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寝落ちの本ポッドキャスト
こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
エッセイには、面白すぎないツッコミを入れることもあるかもしれません。
作品はすべて青空文庫から選んでおります。
ご意見・ご感想・ご依頼は、公式Xまでどうぞ。
寝落ちの本で検索してください。
また、別の投稿フォームもご用意しました。
リクエストなどをお寄せください。
そして、番組フォローもどうぞよろしくお願いします。
そしてですね、この度、メンバーシップというものを始めてみました。
ちょっとカタカナで分かりづらいんですが、
早い話がおひねりを投げていただけるように、
ちょっと仕組みを整えさせていただきましたので、
あんちゃん頑張ってるねと思っていただけている
生きな兄さん、生きな姉さん方、どうかおひねり投げていただければ、
今後の励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。
仕組みはですね、ノートというところを使っていますので、
もしかしたら新規に会員登録が必要かもしれなくて、
そこだけ申し訳ないんですが、ちょっとご検討いただければ幸いです。
ノートの中で過去にいくつか記事を書いてまして、
それも併せて読んでみていただけたらと思います。
なんか洗濯機がぶっ壊れた事件とか、
あとはそうですね、
エッチはできるけどキスは嫌かもっていう言葉を
おばさんから聞いた事件とか、
そういうのを記事にまとめていたりします。
どうか一読いただければ幸いです。
はい。さて、今日はですね、
早山よしきさんのシシを食う男です。
早山よしきさんは、
早山よしきさんね、一回読んだんですよ。
セメントダルの中の手紙ってやつを読みましたね。
プロレタリア文学の方だったと思います。
今日読むシシを食う男のあらすじですが、
山奥にある旧正中学校の寄宿舎で起きた
誰も知り得ない秘密の事件。
言葉選びがうまいせいか読みやすく冒頭から引き込まれる。
昭和初期にネタバレの概念がなかったことは悔やまれる。
このタイトルがネタバレになっているってことなんでしょうが、
事件の発生
ちょっとだけ怖いんですかね。どうでしょうか。
文字数が8600文字ということで、
30分かからないと思います。
はい。どうかお付き合いください。
それでは参ります。
シシを食う男。
いろんなことを知らない方がいい。
と思われることがあなた方にもよくあるでしょう。
ふと新聞のその日の運勢などに目がつく。
自分が七隻だか八百だか丸切りわからなければ文句はないが、
自分は自国だと知っていれば旅行や禁断はいけないなどとあると、
構わない。やっつけはするが、
どこか心の隅の方にそいつがしつっこくくっついている。
あそこの家の屋根からは毎晩ひと玉が飛ぶ。
見たことがあるかい。
そうなると子供や臆病な男は夜になるとそこを通らない。
そのくらいのことはなんでもない。
命を取られるほどのことはないから。
だが見たため知ったために命を落とす人が多くある。
そのひとつの話を書いてみましょう。
その学校は昔は藩の学校だった。
明治の維新後、建立の中学に変わった。
その自分には県下に二つしか中学がなかったので、
その中学もすばらしく大きい校舎と兵衛のような寄宿舎等を持つほど膨張した。
中学は山の中にあった。
運動場は代々木の練兵場ほど広くて、
一方は県舎〇〇神社に続いており、
一方は聖徳太子の婚留にかかるといわれる国分寺に続いていた。
そしてまた一方は湖になっていて、
毎年一人ずつその中学の生徒が出騎士するならばしになっていた。
その湖の岸の北側には屠殺場があって、南側には墓地があった。
