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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
本日は、2023年最後の配信とさせていただきます。
今回は、シリーズでお届けしている、私の人生を変えた男、ドッグトレーナージョン・ロジャーソンの主催する、英国最大級の保護施設、私ドッグ&キャットホームで行われた、
彼の18日間プロム系セミナーの思い出話最終回とさせていただきます。
その後はですね、しばらく年始から1週間ぐらいは、私も家族とともに出かけたりしていますので、
ゲリラライブや雑談話などが中心になると思います。
犬のお話に関しては、1月の中頃から再開を予定しております。
だいぶ間が空いてしまいましたが、今回はこのセミナーの中で、私が一番印象に残った、
ボーダーコリーのリホーミングシステムについてお話をしようと思います。
レスキュー・保護・リトレーニング・トレーニング・リホームは、保護犬・猫たちに掲げられている共通の話での理念ですが、
このレスキュー・保護というのは、トレーニング、そしてリホーム、新しい家に引き取られる流れは一通りではありません。
特に犬たちに関しては、前回の配信でもお話ししたように、有能な犬は警察犬や母薬探知犬、介助犬やセラピードッグの専門トレーニングを受けて、
可能性があればその道の分野で才能を発揮することもできました。
発揮できる能力のある犬の可能性を引き出すこともまた、バタシーの理念の一つであるということを、
私がはっきりと知ったのは、ジョンのセミナー中盤で見た、ある牧場でのテストの光景でした。
バタシーには、クロストック、つまり日本でいうミックス犬や雑種犬が多く収容されていました。
その中でもコリークロスは多く、純粋なボーダーコリーたちも数多く収容されていました。
羊飼いが多いこの国では、ボーダーコリーはペットというよりも実用的な作業犬として飼われていたり、繁殖をされているということが少なからずあります。
牧場で作業犬として繁殖されてきた遺伝子を持つ優秀な牧羊犬が、家庭犬として都市部の一般家庭に引き取られることは、時として不幸を生みます。
近所の鶏を追いかけ、公園でランニングをしていたり、遊んでいる子どもたちを追いかけ、吠え、たまに噛みつく、
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そういう問題行動でもう飼えないとホームに連れて来られる牧羊犬は、悲しいことに多く存在します。
バタシーでは牧羊犬専用のトレーナーと審査員を設け、潜在的な能力のある牧羊犬が牧羊犬らしくその能力を適当な場所で発揮できるように、牧羊犬としての能力判定テストを受けることができます。
そのテストを、私はジョンのプロ向けセミナーで見学する機会がありました。
ちょうど私がその時に担当していた犬は、6歳ぐらいのボーダーコーリーさんで、その彼もそのテストに参加をしたんです。
といっても、私がハンドラーとしてできたことは、彼をその場に連れて行くことだけ、そのまま彼は担当者に連れて行かれ、後藤のヒキツジの入った柵の中に担当トレーナーと共に入りました。
ジョンがそのトレーナーが何を注意して見ているのか、羊や犬のどんなところを見ればいいのか、どんな犬が牧羊犬の素質があり、どんな犬にはないのか、それらを私たちセミナー受講生に説明をしてくれました。
私の担当していたボーダーコーリーさんは、ゆっくりとヒツジの周りを回り、適度な距離を保って近づいたり離れたりしていました。
その目はじっとヒツジに注がれていて、彼がとても集中していることがわかりました。
私はこの時、ボーダーコーリーの本来の牧羊犬としてのお仕事を初めて目の当たりにしました。
柵の中のトレーナーが犬とヒツジの間に割って入り、犬にリードをつけて柵の外に連れ出してジョンに何かを話しました。
ジョン曰く、あの子はもともと牧場で働いていたんでしょう。持っているポテンシャルがとても高い。
ヒツジに対しては冷静かつ集中力があり、攻撃的な仕草は見られない。高い注意力も持続する。
この子は年齢的に少し犯ではあるものの、少しリハビリのトレーニングをすれば、牧羊犬としてすぐに現場で働くことができるだろう。
一般家庭では少し役不足かもしれない。
ということでした。
私はこの子の穏やかだけれど頑固なところ、モチベーションが風土ではなく取り伝いということを知っていたので、
これだけヒツジに対してモチベーションを持つことが彼の能力であるということをはっきりと自覚しました。
そして彼が手放された問題が、自転車や子供を追いかけて走っていく、吠える、飛びかかる、といったものであったことも知っていました。
それがひとたびヒツジと牧場という適所が与えられたことで、
彼の持っている能力を発揮できるということは、私にとってはなんだかとても感動的な気づきの瞬間になったのです。
この他にも、この判定テスト、アセスメントを受けたボーダーコリーや牧羊犬たちがいました。
