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『舞い降りた天使|朗読版』#1ー③
2026-08-22 18:10

『舞い降りた天使|朗読版』#1ー③

家事、子育て、仕事に追われ、自分を見失いかけた主婦・徳永真穂。

夫との関係、娘の不登校、そして職場の年下の同僚・栗原との出会い。

恋と家族の絆を通して、一人の女性が少しずつ自分自身を取り戻していく、大人の女性のための恋愛ヒューマンドラマです。

人生に疲れた一人の女性が、もう一度、自分の人生を生きようとする物語。

彼女を救ってくれた『天使』は、思いもよらない人物だった……


『舞い降りた天使』は、「官能小説コンテスト」ノミネート作品。(大人のケータイ官能小説運営事務局主催)


本番組では、作品をより多くの方に楽しんでいただけるよう、一部の表現を調整した朗読版をお届けします。

朗読版ではお届けしていないシーンを含む完全版は、携帯官能小説サイトにてお楽しみいただけます。


『無料で読める大人のケータイ携帯官能小説』

https://kanno-novel.jp/viewstory/index/16146/?guid=ON


どうぞ最後までお楽しみください。

ぜひ、朗読版と完全版、それぞれの形で『舞い降りた天使』の世界をお楽しみください。


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朗読……比田井彩歌

    福山和恵

イメージソング……もりもり

録音・編集……たりお

演出……有馬 優美子

音響制作……Moon Magic


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著作権について

本作品および朗読音源は、著作権法によって保護されています。

作品本文、朗読音源、文章、設定等の無断転載・無断複製・無断配布・無断公開・無断利用はご遠慮ください。

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00:17
第3話 何なんだろう。 栗原くんは妙に楽しそうにハーブティーを入れ始め、
そしてしばらくすると、カップを両手に持ち、 満足そうに私のところへ戻ってきた。
どうぞ。 あ、ありがとう。
そして栗原くんは、 私にカップを渡すと、
なぜか私の隣の席に腰を下ろした。 く、栗原くん?
はい。 あ、あの、
なんで隣に座ってんの? なんでこんなに早く来たの?
なんでハーブティー置いてったの? って聞きたいんですか?
あ、うん、まあ、 もう仕事始めますよね?
あ、うん。 お昼休憩は12時からですか?
そのつもりだけど。 じゃあ、俺も。
え、返事はその時しますね。 じゃ、それまで頑張りましょう。
え、ちょ、栗原くん? 栗原くんは少しいたずらっぽく笑うと、
自分の席へと歩いて行ってしまった。 え、
何?私、 騙されそうになってる?
このハーブティー、 実はすごく高額で売り付けられるとか?
そ、そうなの? 昨日の優しい言葉も全部そのため?
昨日ちょっと感動して泣いたりしたのに、 あれ全部計画的?
いやいや、まさか、 あの栗原くんがそんなことするはずがない。
しかも、同じ職場の私にそんなこと? でも、もしそうだとしたら、
最悪、どうやって断ればいいんだろう? 私はそんなことを考えながら、
キーボードを叩き始めた。 少し離れた場所に座っている、
03:00
栗原くんの後ろ姿をチラ見しながら。 でもそれから、
だんだんとフロアに人が増え始め、 栗原くんの後ろ姿が見えづらくなってきた頃には、
売り付けられそうになったら断ればいいや。 そもそもお金なんてないんだし、とか、
だいたい栗原くんが優しくしてくれるなんて おかしいと思ってたんだよね、と、
私は思うようになっていった。 徳永さん、打ち合わせいいですか?
あ、はい、大丈夫です。 しばらくして、私はチームリーダーに声をかけられ、
別の会議室で打ち合わせをすることになった。 その打ち合わせが終わったのは12時半。
それからすぐに、私はお昼の休憩を取ることにした。 栗原くんに伝えたお昼休憩の12時を過ぎていて、
ちょっと気にはなったけど、フロアに栗原くんの姿はなく、 私は持参したお弁当を持って休憩室へと向かった。
休憩室といっても、 ただテーブルと椅子があるだけ。
この時間に食事を取る人は少なくて、 昼食はみんな外に出ることが多いから、
大抵私はここで一人きりなんだけど。 あ、徳永さん遅かったですね。
今日は一人きりではなさそうだった。 ミーティング入ってしまって。
あ、そうなんですね。 アプリの締め切り近いですもんね。
うん、そうなの。 どうぞ。
え? どうぞ。
栗原くんは、自分の座っている席の隣の椅子を引いて、 私に座るよう促した、怪しい天使のような笑顔で、
あ、でも適当に作ったお弁当見られるの恥ずかしいな。
本当のことだ。私のお弁当は、 残り物のおかずや冷凍食品を詰めただけのもの。
それを栗原くんに見られるのはちょっと恥ずかしかった。
大丈夫ですよ。そんなの気にしないし。
私は気にするから。
じゃあ答えませんよ。今朝の質問。
そんな。答えは聞きたい。正直気になる。
06:03
けど聞いてしまったら、 ハーブティーを売りつけられるかもしれない。
んー、さ、座ってください。 俺、そんな悪人じゃないですから。
え?私はその言葉に驚いて、目を丸くしてしまった。
だって、悪人じゃない、なんて。
私の心の中を見られているみたいだもの。
急にグイグイ来られたらびっくりしますよね。
まあ、すみません。
