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#66 キャバ嬢を推す女性たち|LAST CALLと「憧れ」のビジネス
2026-10-05 29:03

#66 キャバ嬢を推す女性たち|LAST CALLと「憧れ」のビジネス

キャバ嬢を「推す」女性たちは、何に憧れ、どこにお金を払っているのでしょうか。
『LAST CALL』とNetflix『ダウンタイム』を手がかりに、番組、イベント、美容医療、広告をつなぐビジネスと、「応援すること」と「本人の身体を決めること」の境界を考えます。

▼ 今回の内容
キャバ嬢を推す女性たち
LAST CALLはどんな番組?
視聴者の先にある、お店・イベント・クリニック
最大1,000万円分の支援とスポンサーの役割
美容は「自分への投資」と言えるのか
『ダウンタイム』が描く、変わった後の時間
「そのままでいい」もビジネスになる
支援は誰のためか、推す側にできること
10月22日・渋谷での無料イベントのお知らせ
エンディング

▼ 10月22日(木)〜 渋谷で登壇します
「推し活ビジネス」をUXでひも解く会
矢澤綾乃 × 藤崎光(株式会社アピリッツ)
会場:渋谷サクラステージ SHIBUYAタワー24階
完全オフライン開催・参加無料。詳細、お申し込みはこちら。
https://wbccollege.connpass.com/event/408671/

▼ 主な参考資料
LAST CALL公式サイト
https://lastcall.jp/
運営会社の発表(視聴者の女性比率は同社調べ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000184124.html
Netflix『ダウンタイム』公式紹介
https://about.netflix.com/ja/news/plasticbeauty-maintrailer-and-keyart
Beauty and the Labor Market(見た目と賃金の関係を調べた研究)
https://www.nber.org/papers/w4518
Dove公式紹介
https://www.unilever.com/brands/beauty-wellbeing/dove
厚生労働省「美容医療を受ける前にもう一度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04978.html

※番組内で紹介する割引キャンペーンは終了しています。「最大1,000万円分」は現金の賞金ではなく施術の支援枠です。研究の賃金差から、整形の効果や費用の回収を示すことはできません。

『推し活未来研究所』🎧 毎週月曜あさ7時配信
ビジネスとカルチャーをつなぐ「推し活」の世界を、現場の経験とデータからお届けします。

▼ パーソナリティ
矢澤 綾乃|株式会社KAZAORI 代表取締役・現役ベーシスト
推す側と推される側、両方の経験から推し活ビジネスを探っています。
https://kazaori.co.jp/

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番組へのメッセージ:https://forms.gle/zSD7LYrAscxYCoh79

#推し活 #LASTCALL #ダウンタイム

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サマリー

キャバ嬢育成オーディション番組「LAST CALL」を入り口に、視聴者が店、イベント、SNS、美容クリニックへ導かれる仕組みを考える。女性視聴者が約75%という運営会社調べや、最大1,000万円分の美容整形支援、イベントのチケット販売と中止・返金の経緯が紹介される。美容と賃金の研究は見た目による差を示すが、整形で収入を回収できるとは言えず、施術費以外にダウンタイムや通院の負担も残る。Netflixドラマ「ダウンタイム」やDoveの「リアルビューティー」を通じ、本人の選択と周囲が身体を決めることの境界、応援におけるお金と権利の線引きを考える。

