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今回のエピソードに手術する、ローソン、施設、授業手経は、すべて架空です。
各駅停車しか止まらない、小さな駅を一つ作りたいんです。
改札は一つ、ホームも一つ、駅ビルもタワーマンションもありません。
改札を出ると、木のベンチが二つ、
その少し先からパンの焼ける匂いがする。
誰かを待つ人と、まだ帰りたくない人が、同じ駅前に座っている。
駅の名前は未定駅。 今日はこの駅から、人生の空欄を隠さず暮らせる街を作ります。
東京都24番目の空、未定区、作ります。
ハオー!あなただけのゲイとも、東風亭ウルフです。
この番組未定で結構は、恋愛、家族、孤独、将来のこと、生きてく中でまだ答えの出ていないことや、名前のないモヤモヤを、少しずつ言葉にしていくポッドキャストです。
うまくまとまってなくて大丈夫。結論が出てなくても大丈夫。
未定のままで結構です。 今回は妄想都市開発です。
東京都は23区ございます。 若者が夢を追う街、家族が暮らす街、
建築と家賃で互いの立場をうっすら確認し合う街。 でもまだ人生を決めていない人の街はあまりありません。
街の広告を見ると、新婚向け、子育て世帯向け、老後見据えた住まい、人生のコース料理が、まだメニューも開いてないのに勝手に運ばれてくる。
だから今日は、住みながら何者になるか考えられる街を作ります。
まず駅です。 駅は小田急線の京都駅から二両編成の支線を一つ伸ばします。
路線名は小田急未定線。終点が未定駅です。
もちろん小田急電鉄さんにはまだ相談をしておりません。急に支線を増やされることになります。大変申し訳ございません。
急行も快速急行もなくすべて各駅停車。ロマンスカーも止まりません。
なぜならロマンスがなくても暮らせる街だからです。
未定駅の時計は普通に正確です。未定と遅刻は別の問題です。
改札を出ると小さな広場。大きな木の下に木のベンチ。
二人用に一人で座ってもいい。一人でいる人を寂しい人と決めつけてはいけません。
03:05
未定駅条例第1条です。
駅前で最初に見えるのはパン屋のそのうちベーカリー。
店前の黒板には毎朝こう書かれます。
本日のおすすめ。まだ焼けていません。
開店に間に合ってません。
1週間続いたら開店時間を変更します。
優しさと経営は両立させます。
そのうちベーカリーで一番人気は少し形の崩れたクロワッサン。
商品名は思ってたんと違う。
何回焼いても理想の形にならへんかったんでそのまま売り出しました。
食べてみると普通に美味しい。
未定駅では思っていた形にならへんかったものをすぐ失敗とは呼びません。
ただし焦げたものだけは廃棄します。
全部を肯定する町というわけではありません。
そのうちベーカリーの隣には花屋の咲くかもしれない。
つぼみの花を売ります。
咲かなかったら交換できますか?
