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第53回 車谷長吉「抜髪」気になった箇所朗読
2026-08-03 16:03

第53回 車谷長吉「抜髪」気になった箇所朗読

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サマリー

このエピソードでは、まず「みなずき堂」というシェア型書店を訪れた体験が語られます。その後、車谷長吉の小説「漂流物」の中の「抜髪」という一節を朗読し、その内容について深く考察します。特に、自己犠牲や自分にできる芸を追求することの重要性、そして「我が身を崖の下へ突き落とす」という比喩的な表現が、語り手の心に強く響いたことが語られます。

シェア型書店「みなずき堂」訪問
はい、今帰ってきました。 奥さんの用事でちょっと外出してたんですけど
用事終わってねー 帰ってきたんですけどね、ちょっと帰り際にね
前からなんかちょっとこう なんやろ、シェア型書店っていう看板が
目について でまぁちょっと気になるなと思ってたところを思い出して
でまぁちょうど時間あるし寄ってみようかなということで ちょっと寄ってみました。えっとね、みなずき堂っていう
まあ完全に住んでいる、住んでいるとこバレるんですけどね まあ家の近くにみなずき堂っていうシェア型書店が
なんかできてるのをだいぶ前に発見していて、まぁちょっと気になってたんで
チラッと寄ってみました。 こういうシェア型書店って最近増えてるんですかねぇ
みなずき、みずなし
読み方違う?
みずなし、みなずき
あ、合ってるね。 みなずき堂
シェア型書店みなずき堂、ちょっと検索してみました
シェア型書店みなずき堂ね、まぁなんかね 棚橋でね、その
オーナーの人が自分の棚っていうのを持つことができて その棚に自分が売りたい本を
まぁあの 設置して、設置していくと
いう感じでしたね。 なんかね、結構
良かったっすね。 えーって感じですね。
ツイッターの アカウントがある、フォローしとこう
シェア型書店みなずき堂ね。 なんか結構
小説が多かったな、小説。 ミステリーとかね
まぁちょっとこう 触手を動かされたのは
四畳半神話体系とかね、自分アニメ見たけど読んだことないので ちょっと読みたくなったり、伊坂幸太郎のねなんか最新作とか
あったり、あとね村上春樹の花穂とかもね売ってたりしました。 まだ出たとこなんで、定価よりほんと少しだけ数百円安いって感じでしたけど
でもほぼ新品なんでね なんかかなりお得だとは思いますね
こういう書店がね あるんですねーって感じで
見てましたが、特に何も買わずに出てきちゃったんですけど また近く通った時チラッと
立ち寄ってみてもいいのかなーって思いましたね
車谷長吉「抜髪」朗読
そうですねはい ちょっとねごめんなさい今から昼飯をレンジで
温めつつ 喋ってますが、そうですねあそうだ何を思ってこれ取り出したかと言いますと
ちょっとねあの 用事の合間待ち時間があったんで
えー 車谷長寿吉の漂流物を読んでたんですけどね、そこで
すごく
好きな一節があったんで、それを 朗読しておこうと思って撮り始めたんですよね
はい じゃあちょっと今から朗読タイム入ります
朗読タイム入りますと
結構長いんですけどね多分もう今日返しちゃうから 朗読でもしとかないと
もうちょっとこういうふうに収録する機会もないかなと思って えっとねこれ漂流物の中の
うーんこれ何て読むんだろう バッパツって読むんですかね
えっとね抜く、えっとね 抜く
髪を 髪を抜く
髪っていうのはあの 頭髪のことね頭髪の髪を
抜く、髭を抜くみたいなね抜く髪って書いて バッパツって言うんですかねちょっと読み方が合ってるかわかんないですけど
中からちょっと一節 読み上げたいとおもいます
あ、止まった ちょっとレンジをまず出してから読み上げたいと思います
では
うわわ うわわ
うわわ うんな うんな うんな
あんたこの頃人に相手してもらえんようになったら 一人で本読みようやないか
それなんやろほら あんたとしては今更もう本なしでは生きていけへんわな
未練もあるやろし王女際の悪いことや いや毒を喰らわばさらまでも
いうことなんやろか がしんしょうたん
牛のカゴ抜け いずれまた小説書いてあの人らにお追従したいんか
ええわええわ 今日もええ天気や
お祝いの回してほしいんか けど足の折れた馬なんかにもう用はないで
なに違う他にすることはない ずぼらなこといいな
あんた仕事探しに来な 今日はええ天気やあんたのようにも
ようにあれもいやこれも嫌では生きていけへんが あんたにはうちのこの嘆きがわかるか
この悲しい気持ちがわかるか あんたはまだ崖の途中に引っかかっとんや
まだなんとかしてもう一変崖の上へ這い上がりたいんや そうやからそんなこと言うとんや
皿を食いな 上髪を崖の下へ突き落としな
怖いですら怖いで 家にはあんたをつくし突き落としてあげる
いうような親切心は一カケラもないで 自分で自分を突き落としな
誰もあんたを助けてくれる人はないで そんな人があるかいな
頼りになるのは自分だけやで 人に助けてもらおう思ったら
銭出さな助けてもらえへん あんたにはその銭がない