LAST CALLとキャバ嬢を推す女性たち
こんにちは、株式会社KAZAORIの矢澤彩乃です。 推し活未来研究所へようこそ。
この番組では、ますます盛り上がりを見せる推し活をビジネスの視点から、 そして時には私自身の経験も交えながら、楽しくそして深く紐解いていきます。
さて、今日のテーマはこちら。
キャバ嬢を推す女性たち|LAST CALLとダウンタイムで読み解く憧れをビジネスにする仕組みです。
LAST CALL、皆さん知ってますか?
ショート動画もすごい回ってるんで、見たことあるという方も多いかもしれません。
このテーマ、ルッキズムとかセンシティブな問題もあるので、取り扱うか少し迷ったんですよね。
だけどこの番組、私の周りでも女性の友人たちがめちゃくちゃ見てるんですよね。
私も実は結構見ていて、ラブ上等とかにも出ている出演者もいたり、広く知られるようになってきてますよね。
多分、自分の知らない世界をちょっと覗き見できるのが面白いんだと思うんです。
番組の趣旨としては、YouTubeでキャバ嬢を目指す人のオーディションをする。
さらに、番組を見たと伝えると、外科施術が10%引きになるクリニックの期間限定キャンペーンまで行われていました。
応援されるのは挑戦者だけなのか、見られているのは接客だけなのか、番組を見た人が次にどこへ行き、誰にお金を払うのかを追うと、思っていたよりずっと広い仕組みが見えてきます。
そして、2026年9月には、ネットフリックスで美容整形洋画を描くダウンタイムの配信が始まりました。
こちらはドラマです。
人が変わるまでの過程を見せる2つの作品から、今日は美しさにお金がつく瞬間と、そのお金では引き受けきれないものを考えていきましょう。
問題に入る前に、今回初めて聞いてくださる方もいらっしゃると思うので、少しだけ自己紹介をさせてください。
私は普段、推し活をテーマにしたビジネスをしていまして、例えばファンの皆さんがイベントを一緒に盛り上げられるプクートというサービスなどを提供しています。
それと同時に、ベーシストとしてアーティストさんのバックバンドでベースを弾かせてもらっていて、いわば押される側の空気感も肌で感じているんですね。
この番組は、そんな押す側と押される側、両方の視点を持つ私だからこそ見えてくる推し活の面白さや可能性を皆さんと一緒に探っていきたいなぁと思って始めました。
YouTubeのチャンネル登録、そしてポッドキャストのフォローもぜひよろしくお願いします。
今日は最後にお知らせもあるので、ぜひ最後まで聞いてくださいね。
それでは本題に入っていきます。
最初に一つだけ、今日は誰の顔がいいかを採点するような回ではありません。
番組を作る側、出演する側、お店、クリニック、そして見ている私たち、それぞれが何を欲しがって何を差し出しているのか、
そこを見ていくと応援しているつもりの行動が、実は別の商売の入り口になっていることも見えてきます。
こういった夜のお店に行ったことがなくても大丈夫です。
私の世代よりちょっと上くらいの40代50代の方なら、テレビ番組のガチンコとか学校へ行こうのような挑戦する人の姿を追うテレビ番組を思い浮かべると、かなりわかりやすいお話になると思います。
さて、まずはラストコールの簡単な説明から。
ラストコールは、2026年1月4日にYouTubeで配信が始まったキャバ嬢の育成オーディション番組です。
MCは実業家のみぞぐちゆうじさんと、ホストとして知られ授業も手掛けるローランドさん、そして現役や経験豊かなキャバ嬢たちが挑戦者を審査します。
キャバクラはお客様との会話や接客を通してその場で過ごす時間を提供する仕事です。
姿を見せるだけではなく、相手の話をどう受け取り、距離を取り、また会いたいと思ってもらうかが関わる。
顔写真だけでは見えない仕事がたくさんあるんですね。
番組では、挑戦者の覚悟や資質を問う面接、美容医療の意思による評価、難しいお客様への対応を想定した接客の実演などが組み合わされています。
完成した人気者の紹介ではなく、この人はここからどうなるかを見せる構成です。
この番組のプロデューサーがオチ・マサトさん、学校へ行こうやガチンコなどの企画に携わった人だったんです。
媒体はYouTubeですが、挑戦者に課題を与え、周囲が反応し、視聴者に続きを見たいと思わせる作りには、テレビで育った技術が入ってるんですね。