という質問には交換はできませんが一緒に様子を見ます。
という答え。
未定駅ではすぐに結果が出えへんかったものを一人で待つ必要はありません。
駅から徒歩7分のところに未定銀座商店街があります。
実際の銀座との関係はありません。
この商店街の歴史はこれから作ります。
捏造はしません。少しずつ持っていきます。
商店街には個人店とチェーン店を半分ずつ。
誰とも話したくない。
いつもと同じものを食べたい。
そんな日のためにサイゼリアがあります。
この街には結論の出えへん話をする人が多いからです。
仕事やめようかな。
別れた方がいいかな。
東京に残るべきかな。
高級レストランやと料理と一緒に話も結論へ進めるような気がする。
でもサイゼリアならミラノフードリアを食べながら
同じ話を3週も4週もできます。
話がまとまらへんかってもドリンクバーだけはおかわりできる。
そのサイゼリアの迎えには餃子の王将。
人生がわからへん日に餃子はあまりにも具体的です。
熱い。うまい。ニンニクが強い。
問題は解決しないけれど一度口の中を餃子でいっぱいにできる。
ミテイクではこれを問題の一時避難と呼びます。
そうな商店街の角にはシャトレーゼ。
06:01
会社を辞めなかった日。
病院を予約できた日。
嫌な誘いを断れた日。
ニュースにならない出来事もシュークリーム1個でお祝いします。
看板には本日の小さな祝賀会開催中と書いてあります。
商店街を抜けると平屋のユニクロ。
この町の住民は人生の大きな選択だけでかなり疲れています。
仕事を続けるのか。誰かに連絡をするのか。
一人で生きていくのか。もう脳みそは十分働いています。
だから朝ぐらいは白いTシャツと黒いパンツでいい。
ミテイクのユニクロは服ではなく迷わない朝を売っています。
店員さんはお似合いですねではなく、
今日はどちらが楽ですかというふうに声をかけます。
試着室には三面鏡を置きません。
自分を三方向から反省しなくていいようにするためです。
そして住宅地にはミテイガオカ住宅を作ります。
間取りは1LDKでも2LDKでもなく1LDKプラス保留。
リビングの隣に用途を決めなくていい6畳間があります。
仕事部屋でも趣味の部屋でもいつか誰かのために開けておいてもいい。
壁や収納は暮らしに合わせて動かせます。
普通の家は住む人を間取りに合わせます。
でもミテイクでは間取りの方が住む人を待っています。
1階には住民用の食堂兼ラウンジ、ただいまの間。
帰ったときに誰かの生活音が聞こえる。
でも話しかけなくていい。
一人にしてほしい日と一人では痛くない日、
その両方に対応します。
そんな食堂兼ラウンジで誰かがカレーを作ると人が集まる。
飲食費は材料費を集まった人数で割ります。
ただし玉ねぎを切ってくれた人は50円引き、
玉ねぎを切っている最中に目が痛くなった人はそこからさらに20円引き。
ミテイクは労働の痛みを細かく評価します。
そして毎週土曜日、駅前では途中市が開かれます。
3日で飽きた編み物、1章だけ書いた小説、
1度しか弾かなかったギター、出せなかった退職届、
誰かの挫折が別の人の始まりになる市場です。
この編み物を続きを編んでもいいですか?
もちろん。
完成したら店に来てもいいですか?
完成しなくてもまた来てください。
こんな声があちらこちらで聞かれます。
ミテイクでは完成だけが再開の条件ではありません。
09:03
そしてミテイクの中心に作るのがミテイク役所。
入口には未処理のままお入りください。
と書いてあります。
1階は幸せ申請か。
幸せになりたいんですが。
ではこちらにご記入をお願いいたします。
提出期限はありますか?
ありません。
審査は生きている間ずっとです。
不備があったら人間なので大体あります。
申請書の質問は一つだけ。
あなたはどんな時に少し安心しますか?
ちゃんとわからなくたって受理します。
そしてミテイク役所の2階は黒歴史保護センター。
昔のSNS寄って送った長文メッセージ。
似合っていなかった髪型。
できれば燃やしたいんですが。
申し訳ありません。
こちら重要文化財です。
返してください。
申し訳ございません。
国宝への申請を検討しています。
今すぐ返してください。
3階は嫉妬救急外来。
友人が結婚しました。
おめでたいですね。
はい。でも苦しいんです。
先生は胸の音を聞いて言います。
半分は祝福ですね。
はい。
そして半分出血しています。
この病院では嫉妬を悪者にしません。
痛むのは自分にも欲しかったものがあるから。
処方されるのは1日分の診断書。
本日は他人の幸福から距離をとってよい。
裏面にはサイゼリアでの反省会話かと書いてあります。
その隣には受け取れなかった幸福。
再配達窓口。
愛されていたのに信じることができなかった人。
褒められていたのにお世辞だと思ってしまった人。
差し出された手を怖くて振り払ってしまった人。
職員さんが倉庫の奥から小さな箱を持ってきます。
こちら10年前に届いています。
あの、今からでも受け取ることはできますか?
