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2025-03-12 22:47

vol.22 いま話したい、ダイバーシティ&インクルージョン(1)

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3月8日は国際女性デー。今月のOrganizeは2回にわたって、実は篠田さんど真ん中のテーマなのにまだ扱っていなかった「ダイバーシティ&インクルージョン」について、真正面から話したいポイントを山田さんと語ります。

まずは最近、篠田さんが登壇した、リクルート執行役員の柏村美生さんとソフトバンク執行役員の源田泰之さんとの対談から、女性幹部登用の調査で見えた意外な結果について。篠田さんが「この議論をすっ飛ばすのは、まだ早い」という男女共通の無意識バイアスが明らかにーー

■お話の中で出てくる関連記事

・3M(スリーエム)ジャパン・昆政彦さんとの対談 (日経ビジネス)

・リクルート執行役員・柏村美生さん、 ソフトバンク執行役員・源田泰之さんと篠田さんの対談(HR NOTE:人的資本経営サミット2024 レポート)


 

サマリー

今回のポッドキャストでは、ダイバーシティとインクルージョン(D&I)の重要性が議論され、特にジェンダーに焦点が当てられています。3Mの元代表の見解が引用され、多様性と包摂の両方が企業や社会において新しい考えを生むために不可欠であることが強調されています。このエピソードでは、ダイバーシティ&インクルージョンの重要性が扱われ、特に無意識のバイアスが男女の発言や役割分担に与える影響について考察されています。対話の中では、声を上げることの大切さや自身の思い込みに気づくことが行動を変える鍵であると認識されています。

