こんにちは、株式会社KAZAORIの矢澤 彩乃です。推し活未来研究所へようこそ!
この番組では、ますます盛り上がりを見せる推し活をビジネスの視点から、そして時には私自身の経験も交えながら、楽しくそして深く紐解いていきます。
さて、今日のテーマはこちら。コラボカフェの闇です。
よく最近Xとかを見てると、こんな投稿があるんですよ。
推しのコラボカフェの予約を取るために、有給を取ってスマホを3台並べてスタンバイしたとか、
特典のアクリルスタンド、通称アクスタ目当てで6000円のコースを頼んだら食べきれなかったとか、
あとはメルカリで見たら1人1個しかもらえないノベルティーが定価の5倍で売られていたなどなど、
これ全部、2025年から2026年にかけて実際にSNSで流れてきた話なんです。
数字を見ても本当にびっくりする数字なんです。
日本のテーマカフェ市場って、なんと年間400万人が動員されて約200億円。
しかも将来的には1000億円規模まで膨らむと言われている巨大市場です。
その一方で、ヤフオクやメルカリなどでコラボカフェ限定グッズが人気農作品のアクスタなら、
定価の数倍で取引されることもザラなんですよね。
そして私が一番気になっているのが食べ残し問題。
原神というゲームのコラボで、特典グッズ欲しさに大量のメニューを頼んで手をつけずに買える人が続出して、
店舗側が厳重注意を出す時代になったことなどはニュースにも取り上げられていたので覚えていらっしゃる方も多いと思います。
推しに会いに行く聖地だったはずのコラボカフェが、いつからか消耗する場所に変わってしまっている現状があるんですね。
これファンだけが悪いのか、ビジネスモデルに構造的な問題があるのか、それとも推し勝つ文化そのものの副作用なのか、
今日はここを徹底的に掘り下げていきます。
本編に入る前に、今回初めて聞いてくださる方もいらっしゃると思うので少しだけ自己紹介させてください。
私は普段推し勝つをテーマにしたビジネスをしていまして、
例えばファンの皆さんがイベントを一緒に盛り上げられるプクートというサービスなどを提供しています。
ここで一つお知らせをさせてください。
6月24日水曜日から26日金曜日まで東京ビッグサイトで行われる推し勝つエキスポ2026に弊社カザオリが出展することになりました。
ずっと出たいなと思っていた展示会で、今回が初めての出展です。
なんと、今収録日時点で出展検索サイトの1000社以上の中で4位にランキングされているそうでめちゃくちゃ嬉しいです。
私も3日間ブースにおります。推し勝つ未来研究所聞いてますって声をかけていただけたらすごく嬉しいので、ぜひお気軽に遊びに来てくださいね。
詳細はノートの方にも載せておきますので、来場者登録もそちらからぜひよろしくお願いします。
YouTubeのチャンネル登録、そしてポッドキャストのフォローもぜひよろしくお願いします。
さて、本題に入る前に、一度コラボカフェの現在地を整理しておきたいんですよね。
そもそもコラボカフェって何かというと、人気のアニメ、漫画、ゲーム、VTuberさんなんかの世界観を再現した飲食店を期間限定で開催するっていう業態なんです。
もう少し正確に言うと、業界的にはテーマカフェとかキャラクターカフェと呼ばれている領域で、そこに一時的なコラボ企画を組み込んだものをファンの間ではコラボカフェと呼んでいるというイメージですね。
じゃあこの市場がどれくらいあるのかという話なんですけど、エンタメ社会学者の中山敦夫さんがゲームビズで連載されている記事があるんですけれども、
それによると、テーマカフェ市場は年間400万人動員で約200億円規模。
この数字、今の市場やファンの動きがどう変わっているかを考える上で、かなりヒントになる数字だと思います。
しかもコロナ禍でも成長を続けてきた数少ない成長領域なんです。
さらにテーマパーク市場全体が約7000億円あることを考えると、テーマカフェも将来的には1000億円まで広がる可能性があるという見方なんですよね。
そしてこの市場を支えている最大のプレイヤーがLTRという会社です。