ちゃんと説明するから座ってください。
急に真面目な顔で私を見つめる栗原くんは、
今までの印象とは違って少し大人びて見えた。
わ、わかりました。
ちゃんとはっきりさせた方がいい。
そう思った私は栗原くんの隣に座り、
お弁当をテーブルの上に置いた。
気になるからお弁当を食べる前に話聞かせてくれる?
わかりました。
そう言った栗原くんは真面目な顔で私を見つめた。
その視線がなんだか辛くて、
私は椅子を横に移動させて栗原くんから少し離れると、
視線を外してお弁当を見つめた。
もちろん見られたくない荒れた手は膝の上で握りしめたままで、
一言で言うと、
きっと栗原くんはこう言う。
ハーブティー買ってください。
そうに決まってる。
そしてもう2杯も飲んでしまっている私は、
一箱だけ買ってしまうかもしれない。
でもそれで最後にしてもらおう。
私そんなお金持っていないって正直に話そう。
そう決意した時、栗原くんの落ち着いた声が左耳に届いた。
友達になりたくて。
そ、そう来たか。
友達になって断れない状況に追い詰める作戦?
ダメダメ、今きっぱりと断らないと。
栗原くんが、
わ、私と友達になりたいなんておかしいよね。
09:03
本当はもっと違う理由があるんじゃない?
すると栗原くんは椅子に座ったまま私の方に体を向け、
ちょっと困った顔で私を見つめた後、
ごめんなさいと頭を下げた。
それを見て私は内心こう思った。
やっぱりって。
利用しようとしてたんだ、私のことって。
徳永さん結婚してるからやっぱガード固いですね。
だからもう正直に言います。
俺、徳永さんのこと放っておけませんでした。
え?どういうこと?
意味がわからなくて私が返事できないでいると、
栗原くんは少し低い声で話を続けた。
心配で仕方なくて、つい。
心配って?
俺聞いちゃったんです。
先週廊下で徳永さんが電話で話してるの。
電話?
桜ちゃんのことで話してましたよね。
多分先生か誰かと。
ああ、王の先生だ。
それは多分桜の具合が悪かった日のこと?
その日、桜は学童保育で突然具合が悪くなって、
王の先生が私に電話をかけてくれたんだけど、
仕事でトラブルがあって、王の先生からの電話が私までつながらず、
私は王の先生から注意を受けていた。
タイミング悪くパパも電話に出なかったらしく、
王の先生の注意はいつもより強めだったっけ?
あげく、王の先生の注意は電話に出なかったことだけでなく、
桜が体調を崩したのは私の食生活の管理や日々のケアが足りないからだと話し始めて、
私は何度も謝っていたと思う。
それ、見られてたんだ。
いたんだ、栗原君。
偶然通りかかって、それからずっと気になってて。
それで徳永さんに話しかけました。
恥ずかしいな。恥ずかしくなんてないです。
12:01
恥ずかしいよ。どうしてですか?
全然ダメだから。
何がですか?
何がって、何もかも全部。
私は栗原君が思っているようないいお母さんじゃないから。
何言ってるんですか。いいお母さんじゃないですか。
どこが?この私のどこがいいお母さんだっていうの?
王の先生との会話、聞いてたんでしょ?
正直、そう思った。
昨日は栗原君の優しい言葉に泣いてしまったけど、
何も知らないのに、
簡単にそんなこと言わないでよ、と、
いいお母さんなわけないじゃない。
いつもいつも注意されてばかりなのよ。
きっと桜だって、
よそのお母さんの方がいいって思ってる。
そんなことないですよ。
どうして?どうしてそんなこと言えるの?
栗原君は何も知らないじゃない。
そこまで言った後、
自分が発したあまりにもひどい言葉に、
はっと我に返った。
と同時に、
自分の目に涙があふれていることに気づいた。
あ、ご、ごめんなさい、ひどいこと言って。
そんなことが言いたかったんじゃないの。
そんなふうに思ってなんかなくて。
あ、すると突然、
栗原君は、
膝の上で握りしめている私の荒れた手の上に、
そっと優しく自分の手を重ねた。
いいんです、本当のことだから。
徳永さんの言う通り、
俺は何も知らないです。
だから声をかけました。
徳永さんの話し相手になりたいです。
え、いや、あの、
ダメだ。
握られた手が気になって話が入ってこない。
愚痴を聞いたりしたいです。
さくらちゃんの話も聞きたいです。
人には話せない、
さくらちゃんの自慢話も聞きたいです。
栗原君はそこまで話すと、
さらにぎゅっと私の手を握りしめた。
あの、栗原君。
はい。
手、だから手が、
あ、もう友達感覚になってました。
15:01
と、友達って。
だから友達っていうか、
話し相手って感じでいいんで、
電話番号教えてください。
俺、かけますから。
何が何だか全く理解できない。
どうして栗原君がそんなことを言うのか、
どうしてこんな私にそんなことを言ってくれるのか、
全く理由はわからなかったけど、
握られてた手のことを気にしているふりをしながら、
本当は少し嬉しくて、
本当は栗原君に話だけでも聞いてほしくて、
もし栗原君が何か企んでいたとしても、
それでもいいかな、なんて思ったりして、
だから私は、
栗原君と携帯番号とメールアドレスを交換してしまったんだ。
仕方ないなってお芝居をしながら、
あの笑顔の裏で、
栗原君は何かを企んでいるかもしれないのに、
でも私のつまらない愚痴を少しでも聞いてくれるのなら、
私は栗原君に騙されてもいい、
そう思ってしまうほど、
その時の私は、
孤独という暗闇の中にいた。
第1章 第3話 朗読 ひだいあやか
福山和
福山和
福山和
福山和
18:01
福山和
福山和
18:10

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