1. 寝落ちの本ポッドキャスト
  2. 096江戸川乱歩「人間椅子」
2025-01-16 45:55

096江戸川乱歩「人間椅子」

096江戸川乱歩「人間椅子」

今年の初夢は矢継ぎ早に次から次へわが家へ知らない侵入者が立ち入る夢でした。今回も寝落ちしてくれたら幸いです。


Spotify、Appleポッドキャスト、Amazonミュージックからもお聞きいただけます。フォローしてね


ご意見・ご感想・ご依頼は公式X(旧Twitter)まで。「寝落ちの本」で検索してください。

サマリー

このエピソードでは、江戸川乱歩の短編小説「人間椅子」を読み進め、その内容やテーマについて解説する。主人公の心理描写や椅子にまつわる奇妙な出来事が描かれ、抽象的な不安と欲望が交錯するストーリーになっている。江戸川乱歩の「人間椅子」では、主人公が椅子の中に潜伏し、他人に気づかれずに人々の様子を観察する不思議な体験が展開される。この物語では、彼の感覚的な恋愛感情や異常な快楽が椅子の中の世界で芽生えていく様子が繊細に表現されている。エピソードでは、江戸川乱歩の短編小説『人間椅子』に基づき、主人公が秘めた恋情と不気味な経験を経て、椅子の中に隠れながら感情を育む様子が描かれる。この作品は、愛と恐怖が交錯する物語として、聴衆に深い印象を与えている。江戸川乱歩の小説「人間椅子」のユニークな表現とストーリーテリングのスタイルについて考察される。

作品の紹介と背景
寝落ちの本ポッドキャスト、こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
エッセイには面白すぎないツッコミを入れることもあるかもしれません。
作品はすべて青空文庫から選んでおります。
ご意見、ご感想、ご依頼は、公式Xまでどうぞ。
寝落ちの本で検索してください。
それから番組フォローもどうぞよろしくお願いします。
さて、今日は江戸川乱歩さんの人間椅子というテキストを読もうかと思います。
江戸川乱歩さんを読んだことがあったような気がするな。
ちょっと忘れましたが、江戸川乱歩さん。
日本の推理作家、怪奇、恐怖、小説家。
大正から昭和期にかけて活躍し、主に推理小説を得意とした。
第二次世界大戦後は、評論家や研究家、編集者としても活躍した。
代表作にD坂の殺人事件、怪人二重面相などがあるということですね。
こちらの有名な誰ですけど、江戸川乱歩さんの人間椅子です。
初めて読むぞ。人間が椅子になっているんでしょうか。
寝落ちまでお付き合いください。
それでは参ります。人間椅子。
主人公の内面と椅子
ヨシコは毎朝夫の頭頂を見送ってしまうと、
それはいつも従事を過ぎるのだが、やっと自分の体になって洋館の方の夫と共用の書斎へ閉じこもるのが例になっていた。
そこで彼女は今、経営雑誌のこの夏の特大校に載せるための長い創作に取り掛かっているのだった。
美しい継修作家としての彼女は、この頃では外務小書機関である夫組の影を薄く思わせるほども有名になっていた。
彼女のところへは毎日のように未知の崇拝者たちからの手紙が幾通となくやってきた。
今朝とても彼女は書斎の机の前に座ると、仕事に取り掛かる前にまずそれらの未知の人々からの手紙に目を通さねばならなかった。
それはいずれも決まりきったようにつまらぬ文句のものばかりであったが、
彼女は女の優しい心遣いからどのような手紙であろうとも、自分に当てられたものはともかくも一通りは読んでみることにしていた。
簡単なものから先にして二通の風書と一用の葉書等を見てしまうと、後には笠高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙はもらってないけれど、そうして突然原稿を送ってくる例はこれまでにしてもよくあることだった。
それは多くの場合長々しく退屈極まる代物であったけれど、彼女はともかくも表題だけでも見ておこうと風を切って中の紙束を取り出してみた。
それは思った通り原稿用紙を閉じたものであった。
がどうしたことか表題も署名もなく突然奥様という呼びかけの言葉で始まっているのだった。
はてな、ではやっぱり手紙なのかしら。
そう思って何気なく二行三行と目を走らせてゆくうちに、彼女はそこから何となく異常な妙に気味悪いものを予感した。
そして持ち前の好奇心が彼女をしてぐんぐん先を読ませてゆくのであった。
奥様。奥様の方では少しもご存知のない男から、突然このような物付けなお手紙を差し上げます罪をいくえにもお許しくださいませ。
こんなことを申し上げますと奥様はさぞかしびっくりなさることでございましょうが、私は今あなたの前に私の犯してきました世にも不思議な罪悪を告白しようとしているのでございます。
私は数ヶ月の間全く人間界から姿を隠して本当に悪魔のような生活を続けてまいりました。
もちろん広い世界に誰一人私の所業を知る者はありません。
