新学期と外部講師招聘の意義
こんにちは。岐阜県の工業高校で教員をしているすみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、
そこで働く人たちの思い、そして工業高校の教育の魅力をお届けしていきます。
さて、新学期もスタートして、いろんな授業が始まってきましたが、
授業を進めると同時に、3年生には進路選択ということを、
これから考えていってもらわなきゃいけないんですよね。
そのためには、いろいろな会社の人や外部講師の人を呼んで、
学校の先生以外の大人の話を聞くということを意図的に取り入れています。
特にこの4月はドタバタする中ですけれども、
そのドタバタしているからこそ隙間時間ができるので、
その時間に話をしてもらっています。
これは毎年私の方からお願いして行っているんですけれども、
私自身が非常に勉強になるっていうこともありますね。
やはり学校の中にいるだけではわからない、
一般企業で今何が起きているのかということがよくわかるので、
生徒のためだけではなく、私自身の勉強にもなっています。
津田氏との出会いと講座の導入
さて、今回お呼びした外部講師は津田さんという方なんですけれども、
あらゆる企業で新人研修を行ったりとか、管理職研修を行ったりとか、
そういった研修を中心に授業を行っておられる方ですね。
当初はですね、私野球部の顧問をしていたときに、
津田さんに野球部の生徒にこの話をいつもしてもらっていました。
野球と何が関係あるのかっていうことなんですけれども、
この津田さんの話というのは、自分の意見を持つことであったりとか、
みんなの意見をまとめるってことを中心に、
そういった手法を教えてくれるんです。
これは野球で言うとですね、チームという組織を作る上ではとても重要なことですし、
野球を通じて学ぶことの重要な一つだと思っていたからです。
しかしこれは野球だけの話では当然ありません。
一般の生徒にもこれは重要なことだと思っていますから、
私が学科長になったときに、
これを航空機械工学科の3年生に展開しているわけです。
ブレインストーミングとファシリテーションの解説
具体的な内容というのは、聞いたことあるかどうか分かりませんけれども、
ブレインストーミングという手法とファシリテーションについて話をしてもらいました。
ブレインストーミングというのは、あるテーマについて複数人が自由にアイデアを出し、
すぐに正解や不正解を求めずに、
まずは量と広がりを重視して発想する手法として一般的に説明されている方法です。
またファシリテーションというのは、会議や対話の場で参加者の発言を引き出し、
意見を整理して議論を広げたり収束させたりしながら、
合意形成や前向きな結論につなげる技法ということで説明されています。
AI時代における重要スキルとしての考察
このブレインストーミングやファシリテーションというのは、
これはこれからもっともっと重要になってくる人間のスキルじゃないかなと思っています。
今AIに聞けばどんな質問でもパッと返してくれますよね。
私もよく使っています。
しかしそれが本当に自分の意見かどうかというのはまた違いますよね。
それは参考までにするけれども、
自分の気持ちというのはそれとはまた別にあるかもしれませんし、
それを参考にして気持ちが明確になるかもしれません。
そして大事なのは、その自分の意見として出たものを伝えるということなんですよね。
どのようにしたら伝わりやすいのか、そういったことができなければ、
自分の意見を組織の中に反映することはできませんよね。
それはとても悔しい思いをすることになります。
そしてもう一つ大事なのは、自分の意見を持ち合った時に、
それぞれの人の意見をいかに引き出し、
そして整理していくのかということが大事ですよね。
やはり3人揃えば文字の知恵なんてことを言いますけれども、
いろいろな人が意見を言えば言うほど、
質の高い答えにはなっていくと思いますけれども、
それをまとめるのって大変なことなんですよね。
しかし今言っていることは、AIではできないことです。
人間にしかできないことですから、
これからのスキルとしては身につけて欲しいなというふうに思っています。
意見を言いやすい雰囲気作りの重要性
そして今回もう一つ大きな柱は、
自分の意見を言う力と同じぐらい、
意見を言える空気を作る力ということなんですよね。
どういうことかというと、自分の意見を言っても、
否定されないとか、茶化されないとか、笑われないとか、
そういったことがない安心安全な場を作るというのは、
とても重要なことなんです。
しかし最近こういったことができる場というのが、
少なくなっているのかもしれません。
それはですね、やはり正解というものがあって、
正解がいかに多いかで評価されてきた生徒たちですから、
間違うということは非常に恐怖なんですよね。
でも世の中を見てみると、
本当に正解か正解じゃないかなんて分からないことばっかりなんですよね。
ですからみんなでいろんな視点からいろんな意見を出すということが大事なんです。
