#21 幸せだったのは、何もなかった日かもしれない。
2026-09-29 13:20

#21 幸せだったのは、何もなかった日かもしれない。

もし人生から一日だけ、
「何も起きなかった日」に戻れるとしたら。


僕が思い浮かべたのは、
日付すら覚えていない、ある休日でした。


あなたなら、どの日を選びますか。

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サマリー

人生から「何も起きなかった日」を一日だけ保存できるなら、どの日を選ぶかを考える。話者は、昔ある人と過ごした、会話や食事も特別ではない休日を思い浮かべる。その日は当時ただの退屈な日だったが、今振り返ると、同じ部屋で別々のことをしながら自然に一緒にいられたこと自体が大切だったと気づく。記憶に残る出来事と人生で大切な日とは同じではなく、何も起きなかった日にも幸せな時間があったのかもしれない。今の普通の日も、いつか戻りたいと思う一日になる可能性があるが、無理に一瞬一瞬を味わおうとしなくてもよく、普通の日は普通の日のままでいいと語る。

保存したい、何も起きなかった休日
もし、人生の中から1日だけそのまま保存できるとしたら、あなたはどの日を選びますか?
写真や動画ではなくて、その日の部屋の温度も、匂いも、聞こえていた音も、誰かの声も、その時自分が何を感じていたのかまで、全部そのまま保存できる。
そして、いつでもその1日の中に戻ることができる。 そんなサービスがあったとします。
ただし、このサービスには一つだけ条件があります。 誕生日とか、旅行に行った日とか、何かを達成した日とか、
そういう特別やったとわかる日は保存できません。 選べるのは何も起きなかった1日だけです。
ハオー! あなただけのゲートも東風亭ウルフです。
この番組未定で結構は、恋愛、家族、孤独、将来のこと、 生きていく中でまだ答えの出ていないことや名前のないモヤモヤを少しずつ言葉にしていくポッドキャストです。
うまくまとまってなくて大丈夫。結論が出てなくても大丈夫。 未定のままで結構です。
さて冒頭フックのさっきの話なんですけど、人生から1日だけ保存できるとして、 しかもそれは何も起きなかった日しか選べないとして、僕やったらどの日にするんやろうってふと考えてみたんです。
そしたらね多分ね僕は日付すらわからない日を選ぶと思うんですよ。 もういつやったんかも覚えてない。季節も多分曖昧です。 それが何曜日やったのかもわからへん。
昔ある人と一緒に過ごしていた頃のなんでもない休日。 多分僕らは家にいます。
どこにも出かけてない。 2人で何か特別なことをしたわけでもない。
同じ部屋にはおるんやけどそれぞれ別のことをしている。 片方はスマホを触っていて、片方はテレビを見ていたり、
当たり前に返ってきた声
そのうちどっちかが眠くなってちょっと横になったり、 テーブルにはコンビニかスーパーで買ってきた何かが置いてある。
飲みかけのペットボトルとか、 開けっぱなしのお菓子とか。
もしかすると食べ終わったもののゴミがそのままになってたかもしれへん。 全然美しくないんですよ。映画にできるような一日じゃない。
むしろ映画やったら多分丸ごとカットされるような日です。 何にも起きへんから。
それでもね多分会話はしてるんですよね。 何を話したかはもう全然覚えてない。
もしかしたら何食べるとか、これ見てーとか、今日どうするーとか、 もしかしたら返事すら適当やったかもしれへん。
うーんとか、あとでーとか、なんかそのぐらいの会話。 でもね考えてみると僕が保存したいのはその会話の内容というわけじゃないんですよ。
その人に話しかければ返事が返ってくる。 それが普通やと思ってたこと。多分それを保存したいんです。
何かを相談したいわけでもない。 聞いてほしい話があるわけでもない。
ただ、ねえって言ったら、何?って返ってくる。 それが
その頃の僕にとっては当たり前でした。 もちろん当時はそんなものを保存しておこうなんて思いません。
だってそれが明日もあると思ってるから。 今日と似たような休日がまたやってくるって思ってるから。
今日を全部覚えておく必要なんてない。 テーブルの上に何があったかなんて覚えてなくていい。
どんな服を着ていたかも、何を食べたかも、どんなくだらない話をしたかも、またやればいいから。
また話せばいいから。 だから忘れていく。
多分僕らはまたあるって思ってる時間ほどちゃんと覚えておこうとしないんですよね。
同じ一日をそのまま過ごしたい
じゃあ、もしその1日だけ僕がもう一度その日に戻れるとしたら、僕は何をするんでしょう?
最初はね、もっとちゃんと話すのかなと思ったんです。 相手にもっと優しくするとか、もっと相手のことを見ておくとか、何か特別な言葉を伝えるとか。
でもね、多分全部違うんですよ。 僕はね、何も変えたくないんですよね。
その1日を、同じ1日を、全く同じようになぞって過ごしたい。 相手がスマホを触ってるならそのままでいてほしいし、僕も僕で多分どうでもいいことをしていたい。
ご飯だって多分当時と同じものを食べたい。 会話だって無理に増やしたいとかない。
実はこの時間が大切なんやで、なんて当時の2人に教えたくもない。 ただ1つだけ、今の僕はこの日が永遠には続かないということを知っている。
その状態でもう一度同じ部屋に座ってみたい。 多分そうすれば見えるものが変わると思うんです。
何も変わってないのに。
テーブルに置いてあるどうでもいい飲み物を見て、 あ、これ飲んでたんやって思ったり、いつもやったら気にも止めへんかった相手の声を聞いて、