学問は静かにしなければいけないことの標本ででもあるように、
学校は静寂な境に立っていた。
おまけに明治が大正に変わろうとするときになると、
その中学のある村が、
戦を抜いた不老家の水のように人口が減り始めた。
残っているものは旧藩の士族で、
いくらかの恩急をもらっている俳儀ばかりになった。
なぜかなら、その村は殿様が追い詰められたときに逃げ込んで、
無理に越しられた山中の一村であったから、何にも産業というものがなかった。
中学の存在によって繁栄を引き止めようとしたが、
困ったことには中学が、その地方10里以内の地域に一度に7つも創立された。
例題今まで中学が少なすぎたために、県で立てたのが2つ。
その当時、衆議院議員選挙の猛烈な競争があったが、
1人の立候補が石炭色の巨万の金を投じて、
ほとんど、ありとあらゆる村に中学を寄付したその数が5つ。
こんなわけで、今まで7人も1つ部屋にいた寄宿生が、
一常に2人か3人間に減ってしまった。
その1つの部屋に、深谷というのと、安岡と呼ばれる卒業期の5年生がいた。
もちろん、部屋の窓の外は松林であった。
松の梢を越して国分寺の50の塔が、日の光、月の光に見渡された。
人数に比べて部屋の数が多すぎるので、
寄宿者は会場を自習室に充て、開花を寝室に充ててあった。
どちらも二重状ほど敷ける木造を西洋風に作ってあって、
2人では少々寂しすぎた。
が、深谷も安岡も、それを口に出して訴えるのには、激さかんに過ぎた。
それどころではない。
深谷は、できることならば、その部屋に1人でいたかった。
もし許すならば、その中学の寄宿者全体にたった1人でいたかった。
何かしら人間嫌いな人を避け、1人で秘密を味わおうという煙が深谷にあることは、安岡も感じていた。
安岡は寂しかった。なんだか心細かった。
が、もう一学期半辛抱すれば華やかな東京に出られるのだからと強いて1人慰め、鼓舞していた。
10月の末であった。
もう水の中に入らねばしのげないという日盛りの暑さでもないのに、
夕方までグラウンドで練習していた野球部の連中が泥と汗とを洗い流し、かつは元気を誇るために例の湖へ出かけて泳いだ。
ところが、その中の1人が、うまく水中に潜ってみせたが、うまく水上に浮かび上がらなかった。
あまり水利の時間が長いので、小さんの声、先坊の声が恐怖の叫びに変わった。
ついに、野球の瀬子ちゃんが1人で起死した。
湖はそこもなく澄み渡った空を映して、間の色をますます濃くした。
都牛場の域地のたたりがあの湖にはあるのだろう。
1週間ぐらいはその噂で持ちきっていた。
瀬子ちゃんは、自分を飲み殺した湖の青黒い湖面を見下ろす墓地に永劫に眠った。
人物の心理と不気味さ
白い旗がひらひらと、彼の生前を思わせる応援旗のようにはためいた。
安岡は、そのことがあってのち、ますます寂しさを感じるようになった。
部屋が広すぎた。
松が忍び足のようになった。黒文字の鐘が院にこもって聞こえてくるようになった。
こういった風な状態は、彼をやや神経衰弱に落とし入れ、睡眠を妨げる結果に導いた。
彼とベッドを並べて寝る深屋は、その問題についてはいつも口をかんしていた。
彼にはまるで興味がないように見えた。
どちらかといえば、深屋の方がこんな不気味な寂しい状態からは、先に神経衰弱にかかるのが主導であるはずだった。
色の青白い、痩せた、胸の薄い、頭の大きいのと反比例に首筋の小さい、ひょろひょろした深屋であった。
その上、何らの事件のないときでさえ彼は考え込んでばかりいて、影の薄い印象を人に与えていた。
だが、彼はベッドに入るとすぐに眠った。
小さないびきさえ書いて。
安岡は、ふだん臆病そうに見える深屋が、ぐうぐう眠るのに腹を立てながら、十一時にもなれば眠りに落ちることができた。
瀬子ちゃんができしして一週間目の晩であった。
安岡は、がさがさと寝返りを三時間も打ち続けたあげく、眠りかけていた。