2026年7月の本人のインタビューでは、当初の高級キャバクラでの撮影案から、テレビ局のスタジオに大きなセットを組む案へ変えられたことが語られています。
面白いのがシャンデリアの話で、オチさんがFNS火曜祭の会場みたいに会場からシャンデリアを吊るせないかとみぞぐちさんに相談したら、みぞぐちさんが2000万円以上かけてシャンデリアを3機も買ってきた。
オチさん自身も、「大丈夫ですか?YouTubeですよね?」と心配になったと振り返っています。
さて、この金額で何を買っているのか。
照明器具だけでなく、挑戦の場を特別に見せる効果だと思うんです。
日常のお店を覗く映像ではなく、これからスターが選ばれる舞台に見せる。
視聴者にとっても出演者にとっても、普通の面接とは違う意味を持たせる装置になります。
オチさんは審査する側が本音を文字で打ち込む、本音ラインという仕組みも提案したとお話しています。
誰かが話している間に、別の人はどう感じているのか。
それが文字で見えると、挑戦者の受け答えだけでなく、評価する人同士の違いまでコンテンツになるわけです。
ここが履歴書を見て採用を決めるだけの場と違うところです。審査そのものが見せ場になっている。
答えに驚く人、厳しく見る人、別の可能性を感じる人がいる。
その差を見ながら視聴者も自分ならどう判断するかどう参加できるんです。
ただ番組で映える力とお店で長く働く力は重なりながらも結構違うと思っています。
切り抜かれる強い一言は番組ではすごく強い。
でもお店では相手の話をじっくり聞いて、毎回の接客を安定して続ける力が必要になりますよね。
だから番組を楽しむときは、この審査は何を見ているんだろうと一歩引いてみると、もっと面白くなると思います。
さらにこの番組は選んだら終わりではありません。
公式サイトでは合格後の遍布への入店、SNS、密着取材などの支援も掲げています。
人を発掘するだけでなく、見つかった人が仕事をして発信を続けるところまでつなげようとしているんですね。
番組を起点に広がる店・イベント・クリニック
では番組を見た人たちはその後どこへ向かうのでしょうか。
先に結論言っちゃうと、この番組は入り口なんですね。
お金が実際に生まれる出口は番組の外にいくつもありました。
しかも出口ごとにお金を受け取る人も引き受ける苦労も全然違ったんです。
ここではそれを見ていきます。
まず誰が見ているのか。
運営会社が2026年5月に自社調べとして出した数字では、視聴者の約75%が女性でした。
キャバ嬢のオーディション番組と聞くと、見ているのはお店に飲みに行く男性客じゃないかなと思いますよね。
私も最初はそう思ってたんです。
でも実際は女性が75%。
挑戦する人に自分を重ねる人もいれば、審査員の仕事感に惹かれる人、服やメイクを参考にする人もいるでしょう。
数字だけでは一人一人が何に惹かれて見ているかまではわかりません。
でも見ている理由がバラバラなことは想像できます。
だからこそ行き先も一つじゃないんです。
接客を受けたい人はお店、出演者を応援したい人にはSNSやイベント、美容医療に興味を持った人にはクリニック。
全員を同じ商品に連れていかなくていいんですね。
ここが調べていて一番面白いと感じたところでした。
その出口の一つがイベントです。
2026年6月28日、お台場のトヨタアリーナ東京でラストコールコレクションが開かれました。
公開収録、ランウェイ、出演者との交流、共産企業のブースを1日にまとめたイベントです。
チケットは一番安いA席が3000円、一番高いVIPよりさらに上のVVIP席がこちらが10万円です。
どの席にも出演者とのツーショット撮影券が1枚付いていて、上の席では直撮影もあったと報じられています。
つまり、ただで見ていた番組がここで同じ場所にいる時間と一緒に写真を残す体験という有料の商品に変わるんです。
お店の条例になるつもりがない人でもファンとしてならお金を払える、そういう出口ですね。
ただこの出口は思った通りにはいかなかったようです。
サンスポの現地報道によると、みぞぐちさんはイベントの冒頭でランウェイの中止を発表しました。
理由として語ったのは、ランウェイを歩いたら出演者の個人的な情報を晒すという脅しをSNS上で受けていたということです。
