00:04
にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、プログラミング、ドルマークと円マークの話、というものです。
これまでにキーボードの記号としては、コロンとセミコロンの話をしました。
今回は、ドルマークと円マークの話をします。
ここでは、日本語キーボードを前提にします。
というのは、英語配列のキーボードには円マークの表記がないからです。
手をホームポジションに置いて、左手の中指を2段上に動かしたあたりに、数字の4キーがあると思います。
これを、右手の小指を少し伸ばして、シフトを押しながら同時に押すと、ドルマークが入力できます。
円マークはちょっと遠くて、右手の小指をぐっと右上の一番上に伸ばして、Enterキーの左上あたりのキーを押します。
この2つは、見た目はそのままドルとか円とかの通貨の記号ですよね。
コンピューターの世界では、通貨を表す以外の意味があります。
まずドルマークです。
初期のパソコンでは、電源を入れるとBASICという言語処理系が起動するものがほとんどでした。
BASICでは、変数名の後ろにドルマークがついた変数は文字列型という決まりでした。
多分、文字列を表すストリングから連想してそういう文法になったのではないかと思います。
Webアプリケーションを書くときに使われるPHP言語では、変数名はドルマークで始まるという決まりがあります。
メインフレームといわれる企業で使われているホストコンピューターの世界では、プログラムを実行するためにJCL、Job Control Languageというものを書きますが、
機種によってはそれをドルマークや円マークで書き始めるものがあります。
Excelでは、セルの絶対参照のときにドルマークを使います。
サーバーOSとして使われているLinuxでは、コマンドを操作するターミナルというものを使いますが、コマンドが入力できる状態のときに、行の頭にドルマークが出て、これをプロンプトと言います。
プロンプトはカスタマイズできるのでドルマークではないこともありますが、コンピューターはアメリカで発展したと言っても過言ではないので、
アメリカで使われていたキーボードにあったドルマークを特別な何かを表すときに使うようになったのだと思います。
対して円マークですが、これは日本で必要になってキーボードの中に入ったと思われます。
メインフレームはそもそもお金の計算に使うのが最初の使い方でしたから通貨記号は必須だったことでしょう。
03:04
パソコンの世界では日本は比較的早くから日本語化の取り組みをしていたので円マークが結構活躍しています。
コマンドラインインターフェースのDOSの日本語版では円マークをファイルのパスの区切りに使っていました。
それは今のWindowsでも見られます。
実はここで少し面白い現象があります。
英語版のDOSの世界ではファイルパスの区切り文字にバックスラッシュを使います。
スラッシュというのは右上から左下への斜線でキーボードのホームポジションに手を置いて右手の小指の一段下あたりにありますが、
この斜線が逆の向きになっているのがバックスラッシュです。
ここからは僕の想像なのですが、DOSが参考にしたOSはLinuxの前身であるUNIXだったと思われます。
UNIXではファイルのパスの区切りをスラッシュで表します。
DOSはあえてそれをバックスラッシュにしたのではないかと思います。
パソコンの世界では文字コード体系としてASCIIというものを使っていました。
日本ではASCIIを基にJIS-X0201というコード体系を作りましたが、その時にバックスラッシュのコードにNマークを割り当てたのです。
当時はコンピューターの処理能力があまりにもちっぽけだったので、日本語を表現するのにとても苦労していました。
そういう苦労の過程で起きた苦肉の策だったのではないかと思います。
そういう戦いがあって、今でもNマークとバックスラッシュが混ぜこぜに使われることがあります。
と言ってももちろん日本語を使う世界だけのことですが。
プログラミングの世界ではドルマークやNマークをこんな風に特別な意味を持たせて使うので、一般的な通貨記号ではない使い方だということを知っておくと良いでしょう。
記号は特別な意味を持っていることが多いので、あえて通貨記号のような記号を使った名前などをつけるのはやめておいた方が無難です。
というか、そういうのをITに詳しい人が見たら、たぶんやめろと強く言うと思いますよ。
読書と編集では、ITを特別なものではなく常識的なリテラシーとして広める活動をしています。
詳しい内容については概要欄のリンクから、または読書と編集と検索して猫がトップページに出てくるホームページをご覧ください。
この配信の書き起こしをnoteで連載しています。概要欄にリンクがありますのでフォローいただけると嬉しいです。
今日もワクワクする日でありますように。千葉直樹でした。ではまた。