落ち着かない子犬への理解
こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園N1クラブを運営しているドッグトレーナーのなおちゃん先生と申します。
20年以上、1000組を超える飼い主さんとワンちゃんに向き合ってきた経験から、コントロールよりコミュニケーションをテーマに、愛犬との心が通い合う関係づくりのお手伝いをしています。
先日は、「心に寄り添う優しいトレーニングの始め方」というテーマで、M&M's CBD様主催であるワンちゃんネコちゃんのウェルナッツセミナーに登壇させていただきました。
今週はセミナー中にお伝えしきれなかった内容やご質問にお答えをしています。
今回のテーマは、CBDオイルが使用できない落ち着かない子犬に対してできることとその考え方。
特に、ハッシュタグ2番のパピー、1歳未満の子犬さん、若いワンちゃんへ向けたお話となります。
まず、こんなご相談というのは本当に多いんですよね。
トイレができない、甘噛みやいたずらがひどくて落ち着かない、夜になると泣き続ける、離れると泣く、クレートに入れると泣いてしまう。
こういったご相談にリラックス効果やストレスの緩和を期待する効果のあるCBDオイルは使えますか?というご相談が時々あるということなんですけれども、
残念ながらCBDオイルは子犬さんには使えないんですね。
それではどうしたらいいのかなということをお伝えしていきます。
まず結論から言うと、1歳未満のワンちゃんというのは落ち着かないことがデフォルトなんです。
そのため、この落ち着かないということが通常運転、成長の途中なんですよね。
叱って押さえつけるよりも心と体を心地よく疲れさせて落ち着きのスイッチに導いてあげるということが一番安全でかつ長持ちしてくれるんです。
ここからは4つのポイントで整理をしていこうと思います。
1番、まずなぜ落ち着かないのかを知りましょう。
子犬さんがバタバタ、そわそわ、ぴょんぴょん、かみかみしていると、
この子は本当落ち着かないなとか、ちょっとわがまますぎるんじゃないの?と思いがちなんですが、
実はほとんどの場合、それは困っているというサインなんですよね。
例えば、眠たいのに自分でうまく落ち着けない。
刺激が多すぎて頭がオーバーヒートしている。
不安や寂しさで心がざわざわしている。
一人になることが怖い。だから泣く。
などです。
つまり、悪さをしたい。
いたずらしたいというわけではなくて、今の自分を持て余している。
という状態なんですよね。
これを間違えてしまうと、やめなさい!だめ!吠えないで!
という、やめさせる言葉掛けだけをかけてしまうと、子犬さんはさらに混乱してしまうんですよね。
なぜなら、自分でもどうしたらいいか分からないからです。
なので、スタートの地点は、この子は今どう感じているのかな?
ここになるんですよね。
なんで吠えているのか?なんで噛むのか?どうしてウロウロしているのか?
それを一つずつ、分かりやすく解析していくことが、トレーニングの入り口になっていきます。
2番目のポイントは、落ち着く時期を知るということです。
逆を返せば、その時期までは落ち着かないということを認識しておくこと。
これはとても大切です。
だいたい1歳半ぐらいまでは、全ての犬が落ち着かないと思っていただいてもいいんじゃないかな?と感じています。
犬は1歳になると大人というふうに言われますが、
実際は1歳半や、場合によっては2歳近くになるまで、体も脳もホルモンも未完成状態です。
高度面での安定した大人、成熟した大人であることを期待するのはちょっと難しいかな?という時期なんですよね。
いつになったら落ち着きますか?と聞かれることがあるんですが、
それは脳の発達が進むスピードと安心できる経験をどれだけ積んできたか、
そしてその子自身の個性のセットで決まります。
つまり、月齢だけでは決まらないということなんです。
7、8ヶ月ぐらいでグッと落ち着いちゃったよということもいれば、
2歳になっても全然落ち着かないよという子もいます。
逆に言うとですね、私たちの業界で小さい頃から変に落ち着いている子、
妙に落ち着き払っている子というのは、
ちょっとこの子、大丈夫かな?きちんと耳が聞こえてるかな?とか、目が見えてるかな?とか、
そういうふうに感じることすらあるんです。
お家の中で非常に落ち着いている子犬というのは、
外に出ると極端な怖がりだったりすることもあります。
ですので、ちょっと手を焼いてしまうぐらいやんちゃなことが子犬はデフォルトなんですよね。
だいたい3歳ぐらいになればみんな自然と落ち着いてきます。
それまではなかなか落ち着かないのが当然なので、
トレーニングの重要性
じゃあどうやって落ち着くサポートをしていったらいいのかな?という視点で飼えていきましょう。
このマインドだけでも飼い主さんの肩の力が抜けることも多いんですよ。
ポイント3、犬のトレーニングは落ち着け!の矯正ではないということです。
ここを誤解をしている方がとても多いので、はっきり言わせていただきます。
トレーニングというのは、言うことを聞かせるためのコマンドや命令の練習ではないんですよね。
トレーニングの本質というのは、
ワンちゃん自身、心と体をたくさん使っていただいて勉強することで、
心地よく疲れて落ち着いた状態、適度にやり切った状態に導いていくということなんですよね。
人間で言うと、体も頭もいい感じに使った後の、