これはあくまで主催者側の説明になります。
その上で、来場したかどうかに関係なくチケットを買った人全員に全国返金すると発表しました。
払い戻しが全部終わったかまでは公表資料からは今のところはわかっていません。
それでも当日は一部の出演者が自分の判断でランウェイを歩いたとも報じられています。
ここから見えるのは注目を集めることと約束したイベントを届けることは別の仕事だということです。
映像なら編集はできます。でも現地にはその日に来た人がいる。
出演者、会場、運営、そして安全を同じ時刻に揃えなきゃいけないんですね。
しかも返金しても会場や制作にかかったお金が戻ってくるわけではありません。
人気が出た、大きな会場を借りた、高い席が売れた。
それだけでは儲かったかどうかもファンが満足したかどうかもわからないんですよね。
そして同じ会場にはもう一つ別の出口が置かれていました。
スポンサーのSBC湘南美容クリニックが無料カウンセリングのブースを出す予定を案内していたんです。
出演者を見に来た場所に医療の相談窓口がある。
写真を撮りに来た人のお金はイベントへ。
施術を相談したい人のお金はクリニックへ。
同じ会場にいてもお金の行き先、つまり出口が違うんですね。
最大1,000万円分の美容整形支援と広告導線
ではその出口の一つ、スポンサーは何を手に入れているのか。
次は1000万円の支援と番組を見たって10%引きになる仕組みを見ていきたいと思います。
先に言ってしまうと、この1000万円は賞金ではありません。
スポンサーにとってはお客さんと出会うための入り口になっているんです。
どういうことか順番に見ていきますね。
まずよくある勘違いから。
番組の公式説明は、合格者に最大1000万円分の美容整形をサポートするんです。
1000万円を現金で渡すわけではありません。
しかも最大なのでそこまで使える上限という意味ですね。
実際にいくら分の施術をしたのかは公表されていません。
それにメニューの値段で1000万円分でもクリニックが実際に負担するお金はそれより少ないかもしれません。
なのでスポンサーが本当にいくら出したのかは外からは見えない状態になっています。
面白いのはこの1000万円分の整形サポートが合格者だけのものではなかったんです。
さっきお話ししたイベントでも公式のアカウントが最大1000万円分の整形サポートが当たる特別企画を告知していました。
この支援そのものが人を集める目玉にもなっていたんですね。
ではスポンサーは何を手に入れているのでしょうか。
普通のCMなら、うちのクリニックを知ってくださいと伝えて終わりです。
でもこの番組ではお医者さんが出演して挑戦者の相談に乗る、挑戦者が変わっていくストーリーの中にクリニックが支える役として出てくるんです。
そうすると見ている人が覚えるのは会社の名前だけじゃありません。
あの先生こういう話し方をする人なんだとお医者さんの顔や人柄まで覚えてもらえるんですね。
そしてちゃんと予約への入り口も用意されていました。
湘南美容クリニックの表参道送るスインでは、予約の時にラストコールを見たと伝えると、下科や歯科の施術が10%引きになるキャンペーンをやっていたんです。
期間は3月22日から6月30日までで、今はもう終わっています。
番組を見る、その先生を知る、割引で予約をする、この流れが具体的に作られていたわけですね。
ただ、このキャンペーンで何人予約して売上がいくら増えたのかは公表されていません。
なので割引があったことイコール儲かったとまでは言えないんですね。
ここで立場ごとに何が手に入るのかを整理してみます。
スポンサーは先生やクリニックを知ってもらい相談の入り口を作れる。
番組は見どころのある映像ができる。
どちらも比較的すぐに成果が出ます。
でも挑戦者本人は違います。
番組が終わった後も自分で選んで働いて生活していかなきゃいけない。
本人の成果が出るのってずっと先なんです。
お店で働くことを考えても同じです。
動画で知ってもらえれば会ってみたいと思ってもらえるかもしれません。
でも番組のファンが全員お店に来るわけじゃないですよね。
遠くに住んでいる人もいるし、見るのは好きでも行く気はない人もたくさんいます。
だからこの番組が見た目の支援だけでなく、SNSや密着取材の支援もセットにしているのには意味があります。