が、まだ完全には眠ってしまわないで、夢の始めか、うつすの終わりかの幻を見ていると、ふと彼の顔のまわりに何かを感じた。
彼の鋭く尖った神経は、針でも通されたように、彼を冷たい沼の水のように現実に立ち返らせた。
が、彼は泥棒に忍び込まれた娘のように、本能的に息を殺しただけであった。
やがて電灯のスイッチがパチッと鳴ると同時に部屋が明るくなった。
深谷が寝台から降りてスリッパーを履いて、便所にゆっくらしく出ていった。
安岡の目はさえた。彼は何を自分の顔のあたりに感じたかを考え始めた。
人の息だった。体温だった。
だがこの部屋には深谷と自分とだけしかいない。深谷が俺の寝息をうかがうわけがない。
毎日深谷がうかがったにしたところで、もしそうなら電灯のついたとき彼が寝台の上にいるはずがない。
そしてあんなに大っぴらにスリッパーをバタバタさせて出てくるはずがない。
第一に何のために深谷が俺の寝息なんぞううかがう必要があるんだ。
俺は神経衰弱をやっているんだ。幻だ。夢だ。錯覚なんだ。
こう思って彼は自分自身を納得させて、再び眠りに入った。
自分自身を納得させて、再び眠りに入ろうと努めた。
深谷はすぐに帰ってきて電灯を消した。そしてベッドに入るとまもなくかすかないびきさえ立て始めた。
安岡は自分の頭が変になっていることを感じて、目をつむって息を大きくして頭の中で数を数え始めた。
1・2・3・4
51・52・400・401・402・1210・1211・1212
彼のエア沈静した頭が1212を数え終わったとき、再び彼は顔のあたりに人間の体温を感じた。
が、彼は今度はいきなり冷水をぶっかけられたようにゾッとはしたが、1213・1214と呪図をつまぐるように数え続けた。
そして身動き一つ、まつげ一本を動かさないで眠りを装った。
電灯がパッと彼のまぶたを明るく温めた。
再び彼の体を旋律が駆け抜け、呪図に痛さをさえ感じた。電灯がパッと消えた。
深屋が静かにドアを開けて出て行った。
「奴は恋人でもできたんだろうか。」
1213・1214は考えた。
けれども深屋は決して女のことなど考えたり、まして恋などするほど成熟しているようには見えなかった。
安岡と深屋の関係
むしろ彼は発育の不十分な病心で打ち切れ、たとい女の方から言い寄られたにしても嫌悪の感を抱くくらいな少年であった。
機械体操では刀棒に尻上がりもできないし、木刃はその半分のところまでも届かないほどの弱弱しさであった。
安岡は次から次へと深屋のことについて考えたが、どうしても彼が恋人を持っているとは考えられなかった。
それなら盗み癖でもあるのだろうか。
だが深屋は給与中でも有数の資産家の息子であった。
それにしても盗み癖は違う。
いくら不自由をしない家の子でも盗み癖ばかりは不可抗的なものだ。
だが盗み癖ならばまず彼がその難をこむるべき手近にいた。
かつ近代、学校中で盗難事件はさらになかった。
下痢かなんかだろ。
安岡はそう思って眠りを求めたが、眠りは深屋が連れて出てもしたようにその部屋の空気からは消えてしまった。
おそらく2時間、あるいは3時間もたってから深屋は隙間から忍び入る風のようにドアを開けて帰ってきた。
部屋へ入ると深屋はわざと足音を高くして電灯のスイッチをひねった。
それから寝台へ潜り込む前に電灯を消した。
安岡は研ぎ出された白人のような神経で深屋が何か正体をつかむことができないが、清算な空気をまとって帰ってきたことを感じた。
決闘するような男じゃ絶対いないんだが。
安岡はそんなくだらないことを頭につからすが、どんなに明日の家業に影響するかを思って再び1、2、3、4と数え始めたが、彼が眠りについたのは起きなければならない1時間前であった。
その次の夜であった。
安岡は前夜の睡眠不足でひどく疲れていたので、自習をいい加減に切り上げて早く床に入った。
そして妙なそぶりをする深屋の来る前に眠っちまおうと決心した。