もし何事もなければ私はこのまま永久に人間界に立ち帰ることはなかったかもしれないのでございます。
ところが近頃になりまして私の心にある不思議な変化が起こりました。
そしてどうしてもこの私の因果な身の上を懺悔しないではいられなくなりました。
ただかように申したばかりではいろいろご不審におぼしめす点もございましょうが、どうかともかくもこの手紙を終わりまでお読みくださいませ。
そうすればなぜ私がそんな気持ちになったのか、またなぜこの告白をことさら奥様に聞いていただかねばならぬのか、それらのことがことごとく明白になるでございましょう。
さて何から書き始めたらいいのか。
あまりに人間ばなねんのした機械旋盤な事実なので、こうした人間世界で使われる手紙というような方法では妙に重早くて筆の鈍るのを覚えます。
でも迷っていても仕方がございません。
ともかくもことの起こりから順を追って書いていくことにいたしましょう。
私は生まれつきよりも醜い要望の持ち主でございます。
これをどうかはっきりと覚えなすっていてくださいませ。
そうでないともしあなたがこの物質気な願いを入れて私にお会いくださいました場合、ただでさえ醜い私の顔が長い月日の不健康な生活のために、二目と見られぬひどい姿になっているのを何の予備知識もなしにあなたに見られるのは私としては耐えがたいことでございます。
私という男はなんと因果な生まれつきなのでありましょう。
そんな醜い要望を持ちながら、胸の中では人知れず世にも激しい情熱を燃やしていたのでございます。
私はお化けのような顔をした、その上ごく貧乏な一職人に過ぎない私の現実を忘れて、身の程知らぬ甘美な贅沢な種々様々の夢に憧れていたのでございます。
私がもし、もっと豊かな家に生まれていましたなら、金銭の力によって色々の遊戯にふけり、衆望のやるせなさを紛らすことができたでもありましょう。
それともまた、私にもっと芸術的な天分が与えられていましたなら、例えば美しいシーカーによってこの世の味気なさを忘れることができたでもありましょう。
しかし、不幸な私はいずれの恵みにも良くすることができず、哀れな一家具職人の子として、親譲りの仕事によってその日その日の暮らしを立てていくほかはないのでございました。
私の専門は様々の椅子を作ることでありました。
私の作った椅子はどんな難しい注文主にもきっと気に入るというので、紹介でも私には特別に目をかけて仕事も乗物ばかりを回してくれておりました。
そんな乗物になりますと、もたれやひじ掛けの彫り物に色々難しい注文があったり、クッションの具合、各部の寸法に微妙な好みがあったりして、それを作る者にはちょっと素人の想像できないような苦心がいるのでございますが、
でも苦心をすればしただけ、出来上がった時の愉快というものはありません。
生意気を申すようですけれども、その心持ちは芸術家が立派な作品を完成した時の喜びにもくらぶべきものではないかと存じます。
一つの椅子が出来上がると、私はまず自分でそれに腰かけて、すばり具合を試してみます。
そして、味気ない職人生活のうちにもその時ばかりは何ともいえぬ得意を感じるのでございます。
そこへはどのような高貴の方が、あるいはどのような美しい方がお掛けなさることか。
こんな立派な椅子を注文なさるほどのお屋敷だから、そこにはきっとこの椅子にふさわしい贅沢な部屋があるだろう。
壁には定めし有名な画家の油絵がかかり、天井からは偉大な宝石のようなシャンデリアが下がっているに沿いない。
床には高価な絨毯が敷き詰めてあるだろう。
そして、この椅子の前のテーブルには、目の覚めるような西洋草花が甘美な香りを放って咲き乱れていることであろう。
そんな妄想にふけていますと、なんだかこう、自分がその立派な部屋の主にでもなったような気がして、
ほんの一瞬間ではありますけれども、何とも形容のできない愉快な気持ちになるのでございます。
私の儚い妄想は、なお止めどもなく増長してまいります。
この私が貧乏な醜い一職人に過ぎない私が、妄想の世界では気高い貴公子になって、私の作った立派な椅子に腰掛けているのでございます。
そしてその傍らには、いつも私の夢に出てくる美しい私の恋人が、におやかに微笑みながら私の話に聞き入っております。
そればかりではありません。私は妄想の中でその人と手を取り合って、甘い恋のむつ言をささやきかわしさえするのでございます。
ところが、いつの場合にも私のこのふわりとした紫の夢は、たちまちにして近所のお上さんのやかましい話し声や、
ヒステリーのように泣き叫ぶその辺りの婊女の声に妨げられて、私の前にしてまたしても醜い現実が、あの灰色のむくろをさらけ出すのでございます。
現実に立ち返った私は、そこに夢の貴公子とは似ても似つかない、哀れにも醜い自分自身の姿を見出します。
そして今の先、私に微笑みかけてくれたあの美しい人は、そんなものが全体どこにいるのでしょう。