一生世の中のどん底這いずり回って死んだら それでええやないか
それはそれで立派な人の一生や 血吐いて死んだらええやないか
あんた死ぬのが怖いんや おびんたや
ごめんなさいおびんたっていうのは臆病やですね 臆病や
のたれ死にしたらええやないか 興味ではのたれ死にすんのも
イーゼーやないで うちはこの頃英語を覚えたんや
朝日新聞です 日本経済新聞から趣旨変えたんや
うちコロッと趣旨変えるん 尻が軽いやろ
販売員の人がうちの前で涙流したったん お願いします言うて
泣き落としやわな 半分はそりゃ涙やわな
けど泣き落としやろうとなんやろうと見事なもんや あれが芸や
ほんまもの涙流したったが 戦災くれたったがうちは戦災で買収されたが
朝日新聞は芸をしてやで あんたにはあれだけの芸があるやろか
なかった世界このな無一文になって逃げ帰ってきたんや あんたも芸をしな
一流の芸をしな 小説書くことも芸やがな
旅館で 下足揃えてくれてんのも芸やがな
あんたは芸なしやったんやがな 小説家も旅館の下足版も一緒やがな
共に芸をしてんやがな あんたはあんたにできる芸をしな
それでええんやがな 何にも恥ずかしいことないで
人前で泣くこと人の人の前で泣くこと ほんまもの涙流すこと
あんたにそれができるか うちはあの人の涙見て
胸疲れたが それで潜在もうたんや
うち甘いやろ 下手な芸やけど下手であることも何事かやで
下手であることを徹底させたら
三島役をユキオが備え言い取ったが 私はこの人の小説の下手に胸を打たれたと
自決したった少し前 その絵買い取ったが
買い取ったったが あの新聞屋の芸は下手な死に物狂いの芸や
あんたあんなことができるかできへんやろ 要せんやろ
あかんべこやあんたは頭のいい人や ずるい人や弱虫や
ずさんぐーたらあんぽんたん 最後の寄り所の人や
けど心のいい人は一流の芸ができるが
私は短顔少々手のこと言うてないが
口に問いただされたらポロッと自白したったが
口滑らせたったが 私はモータールトが好きです言うて
もともと言いたかったんやろ 言いたい顔やったが
あれがあんたの友達や 身の親友や
心のいい人は毎日黙って旅館で下足揃えよってやが
頭のいい人は大学の研究室たらいうとこに座って
しったかぶりしよってやが 尊敬のまなざしで見られたい
見られたい言うて 英語やフランス語振り回して
テレビにその名人が 場に出てくるが
みな安全座布団の上にあぐらかいて浮かべとってやが
うちも英語覚えたんや いいぜ言うて
ほら一遍ぐらいあななイーズイーな気分になってみたいがな
英言葉や自分の話の中に英語やドイツ語や
よう交えて あれ頭のいい人が
気色の悪い芸見せよってん
なりの悪い芸見せよってん けど心のいい人は
毎日黙って下足揃えよってやが
この世は心がいいだけでは
あなな座り心地のいい座布団には座れへんの
頭のいい人が頭ん中できれいに三段働かせて
あななとこに座ってん
欲どうしいが すどいが
我が身を偉いもののように見せかけ
人を軽蔑するんが 得手の人が座っての席やがな
あなたも座り心地のいい座布団の上に座りたいんやな
芸なしのくせに
あんたはあんたにできる芸をしたらええが
芸はいいのでもするで
何もサーカスで見せてくれるような芸だけが芸やないで
どんなことにも一流の芸はある
人の胸を打ち抜く芸はある
それには素で生きることや素足で生きることや
生身で生きることや
抜き身で生きることや
何もかもかなぐり捨てて生きることや
斬られて死ねばいい
刺すれば怖いものは何もない
昔映画で見たチャンバラ時代劇で
長谷川和夫がそんな言うよったが
あの人ええ男やろ
うちあの人のファン
いや 悲劇やったんやがな
色気のある流し目で
虫がすくう
テレビに出てきて自分の話に
英語やフランス語や交えてしゃべる
あんなもん人の胸打ち抜くかいな
まやかしの芸や
自分で自分の恥ずかしいとこ
撫で回しよってのだけやな
男も女子も自慢そうに
面倒い人らや
自分では別品さんつもりで
立ちの悪い芸や
無質が走るやろか
ゲップが出るやろか
旅館で下足番の人に靴揃えてもろとな
無質が走るやろか
ゲップが出るやろか
そういう一節かなり長いですけど
自分の微暴力も兼ねて読み上げてみました
朗読内容の考察と感想
何がこれを自分の胸を打ったのかと言われたら
この前のカホの
村上春樹のカホでも出てきた
自分の身を捨てないといけんと
我が身を崖の下へ突き落としなってことやね
自分の身を突き落として
生身で素足で素手で
何もかも金繰り捨てて生きることやと
いうようなところに
自分の心引かれたんだと思いますね
自分にできる芸をすればいいんだと
別にそれは何かすごいことじゃなくても
自分にできる毎日の積み重ねで
それが芸になるんやと
それをするために自分は自分の身を捨てればいいんやと
自分の身なんて大したもんじゃないんだから
捨ててしまえと
崖の上から突き落としてしまえと
それも自分で自分を突き落としてしまうんだと
いうところに心引かれたわけでございます
ちょっと長くなりましたが読み上げてみました
じゃあご飯食べて大学図書館で勉強したいと思います
それでは
16:03

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