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どのような犬が牧羊犬としての素質があるのかということは、
見ているうちに英語の説明が完璧にはわからなくても、なんと長くわかるようになっていきました。
若く血気盛んなボーダーの子たちは、ヒツジを見るや否やヒツジを追いかけ、足元に噛みつこうとしていきます。
ヒツジに警戒されたり反撃されると、うろたえて吠え立てていました。
他にも、怯えて固まっているコリーさんや威嚇の姿勢を崩さないコリーさん、いろんな犬たちがいました。
それらの犬たちを見ていると、私が担当した彼が素質があると言われた意味がよくわかります。
ヒツジたちも犬たちに追われていることに慣れている経験豊富なヒツジですから、こうしたアセスメントには慣れているヒツジたちです。
そうしたヒツジたちを怖がらせたり怒らせたりすることなく、
人の意思を汲んだ犬がヒツジとの距離を測りながら意思疎通をしつつ移動させていく、これは犬とヒツジのある種の駆け引きであると私は理解しました。
ですが、経験値がなかったり素質がなかったりする犬は、たとえコリーであっても、ヒツジとの駆け引きではなく、
ヒツジを人の指示ではなく、犬自身の欲でコントロールしようとしてしまいます。
そうなるともう牧羊犬としてのお仕事はできません。犬はこの場では人の意思をヒツジに行動を通して伝えるメッセンジャーなのです。
牧羊犬としてヒツジ界のお仕事を手助けする犬たちは、本当に高度な集中力、人の意思を理解しヒツジに伝える能力、空間把握能力と抜群の体力、自分の衝動を抑えるセルフコントロール能力が求められます。
これだけの仕事を毎日のように何時間もヒツジ界たちと共にする牧羊犬たちにとって、きれいなお家の中で寝ていなさい、落ち着いていなさい、
お散歩中は何も追いかけず、何も見ず、何も考えずにただ人の隣について歩きなさい、というのはむしろ虐待に近いかもしれません。
犬を幸福にするのも不幸にするのも人なんだよ。犬の能力を正しく理解し、生かしきれないことは飼い主も犬も結果的に不幸にする、という言葉がこの光景とともに焼き付いています。
犬種を知り、犬種を選ぶということがこれだけ大切であること、それを知ったのはまさしくこのボーダーコリーのアセスメントテストでした。
一度は問題行動のために飼いきれないと手放された犬が、その素質と能力を見出されて、専属のトレーニングを受け、再びその能力を発揮するというシンデレラストーリーが私にとってはとても感動するものでした。
いかがでしたか?今回は私がジョンのセミナーで一番感動したボーダーコリーのリフォーミングアセスメントテストの思い出をお話ししました。
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こんな風に、パタシーでジョンはたくさんの貴重な体験と思い出を私に与えてくれました。
まさに私の人生を変えた男、ジョン・ロジャーソン。
そして、パタシードックス&キャットホームのトレーニングスタッフ、アリーは長けに渡り、パタシーの一線でマネージャーとして働き、私はその後も数回イギリスでアリーのお世話になりました。
実はこの冬、パタシーで17年の間、リトレーニングスタッフとしてボランティア活動をされていた日本人の方が日本に帰国され、アリーとジョン経由で私に連絡をくださいました。
素晴らしいご縁と絆が、こうして未だにつながっていること、とても嬉しく思っています。
私も彼女に、実際のところのパタシーでのお話、17年間に及ぶリフォーミング・トレーニングのお話なんかを聞いてみたいなと思っています。
それでは、2023年の通常配信は、こちらで最終回。
今年度も本当に本当にたくさんの方に聞いていただきまして、ありがとうございました。
私は犬の保育園の先生ということで、犬にまつわる雑談、トレーニングのお話、気づきのお話、私の体験したことや知見などをお話しする傍ら、
雑談配信、スタッフの中の交流のお話、たまには企画もので歌を歌ったり、ゲリラライブなんかもやっております。
そのすべてが私という人物を形作るものですので、どこの引き出しをどこの面を取っていただいても、なおちゃん先生という人物には変わりありません。
これからもマイペースに好きなことを好きなペースで配信をしていきたいと思います。
あなたのちょっと気になったところだけかいつまんでいただいて楽しんでいただくのも良し、すべてのなおちゃん先生を網羅していただくのも良し、
そんなマニアックな方はなかなかいないと思いますが、私も皆さんの配信を2024年も楽しみにいろんなところで聞かせていただきたいと思っています。
2023年も本当に最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
新しい年が皆さんにとって光り輝くものでありますように、スタンドFMでまた皆さんと楽しい時間を過ごせることを来年度も楽しみにしています。
最後まで聞いていただきありがとうございました。