その辺に埃まみれになって遊んでいる汚らしい子守女でさえ、私なぞには見向いてもくれはしないのでございます。
ただ一つ、私の作った椅子だけが、今の夢の名残のようにそこにぽつねんと残っております。
でもその椅子はやがて何処とも知れぬ、私たちのとは全く別な世界へ運び去られてしまうのではありませんか。
私はそうして、一つ一つの椅子を仕上げる度ごとに、言い知れぬ味気なさに襲われるのでございます。
妄想と現実の交錯
その何とも形容のできない、いやーないやーな心持ちは、月日が経つにしたがって、だんだん私には耐えきれないものになってまいりました。
こんなウジ虫のような生活を続けていくぐらいなら、いっそのこと死んでしまった方がマシだ。
私は真面目にそんなことを思います。
仕事場でコツコツとのみを使いながら、釘を打ちながら、あるいは刺激の強い塗料をこね回しながら、その同じことを必要に考え続けるのでございます。
だが待てよ、死んでしまうくらいなら、それほどの決心ができるなら、もっと他に方法がないものであろうか。
例えば、そうして私の考えは、だんだん恐ろしい方へ向いていくのでありました。
ちょうどその頃、私はかつて手がけたことのない、大きな革張りのひじかけ椅子の製作を頼まれておりました。
この椅子は、同じY市で外人の経営しているあるホテルへ収める品で、一体ならその本国から取り寄せるはずの、私の雇われていた商会が運動して、
日本にも迫来品に劣らぬ椅子職人がいるからというので、やっと注文を取ったものでした。
それだけに私としても、新職を忘れてその製作に従事しました。
本当に魂を込めて、夢中になってやったものでございます。
さて、出来上がった椅子を見ますと、私はかつて覚えない満足を感じました。
それは我ながら見とれるほどの見事な出来栄えであったのです。
私は例によって、四脚一組になっているその椅子の一つを、日当たりの良い板の前へ持ち出してゆったりと腰を下ろしました。
なんという座り心地の良さでしょう。
ふっくらと、怖すぎず、柔らかすぎぬクッションの粘り具合。
わざと染色を嫌って、灰色の生地のまま貼り付けたなめし皮の肌触り。
適度な傾斜を保って、そっと背中を支えてくれる豊満なもたれ。
デリケートな曲線を描いて、おんもり膨れ上がった両側の肘掛け。
それらの全てが不思議な調和を保って、根前として安楽、コンフォートという言葉をそのまま形に表しているように見えます。
私はそこへ深々と身を沈め、両手でまるまるとした肘掛けを相振しながらうっとりしていました。
すると私の癖として止めどもない妄想が、五色の虹のようにまばゆいばかりの色彩をもって、次から次へと湧き上がってくるのです。
あれを幻というのでしょうか。
心に思うままが、あんまりはっきりと目の前に浮かんできますのは、私はもしや気でも違うのではないかと、そら恐ろしくなったほどでございます。
そうしていますうちに、私の頭にふと素晴らしい考えが浮かんでまいりました。
悪魔のささやきというのは、たぶんああしたことを指すのではありますまいか。
それは夢のように高等無形で非常に不気味な事柄でした。
でもその不気味さが、言い知れぬ魅力となって、私をそそのかすのでございます。
最初はただただ、私の丹精込めた美しい椅子を手放したくない、できることならこの椅子と一緒にどこまでもついていきたい、そんな単純な願いでした。
それがうつらうつらと妄想の翼を広げておりますうちに、
いつの間にやら、その日頃私の頭に発光しておりました、ある恐ろしい考えと結びついてしまったのでございます。
そして私はまあ、何という気違いでございましょう、その機械際悪妄想を実際に行ってみようと思い立ったのでありました。
私は大急ぎで、四つのうちで一番よくできたと思うひじかけ椅子をバラバラに壊してしまいました。
そして改めてそれを、私の妙な計画を実行するに都合の良いように作り直しました。
それはごく大型のアームチェアですから、かける部分は床にすれすれまで革で張り詰めてありますし、そのほかもたれもひじかけも非常に分厚にできていて、
その内部には人間一人が隠れていても決して外からわからないほどの共通した大きなうつろがあるのです。
もろんそこには頑丈な木の枠とたくさんのスプリングが取り付けてありますけれども、私はそれらに適当な細工を施して、
椅子の中の隠れ家
人間がかかる部分に膝を入れ、もたれの中へ首と胴体を入れ、ちょうど椅子の形に座れば、その中に忍んでいられるほどの余裕を作ったのでございます。
そうした細工はお手のものですから、十分手際よく便利に仕上げました。
例えば息をしたり外部の物音を聞くために、革の一部に外からは少しもわからぬような隙間をこしらえたり、
もたれの内部のちょうど頭の脇のところへ小さな棚をつけて何かを貯蔵できるようにしたり、ここへ水筒と軍隊用の型パンを詰め込みました。
ある用途のために大きなゴムの袋を備え付けたり、その他様々な考案をめぐらして、