あ、こんな声やったなって思ったり。 くだらない話をされて、内容より先にこの人が今僕に話しかけているということを感じたり、
多分、多分僕は何回も時計を見ると思うんです。 あと何時間あるんやろ。
あ、もう夕方か。 もう夜か。
もう寝る時間か。 この1日が終わったら僕はまた今の自分に戻る。
そう分かってるから。 でもこれってものすごく意地悪な話ですよね。
当時の僕にはそれができないんですよ。 時計を何回も見るって、何回も僕に話しかけてくれてるって感じたり、
あ、この人の声ってこんなやったよねとか、今こんな飲んでんねやとか、そういうことをすることはできないんですよ。
だって当時の僕は終わるなんて知らへんから。
今日が後から戻りたい1日に変わるなんて知るわけがないんです。 だってただの休日ですから。
当時の僕は退屈に思ってたかもしれへん。 むしろ僕、暇やなーとか言ってたかもしれへん。
せっかく一緒にいられるのに、ずっとスマホを触ってたかもしれへん。
でも今思うと、その暇やなって思えること自体がすごく贅沢やったんですよね。
この人とは何かをしていなくても一緒にいられる。 会話が途切れても気まずくない。
何時間も同じ部屋におって何にも起きへん。 その何も起きないを当時の僕は何とも思っていなかった。
特別な日はもちろん覚えてます。 旅行に行った日なら写真も残ってる。
美味しいものを食べたら店の名前もわかるかもしれへん。 誕生日なら日付だってわかる。
でも僕が今、もう一度戻ってみた一日は、 何月何日あったのか、いつだったのかすらわからへん。
記憶に残る日と大切な日
これちょっと不思議ですよね。 人生の中で大切に思える一日と、
記憶に残る一日は同じじゃないのかもしれません。
僕たちは多分、覚えている出来事を並べて自分の人生を説明します。
あの時こんなことがあって、ここで人生が変わって、 この人と出会って、ここで別れて、こんな風に人生を説明するんでしょう。
でもその間には説明する必要すらない日が何百日も何千日もあるんです。
僕が今思い浮かべているあの日も、人生を説明する時には多分登場しません。
何も起きてないから。
でも何も起きなかったから価値がない日だったわけではないんです。
多分僕はその日を保存しておきたいというより、
あの日が確かにあったということをもう一度体ごと思い出してみたいんだと思います。
その人がそこにいた。
僕もそこにいた。
特別な予定はなかった。
何者かになろうともしていなかった。
何かを達成しようともしていなかった。
ただ同じ部屋でそれぞれ別のことをしていた。
それだけ。
でもそれだけの時間を今の僕は少し羨ましく思う。
戻りたいというのとは少し違います。
やり直したいわけでもない。
今の方が不幸ですとかっていうことでもない。
あの頃に戻ってずっとそこにいたいわけでもない。
ただ僕には確かにこういう日があったんやなって一回だけ触り直してみたいんです。
そしてここまで考えて僕は少し怖くなったんです。
僕が今こんな風に思い出しているあの一日もその日の僕にとってはただの今日という日だったんです。
今の普通の日もいつかの宝物になる
だとしたら今の僕が今日は何もなかったなって思っている一日もいつかの僕から見たら同じなのかもしれない。
何年か経って生活が変わって今当たり前に話している誰かと話さなくなったり
今当たり前に見ている景色がなくなってしまったり
今当たり前にやっていることをやらなくなったりした時に
あの頃の一日に戻れるならっていう風に考える。
そしてその時の僕が選ぶ一日が今日じゃないとは言い切れないんですよね。
でもだからって今日を大切にしようとかは僕あんまり言いたくなくって
なんていうか一瞬一瞬をかみしめて生きようなんてそんな無理やん。
普通の日は普通の日です。
暇なもんは暇やしつまらん日はつまらないです。
早く終わればええのになって思う日だってある。
スマホだって触るしくだらないことでイライラもする。
でもそれでいいんです。
多分僕が今日、昔のあの一日に戻ったとしても
最初の一時間くらいは全部ありがたがっていても
そのうち普通にスマホを見ると思います。
人間って多分そんなものなんでしょうね。
でもそれでもいいから何もなかった日を
何もなかったから僕の人生には何も残っていない
みたいな風に思わなくてもいいのかもしれません。
だって僕が今もう一度だけ戻ってみたい一日は
何も起きなかった日なんですから。
特別な日は覚えてる。
でも人生の大半は覚えてない日でできている。
そして僕は多分その覚えていない日々の中にも
ちゃんと幸せだった時間があったんやと思います。
当時は幸せだなんて思ってなかったかもしれへん。
普通としか思ってなかったかもしれへん。
でも幸せだったことって
幸せだった瞬間に気づけるとは限らないんですよね。
まだ終わっていないかもしれない一日
だからもしかすると幸せだったと
いつか振り返ることになる時間が
今も続いているのかもしれません。
あなたがもし人生から一日だけ保存できるとしたら
どんな普通の日を残しますか?
何かを達成した日じゃなくて
旅行した日でもなくて
写真すら一枚も残っていないような日
誰がそこにいて、何をしていて
どんなどうでもいい話をしていましたが
もし一日だけ戻れるなら
あなたはその一日の何を見ていたいでしょう?
そしてもしかしたらあなたがいつか
もう一度保存したいと思う一日は
まだ終わっていないのかもしれません。
だってこの番組は
未定で結構ですから。
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