春の訪れと悲しい出来事
こんにちは。岐阜県の工業高校で教員をしているすみです。
この番組、未来をつなぐものづくりでは、日本の製造業を支える企業の技術や、
そこで働く人たちの思い、そして工業高校の教育の魅力をお届けしていきます。
もう新学期も間近に控えてきました。
桜ももう散り始めています。
なんとか入学式まで持つといいなと思っていましたが、ちょっと難しそうですね。
春の訪れは桜だけではなく、いろいろなところで見えます。
その一つにツバメが戻ってきたんですよね。
ツバメは職員室の下の階段のちょっとした隙間に巣を作って、昨年ヒナを育てていたんですけども、
スズメにヒナを落とされたり、カラスに食べられそうになったり、
そんな中、私たちも負傷したヒナを拾って、
餌をあげて、大きくなるまで育てて、また巣に戻して、一緒に巣立ちを楽しみしてたんですよね。
しかし最後の最後でカラスに食べられてしまったんですよね。
とても悲しい思いをしましたけれども、カラスも必死ですからね。
なんとも言えないです。
しかし今年はですね、なんとか巣立ちまでヒナを成長させたいなという思いでいます。
昨年の反省をもとにカラスの習性やスズメの習性なんかも勉強して、ちょっと工夫していきたいなというふうに思っています。
アルテミス計画:月への新たな挑戦
さて最近のニュースでとても興味あるニュースがありましたよ。
何かと言いましたら、NASAのアルテミス計画で月へ人が向かっているということなんですよね。
アポロ計画以来の宇宙探査ということで、これは宇宙業界ではかなり盛り上がっているんですけども、
そもそもアルテミス計画って自分にはちょっと遠い話だなとか、ロケットとか専門家の話でしょとか、そう思う方も多いかもしれません。
でもこれは結構この岐阜県にも関わりある話になってきそうなんですよね。
なぜなら月へ行くということはロケット一本で成り立つ話ではないからです。
そこには機械や材料、加工や制御、電力や通信、移動技術、そして人を安全に運ぶ技術が全部つながってますからね。
つまり地上のものづくりの総力戦なんです。
今4人の宇宙飛行士を乗せた有人飛行が無事打ち上げられ、約10日間かけて月の近くを回り込み、地球へ帰ってくる計画が進んでいるんです。
月の裏側を回ってくるんですよね。
NASAはこれを50年以上ぶりの重要な一歩と位置づけているんですよね。
今日はこのアルテミス計画を入り口にしながら、月を回って帰るってどれだけ難しいことなのかとか、
その先にどんな未来があるのか、そして岐阜の産業がどうなっていくのかということをちょっとお話ししたいなというふうに思います。
まず最初に今回のアルテミス計画の何がすごいのかということですね。
ここをシンプルに押さえたいと思います。
NASAの発表によりますと、アルテミスⅡは4人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられ、約10日間の有人飛行テストを行います。
目的はただ月を見に行くというだけではありません。
宇宙船オリオンの生命維持、飛行通信運用、そして宇宙で人が安全に活動するためのシステムを実際に人を乗せて確かめることなんです。
つまり将来本当に人が月面で活動するための土台作りなんです。
ここが大事なんですよね。
アポロ計画というのは月へ行くということが目的だったんです。
でも今回のアルテミス計画はそこから一歩進んでいます。
これから先、行って終わりではなく月で活動を続ける時代をどう作るかというところに挑んでいるんですよね。
だからアルテミス計画は派手な一発勝負のイベントではなくて、
次の月面活動とか、その次の月面着陸、そしてその先の火星探査につながる始めの一歩なんです。
月への往復の難しさと精密さ
ここでぜひ宇宙に詳しくない人にもイメージしてほしいんですけど、
月まで行くっていうことはどのぐらい大変かっていうことですよね。
もちろん遠いっていうこともあるんですけども、
NASAの説明では、まず地球の周りの楕円軌道に入って、
その後6分間のエンジン噴射を行って地球の軌道を離れるんですよね。
そして月へ向かい、そして月の重力も移動しながらまた地球へ戻ってくるということなんです。
これは単純に遠くへ飛ぶ話だけではなく、正確に軌道に入って、正確なタイミングで加速し、
そして正確な軌道で月を回って、そしてその軌道を離脱して、
また地球の軌道に戻ってくるというミッションなんですよね。
これはなかなか難しいんですよ。
見えない場所にある動く輪っかに向かって何日も先の位置を計算して、
ボールを投げ、その輪っかの重力みたいな力を使ってまた元に戻ってくる、
まあそんなイメージなんですよね。
具体例で挙げるとしたら、例えば大谷翔平のスナイパー、わかりますか?
