテンのリニューアルオープンを予定していますし、2026年にはシュガーラッシュの新アトラクションも控えています。
一方USJはさっきお話ししたポケモンの大型プロジェクトに加えて、ビッグユニバースの成功事例を日本に持ち込んでくる可能性もありますよね。
テーマパークの推し活ってグッズを買う、写真を撮るっていうレベルからもう一段階上に進化しつつあるんです。
IPの世界に没入して自分がその物語の登場人物になる。
パワーアップバンドをつけてマリオの世界を冒険するように、もしかしたらポケモンをリアルに捕まえる体験ができるようになるかもしれない。