顔が変わっても知ってもらう力やお客さんと関係を続ける力が自動的に身につくわけではないからです。
最後に一つだけ。支援の金額が大きいと全部使わなきゃもったいないという気持ちになりがちですよね。
でも医療ではたくさん使うほど本人のためになるとは限りません。
そこが普通の賞金とは決定的に違うところなんです。
美容投資と見た目による賃金差
じゃあ見た目を変えることは本当に投資として回収できるのか。
次はそこを考えていきます。
ここまで聞いていると美容って自分への投資なのかなと思いますよね。
この数年、見た目への目線ってちょっと厳しすぎて怖いなと思うこともあります。
でも一方で日本では清潔感って女性にも男性にも言われますよね。
お金と時間をかけて見た目を整えて仕事のチャンスを増やす。
スーツを新調したりプロフィール写真を撮り直したりする話なら男性にも身近な話かもしれません。
先に結論を言うと見た目で扱いに差が出ることは研究でも示されています。
でも見た目を変えればその差を取り戻せるとは限らないんです。
そして変わるまでの時間を引き受けるのは本人だけだということにも気づきました。
まず順番にお話ししますね。
見た目とお給料の関係を調べた有名な研究があります。
ハマー・メッシュさんとビドルさんという経済学者が1990年代の前半に発表した
Beauty and the Labor Market、日本語にすると美しさと労働市場という論文です。
使われたのは1970年代から80年代初めのアメリカとカナダの調査でした。
調査員が回答した人の見た目を評価していてそこにお給料のデータを重ねてみたんですね。
年齢などの条件を揃えて比べると見た目の評価が低かった人は平均的と評価された人よりお給料が5%から10%低かった。
しかもこの差は女性だけの話ではありません。
男性の方がわずかに大きかったんです。
ただしここが大事なところです。
この欠陥を安易に整形すれば年収が5%から10%上がると受け取ることはできません。
例えで言うとこんな感じです。
仮に背の高い人ほど給料が高いという調査があったとしてもそこの厚い靴を履けば給料が上がるとはなりませんよね。
この研究がわかったのは差があるというところまでです。
手術の前と後を比べたわけではありません。
しかも40年以上前の北米のデータです。
今の日本で整形にかけたお金を何年で取り戻せるかを計算できる式ではありません。
それにかかるのはお金だけではないですよね。
相談に行く時間、通院、晴れが引くまでのいわゆるダウンタイムで休む時間、仕事を休めばその間の収入や働き方にも響きます。
誰かが施術代を出してくれてもその時間と自分の体で経験することまでは変わってもらえないんですね。
ここで立場ごとの時間を比べてみましょう。
番組は撮影して編集して公開すれば再生回数という形ですぐに結果が出ます。
スポンサーも知ってもらうという成果がすぐに手に入る。
でも本人は変わった体でその後もずっと暮らしていきます。
周りは本人の変化をすぐにコンテンツや広告に使える。
でも本人にはその後の長い時間が残るんです。
Netflixドラマ『ダウンタイム』が描く回復期間
この時間に光を当てたのがネットフリックスのドラマダウンタイムです。
2026年9月17日から配信されている全8話のドラマです。
松岡真由さんが形成外科医を中梨沙さんが美容外科医を演じていて考え方の違う2人のお医者さんが向き合います。
これ私も配信されてすぐに見たんですがめちゃくちゃリアルだなぁと思いました。
特に声優を目指す女の子たちが喧嘩をするシーンがあったんですが演技に圧倒されちゃって、これなんか女同士の本気のぶつかり合った時のリアルだなってめちゃくちゃ思いました。
そしてそのタイトルのダウンタイムというのは美容医療の施術の後、腫れや内出血が落ち着くまでの回復期間のことです。
ビフォーアフターの写真を並べるとこの期間は一瞬で消えてますよね。
でも本人はその間もちゃんと生活をしています。
タイトルそのものがいつも飛ばされてしまうその時間に目を向けさせているんです。
ネットフリックスの紹介によるとこのドラマでは、施術前、回復中、その後の変化を特殊メイクで表現しているそうです。