だけども正解しか許されない雰囲気では、
自分の意見ってなかなか言いづらいですよね。
実践的な雰囲気作りの方法と効果
なので、例えばですよ。
これはもう今日この瞬間からしてみてください。
誰かの話を聞くときに、うんうんとうなずいて、
そうだね、確かにそうだと合図打ちを打ったりとか、
こういうことなんだねっていうことを概ししてみるとか、
そういったことをしていく雰囲気というのが大事なんです。
これは単に授業の話だけではなく、
社会に出てからも必要な人間関係の土台として必要になってくることですよね。
そんなことをこの津田さんに今回やっていただきました。
その結果ですね、非常に気持ちよく話せたっていう生徒たちが多かったですね。
そして最後発表する場があったんですけども、
今まで全体の場で積極的に話すことのなさそうな生徒が積極的に手を挙げて、
恥ずかしそうながらも一生懸命話す姿がありました。
それって多分失敗してもいいとか許されるんだっていう雰囲気を感じたから、
そうやって立候補したんじゃないかなって思いました。
でもそれすごく大事ですよね。
失敗を許容する環境と成長
世の中出たら失敗ってなかなか許されないじゃないですか。
生徒の時代っていうのは失敗してなんぼなんですよ。
だけどみんな先ほども話したけども、
正解の数が多ければ良いというふうに評価されてきましたからね。
間違えたくないんです。
でも間違えたくないからといって、
アクションを起こさなければ失敗もないですけども、成長もないですよ。
ですから、これは自分自身の意見をちゃんと伝えるということ、
みんながしあえるような安心・安全な雰囲気を作るというのは、
やっぱり学校のクラスという組織の中ではすごく重要なことだというふうに感じました。
安心・安全な雰囲気っていうのは、
挑戦を促すための土台なんじゃないかなということなんです。
そういった雰囲気のクラスになれるように、
学級経営を手助けしていきたいなというふうに思っています。
大人の役割と「待つ」ことの意味
ただ、この正解の数が多ければ良いという、
こういった評価はですね、大人がしてるんですよね。
ですから、私もいろんな親を見てきましたけども、
本人の言葉を待つ前にですね、
自分の正解を喋っちゃうという方結構いるんですよ。
私もそうだったかもしれませんので、
注意したいなというふうに思ってますけども、
これはですね、子供のことを思うがあまり失敗させないように、
転ばないように先回りして正解を渡してしまうってこと、
これはあるんです。
これは失敗したら人格まで否定されるんじゃないかなっていうような、
まあ例えば、本人が傷つかないようにするっていうことの
現れかもしれません。
しかし、自分の意見を持つってことは、
自分で自分の本音に気づき、
そして人生を自分で選んでいくというためには絶対に必要なことなんです。
ですから大人の役割というのは、正解をすぐ教えることではなく、
本人の言葉を待つということなんですよね。
待つって言うと、
放っておけばいいのかって言ったら、そういうことではないんですよね。
本人が自分の本音や考えに気づいて、
それを言葉にして、
そこから自分で選択できるようになるまで、
先回りしすぎずに支える、そして見守ることなんですよね。
待つことと本人の違い、
これは大人にとっては課題の一つなのかもしれません。
大人への階段と人生選択
生徒は大人への階段を一歩一歩踏み出していきます。
その過程の中で、自分の気持ちを言葉にしたとき、
そしてその言葉を尊重しながら、
自分の人生を選択していったとき、
初めて大人に近づいていくっていうことなんじゃないかなというふうに考えています。
逆に子供のことを思って失敗させないと思えば思うほど、
結果として、もしかして本人から人生を選ぶ力を奪ってしまっているかもしれません。
これには気をつけたいですよね。
講座の実践と今後の展望
津田さんの講義の中では最後、実習は10人パートで行うんですけども、
その10人がこの1年どのようなルールで実習を行っていくのかという、
おきてを3つ作ってもらいました。
そのおきては、毎回の実習の前に、
みんなで振り返りながら確認して、10人全てが心がけながら、
失敗を恐れずにこの1年間、
意見を出し合って頑張ってやってほしいなというふうに思っています。
今回の話は外部講師に来ていただいて、
自分の意見を持つということ、
それをまとめるということ、
そして意見の言いやすい雰囲気を作るということ、
そんなことを生徒とともに学びました。
番組情報と新年度へのメッセージ
今週は部登録もあって、
1年生は部活動にもいよいよ本格的に参加し始めるという、
そんな時期です。
ゴールデンウィークも控えてますけども、
このういういしいこの4月を暖かく見守っていきたいなと思っています。
未来をつなぐものづくりでは、
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ではまた来週お会いしましょう。さようなら。