ど真ん中だけど扱ってこなかった、D&Iについて考える
組織を考えるメディア Organize。このポッドキャストは、エールの篠田さんと山田で、組織を考える、捉え直す上で、我々が面白いと思った視点・観点をシェアしていこうという番組です。
では、篠田さん、今回もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
これまでいろんなテーマを話してまいりましたね、我々。
話してきました。さっきね、今日何の話しようかっていう相談をしてて、改めてちょっとD&Iを取り上げてみたいなと。
いう話をしたんですよね。
これなんか割と篠田さんいろんなところでお話しされる中で、ど真ん中のテーマの1個のはずなのに、むしろ20回ぐらいやってきて、ど正面扱ってこなかったっていうのが、なんか改めて良かったです。今回このタイミングで。
そうですね、ちょうど今皆さん聞いてくださっているの、これ公開されるのが多分3月なので、3月8日が国際女性デーで、この女性デーに合わせてメディアでこのD&I、特にジェンダーに関するD&Iの話が取り上げられたり、会社によってはその社内でこれを啓発したり考えるイベントをされるところもあるかなと。
あの思いまして、ちょっとなんとなく皆さんの意識にものぼるタイミングかなっていう、このこのポッドキャストで初めてタイミングを考えたテーマ設定になりました。
本当に今山田さん言ってくださった通り、私は個人的にも仕事の上でも割と探求してきたテーマではあるし、このオーガナイズっていうポッドキャストのテーマ、組織が動的なものであるっていうことを考えた時にも、ど真ん中のテーマなのにね。
今までちゃんと扱ってこなかったので、いい機会かなと思いました。
特にあの事前に篠田さん言われてましたけど、世間一般で語られる切り口もいろいろある上で、我々がエールの文脈で聴くだったり対話するっていうことと、そのD&Iっていう文脈って必ずしも近く語られてないよねっていうことは、篠田さん実感はおありだと思うので、そのあたりの切り口をぜひお話しいただけるかなと思っています。
数字達成、の前に「そもそも何したいんでしたっけ」
はい、ありがとうございます。そうですね、D&I、ダイバーシティとインクルージョンとっていう、ちょっと改めてこれ何の話でしたっけっていうのを、いきなりD&Iって女性活躍だねっていう直結されることがあって、もちろんそこって間違ってはないんですけど、もうちょい丁寧にこれ何だっけっていうのをちょっと話して、
で、この聴くとかコミュニケーションとか組織の中の挙動の切り口に移ろうかなと思います。
ダイバーシティは多様性で、インクルージョンは日本語だとかたく「包摂する」とかっていう訳が当てられますけど、私がこれまでいろんな方々のお話を伺った中で、すごくわかりやすかったのが、数年前まで日本3M、科学会社の3Mの代表されてた方のお話を伺ったときなんですよね。
その方がおっしゃってたのが、ダイバーシティっていうのは、いろんなこの属性を見て、それが一定数以上あるようにしましょう、存在を認めましょうということです。
例えば、ジェンダーで言うならば、女性が5%、男性が95%よりも、そこから女性が30%に増えていったら、それはジェンダーっていう観点からいくと、より多様性が増えたよねっていうことが言えますよねと。
これ数字で測れる話です。でも、じゃあ仮にこの70%の男性と30%の女性の間で何か意見の違いがあって、多数決で70%の男性の意見にしますってなったら、あんま意味ないじゃないですかと。
ここがインクルージョン(Inclusion)っていう「I」のところが入ってくる大事なポイントで、単に属性が違うとか考え方が違う人が集まればいいっていう話ではなく、それがお互いに刺激をし合うことで、新しい考えが生まれる。新しい見方がお互いにできるようになる。
ここが社会としても企業としてもポイントであると。だから、ダイバーシティだけじゃなくてインクルージョンなんですよっていうことをお話しくださって、いやもう全くその通りだなと思ったんです。
わかりやすい。その多数決でさって言われたのが確かになって思いました。あるいはもっと絵柄的に言うと、男性と女性がある、別の部屋にいて、別々に何か話し合って、これがいいよね、やだよねって言って、別々に意思決定をして、何か案を持って持ち寄るみたいなことをしても、あんまり意味がないよねと。
その手前の段階から混じってお互い刺激し合うことが大事ですよねっていうことを教えてくださったんですよね。こういうふうに言うと、もうすでに今の説明にも入ってましたけど、お互いに刺激をし合うとか、違う見方がちょっとできるようになる。
ここがポイントなので、そうすると割と聴くとか、コミュニケーション、あるいはその組織の動き方が変わるよねっていうところのイメージにつながりやすいかなと思いました。
最初の一歩として分かりやすい上で、女性比率とか女性管理職比率とかの、同じ部屋に男性しかいない、ではない状態にちゃんとしましょうっていうのが、もちろん大事な一歩だよねっていうのも、それは取り組まれつつ、それは過程として一歩目だよねっていう話ですよね。
っていうのが、なんかその先がインクルージョンまでだよねっていうのは、なんか語られているようで、何でしょうね、こう、なんか理解がそれぞれいろいろな印象が僕はあるんですけど、篠田さんいろんなところで講演なさったりとかいろいろ話をされて、いろんな方とおって、なんかどういうふうに、なんか篠田さんから今見えてるんですか、それって。