深屋の不気味な行動
出なければとてもやりきれない、と思った。
だがそう思えば思うほどなおさらに疲れなかった。
部屋がそして寄宿舎全体が寂しすぎた。
おまけになんだかそこの知れない泥沼に踏み込みでもしたように深屋の挙動が疑われ出した。
深屋はかっきり終身ラッパ。
その中学は一切をラッパであった。
が、なると同時にコツコツと2階から降りてきた。
安岡は全く眠った風を装った。
が、眠れもしないのに眠った風を装うことは全く苦しいことであった。
だが何かしら彼の心の底で好奇心に似た気持ちが彼にその困難をこらえしめた。
深屋は酒屋と同じく何事もないようにベッドに入ると5分も経たないうちに軽い息をかき始めた。
今夜はもう出ないのかしらと安岡は失望に似た安堵を感じてうどうとした。
とまた酒屋と同じ人間の体温を頬のあたりに感じた。
確かに寝息をうかがっているんだ。
だが彼は今までどおりと同じ調子の寝息を非常な努力のもとに続けた。
パッと電灯がついた。
そのまま深屋のスリッパがパタパタとドアの方に動いた。
が、深屋はドアの前でそれを開くとそのまま振り返って安岡の方をじーっと見つめた。
その顔の表情は何とも言えないすごいものであった。
死を決した顔。
か、死を宣告された顔であった。
彼は安岡が依然のまま寝息で眠りこけているのを見すますと
今度は風のように帰ってきてスイッチをひねらないで電球をねじって明かりを消した。
そして開けたドアから風のように出ていった。
安岡はそれを感じた。
すぐに彼は静かに上半身を起こして耳をすました。
木の葉を渡る微風のような深屋の気配が廊下に感じられた。
彼はやはり静かに立ち上がると深屋の跡をつけた。
廊下に片っぽの目だけ出すと深屋が便所の方へ足音もなくかけてゆく後ろ姿が見えた。
はてな、やっぱり下痢かなと思ううちに果たして深屋は便所に入った。
が、安岡は作りつけられたように片っぽの目だけで便所の入り口を見張り続けた。
深屋は便所に入るとドアを五分ばかり閉め残して
その隙間から薄暗い電灯に照らし出されたがらんとした埃だらけの長い廊下を覗いていた。
はあ、やっぱり便所だったのか。
それにしては何だって人の寝息なんてうかがいやがるんだろう。妙な奴だ。
と安岡が五分間ばかり見張りに痺れを受け出してベッドの方へ帰ろうとする瞬間、便所のドアが少しずつ動くのを見た。
ドアは全く音もなく少しずつ開き始めた。
深屋の姿はドアがほとんど八分目どころまで開いたのに見えなかった。まるでドアがひとりでに開いたようだった。
安岡はぞっとした。
と深屋の姿が風のように廊下に飛び出して矢庭に廊下の窓から校庭に飛び出した。
安岡の体を戦慄が駆け抜けたが次の瞬間にはまるで深屋の身軽さか伝線でもしたように風のように深屋の跡を追った。
深屋は寄宿舎に属する松林の間を忍術使いででもあるようにふわふわとしかも早く飛んでいた。
しかし夕日の練兵場のほども広いグラウンドに寝た。これには安岡は困った。
グラウンドには目を遮る何物もない。曇っていて今にも降り出しそうな空ではあったがその熱い空の底には月があった。
グラウンドを追っかければ発見されるのは決まりきったことであった。
が、風のように早い深屋を見失わないためには腹張ってなぞいけなかった。
で、彼はとっその間にグラウンドに沿って木柵によって仕切られている街道まで腹張りになって進んだ。
街道に出ると彼は木柵を縦にしてグラウンドの灰色の景色を眺めた。
その時にはもう深屋の姿は見えなかった。彼は呆然として立ち尽くした。
なぜかならいくら風のように早い深屋であっても陣痛力を持っていない限りそんなに早くグラウンドを通り抜け得るはずがなかったから。
奴も腹張りになって障害物のないところで見張ってやがるんだな。
やそうかは自分自身にさえ蹴取られないように木柵に沿ってグラウンドの塵一本さえその薄闇の中に見失うまいとするようにして進んだ。