食料さえあればその中に二日三日入り続けていても、決して不便を感じないようにしつらえました。
いわばその椅子が人間一人の部屋になったわけでございます。
私はシャツ一枚になると、そこに仕掛けた出入口の蓋を開けて椅子の中へすっぽりと潜り込みました。
それは実にヘンテコな気持ちでございました。
真っ暗な息苦しい、まるで墓場の中へ入ったような不思議な感じが致します。
考えてみれば墓場にそうやりません。
私は椅子の中へ入ると同時に、ちょうど隠れ身のデモを着たように、この人間世界から消滅してしまうわけですから。
まもなく、紹介から使いの者が四脚の肘掛け椅子を受け取るために大きな荷車を持ってやってまいりました。
私の内弟子が、私はその男とたった二人暮らしだったのです。
何も知らないで、使いの者と応対しております。
車に積み込むとき、一人の妊婦が、「こいつはバカで重いぞ!」と怒鳴りましたので、椅子の中の私は思わずハッとしましたが、
一体、肘掛け椅子そのものが非常に重いのですから、別段怪しまれることもなく、
やがてガタガタという荷車の振動が、私の体にまで一種異様の感触を伝えてまいりました。
非常に心配しましたけれど、結局何事もなく、その日の午後にはもう、私の入った肘掛け椅子は、ホテルの一室にどっかへと据えられておりました。
後で分かったのですが、それは私室ではなくて、人を待ち合わせたり、新聞を読んだり、タバコを吹かしたり、
いろいろの人が頻繁に出入りする、ローン時とでも言うような部屋でございました。
もうとっくにお気づきでございましょうが、私のこの奇妙な行いの第一の目的は、
人のいないときを見すまして、椅子の中から抜け出し、ホテルの中をうろつき回って盗みを働くことでありました。
椅子の中に人間が隠れていようなどと、そんなバカバカしいことを誰が想像いたしましょう。
私は影のように自由自在に、部屋から部屋を荒らし回ることができます。
そして人々が騒ぎ始める自分には、椅子の中の隠れ家へ逃げ返って息を潜めて、彼らの間抜けな創作を見物していればよいのです。
恐怖と魅力の体験
あなたは海岸の波打ち際などにヤドカリという一種のカニのいるのをご存知でございましょう。
大きなクモのような格好をしていて、人がいないとその辺をわが物が追いにのさばり歩いていますが、
ちょっとでも人の足音がしますと、恐ろしい速さで貝殻の中へ逃げ込みます。
そして、気味の悪いケムクジャラの前吉を少しばかり貝殻から覗かせて、敵の動静をうかがっております。
私はちょうどあのヤドカリでございました。
貝殻の代わりに椅子という隠れ家を持ち、海岸ではなくてホテルの中をわが物が追いにのさばり歩くのでございます。
さて、この私のとっぴな計画は、それがとっぴであっただけ、人々の意表外に出て見事に成功いたしました。
ホテルについて3日目にはもうたんまりと一仕事を済ませていたほどでございます。
いざ盗みをするという時の恐ろしくも楽しい心持ち。
うまく成功した時の何とも形容し難い嬉しさ。
それから人々が私のすぐ鼻の先で、あっちへ逃げた、こっちへ逃げたと大騒ぎをやっているのをじっと見ているおかしさ。
それがまあどのような不思議な魅力を持って私を楽しませたことでございましょう。
でも私は今残念ながらそれを詳しくお話ししている暇はありません。
私はそこでそんな盗みなどよりは、10倍も20倍も私を喜ばせたところの機械極まる快楽を発見したのでございます。
そしてそれについて告白することが、実はこの手紙の本当の目的なのでございます。
お話を前に戻して、私の椅子がホテルのローンジに置かれた時のことから始めなければなりません。
椅子が着くと、ひとしきりホテルの主人たちがその座り具合を見回っていきましたが、あとはひっそりとして物音ひとついたしません。
たぶん部屋には誰もいないのでしょう。
でも到着早々、椅子から出ることなど、とても恐ろしくてできるものでありません。
私は非常に長い間、ただそんなに感じたのかもしれませんが、少しの物音も聞き漏らすまいと全神経を耳に集めてじっとあたりの様子をうかがっておりました。
そしてしばらくしますと、たぶん廊下の方からでしょう、コツコツと重苦しい足音が響いてきました。
それが二三弦向こうまで近づくと、部屋に敷かれた絨毯のためにほとんど聞き取れぬほどの低い音に変わりましたが、まもなく荒々しい男の鼻息が聞こえ、
はっと思う間に西洋人らしい大きな体が私の膝の上にどさりと落ちて、ふかふかと二三度は弾みました。
私の太ももとその男のがっしりした偉大な伝武とは、薄いなめし皮一枚を隔てて温かみを感じるほども密接しています。
幅の広い彼の肩はちょうど私の胸のところへもたれかかり、重い両手は皮を隔てて私の手と重なり合っています。
そして男がシガーをくいらしているのでしょう、男性的な豊かな香りが皮の隙間を通して漂ってまいります。