反則プロモーションのレックスさんと飲食運営のトランジットさんという2社がタッグを組んで設立したテーマカフェ専業の会社なんですよ。
レックスさんがCLホールディングスという親会社で、グループ年収が約320億円。
LTR単体でも2023年度に年収63億円という規模になっていて、日本で一番テーマカフェを作っている会社と言っていいと思います。
実は私たちが普段よく聞く名前、例えば池袋パルコの常設店として有名なザ・ゲストカフェ&ダイナーもパルコさんが展開しているテーマカフェブランドで、ここでチーカワレストランなんかもやってるんです。
あと書店チェーンのアニメイトさんが運営するアニメイトカフェ、池袋グランスケープにあるボックスカフェ&スペース、スイーツビュッフェで知られているスイーツパラダイス、通称スイパラ。
こういった店舗が年間で何十本というコラボ企画を回していて、今や推し活の必須インフラと言っていい存在になっているんです。
じゃあなぜこんなに急拡大してしまったのか、そして急拡大したからこそ吹き出している闇があるんじゃないか、今日はそれを5つの切り口で見ていきます。
まず一つ目、市場の急拡大の話からいきますね。
そもそもコラボカフェっていつからあるの?という話なんですけど、ルーツは意外と古いんですよ。
2001年に秋葉原で生まれたメイドカフェ、あれが飲食店で好きな世界観に浸るという文化の原型だと言われています。
そこから2010年前後には秋葉原のガンダムカフェのような大型のキャラクター上接店が登場し、2012年にはアニメイトカフェの1号店が池袋にオープン。
アニメやゲーム作品と組んだ期間限定のコラボはこの辺りから一気に増えていきました。
市場規模で見ても2018年の時点ではまだ80億円ほど、そこから数年で2倍以上に膨らんで今の巨大市場になったわけです。
コラボカフェってここ10年ちょっとで一気に育った割と新しいビジネスなんですよね。
じゃあなぜコラボカフェだけがここまで急拡大したのか?
実はコラボカフェってコラボグッズのポップアップストアとかコラボ展覧会とか他の推し方コラボ施策に比べても圧倒的にリピート率が高いって言われてるんです。
なぜかって単純な話で食事をするという行為が日常の中に組み込まれているからなんですね。
友達を誘いやすいし、推しと同じ世界観の中で食事をするっていう体験が写真にも動画にもすごく映える。
SNS時代の推し活と相性が抜群なんですよね。
もう一つ大きいのが聖地巡礼としての機能なんです。
アニメの作品そのものを見る体験って基本的にはテレビやスマホの前で一人で完結してしまうじゃないですか。
でもコラボカフェって作中で登場人物が食べていたメニューを自分も食べることができて、作中と同じ音楽が園内に流れていて、壁には描き下ろしのイラストが貼ってある。
つまり2次元の世界に3次元で入り込める場所なんです。
これ他のコンテンツ消費とは決定的に違う体験価値なんですね。
では運営会社側のビジネス構図はどうかというと、実はこれがものすごく理にかなっているモデルなんです。
業界の記事を読むと、食材減価は普通の飲食店と同じで20から30%程度。
だけどコラボカフェの場合、そこにIPのロイヤリティ、つまり半金量が10から20%に乗っかってくる。
これ何を意味するかというと、減価率そのものは通常の飲食店より高いけど、メニュー単価を1.5から2倍に設定できるので、あらりは十分に確保できるっていう構造なんです。
例えば普通のカフェなら1000円のカレーが、コラボメニューとしては1720円くらいで提供されるっていう資産が業界紙に出ていました。
ファンは推しのためなら高くても払うっていう心理で、この価格帯を受け入れる。
運営側は半金量を払っても利益が出る。IPホルダーさんはロイヤリティ収入が入る。
一見全員が幸せになる三方よしのビジネスモデルに見えるんですよね。
ところがここに落とし穴があるんです。
コラボカフェって短いもので2週間、長くて2ヶ月しか開催できない。
この期間限定という性質が、次の章でお話しする予約戦争と転売問題の温床になっていくんです。