はい。少し形は変わってしまっていますが、
過去はやり直せない。
でも愛されていた事実を今の自分が受け取り直すことはできる。
ミテイクでは幸福にも再配達があります。
ミテイクができて半年後、
12:00
1人の男性が白いTシャツと黒いパンツでミテイカオカ住宅を出ます。
そのうちベーカリーで思ってたのと違う。
を買う。
駅前のベンチには毎日会社を辞めようか迷っている田中さん。
今日こそ辞めるかもしれません。
その決意何パーセントくらいですか?
昨日が2パーセントで、今日は3パーセントです。
ミテイクでは1パーセントでも前進です。
昼過ぎ、男性のスマートフォンに
友達から結婚しました、というLINEが届きます。
男性はおめでとうと返信をします。
心の底から本当にそう思っている。
でも同時に胸の奥で何かが少し裂ける。
自分だけ人生が始まっていない気がする。
そんな時、男性はミテイク役所へ向かいます。
問題は何も解決しません。
結婚も仕事も将来も何も変わっていない。
でもここに来ると男性は
自分が傷ついているということだけは分かったようです。
そんな帰り道、途中位置では田中さんが
今日も出せなかった退職届を並べています。
何枚あるんですか?
今で125枚です。
もう辞めない方がいいんじゃないですか?
それもまだ決めていません。
夜、喫茶、結婚で話を聞くだけセットを頼みます。
マスターは何も解決してくれません。
ただそうだったんですね、というふうに言います。
店を出るとただいまの間からカレーの匂いがします。
今日も余ってますよ。
男性は少し迷ってから食卓に座ります。
問題はまだ何も解決していない。
でも一人で解決しなくていい夜がある。
未定区はそういう街です。
これは全部僕の妄想です。
もちろん妄想です。
小田急未定線も、未定駅も、未定が丘住宅も、未定区役所も、
そんなものどこにも存在していないです。
小田急電鉄は突然視線を増やされることをまだ知らないですし、
ユニクロの試着室、普通に3免許置いてあるとこありますね。
餃子の王将も人生の問題を一時避難させることについて
公式見解は出してないですし。
でもね、存在してないからこそ、
どんな街なら暮らしたいかを自由に考えることができます。
未定区は傷ついた人が逃げ込むだけの街ではありません。
傷ついた後、また誰かと笑う街でありたい。
15:04
決まってないままパンを買い、電車に乗り、
餃子を食べて明日を迎える街です。
未定であることは、人生が空っぽだということではありません。
まだ何かが入る、そんな余白があるということです。
未定役の改札を出た右側には、大きな空き地を一つ残します。
そこに何を作るかは今は決めてません。
それは公園かもしれへんし、学校かもしれへんし、
まだ名前のあらへん施設かもしれません。
住民が変わるなら街だって変わったっていいや。
この番組だってそんな小さな駅になれたら、そんな風に思います。
少し降りて、ベンチに座って、また乗りたくなった時に
自分の電車へ戻っていける場所。
ということで、見ていく都市開発計画を発表します。
小田急電鉄にはまず車材から入ります。
区民税は無料です。住民票もいりません。
改札を出た右側にはまだ空き地があります。
あなたならそこに何を作りますか?
お店でも公園でも変な制度でもかまいません。
こんな場所があったら自分は少し行きやすい。
そう思うものをぜひ番組に送ってください。
次にこの街に立つものを決めるのは、僕ではなく、
あなたなのかもしれません。
それではまた、各駅停車しか止まらない
未定駅の木のベンチで、次に会える時まで
未定のままで結構です。
今回のお相手は、あなただけの芸人も
豆腐手ウルフでした。
さいちゃーん!