奥様、仮にあなたが私の位置にあるものとしてその場の様子を想像してご覧なさいませ。
それはまあなんという不思議旋盤な情景でございましょう。
私はもうあまりの恐ろしさに椅子の中の暗闇で固く固く身を縮めて脇の下からは冷たい汗をたらたら流しながら思考力も何も失ってしまって、ただもうぼんやりしていたことでございます。
その男を手始めに、その日一日、私の膝の上にはいろいろな人が入り代わり立ち代わり腰を下ろしました。
そして誰も私がそこにいることを、彼らが柔らかいクッションだと信じきっているものが、実は私という人間の血の通った太ももであるということを少しも悟らなかったのでございます。
真っ暗で身動きもできない川張りの中の天地。
それがまあどれほど怪しくも魅力ある世界でございましょう。
そこでは人間というものが、日頃目で見ているあの人間とは全然別な不思議な生き物として感じられます。
彼らは声と鼻息と足音とギネズレの音と、そしていくつかの丸々とした弾力に富む肉塊に過ぎないのでございます。
私は彼らの一人一人を、その要望の代わりに肌触りによって識別することができます。
あるものはデブデブと声太って腐った魚のような感触を与えます。
それとは正反対にあるものはコチコチに痩せ干からびで、骸骨のような感じが致します。
そのほか背骨の曲がり方、肩甲骨の開き具合、腕の長さ、太ももの太さ、あるいは尾底骨の長短など、
それらのすべての点を総合してみますと、どんなにかやった背格好の人でも、どこか違ったところがあります。
人間というものは、要望や指紋のほかに、こうした体全体の感触によっても完全に識別することができるに相違ありません。
異性についても同じことが申されます。
普通の場合は、主として要望の微臭によってそれを批判するのでありましょうが、
この椅子の中の世界では、そんなものはまるで問題外なのでございます。
そこには丸裸の肉体と小骨と臭いとがあるばかりでございます。
奥様、あまりにあからさまな私の記述にどうか気を悪くしないでくださいまし。
私はそこで一人の女性の肉体に、それは私の椅子に腰掛けた最初の女性でありました。
激しい愛着を覚えたのでございます。
声によって想像すれば、それはまだ裏若い異国の乙女でございました。
ちょうどその時、部屋の中には誰もいなかったんですが、
彼女は何か嬉しいことでもあった様子で、小声で不思議な歌を歌いながら、
踊るような足取りでそこへ入って参りました。
そして私の潜んでいる腰掛け椅子の前まで来たかと思うと、
いきなり豊満な、それでいて非常にしなやかな肉体を私の上へ投げつけました。
しかも彼女は何がおかしいのか、突然アハアハ笑い出して、
手足をバタバタさせて、網の中の魚のようにピチピチと跳ね回るのでございます。
それからほとんど半時間ばかりも、彼女は私の膝の上で時々歌を歌いながら、
その歌に調子を合わせでもするようにクネクネと重い体を動かしておりました。
これは実に私にとってはまるで予期しなかった経典動地の大事件でございました。
女は神聖なもの、いやむしろ怖いものとして顔を見ることさえ遠慮していた私でございます。
その私が今、見も知らぬ異国の乙女と同じ部屋に、同じ椅子に、
それどころではありません。
薄いなめしがは、一重を隔てて肌のぬくみを感じるほども密接しているのでございます。
それにも関わらず、彼女は何の不安もなく、全身の重みを私の上に委ねて、
見る人のない気安さに勝手気ままな姿勢を致しております。
私は椅子の中で、彼女を抱きしめる真似をすることもできます。
革の後ろから、その豊かな首筋に切笨することもできます。
そのほかどんなことをしようと、自由自在なのでございます。
この驚くべき発見をしてからというものは、私は最初の目的であった盗みなどは第2として、
ただもうその不思議な感触の世界に湧きできしてしまったのでございます。
私は考えました。
これこそ、この椅子の中の世界こそ、私に与えられた本当の住処かではないかと。
私のような醜い、そして気の弱い男は、明るい巧妙の世界ではいつもひけ目を感じながら、
恥ずかしい惨めな生活を続けていくほかに脳のない体でございます。
それがひとたび、住む世界を変えて、こうして椅子の中で窮屈な辛抱をしていさえすれば、
明るい世界では口をきくことはもちろん、そばへ寄ることさえ許されなかった美しい人に接近して、
その恋を聞き、肌に触れることもできるのでございます。
椅子の中の恋。
それがまあどんなに不可思議な、糖水的な魅力を持つか、
実際に椅子の中へ入ってみた人でなくてはわかるものではありません。
異常な恋愛の記憶
それはただ、触覚と聴覚と、そしてわずかの嗅覚のみの恋でございます。
暗闇の世界の恋でございます。
決してこの世のものではありません。
これこそ、悪魔の国の愛欲なのではございますまいか。
考えてみれば、この世界の一目につかぬ隅々では、