やや柵の曲がった辺へ来るとグラウンドではなく街道を風のように飛んでいく姿が見えた。
その風の姿は一週間前、せこちゃんが敵死した沼の方へと飛んだ。
やそうかは自分が敵死しかけてでもいるような恐怖に囚われ旋律を覚えたが次の瞬間には無我夢中になって吹っ飛んだ。
道は沼に沿って蛇のように陰鬱にうねっていた。その道の上を生きた人玉のように二人は飛んでいた。
沼の表は曇と空を映して不死の皮膚のようにおもくろしくぶけみに映って見えた。
やがて道は墓地の辺にまで二人の姿を吹くように導いた。
墓地の入り口まで先頭の人影が来ると引き消したように消えてしまった。
やそうかは同時に路面へ倒れた。
墓地の松林の間には白い旗や提灯がまかれもしないでぶらっと下がっていた。
新しい野やチューブエルの外場などが長い病人の隣住を思わせるような痩せた行走で立ち並んでいた。
衝撃の結末
松の茂った葉と葉との間から曇った空が人玉のように丸い空間を覗かせていた。
やそうかは這うようにして進んだ。
彼の眼をもしその時誰かが見たならその人はきっと飛び上がって叫んだであろう。
それほど彼は熱に浮かされたような、いわば潜水服の頭についているのと同じ眼をしていた。
そしてその眼は恐るべき情景を見た。
それは筆紙に表せ得ない種類のものであった。
深谷は一週間前に溺死した瀬子ちゃんの神仏の閣内にいた。
彼のどこにそんな力があったんだろう。
野球のちゃんが二人でようやく乗っけることができた仮の墓石を深谷のひょろひょろな手が軽々と持ち上げた。
その石をそばへ取りのけると、彼は垣根の生垣の間から桑とのこぎりとを取り出した。
桑は音を立てないように、しかしめまぐるしくまだ固まりきらない墓土をはね返した。
やそうかの空な目はこれを見ていた。
彼はいつのまにか陸から切り離された流氷の上にいるように感じた。
深谷は何をするんだろう。
そんなに瀬子ちゃんと親密ではなかった。
同性愛などとは思いもよらない中であった。ほとんど一度も口さえ聞いたことはなかった。
柔らかい墓土はそばに高くはねられた。そして棺の上はだんだん低くなった。
深谷の腰から下は土の陰に隠れた。
キーキーバリッと釘の抜ける音がした。
桑で棺のふたをこじ開けたらしかった。
深谷の姿は穴の中にかがみ込んで見えなかった。
が、のこぎりが、確かに骨をひいている響きが、
何一つ物音のない、かすかな息の響きさえ聞こえそうな石梁を鈍くつんざいていた。
やそうかは耳だけになっていた。
プツッとのこぎりの葉が何か柔らかいものにぶっつかる音がした。
不死の匂いがやそうかの鼻を数度くっついた。
生垣の外から原葉になって目を凝らしているやそうかの前に、
おもむろに深谷が背を伸ばした。
彼は死骸の腕を持っていた。
そして、まわりを見まわした。
ちょうど犬がするように、少し顎を持ち上げて高花をかいだ。
明星しがたい表情が彼の顔を横切った。
とまるで恋人の腕にキスでもするように、
屍の腕へ口を持っていた。
彼はうまそうにそれを食い始めた。
もしやそうかが立っているかうずくまっているかしたら、
彼は倒れたに違いなかった。
が、幸いにして彼は腹ばいになっていたから、
それ以上倒れることはなかった。
が、彼は叫ぶ前としていきなり地面に口を押し付けた。
父にはまるでそれが不死でもあるように臭気があるように感じた。
彼はどうして寄宿舎に帰ったか自分でも知らなかった。
彼は口から頬へかけて泥だらけになってこんこんと死ぬように眠った。
朝、深谷は静かに安岡の起きるのを待っていた。
安岡は十一時頃になって死ぬような眠りからよみがえった。
不思議なことに深谷もまだ寝室にいた。
安岡が目を覚ましたことを見ると、
君の血跡届は僕が出しておいたよ、安岡君。
と、深谷が言った。
ありがとう。
安岡はしまいまで言えなかった。
君は昨夜何か見なかったかい?
