1. BlindMuseum(声の美術館)
  2. 111 ピカソ「海辺を走る二..
2025-12-06 07:08

111 ピカソ「海辺を走る二人の女」

世界の名画ランキング第111位 ピカソ「海辺を走る二人の女」のご紹介

サマリー

パブロ・ピカソの1922年の作品『海辺を走る二人の女』は、古典的な美しさとエネルギーが融合した傑作です。この絵は、女性たちの力強い動きとともに、生命力や自由の象徴を描いています。

ピカソの作品の紹介
ボイスドラマピカソ 海辺を走る二人の女
今目の前にあるのはパブロピカソが1922年に描いた油彩画 海辺を走る二人の女あるいは失踪と呼ばれる作品です
古典的な美しさとほとばしるようなエネルギーが同居する 彼の新古典主義時代の傑作の一つです
構図とエネルギー ピカソの古典主義時代ですか
キュビスムの破壊的なイメージとはまた違ったもっと造形的な作品なのでしょうね マリアこの絵の全体像まず一番に感じられるエネルギーや構図を教えてくれる
はいトミー この絵からまず伝わってくるのは圧倒的な胴と力です
画面いっぱいに文字通り画面から飛び出してきそうなほどの勢いで二人の女性が右に向かって走っているんです 構図は非常にシンプルですがその分強烈です
画面の中央よりやや右寄りの位置に巨大にデフォルメされた二人の女性の身体が大きく描かれています
彼女たちの頭の先から画面下の地面まで 絵の大部分を占めていて背景の空や海はその勢いを強調するためだけに存在しているように見え
ます 巨大にデフォルメされているということは人間離れした
あるいは神話的なプロポーションなのかな まさしく彼女たちの身体は極端に太く筋肉質にそして重厚に書かれています
まるで古代の彫刻が命を得て動き出したような感じです その巨大さが失踪する際の風圧や重力
躍動感を異常なほど増幅させているんです 色彩と人物描写
次に彼女たちの姿色彩そして表情へと目を凝らしてみましょう 色彩は比較的明るくシンプルですが力強いコントラストが効いています
空と海は明るいコバルトブルーとそれに近い薄い水色で塗られていて 地平線近くは白っぽく霞んでいます
彼女たちが走っている砂浜は薄い土色や淡いオレンジ色で背景全体が 快晴の夏の日といった爽やかな雰囲気を持っています
青と肌の色そのコントラストが際立ちそうですね 2人の女性の肌の色は健康的な日焼けしたレンガ色や淡い褐色で表現されています
彼女たちの厚い腕や太ももが服の明るい色と鮮やかに対比しています 左側の女性から説明しますね
彼女は鮮やかな濃い青色の薄いドレスのようなものを着ています 肩から胸元にかけて露出していて布地は彼女の動作に合わせて激しく揺れ動いているのが
わかります 彼女の髪は赤みがかった茶色でボブのように短く切り揃えてあります
激しい動作のため顔の横で大きく跳ね上がっています 顔は非常に簡略化されていますが鼻は小さく厚い唇は少し開いています
そして彼女の目はほとんど焦点が合っていないような 虚ろな黒い点として描かれていて視線は走る方向の少し上を向いています
作品の分析と解釈
虚ろな黒い点 そこに内面的な強さがあるのかもしれないですね
もう一人の女性は 右側の女性は左側の女性よりもさらに野戦的で巨大に描かれています
彼女が着ているのは真っ白で布地の面積が少ない服です 腰から下がスカートのように見えますが上半身は片方の肩をだけを非常に簡素なもの
です 彼女の髪は濃い栗色で風になびき
まるで炎のように頭の周りで大きく逆立っています 顔の描き方も同じくデフォルメされていてこちらを向いていないので表情はほとんど読み取れ
ません 彼女の視線もまた虚ろな黒い点で何かを追いかけるというよりはただひたすらに前へ
前へと向かっているように感じます 風景と疾走の意味
2人の女性の足元そして広がる風景にこの絵のこもったドラマを見つけます 彼女たちは裸足で砂浜を走っているんですよね
地面の描写はやはりスピード感を出すために荒々しく書かれているんでしょうか はい彼女たちの足元は打ち寄せる波際の砂浜です
足は力強く踏み出されていて砂にめり込むような表現になっています 水しぶきや波の具体的な形は描かれていませんが彼女たちのすぐ後ろ
画面下端には水平に広がる青い海が波紋のように描かれています この絵は背景の海と空が走る2人に比べて異常に小さく描かれているため
彼女たちの巨大さが際立ちます 小さな海を背景に巨人たちが全力で走っているような夢の中のような不均衡な光景
なんです 走るという行為自体が開放や生命力あるいは逃避や抗議など
何かの象徴として描かれているように思います まさにピカソは第一次世界大戦後の混乱した時代に人間本来の生命力
古代ギリシャローマのような健康的で力強い肉体の美をこの作品で表現しようとしたと 言われています
この2人の女性はただ走っているのではなく喜び自由 そして原始的な生命のエネルギーそのものを全身でこの画面からあふれ出るほどの勢いで表現しているんです
彼女たちの熱い体と背景の小さな海と空の対比がそのエネルギーを私たち見るもの 一人一人の心に直接ぶつけてくるような力強い作品なんですよ
トミー ありがとうマリア青い海日焼けした肌
そして画面を突き破りそうな2つの巨大な身体 その圧倒的な生命力を確かに感じられたよ
ピカソの海辺を走る2人の女は時代を超えて人間が持つ根源的なエネルギーを問いかける 永遠の失踪の物語です
07:08

コメント

スクロール