どのように異形な恐ろしい事柄が行われているか、本当に想像のほかでございます。
むろん初めの予定では、盗みの目的を果たしさえすれば、すぐにもホテルを逃げ出すつもりでいたのですが、
世にも機械な喜びに夢中になった私は、
逃げ出すどころか、いつまでもいつまでも椅子の中を永住の住処にして、
その生活を続けていたのでございます。
夜な夜なの外出には注意に注意を加えて、
少しも物音を立てず、また人目に触れないようにしていましたので、
当然危険はありませんでしたが、
それにしても数ヶ月という長い月日を、
そして少しも見つからずに椅子の中に暮らしていたというのは、
我ながら実に驚くべきことでございました。
ほとんど2、6時中、椅子の中の窮屈な場所で腕を曲げ、膝を折っているために、
体中が痺れたようになって、完全に直立することができず、
しまいには料理場や化粧室への往復を、
ムカデのように張っていったほどでございます。
私という男は何という気違いでありましょう。
それほどの苦しみをしのんでも、不思議な感触の世界を見捨てる気になれなかったのでございます。
中には1ヶ月も2ヶ月も、そこを住まいのようにして泊まり続けている人もありましたけれど、
元来ホテルのことですから絶えず客の出入りがあります。
したがって私の奇妙な恋も、時とともに相手が変わっていくのをどうすることもできませんでした。
そしてその数々の不思議な恋人の記憶は、
普通の場合のようにその要望によってではなく、
主として体の格好によって、私の心に刻みつけられているのでございます。
ある者は小馬のように性感で、すらりと引き締まった肉体を持ち、
ある者は蛇のように妖艶で、くねくねと自在に動く肉体を持ち、
ある者は五分割のように肥え太って、脂肪と弾力に富む肉体を持ち、
またある者はギリシャの彫刻のようにがっしりと力強く、円満に発達した肉体を持っておりました。
主人公の秘密の経験
その他どの女の肉体にも一人一人それぞれの特徴があり、魅力があったのでございます。
そして女から女へと移っていく間に、私はまたそれとは別な不思議な経験をも味わいました。
その一つは、ある時、欧州のある京国の大使が、
日本人の貿易の噂話によって知ったのですが、その偉大な体育を私の膝の上に載せたことがございます。
それは政治家としてよりも、世界的な詩人として一層よく知られていた人ですが、
それだけに私はその偉人の肌を知ったことが、わくわくするほども誇らしく思われたのでございます。
彼は私の上で二、三人の同国人を相手に、十分ばかり話をするとそのまま立ち去ってしまいました。
むろん何を言っていたのか、私にはさっぱりわかりませんけれど、
ジェスチャーをするたびに、むくむくと動く、上人よりも暖かいかと思われる肉体のくすぐるような感触が、
私に一種名状すべからざる刺激を与えたのでございます。
その時、私はふとこんなことを想像しました。
もし、この川の後ろから鋭いナイフで彼の心臓をめがけてぐさりとひとつきしたなら、どんな結果を引き起こすであろう。
むろんそれは、彼に再び立つことのできぬ致命傷を与えるに相違ない。
彼の本国はもとより、日本の政治界はそのためにどんな大騒ぎを演じることであろう。
新聞はどんな劇場的な記事を掲げることであろう。
それは、日本と彼の本国との外交関係にも大きな影響を与えようし、
また芸術の立場から見ても、彼の死は世界の一大損失に相違ない。
そんな大事件が、自分の一挙手によって安々と実現できるのだ。
それを思うと、私は不思議な得意を感じないではいられませんでした。
もう一つは、有名なある国のダンサーが来朝したとき、
偶然彼女がそのホテルに宿泊して、たった一度ではありましたが、私の椅子に腰掛けたことでございます。
その時も私は大使の場合と似た感銘を受けましたが、
その上、彼女は私にかつて経験したことのない理想的な肉たえびの感触を与えてくれました。
私はそのあまりの美しさに、いやしい考えなどは起こす暇もなく、
ただもう芸術品に対する時のような経験な気持ちで、彼女を賛美したことでございます。
その他、私はまだいろいろと珍しい、不思議な、あるいは気味悪い数々の経験を致しましたが、
それらをここに採取することはこの手紙の目的ではありませんし、
それにだいぶ長くなりましたから、急いで肝心の点にお話を進めることにいたしましょう。
さて、私がホテルへ参りましてから何ヶ月かの後、私の身の上に一つの変化が起こったのでございます。
と言いますのは、ホテルの経営者が何かの都合で帰国することになり、
あと射抜きのままある日本人の会社に譲り渡したのであります。
すると、日本人の会社は従来の贅沢な営業方針を改め、
もっと一般向きの旅館として有利な経営を目論むことになりました。
そのために不要になった長度などは、ある大きな家具商に委託して競売せしめたのでありますが、
その競売目録のうちに私の椅子も加わっていたのでございます。