と、深谷が聞いた。
いいや、何も見なかった。
安岡の語尾は消えた。
君の口のまわりはまるで屍でも食ったように泥だらけだよ。
洗ったらいいだろう。どうしたんだね。
深谷が静かに言った。
が、その顔には危機があふれていた。
それっきり安岡は病気になってしまった。
その5、6日のうちから修学旅行であった。
死の影
深谷は修学旅行に、
安岡は故郷に病を養いに帰った。
安岡は故郷のあらゆる医師の立ち合い診断でも
病名が反然しなかった。
隣住の陳刀の親友に彼は言った。
僕の病原は病気になってしまった。
彼は言った。
僕の病原は僕だけが知っている。
こう言って、きれぎれな言葉で
彼は屍を食うのを見た一情を物語った。
そして、忌まわしいように別れを告げてしまった。
同じ時刻に、
安岡が最後の息を吐き出すときに
旅行先で深谷が行方不明になった。
数日後、深谷の死骸が渚に打ち上げられていた。
人間の恐怖
その死骸は大理石のように半透明であった。
1977年発行。
門川書店。門川ホラー文庫。
一人で夜読むな。
新生年欠作戦回帰編。
より独了。読み終わりです。
確かにタイトルでネタバレしてますね。
ネタバレは僕は気にならないタイプですけど。
なんで死体を食ってた深谷君も死んじゃうんだろう。
渚に打ち上げられていた。
大理石のように半透明であった。どういうことなんですかね。
うーん。
なんという味わいでしょうか。
いかがでしょうか。はい。
なんか死体を食うことでパワーアップとかしてたらいいなと思うんだけど、
そうでもなかったしね。
だいぶ序盤で人玉が出る話が出て、
死体を食べに行こうとしている深谷を追っかけている安岡は
2人揃って人玉のように飛んだって書いてあったから、
うーん。2人とも人玉になっていたのか。
ちょっと分かりませんね。
皆さんどのように感じられたでしょうか。
はい。
話は大きく変わりまして、9月になりました。
前の2回目の9月2日分4日分はもう8月中に収録が進んでいたので、
9月になった僕はこれが初めての収録なんですけど。
そうですね。
月見バーガーの季節ですね。
てりたまと月見は何か欠かさず1回ぐらいは食べようという、
好きなんですよね。卵が挟んであるやつが。
はい。そういう季節になってまいりました。
僕の大好きなTBSラジオの東京ポット許可局でプチカシマさんが言っていますが、
お盆過ぎたらすぐ年末が来るからねっていう格言があるんですけど、
本当にこれから皆さん早いですからね本当に。
お盆過ぎたら本当に早いですよ。あっという間に8月終わったでしょう。
はい。もう9月10月11月12月すぐ終わります。
後ろにBRがつく月ね。
セプテンバー、オクトーバー、ノーベル、ディセンバーはすぐ終わりますよ。
あっという間に終わってしまいますが、1日1日を大切にしていきたいですね。
この前、通勤用の定期を半年分で更新したんですけど、
まだ半年この仕事を続けるのかなと思いながら更新しました。
全然プラス収支も出なくなってきたから畳むかなみたいなね。
そんな迷いもありながら、ここ何度か半年の定期を更新するために思いますね。
なかなか儲かりませんな。世知辛い世の中です。
連日まだまだ暑い日が続いていますが、皆様お体どうぞご安全にということで。
今日はこの辺で終わりにしますか。
無事に寝落ちできた方も最後までお付き合いいただけた方も大変にお疲れ様でした。
といったところで、今日のところはこの辺で。また次回お会いしましょう。おやすみなさい。