どうなんだろう、ゆっくり落ち着いて話したり考えたりすると、今の話も理解されてる、理解はそんなに難しい話じゃないと思うので、理解されるんです。
なんですけども、今、特に上場企業は女性管理職比率を開示しましょう。あるいは今、賃金、男性と女性の賃金の格差も開示しましょう。
で、統合報告書などで、あの多くの企業が、これは経営団連が音頭を取ったことで、女性管理職比率を何年まで、大体皆さん2030年までに何パーセントするという目標を掲げてっていうような、数値目標を公表するっていう枠組みが外部から与えられたために、
それを達成するっていう活動になってしまう。表面的に。で、これ決してどの会社にとっても簡単な実現の道筋、決して一筋縄ではいかないので、
どうやってこの数字を達成するんだっていうところに、ものすごい考えと意識を振り向けちゃうから、そもそもこれ何したいんでしたっけっていうところが忘れられがちになる構造が今、多くの日本企業に上から押し付けられている。ちょっと言い方よくないんですけど。
リクルートの女性幹部登用率の分析でわかったこと
これってニワトリ卵の話なんで、さすがにその30パーセント、例えば女性管理職のうち30パーセントが女性になってくれば、おそらく一定何かの形でさっき言ったようなインクルージョン的なことっていうのは発生はするんだと思うので、そこも全然今のやり方が良くないっていうふうに否定するつもりもないんだけど、ただ忘れちゃいがち。
今の進め方がインクルージョンっていうことまでやって始めて意味があるよねっていうことをちょっと忘れちゃいがちかなって感じます。
篠田さん、いろんなところでいろんな人とお話しする機会がある中で、この会社のD&Iのアプローチは見事だなって思ったみたいなところとかって、思い出すものとか今喋りたいものとかっておありだったりします?
それはありますね。リクルートさん。これはイベントで私がモデレーターをして、まさにD&Iを。特に今って多くの企業で、マネージャー、一線のマネージャーさんに女性がなってくっていうところは、
皆さん、なんとかこれをやっていけば達成できそうだなっていうところに来られた会社が少なくないんですけど、より幹部、経営層に向かうってなってくると、なかなか未踏の領域で、そこどうやってますかっていうテーマのパネルディスカッションだったんですね。
この内容、記事にもなるので、タイミング的にはちょうどこのポッドキャストが公開される頃に出てくると思います。
リクルートさんがすごいなって思ったのは、まず出発点が、CHROの柏村さんが、
とにかく会社にいる一人一人が、フルにその人の持てる能力を発揮することにしか会社の未来はないのだと。
まず出発点は、男性が女性がとかインクルージョンがとかダイバーシティの手前で、そもそもここに所属する人が全員自分の持てる力をフルに出し切ったら、この会社すごいことになるよねと。
一歩でもその状況に近づけるにはどうしたらいいですかっていうのが、まず大命題ですと。
そういうふうに考えた時に、ジェンダーっていう切り口で自分たちの実態を見ると、例えばある職位で、他の評価とかいろんな状況を平らにならしたとしても、
男性と女性である職位に実際任命される率に男女差があったんですって。これはデータを分析して分かって、要は会社としてもリクルートさんかなりアグレッシブに、どの職員でも男女50%ずつにする。
これを何年までにっていう目標を掲げてらっしゃるし、日本企業の中では本当にイコールにかなり近い組織風土をこれまでも、過去に女性が社長だった時代もしかもかなり前にあるわけだし、日本企業の中ではかなりジェンダーっていうことを意識せずに皆さんの能力を発揮することが最もできている企業の一つだと思うんです。
で、そのリクルートさんをして、そういうことが分析したらわかったということなんですよね。それを見た時に、もちろんそれを意識してやった人は誰もいなくて、みんなその評価者の方、投票を決める権限がある方は全くジェンダーに関してフラットに判断してきたつもりなのに。
それが露呈したので、これはどういうことかというのをかなりつまびらかに分析し、振り返って。
で、例えば、やっぱりその時おっしゃってた、そのあるポジションに関して、やっぱり緊急時に対応できないといけないと。
そうすると、ご家族がとか、そういうことがあると24時間対応できないじゃんみたいな、例えばそういう話が出てきたときに、そんな緊急事態で深夜に対応しなきゃいけない事案って年に何回あるんだと。
1回あるかどうかですよねと。そんな理由のために、この人の才能がフルに活かされない会社のためにって、おかしくないですかっていうようなタイプの議論が、その差が見えたことで初めてちゃんと正面から取り上げられて、今はその差はだいぶ縮まったっていうふうにおっしゃってました。
スタートがそのフルに一人一人が活かされる能力が発揮されるっていうところからっていうのが、何ていうのかな、まっとうというとちょっとおこがましいですが、なんか経営の中での人としての活かし方、活かされ方に真正面から向き合った結果、その切り口が一つがD&Iだったねっていうことなんですね。
実は男女で同じように分布している、無意識バイアス
はい、そうなんです。ここで一方で大事だなって私が思うのが、まとめると今山田さんが言ってくださった通りなんですよね。でもそこで、だから男女で切るのおかしいっていう議論にスーって言っちゃうことがあって、私それはあの強く違いますって言いたいんです。
