レンブラントの肖像画
ボイスドラマ、レンブラント。フローラに扮したサスキア。
17世紀オランダの巨匠、レンブラント・ファン・レイン、彼の代表的な肖像画の一つに、最愛の妻サスキアを、ローマ神話の春と花の女神フローラに見立てて描いた作品、フローラに扮したサスキアがあります。
この映画持つ光と影のドラマを今から紐解いていきましょう。
マリア。トミー、準備はいい?目の前にあるのは、レンブラントが1635年に描いたサスキアの肖像画よ。トミー。
うん、ありがとう、マリア。レンブラントの光の魔術しぶりは効いているけど、この絵はどんな風なのかな?
ナレーター。全体の構図と雰囲気。
まず、全体の構図からね。この絵は縦長で、画面の中心にサスキアの半身像がどっしりと描かれているわ。
背景はほとんどが暗い色で、サスキアに当てられた劇的なスポットライトが彼女を浮き上がらせているの。
この強い明暗の対比こそ、レンブラントらしい表現よ。
光が当たっているのは彼女の右半身と顔、そして豪華な衣装。他の部分は深い闇に包まれていて、まるで舞台の上のヒロインを見ているような気分になるわ。
なるほど、光が当たる部分と闇の部分がはっきり分かれているんだね。
ナレーター。衣装と装飾品。
ええ、彼女はローマ神話の花の女神フローラに奮しているから、衣装が本当に豪華で装飾的なの。
まず頭には花の冠をかぶっていて、白やピンク、黄色の小さな花々が編み込まれているわ。
そして最も目を引くのはそのドレス。色は深い灰色?というか、濃いワインレッドに近いベルベット生地に見えるわ。
この重厚な赤い布地が胸元からドレープを描き、右腕を覆っている。
ヒーローか。重厚な光沢のある赤。情熱的だね。
そうね。そしてその赤いドレスの上に、金色の刺繍をされた明るい生地のケープを羽織っているの。
ケープはサスキアの左肩から背中にかけて、そして右腕にも少し見える。
このケープの金色が暗い背景の中で特に際立っているのよ。光を反射しているの。
彼女の左手には長い花の杖、または棒のようなものを持っているわ。
そして右手を胸の高さに上げて小さなブーケを抱えているの。
このブーケにはチューリップやバラなどの春の花が鮮やかな黄色や赤で描かれている。
手首にも真珠のような飾りがついたブレスレットが見えるわ。
サスキアの美しさ
ナレーター。
顔、はみ、肌、視線。
次に彼女の顔と表情ね。
サスキアの顔は光に照らされてやや丸みを帯びたふくよかな輪郭がはっきりと見える。
肌の色は光に当たっている部分は暖かみのある薄い桃色でとても滑らかでみずみずしいつき質よ。
髪の色は暖かい茶色で頭のてっぺんから緩やかに波打って両肩を流れている。
そして瞳の色ははっきりとは見えないけれど深い焦げ茶色に見えるわ。
彼女の視線は正面の私たち、つまり絵を見ているものにではなく少し右下、斜め下の方を穏やかに見つめている。
表情は控えめで少し微笑んで言うように見えるわ。
レンブラントが描いた穏やかで優しい妻の姿ね。
斜め下を向いているんだね。飾らない自言の女性の姿という感じがするな。
ナレーター 背景と風景
背景についてだけどトミー、この絵の背景はほとんど深い茶色や黒の闇に覆われているの風景画ではないわ。
ただしサスキアの右肩のすぐ後ろ、画面の真ん中あたりにわずかに明るい光の筋が見える。
これはひょっとしたら彼女が立っている庭展の入り口か、窓から差し込んでいる光を表現しているのかもしれない。
それ以外の背景は彼女の豪華な衣装と肌を際立たせるための完全な闇の空間となっているの。
なるほど。背景はほとんど省略されて、サスキアという人物像にすべての光と視線が集まるようになっているんだね。
レンブラントの技術が凝縮されているようだ。
ナレーター、光を浴びて浮き上がるサスキアの姿は、レンブラントが愛する妻に捧げた永遠の春の酸化かもしれません。
このフローラに粉したサスキアは、愛とその喪失を予感させるような静かな美人に満ちています。
トミー、本当にありがとう。色が、光が、彼女の存在感が手に取るようにわかったよ。
マリア、どういたしまして、トミー。いつかこの絵に描かれた彼女の温かさが、あなたにも届くといいな。