私はそれを知ると一時はがっかりいたしました。
そしてそれを機として、もう一度シャバへ立ち帰り、新しい生活を始めようかと思ったほどでございます。
その時分には盗み貯めた金が相当の額に昇っていましたから、
たとえ世の中へ出ても以前のように惨めな暮らしをすることはないのでした。
が、また思い返してみますと、外人のホテルを出たということは一方において大きな失望でありましたけれど、
他方においては一つの新しい希望を忌みするものでございました。
と言いますのは、私は数ヶ月もの間、それほどいろいろな異性を愛したにもかかわらず、
相手がすべて異国人であったために、それがどんな立派な好もしい肉体の持ち主であっても、
精神的に妙な物足りなさを感じないわけにはいきませんでした。
やっぱり日本人は同じ日本人に対してでなければ本当の恋を感じることができないのではあるまいか。
私はだんだんそんなふうに考えていたのでございます。
そこへちょうど私の椅子が競売に出たのであります。
今度はひょっとすると日本人に買い取られるかもしれない。
そして日本人の家庭に置かれるかもしれない。
それが私の新しい希望でございました。
私はともかくももう少し椅子の中の生活を続けてみることにいたしました。
道具屋の店先で2,3日の間非常に苦しい思いをいたしましたが、
でも競売が始まると幸せなことには私の椅子は早速買い手がつきました。
古くなっても十分人目を引くほど立派な椅子だったからでございましょう。
買い手はワイジからほど遠からぬ大都会に住んでいたある管理でありました。
道具屋の店先からその人の屋敷まで何里かの道を非常に振動の激しいトラックで運ばれたときには、
私は椅子の中で死ぬほどの苦しみをのめましたが、
でもそんなことは買い手が私の望み通り日本人であったという喜びに比べてはものの数ではございません。
買い手のお役人はかなり立派な屋敷のお持ち主で、
私の椅子はそこの洋館の広い書斎に置かれましたが、
私にとって非常に満足であったことには、
その書斎は主人よりはむしろその家の若く美しい夫人が使用されるものだったのでございます。
それ以来約1ヶ月の間、私は絶えず夫人と共におりました。
夫人の食事と就寝の時間を除いては、夫人のしなやかな体はいつも私の上にありました。
それというのが夫人はその間書斎に詰め切って、ある著作に没頭していられたからでございます。
私がどんなに彼女を愛したか。
それはここにくだくだしく申し上げるまでもありますまい。
彼女は私の初めて接した日本人で、しかも十分美しい肉体の持ち主でありました。
私はそこに初めて本当の恋を感じました。
それに比べてはホテルでの数多い経験などは決して恋と名付くべきものではございません。
その証拠にはこれまで一度もそんなことを感じなかったのに、
その夫人に対してだけ私はただ秘密の愛部を楽しむのみでは飽きたらず、
どうかして私の存在を知らせようといろいろ苦心したのでも明らかでございましょう。
私はできるならば、夫人の方でも椅子の中の私を意識してほしかったのでございます。
そして虫のいい話ですが、私を愛してもらいたく思ったのでございます。
でもそれをどうして合図いたしましょう。
もしそこに人間が隠れているということをあからさまに知らせたなら、
彼女はきっと驚きのあまり主人や召使いたちにそのことを告げるに遭いありません。
それでは全てがダメになってしまうばかりか、
私は恐ろしい罪名を着て法律上の刑罰をさえ受けなければなりません。
そこで私はせめて夫人に私の椅子をこの上にも居心地よく感じさせ、
それに愛着を起こさせようと努めました。
芸術家である彼女はきっと上人以上の微妙な感覚を備えているに遭いありません。
もしも彼女が私の椅子に生命を感じてくれたなら、
ただの物質としてではなく一つの生き物として愛着を覚えてくれたなら、
それだけでも私は十分満足なのでございます。
私は彼女が私の上に身を投げたときにはできるだけふんわりと優しく受けるように心がけました。
彼女が私の上で疲れた自分にはわからぬほどにそろそろと膝を動かして
彼女の体の位置を変えるようにいたしました。
そして彼女がうとうとと居眠りを始めるような場合には、
私はごくごくかすかに膝を譲って揚乱の役目を務めたことでございます。
その心やりが報いられたのか、それとも単に私の気の迷いか、
近頃では婦人は何となく私の椅子を愛しているように思われます。
彼女はちょうど赤ん坊か母親の懐に抱かれるときのような、
または乙女が恋人の抱擁に応じるときのような甘い優しさを持って私の椅子に身を沈めます。
そして私の膝の上で体を動かす様子までがさも懐かしげに見えるのでございます。
かようにして私の情熱は日々に激しく燃えてゆくのでした。
そしてついには、ああ奥様、ついには私は身の程も脇前の大それた願いを抱くようになったのでございます。
たった一目、私の恋人の顔を見て、そして言葉を交わすことができたなら、