もちろん俳優さんが演じるフィクションですが、結果だけでなく途中を物語にしているところがすごく面白いと思いました。
実はこのドラマが生まれたきっかけも、見る側の目の話だったんです。
制作人のインタビューによると、同じネットフリックスの極悪女王で主演の方がプロレスラー役のために体重を増やした時に、SNSであんなに痩せたのにもったいないという声が出たそうです。
エグゼクピンプロデューサーの高橋真一さんはそれを見て、「見た目はいろいろでいい。」と口では言いながら、本音では違う評価をしているそのズレを感じたと話しています。
本人は役のために体を変えた。でも見る側は前の方が良かったという。評価されるのは努力ではなく、見る側の好みに合っているかどうかだったんですね。
見る側は好みに合わなくなったら見るのをやめられます。番組も次の挑戦者に移ることができます。でも本人は自分の体から別の体に乗り換えることはできません。
だから見た目について意見を持つことと、その人の体のことを決めることは分けて考えたいと思っています。
厚生労働省も美容医療を受ける前に確かめてほしいこととしてこんなポイントを挙げています。
効果だけでなくリスクや副作用も知ったか。他の方法も説明してもらって自分で選んだか。そしてそれは本当に今すぐ必要か。
番組の次の回やキャンペーンの締め切りは待ってくれません。しかも煽ってくるような広告も多いですよね。
でも本人が納得するために必要な時間はそれとは別です。選ぶ人の時間がちゃんと残っていること。それが何より大事なんだと思います。
Doveのリアルビューティーと推す側の線引き
では変わりたいの反対側。そのままでいいというメッセージはお金と関係ないのでしょうか。
ここで海外のある美容ブランドを見てみると話がもう一段面白くなります。
先に結論を言うと変わりたいだけじゃなくそのままでいいもちゃんと商売になるんです。
そして本当に大事なのはどっちが正しいかじゃなくて誰が決めるのか。
今日一番伝えたいのは実はここです。そのブランドがダブです。
日本でもボディーソープやシャンプーでおなじみですよね。
ダブは2004年からリアルビューティーという考え方を掲げてきました。
美しさを一つの決まった理想の形に押し込めないというメッセージです。
2024年には広告で実在の女性の代わりにAIで作った画像を使わないとも宣言しています。
作られた理想の顔じゃなくていろんな実在の人の姿を見せていくという方向ですね。
ここだけ聞くと美しさを売る商売から一歩引いた良い会社だなぁと思うかもしれません。
でもビジネスの目線で見るとちょっと違う景色が見えてきます。
親会社のユニリーバーの発表によるとダブの2023年の売り上げは60億ユーロ。
今のレートで換算すると大体約1兆円になります。
とても大きなブランドなんですね。
もちろんこの60億ユーロが全部メッセージのおかげというわけではありません。
商品の良さや値段、どこでも買えること、長年の知名度、売り上げにはいろいろな理由があります。
それでもそのままでいいという言葉に共感してダブを選ぶ人がいるのは確かだろうなと思います。
つまりダブは美しさの市場の外から批判しているわけではないんですよ。
市場の真ん中でお客さんとの違う関係の作り方を選んでいるんですね。
ここでラストコールと並べてみましょう。
ラストコールは買われるかもしれないという可能性を見せてクリニックへの相談につなげる。
ダブは今のあなたでいいという考え方を見せて毎日使う石鹸やシャンプーへの信頼につなげる。
向きは正反対ですが、どちらも美しさについての考え方と商品をセットにしているんです。
だから商売だから全部嘘と切り捨てるのも、共感できるから広告じゃないと思うのも、どちらも仕組みを見落としてしまいます。
ただ一つだけ混ぜないでほしいことがあります。石鹸を買うことと医療の施術を受けることでは体にかかる重さが全く違います。
どちらも自分磨きと呼べてしまうけれど、ひとまとめにするとその違いが見えなくなってしまうんですね。
そしてここからは押し勝つの話です。
押し勝つの市場も同じ構造を持っていると思います。
ファンが集まると写真1枚にも会える時間にも値段がつく。
今日見てきたイベントのチケットや撮影券もまさにそうでしたよね。
その一方でファンは見る側の声を一番強く持っている存在でもあります。