それは何でかっていうと、今の事例からもわかるように、誰も別に現代の日本のしかも立派な企業の皆さんが、男性女性ということで明確に差別をしようという意識を持っている方なんていないんですよ。
みんな自分は平等が良いと思っているし、平等を実現しようと思ってやってますよって聞けばほぼ皆さんおっしゃると思うんです。
そうですね。
なのに差が出るっていうところが問題なので、明確に意識してないところで、いろんな、例えばさっきのリクルートさんから伺った例は、昇格の時の何か無意識の基準が一例ですけど、あるいはさっきのインクルージョンっていうところでいくと、
全く悪気、もう何も意識もしてないんだけど、実は女性の発言はうまく耳に入らなくて、男性の発言はそうだねって議論の対象としてなるってことって実は結構あるんですね。
私自身も女性として参加した時にそういう目にあった経験は限りなくありまして。
なるほど。
誰も私に意地悪しようって思ってるわけじゃないんですよ。こういうことに女性のインクルージョンっていうのが阻まれる行動が実はあるために、あえて男女っていう切り口で、まずファクトベースで分析をして、本当に差がないのかということを、いわば健康診断ですよね。
自分は体調良いし、徹夜も全然できるし、元気元気って思ってて、健康診断行ったら血圧高いですよっていうのと似ていて、その診断をするのにやっぱり男女っていう切り口は、もう社会全体でもう何百年も男女の役割分担ということを社会で積み重ねてきてしまった以上、ないはずがないんだから、
その切り口を今さら女性とか男性とか言うのもおかしいですよねとか言って、その議論をすっ飛ばすのはまだ早い。
まだ早い。
まだ早い。
なるほどな。
いつも特にこのポッドキャストでというか、エールの事業そのもので語ってきているような、お互いにきちんと耳を傾ける、傾聴する、聴くという姿勢をすることによって、自分の理解が深まるとか、相手の意図とかその場の役割じゃないものにもちゃんと耳を傾けようって話をしてるじゃないですか。
なんかそれももちろん大事だし、今のお話ってさらにその手前に、無自覚な社会的なバイアスがあるよねっていうことに、まずは男女というものに目を向けることでちゃんと向き合いましょうっていう話って、なんかもう一個さらに下も扱うんだよねっていうことをすごく丁寧に言われたんだなって感じがしていて。
ありがとうございます。
本当そうですね。今はなんかちょっとわかりやすく男性対女性で、男性がわかってないようなちょっとニュアンスに聞こえちゃったかもしれないんですけど、ちょっとそこは最後に訂正をしたくて、実際これもデータでいくつか出ているんですけど、
男性も女性もほぼ同じ分布で、男性は仕事、女性は家庭っていう役割分担が自然だよねっていう側に寄ってるんですよ。
1万人ぐらいの調査の結果を見たことがあるんですけど、かつですね、面白いのが女性管理職も同じ、その分布でいくと。
すごいそうですよね。
知人の会社の女性役員とかがめっちゃパワフルですごい仕事できる方で、逆にその姿を見て若い女性社員が諦めるみたいな感じを聞いたことがあって、ああはなれないみたいな感じになって。
逆パターンもありますよねっていうのはちょっと思い出しました。
「ああ、あったわ自分にも!」と気づけることが行動を変える
そのパワフルにやってる女性とて、実は同じような無意識のバイアス、つまり女性は家庭って思ってるから、逆に職場では何か過剰に頑張っちゃうみたいなことがあるとか。
あとご自身は個人でいたらニュートラルなのかもしれないけれども、例えばご家族がかなりそういった性別役割分担を期待されているとその影響を受けたり、あるいは実際その仕事。
仕事と家庭って、どっちかってトレードオフになるもんじゃ本来的にはないんですけど、ある期間を捉えると時間的にはどっちに時間を振り向けるんだっていう話で直面するわけじゃないですか。
そういうときにご家族が、なんでそんな仕事してんのみたいに女性に対して期待してしまうみたいなこともあったりして、それって毎日のことだからご本人も結構内在化しちゃって忘れちゃったりしてるんですよね。
こういうのはやっぱり聴いてもらうことで、喋ってて、「ああ、あったわ自分にも!」って気づけることが行動を変える。
そういう意味で聴いてもらうとこでちょっと日頃の忙しい生活の中ではちょっと流しがちな自分の根っこに持ってる考えみたいなものにちょっと触れるっていうこと抜きに表面的に数字だけ合わせていくっていうのは結構無理なんじゃないかなって。
なるほど。
その時間があるから自分の中にあるものに気づくきっかけが作れるかもしれない。
うん、なんですよね。
っていうのは確かにあるかもしれないですね。
はい。なんかこの話は結構、もっといっぱい喋れる感じなんですけど、ちょっとぜひ後編を続けたくて、ちょっとそこで予告的に言っちゃいますけど。
今の山田さんの言ってくれたことを皮切りに、自分の中にいろんな面があるよねっていうことを知ることと、組織の中でD&Iが進むことって結構近いんじゃないかと思っていて、ちょっとその話をしてみてちょっと山田さんがどう見るか聴きたいなって思いました。
じゃあ次回はその話になるのかなと思って。はい、では今回はここまでにしたいと思います。篠田さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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