アルテミス計画の今後とトヨタの役割
スライダーは横に曲がりながら少し落ちると、地球の重力に引っ張られて落ちていくんですけども、
スナイパーというのはストレートと同じ軌道で真横に動くんですよね。
もう真球みたいなものです。
このスナイパーを軌道を読み切って、バットもその軌道に合わせて、
ドンピシャで当てて、そしてホームランにする、
なんてことを3球4球連続で繰り返すことができるようなくらい難しいです。
だからこそ月を回って帰ってくるっていうのはロマンがあるっていうのと同時に、
精度と信頼の極限の話なんですよね。
また月の向こう側って通信できないんですよね。
なのでそういった問題もあったりして、これがうまくいくかどうかっていうのは注目してるんです。
じゃあこの月を周回して戻ってきたことで、
この先この計画どんな風に進んでいくのかということなんですけども、
2028年に月面着陸につなげて、
その後は少なくとも毎年1回の月面着陸を目指すという計画らしいんですよね。
ですからアルテミス計画というのは月へ継続的に行く能力をつけるということなんです。
1回月に行っておしまいではなしに何回も月に行くということなんですよね。
そして月で生活する、月で活動するということも見据えています。
ですからロケットだけではなくて、月へ行ったその先に車両で動いたりとか、
住居を作ったりとか、食べ物を作ったりとか、水を作ったりとか、
そういったこともこれから必要になってくるということなんですよね。
ここでぜひ注目してほしいのがトヨタ自動車なんですよね。
トヨタって車を作る会社ですよねっていうところなんですけども、
宇宙とは一見関係なさそうなんですけども、
実は月で移動するための車を作っているんです。
ルナクルーザーって言うんですけどもね。
ただこれはなかなか難しいんですよ。
月面は地球の6分の1の重力で真空です。
しかも強い放射線や温度はマイナス170度から120度までの激しい温度差があります。
そしてレゴリスと呼ばれる細かい月の砂に覆われた非常に過酷な環境なんです。
そんな中で人が安全かつ快適に移動できる乗り物を作ろうとしているんです。
宇宙開発と聞くとJAXAがやることなんじゃないとか、
NASAがやることなんじゃないとか、
もしくはスペースXじゃない、ボーイングじゃないなんてことを考える人が多いと思いますが、
でも月面で走ると言ったらやっぱり車の知識、経験、製造ができる会社じゃないとできないんですよね。
トヨタの強みはランドクルーザーとか荒れた土地でも走り抜ける頑丈な車を作ってますよね。
岐阜県の航空宇宙産業と未来への展望
月の表面もクレーターとか岩場っていうのがあって同じような状況あるんですよね。
そして燃料電池車もやってますよね。水素と酸素があれば排出物は水と、あとは電気が作れるという燃料電池車ですけども、
そういったものが月で活躍するだろうというふうに言われています。
じゃあ海外の自動車メーカーじゃダメなのかっていうことなんですけども、
例えばGMとかアメリカの自動車会社ですけども、
アポロ時代の実績はあるんですけども、無人技術というものが中心なんですよね。
人が乗って動くというものじゃなしに、人が乗らずに動くものが中心なんですよね。
じゃあテスラはどうなんですかっていうことなんですけども、テスラとかスペースXっていうのはロケットに特化しますからね。
地上走行車両の長期耐久性っていうのはあまり信頼性がないみたいです。
やはりランドクルーザーの走波性というのはかなり信頼性が高いということと、
未来などで使われている燃料電池車の実績というのは、
これは世界の自動車メーカーから見たらトヨタが一歩先に出ているということみたいですね。
ですから海外のメーカーというのは、航空中にプラスして自動車技術なんですけども、
トヨタは100%自動車の技術を宇宙に応用しているということではかなり強みがあるんですよね。
そしてここからですよね、話は。
NASAの話もしくはトヨタの話なんて聞くと、
すごいけど自分たちとはちょっと遠い話だなというふうに思うかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか。
岐阜県は航空宇宙産業の集積地なんですよ。
岐阜県の航空宇宙産業は事業所が55もあって、
従業員数は7263名、
そして製造品の出荷額というのは2500億円ということで、
全国でも上位の規模なんです。
さらにそれを支えるサプライチェーンというのが構築されています。
ですから実際に航空宇宙の部品を作っている会社というのはたくさんあるんです。
そして自動車部品もたくさんあります。
そういう地域ということを考えると、
県内企業が宇宙関連機器や人工衛星に関わってくるということも、
これも現実的な話なんですよね。
ですから今回アルテミス計画で、
月に人類が向かっているという事実の背景には、
エピソードのまとめとリスナーへのメッセージ
これから岐阜県の航空宇宙産業が、
それに関わって貢献していく可能性があるということでもあるんですよね。
今日は月へ向かうアルテミス計画について話をさせていただきました。
今人類は月へ向かおうとしています。
でもそれは昔と同じ月へ行けるかどうかという挑戦ではなく、
月でどう生きるか、どう生活するかというところなんですよね。
そしてそれは地上の産業と密接につながっています。
もし宇宙にあまり興味がないという人がいたら、
今日これだけはちょっと頭の片隅に置いておいてください。
宇宙は空の話ではなく、地上のものづくりの延長線上にあるということなんですね。
ですから工業高校の皆さんは、今学んでいる技術というのは、
いずれ航空機、もしくはロケット、そして人工衛星、
もしくは月面車につながっていく話なのかもしれませんよ。
そういったことを考えて、
ワクワクしながらものづくりに取り組んでほしいなというふうに思います。
未来へつなぐものづくりは毎週月曜日朝7時に配信しております。
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日々の取り組みの様子がご覧いただけます。
ではまた来週お会いしましょう。さよなら。