新しい写真が出たらすぐに前と比べられる。前の方が良かったとも言えてしまう。
さっきの極悪状の話は決して他人事じゃないんです。
でも長く見ているからこそ気づけることもあります。
その変化は何のためだったのか。どんな表現のために体を作ったのか。
自分の好みに近づいたかどうかだけじゃなく、その理由まで見られるのが長く応援してきた人の強みだと思うんです。
私たちがチケットやグッズにお金を払って手に入れているのは体験や時間です。
押しの外見や体のことを決める権利までは勝っていません。
押し勝つの市場が大きくなればなるほど、この線引きは大事になっていく。
払ったお金と決めていい範囲を混ぜないこと、それが長く応援し続けるための土台なんだと私は思います。
支援は誰のためか
さて本日のまとめに入ります。
最大1000万円の生計支援は誰のためなのか。
まず番組のため。見どころのある物語ができて再生回数につながるから。
次にスポンサーのため。先生やクリニックを知ってもらい相談の入り口ができるから。
そして挑戦する本人のため。それまで選べなかった選択肢や仕事のチャンスが手に入るから。答えは全部本当なんですね。
ただ今日見てきた通り受け取るタイミングが違います。番組とスポンサーの成果はすぐに出る。
でも本人の答えが出るのはずっと先になります。
変わった体で働いて暮らしてこれで良かったと思えるのかどうか、それは再生回数では測れません。
だからこそ支援が本人の選択肢を増やしているのか、それとも周りの期待に合わせる負担を増やしているのか、そこを見ることが大事なんだと思います。
そしてそれを見ているのは私たち視聴者です。冒頭でも言いましたが、実は私もこの番組を見てしまう側なんですよね。
面白いし、ついつい次の回も見てしまうんです。
だからこそ、見る側としてどこまで口を出していいのか、その線を自分の中にちゃんと持っておきたいなと思いました。
美しさに値段がつくことと、人の価値を値段で決めることは同じではありません。
その違いを覚えておくことが、推し活をただの採点にしない力なのかもしれないなと感じています。
渋谷イベントのお知らせ
さてここで、冒頭でお話ししたお知らせに入ります。
10月22日の木曜日、夜7時から渋谷でイベントに登壇することになりました。
こちらは完全オフラインリアル開催のみです。
テーマは、推し活ビジネスをデザインでひも解く会。
推し活ってものすごく大きな市場になりましたよね。
でもその一方で、昨日まで大好きだった人がある日いきなりアンチになったり、一つの発言で炎上したり、気づいたら静かに離れていったり。
普通の買い物ではまず起きないようなことが推し活ではよく起きるんです。
なぜ人はそこまで熱狂するのか、そしてなぜその好きが嫌いに変わってしまうのか。
今回は株式会社アピリッツでサービスデザイナーをされている藤崎さんと一緒に、この熱狂、炎上、離反をユーザー体験、つまりデザインの視点から読み解いていきます。
私が推し活とは何なのか、最新の推し活市場の動きをお話しして、藤崎さんがそれをデザインから見るとこう考えられるんじゃないかと返してくれる、そんな感じをイメージしています。
現場の話とデザインの見方を行ったり来たりするような会になりそうです。
リアル開催だけなので、普段はお話できないようなこともちょっと踏み込めるんじゃないかなと、私自身もすごく楽しみにしています。
会場は渋谷駅直結の渋谷桜ステージ。終わった後には懇親会もあります。そしてなんと参加費も懇親会費も無料です。
ぜひお仕事帰りにお立ち寄りください。
推し活のお仕事をしている方はもちろん、自分のサービスにファンを作りたいと考えている方にもきっとヒントがあると思います。
お申し込みのリンクはノートと概要欄に貼っておきますね。
会場でリスナーの皆さんに直接お会いできたら本当に嬉しいです。
ぜひ懇親会でお酒でも飲みながらいろいろお話ししましょう。
さて本日の番組を聞いての感想は、ぜひハッシュタグ推し活未来研究所でシェアしてくださると嬉しいです。
それでは今日の推し活未来研究所はこの辺で。最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。
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