それが次の2つ目の闇、予約戦争の話です。
これね、本当にひどいんですよ。
例えば鬼滅の刃のコラボカフェをやっているU4テーブルカフェさんでは、
毎週木曜日の18時に一時事前抽選予約が開始されるんですけど、
この時間、Xのトレンドがコラボカフェ関連で埋まるぐらいファンが一斉にアクセスするんですよね。
しかも抽選なので当たるかどうかは運次第。
もし落選したら月曜日18時の二次先着予約にかけるしかない。
この先着予約がまた地獄なんです。
秒で埋まる、もう体感で言うと予約開始時刻の1秒後には満席。
私のCGIにも3ヶ月連続で予約が取れなくて、結局泣く泣く諦めた人がいました。
ここに出てくるのがBot問題なんです。
Botっていうのは自動的に予約操作を行うソフトウェアのことで、
人間には不可能な速度で何百回何千回とアクセスと申し込みを繰り返すことができるんですね。
2025年にかっこ株式会社さんの不正検知ラボが出したレポートによると、
抽選販売を悪用する転売業者がBotを使って応募を大量に行うケースが増えているって指摘されているんです。
店舗での先着販売の場合も、バイトを雇ってまで列に並ばせる開庫という手口が横行していて、
もうファンが成功棒で勝てる土俵じゃなくなってきているんですよね。
さて、この予約を勝ち取った人たちが店で何を手に入れるかというと、ランダムノベルティ。
これ初めて聞く方のために説明すると、コラボメニューを一品注文するごとに一つもらえるおまけグッズで、
中身は複数種類の中からランダムに選ばれる仕組みなんです。
つまり、推しキャラのノベルティを引き当てるためには複数回注文するか、運を味方につけるしかない。
当然これが店売市場を爆発的に膨らませるんですよね。
メルカリでコラボカフェアクスタとかで検索すると、本当に無数の商品が出てきます。
人気キャラクターのアクスタ、一番人気の子だと定価1500円クラスのものが5000円から1万円で取引されるケースもザラなんです。
一方、不人気キャラのアクスタは500円以下で買っちゃったりもするそうです。
これ推しの人気度が数字として残酷なほど可視化される市場になっているんですよね。
しかも本当に推しのグッズが欲しいファンほど適正価格で入手できなくて、店売屋さんに高値を払わざるを得ない。
店舗側も、店売対策として1人1店までみたいなルールを設けるんですけど、
そうすると今度は開庫を雇って行列させる店売業者が出てくる。
もうこれイタチごっこなんですよね。
この構造、私個人としては本当にしんどいなと思っていて、
好きな作品に好きな気持ちでお金を使いたいだけのファンがボットやシステムに翻弄される、
気づけば推しに会いに行くはずのカフェが消耗する場所になっていってしまってるんですよね。
さて、4つ目です。
ここからは少し前向きな話をしましょう。
じゃあ、どんなコラボカフェが高リピート、低炎上を実現できているのか。
ここにコラボカフェビジネスの未来のヒントがあると思うんです。
私なりに事例を集めて整理したところ、
成功するコラボカフェには5つの共通条件があるんじゃないかと見えてきました。
1つ目は、常設店プラスフェア更新型。
これ池袋パルコのチーカワレストランがまさにその代表例なんですよね。
チーカワレストランは常設店として運営しながら、
2025年11月27日からは討伐フェアというように、
定期的にメニューやグッズをリニューアルしているんです。
これだと、ファンはいつ行っても何かしら新しい楽しみがあるという期待感を持てるし、
店舗側も期間限定の需要予測事項から解剖される、
お互いにとって持続可能なモデルなんです。
2つ目に、ランダム性を抑えた特典設計。
これはサンリオさんのサンリオカフェや、
上野のサンリオキャラクターズガーデンカフェが上手いんです。
サンリオさんってキャラクターごとにファンが明確に分かれているので、
ランダムノベルティよりも選べるコースターとか、
キャラ別のセットメニューという形で、
推しに確実にアクセスできる設計をしていることが多いです。