そのまま死んでもいいとまで私は思い詰めたのでございます。
奥様、あなたは無論とっくにお悟りでございましょう。
その私の恋人と申すのは、あまりの失礼をお許しくださいませ、実はあなたなのでございます。
あなたのご主人があの和石の道具店で私の椅子をお買い取りになって以来、
私はあなたに及ばぬ恋を捧げていた哀れな男でございます。
奥様、一生のお願いでございます。
たった一度、私にお会い下さるわけにはいかんでございましょうか。
そして一言でも、この哀れな醜い男に慰めのお束をお掛け下さるわけにはいかんでございましょうか。
私は決してそれ以上を望むものではありません。
そんなことを望むには、あまりに醜く穢れ果てた私でございます。
どうぞどうぞ、世にも不幸な男の切なる願いをお聞き届けくださいませ。
私は昨夜、この手紙を書くためにお屋敷を抜け出しました。
面と向かって奥様にこんなことをお願いするのは非常に危険でもあり、
かつ私にはなかなかもできないことでございます。
そして今、あなたがこの手紙をお読み下さる自分には、
椅子の中の生活
私は心配のために青い顔をしてお屋敷の周りをうろつき回っております。
もし、この世にも物質系なお願いをお聞き届け下さいますなら、
どうか書斎の窓のなでしこの鉢上にあなたのハンカチをお掛け下さいまし、
それをあえずに私は何気なき一人の訪問者として
お屋敷の玄関を訪れるでございましょう。
そしてこの不思議な手紙は、ある熱烈な祈りの言葉を持って結ばれていた。
吉子は手紙の中ほどまで読んだとき、
すでに恐ろしい予感のために真っ青になってしまった。
そして無意識に立ち上がると、
気味悪い肘掛け椅子の置かれた書斎から逃げ出して、
二本立ての今の方へ来ていた。
手紙の後ろの方はいっそ読まないで、
破り捨ててしまおうかと思ったけれど、
どうやら気がかりなままに今の小机の上でともかくも読み続けた。
彼女の予感はやっぱり当たっていた。
これはまあ何という恐ろしい事実であろう。
彼女が毎日腰掛けていたあの肘掛け椅子の中には、
身も知らぬ一人の男が入っていたのであるか。
おお、気味の悪い。
彼女は背中から冷水を浴びせられたようなおかんを覚えた。
そしていつまでたっても不思議な身ぶるいが止まなかった。
彼女はあまりのことにぼんやりしてしまって、
これをどう処置すべきか。
まるで見当がつかぬのであった。
椅子を調べてみる。
どうしてどうしてそんな気味の悪いことができるものか。
そこにはたとえもう人間がいなくても、
食物、その他の彼に付属した汚いものがまだ残されているに沿いないのだ。
奥様、お手紙でございます。
はっとして振り向くと、
それは一人の女中が今届いたらしい封書を持ってきたのだった。
吉子はそれを無意識で受け取って開封しようとしたが、
ふとその上書きを見ると、
彼女は思わずその手紙を取り落としたほどもひどい驚きに打たれた。
そこにはさっきの不気味な手紙と寸分たがわぬ筆癖を持って、
彼女の名当が書かれてあったのだ。
彼女は長い間、それを開封しようかしまいかと迷っていた。
がとうとう最後にそれを破って、
びくびくしながら中身を読んでいった。
手紙はごく短いものであったけれど、
そこには彼女をもう一度発頭させたような奇妙な文言が記されていた。
突然お手紙を差し上げます物付けをいくえにもお許しくださいまし。
私は日ごろ先生のお作を愛読しているものでございます。
別封をお送りいたしましたのは私の拙い創作でございます。
ご一覧の上ご批評がいただけますれば、この上の幸いはございません。
ある理由のために原稿の方はこの手紙を書きます前に投函いたしましたから、
すでにご覧済みかと拝察いたします。
いかがでございましたでしょうか。
もし拙作がいくらかでも先生に感銘を与え得たとしますれば、
こんなに嬉しいことはないのでございますが。
原稿にはわざと省いておきましたが、表題は人間椅子と付けたい考えでございます。
手紙の不安
では失礼を借りみずお願いまで早々。
2004年発行 公文社 公文社文庫
江戸川乱歩全集第1巻 屋根裏の散歩者
より独りを読み終わりです。
古い有名作品ですね。
読んだことは初めてだけど。
手紙の一文を読み始めて、
手紙の書き手の感情に沿ったっぽく読み始めたら長いのなの。
もっと淡々と読めたかったな。
長かった。
小説は登場人物のボイスオーバーが長めに設定されているところが難点ですね。
エッセイと違ってね。
なんかどうしたもんですかね。
ここで反省会始めてもしょうがないんだけど。
ということで、45分くらいになりましたか。
長かったので寝落ちできていれば幸いです。
ちょっと後半うるさくなっちゃったかもな。
そういう話しちゃったしな。
といったところで、今日のところはこの辺で。
また次回お会いいたしましょう。
おやすみなさい。
45:55

コメント

スクロール