満足してソファーでウトウトしたりですね、
お風呂に入って、ああ今日の仕事はよくできたな、みたいな感じで満足感を得る、といった感じでしょうか。
ただ走らせてクタクタにさせるとか、どなって動きを止めるとか、
叩いたり、体に負荷をかけて、ストレスを与えて動きを拘束するとか、そういうことではなくて、
楽しく頭と体を使って、ちゃんと心から満足して、安心して落ち着いて眠れる、
このルートを一緒に作るのがトレーニングになっていきます。
例えば、天髪が激しいなという時、叱って止めるというだけだと、
エネルギーの出口というのがどこにもいかないんですよね。
そうではなくて、ガチガチしてもOKなおもちゃを代わりに与えてあげて、
噛んでもいいよというものを教えてあげる。
持ってきてちょうだいありがとう、みたいな簡単なコミュニケーションが取れる遊びを取り入れる。
考える遊びであるノーズワークや宝探しを取り入れる。
こういったことであれば、子犬さんも喜んで取り組んでくれると思います。
こういったことを日常生活の中に取り込めると、噛みたい欲求が満足されますし、
頭を使って達成感が得られますし、飼い主さんと一緒にやると楽しいという、
飼い主さんと一緒に何かを行うことへのポジティブな経験が積まれていきます。
その後、すっと心地よく疲れて寝落ちができる。
この寝落ちするということが、落ち着いた状態になっていくわけなんですよね。
つまり、「落ち着け!落ち着け!」と命令して落ち着かせるんじゃなくて、
落ち着ける状態に持っていく。そのためにトレーニングをする。
これが子犬さんの時期に一番身につけてほしい、安心のルーティーンとエネルギー発散のためのトレーニングになります。
最後、ポイント4番です。散歩と犬同士の遊びだけでは不十分。
政権にも言えることですが、特に子犬で誤解されやすいのがこれ。
たくさん散歩させたら疲れるでしょ?
ドックランに行って仲良しのワンちゃんと走ったり、追いかけっこしたり、プロレスごっこすれば満足するでしょ?
落ち着かない仔犬の問題
そういうふうに思っている方、これは半分正解、半分はブブーNGなんですよね。
確かに体は疲れますよね。身体的な発散にはなります。
でもね、刺激が強すぎると逆にアドネラニンが上がりきってハイテンションのまま帰宅ということもすごく多いんです。
つまり、体は疲れているのに心が落ち着いていない状態がキープされてしまうんですよね。
これは特に大型犬の子犬さんに多いんじゃないかなと思います。
決まった時間に決まった公園で決まった犬友さんたちとたくさん遊ぶということが繰り返される結果、
時間になるとソワソワして、早く早くお散歩連れてってよと飼い主を急がせたりね。
リードをつけて外に出るとグイグイリードを引っ張ったり、
道行くワンちゃんは全員自分の遊べる友達と思って遊べないとワンワン吠えてしまったり。
そういう感じでね、実は犬と遊ばせるということの弊害もあるわけです。
ここで必要になってくるのが飼い主さんとの絆を深めるトレーニングになります。
これはエネルギー発散をただボールを追いかけるとか、他のワンちゃんと遊ぶとか、長い時間お散歩するということではなくて、
飼い主さんとの間にこうしてほしいな、こうしてくれると嬉しいよ、一緒にやると楽しいねという絆を深めるトレーニングになります。
具体的には、アイコンタクト、目と目を合わせる行動をとって、
うん、見てるよ、ありがとうと伝える時間をお散歩の中にたくさんとりましょう。
手に鼻をつけるタッチというゲームを教えて、
愛犬さんが離れていても手を出してタッチと呼べば帰ってくるというようなゲームを一日に何回もやってみてください。
簡単な探してみようの遊びを一緒にやって、できたらすごいねという感じで喜びを共有します。
この時紙コップなどをいくつか使って、一つだけおやつが入っているというような形の宝探しをすると後片付けも楽ですよ。
そして一日の中でワンちゃんがゆっくり自分の個室、プライベートな空間であるクレートやサークルの中で寝る時間を作ってあげる。
安心の場所としてこのクレートやサークルを作っていくということになります。
こういったことは全部達成感や安心感、飼い主さんと一緒にやることって楽しいという信頼感を育てていくトレーニングになります。
この飼い主さんとの信頼ベースがある子は夜泣きや一人にすると泣き続けるが落ち着いていきやすいです。
反対にここが弱いまま、体力だけ発散すると静かにならないまま、ただ心が荒れた状態で終わってしまうんです。
だからこそ散歩や犬同士だけのじゃれ合い、体力的な発散だけでは足りないんですよね。
それでは今回のまとめは、落ち着かないイコールワガママではなく、ほとんどが困っているよということの際、
1歳半までぐらいは落ち着かないガチャガチャしていて当たり前。
トレーニングは黙らせるということではなくて、満足させて安心に導くこと。
散歩や他の犬同士の遊びだけじゃなくて、飼い主さんとの小さな成功体験の積み重ねが安心できる落ち着きのある犬を育てるということになります。
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それでは今回はここまで。
次回は、怖がりで外出が嫌いなワンちゃんにできることはないか?
そんなご質問にお答えしていきたいと思います。
週明け月曜日の配信となります。
それでは今回も最後まで聞いていただきありがとうございました。