これだと食べ残しも起きにくいし、満足度が高いですよね。
3つ目に、ストーリー体験の組み込みです。
鬼滅の刃で有名なU4テーブルカフェさんなんかは、
店内の内装や音楽、メニュー名まで全部が作品のストーリーと結びついているんです。
ドウマ対シノブみたいな決戦シーンをメニュー化したり、
そういうコンテクスト、つまり文脈の作り込みが深いので、
ファンは高くてもこの体験には価値があると思えるんですね。
4つ目に、ファン心理を理解した運営スタッフ教育。
これは意外と見落とされがちなんですけど、
過去の炎上事例を見ると、スタッフさんが作品を知らないことで
キャラクターの名前を間違えたり、
得点の渡し方が存在だったりして思えるケースが結構あるんですよ。
成功しているコラボカフェは、運営会社がちゃんと原作の読み込み研修をしている。
作品への敬意がスタッフ全員に行き渡ってるんです。
5つ目に、二次流通を織り込んだ得点設計です。
これが一番新しい動きなんですけど、最近のコラボカフェでは、
得点は全種セットでも販売するという、いわゆるコンプセット販売を並行して
実施するところが増えてきたんです。
これによって、推しを1個だけ手に入れたい人と、
全種類欲しい人の両方のニーズを組める。
結果として、食べ残しも、店売市場の加熱も抑制される。
この5つを全部満たしている事例って、実はまだ少ないんですよね。
でも、LTRさんみたいな専業プレイヤーが増えてきて、
運営ノウハウが蓄積されてきているので、
2026年以降、業界全体のLTRCは確実に上がっていくと私は見ています。
そして最後、5つ目は未来の話です。
バーチャル化、メタバース化です。
ここ1,2年で、コラボカフェ業界にも新しい風が吹き始めています。
例えば最近では、VTuberや配信者とリアル店舗がコラボするカフェが増えてきました。
もともと画面の向こうにいる存在だった推しが、
ドリンクやフード、店内装飾を通して現実の空間に降りてくる。
ファンにとっては、ただ飲食をするだけでなく、
画面の向こうの推しと同じ世界にいるような感覚を味わえる体験になっているんですよね。
一方で、逆方向の動きも出ています。
リアル店舗に推しが来るだけではなく、
ファンの方がメタバース空間に入って、バーチャル上で推しの世界を体験する流れです。
例えばサンリオさんが実施したサンリオバーチャルフェスティバルのように、
仮想空間の中でアトラクションやカフェ風のコンテンツを楽しむイベントも登場しています。
これが面白いのは、リアルのコラボカフェが抱えている問題を
かなり違う形で解決できる可能性があるということです。
例えば、予約が取れない問題。
メタバース上なら物理的な客数に縛られにくいですよね。
次に、食べ残しの問題。
バーチャル空間ならそもそも食材のロスが発生しません。
そして遠方で行けない人や外出が難しい人も参加できる。
ここがすごく大きく違う点だと思うんです。
もちろん、食事ができない体験をコラボカフェと呼べるのかという議論はあると思います。
でも私はリアルのコラボカフェがなくなるとは思ってません。
むしろリアルとバーチャルが並行して発展いく未来があるんじゃないかと思っています。
リアルのカフェでは推しのアクスターを持って写真を撮ったり限定メニューを楽しんだりする。
その一方で予約が取れなかった人や遠方の人は
メタバース上のコラボ空間で3Dアバターの推しと一緒にバーチャルドリンクを楽しむ。
さらにARを使えばリアルなテーブルの上に推しが現れて
一緒に写真を撮るような体験もできるかもしれません。
コラボカフェが今のように一部の人だけ頑張って勝ち取る消耗する場所になってしまうのではなく
もっと多くの人が参加できる場所になっていく。
バーチャル化やメタバース化はそのためのかなり有力な選択肢なのではないかと私は期待しています。
もしかつって本来できるだけ多くの人が幸せになれるべきものだと思うんです。
だからこそリアルの良さを残しながらバーチャルの力で参加の入り口を広げていく。
これがこれからのコラボカフェの未来の一つなのではないでしょうか。