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京都の夜は、青い。孤独な夜を知る人へ贈る物語「ビボう六」【物語の路地を歩く②】
2026-07-21 52:56

京都の夜は、青い。孤独な夜を知る人へ贈る物語「ビボう六」【物語の路地を歩く②】

物語の路地を歩く📚京都滋賀小説②「ビボう六」


今回は「京都文学賞」から/『ビボう六』と作者・佐藤ゆき乃さん/タイトルは不思議だけどはまっている/作者さんと廣瀬、世代が近い/夜の京都を描く妙/夜と昼を行ったり来たり/メインキャラクター:ゴンスって何者?/妖怪ゴンスの見た目、どう想像するか/あまりに淡く純粋な恋/小日向さんの現実はハード/ルッキズムとSNS、今の子はしんどいよねという話/神様・仏様と隣り合う街、京都/二条城の夜、独特の空気感/京都の夜の静けさと孤独/北野天満宮と妖怪ストリート/おばあちゃんの虐待「め」と「ぬ」がわからない/欠点を面白がってくれる人の尊さ/夜の青さ、それは喫茶ソワレの色/京都の夜を描く「赤」とになりがち/装丁の色使い、絶妙/この作品のジャンルは何なのか/もう一つの受賞作「流れる」も気になる/森見登美彦作品との対比/ゴンス、なぜ字が書けない?/ビボう1、ビボう2…と続くメモ/土蜘蛛=嫌われ者というテーマ/変身譚として『山月記』を思い出した廣瀬/このエピソードを聴いた皆さんにぜひ手に取ってほしい


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00:02
【物語の路地を歩く】この番組は、京都や滋賀にまつわる小説について、長く文芸担当をされていた安倍さんと一緒に語られます。ニュース編集部の広瀬さと子です。
経営企画局の安倍智敏です。
リサーチャーをニュース編集部の原さんにお願いしています。
出版業界には有名なもので言うと、アクター川翔とか直樹翔とか、最近だと書店員さんが選ぶ本屋大将なんていうのも含めて、本当にジャンル分けしていくと本当にたくさんの翔がありますね。
前回紹介した真木芽学さんも直樹翔作家さん、8月の5章グラウンドとか、そういった章を受賞される作家さんもいらっしゃって、そういう中に実は京都の名前がついた文学章があると。
そうですね。
今日紹介させていただくのは、京都文学章を受賞した美貌六という作品になります。
著書は佐藤幸野さんと言います。
あらすじから紹介していきます。
出版社の西馬舎さんのホームページから引用させていただきます。
憎しんからの暴力や養子のコンプレックス、かなわない恋に苦しみ、生きるのがつらい小雛。
彼女は夜の京都に落下し、これまでの記憶を失った。
そこで出会ったのは土蜘蛛の怪獣ゴンス。
物忘れが激しいため、美貌六という帳面を持ち歩き、忘れたくないことを書き留めているのだった。
ゴンスは小雛が元の世界に戻れるよう手助けをするうち、恋心をどんどん募らせていくという。
ちょっと可愛らしい印象をいただくのがあらすじです。
ファンタジーなのかな、ひどく言うと。
ちょっと作者さんのプロフィールも確認したいと思います。
これもホームページの方から引用させていただきます。
佐藤幸野さん、1998年生まれ。
岩手県二宮市出身。関数寺の二に扉の方で二宮市ですね。
2017年に立命館大学文学部に進学。
大学中は京都市内で創されています。
2022年に本作美貌六で第三回京都文学賞を受賞。一般部門の最優秀賞ですね。
03:07
2023年に流れるで岩手、宮城、福島、未来文学賞も受賞されていると。
さっきから美貌六、美貌六って言ってるんですけど、
たぶん皆さん思い浮かべてる備える忘れる六画の六ではなくて、
美貌がカタカナで、五がひらがな、六は関数寺の六なんですね。
すごい不思議なタイトルですね。
でもいわゆる美貌六の意味も小説を読めばわかってくるという形かな。
これもともと受賞されたときは美貌のところが、
元々の備える忘れるに関数寺六で美貌六だったのが、
カタカナ、ひらがな、漢字混じりの不思議なタイトルに変わった。
不思議なタイトルだよね、確かに。
でもこれ、いいタイトルだと思います。
作品の世界観がここに詰まっている。
テーマも詰まっているし、六番目って。
でも今、最近の小説のタイトルとしてはちょっと変わっているというか、
普通タイトルで中身が想像できるようにタイトルつける方が、
プロモーション的にもというか、わかりやすいよね。
でもこれは、え、何?っていう感じで、
読んだら、なるほどこのタイトルかっていうのはストンとくるけど、
そもそもどんな小説かをイメージ全くさせないかなという気が。
全く想像つかないですね。
で、作品についてはちょっと、なかなか言葉でうまく説明していけるかわからないけれど、
まずこの作者の人は98年生まれで、2017年、立命館に入学。
かなり若い世代の作家さんで、
ひろしさんとは世代的にどれくらい違う?
えっと私92年なので、大体大学切りかぶらないぐらいですけど、
同世代感はある?
ちょっと若いけど、でもこう、なんて言うでしょう、
感覚としてはかなり近いとこがあるのかなって読んでて思いましたね。
今回、この、あれ話していいんかな?
どうぞお願いします。
この作品でちょっと話してみようって思ったのは、
京都ってやっぱりいろんなその表情とかあるけれど、
夜の街、夜がいいなっていう風に個人的に思っていて、
京都の夜を描いた小説っていろいろ思い浮かべるけれど、
06:01
その中でもかなりいいなというか好きな小説で、
この作品で夜の京都についてちょっと話ができるかなというので選んだんですが、
この物語の構造として、
昼のシーンというか、この小比夏さんの暮らす昼のシーンと、
夜のシーンというのを行ったり来たりするような形で進んでいきますね。
章ごとに世界が切り替わるというか、
夜のパート、昼のパートっていうのがいいのか、
ファンタジーのパートと現実のパートというのがいいのか、
夜の世界を語るファンタジー的なパートと、
その次には小比夏さんの現実を生きている小比夏さんの昼のパート。
その中でも夜は出てくるけれど、
皮肉的にその夜と昼が交互に訪れる。
このファンタジーの世界観としては、
永遠に夜が続く京都というものがあって、
それをなかなか言葉で説明するのは難しいけど、
とにかく読んでもらいたいという。
それで、特にその夜のパートというのは、
風景の描写自体は基本リアリズムというか、
実際にある京都の風景なんだけれど、
それがそのままファンタジーになっているというのが、
すごいいいなと思って。
大体出てくる場所としては、
二条城とか、北の天満宮さんとか、
あと偽音のあたりですね。
あと河原町にある喫茶ソワレさんとかが、
実際にお名前も出てきてというところで、
やっぱり京都住んでいる方とか、
学生時代に過ごした方には、
ああ、あそこかというのがすごく分かりよい作品ではありましたね。
まずこの冒頭は二条城の周辺から始まって、
掘りに落ちてしまった小比奈田さんを、
ゴンスが見つけるというシーンから始まるんですけれども。
この二条城のシーンが印象的だなと思うけど、
ちょっと一旦遡って、ゴンスって何ですか?
って話をしておくと。
ゴンスっていうのは、
土蜘蛛の怪獣っていう紹介の仕方なんですけど、
なんて言ったらいいんですかね。
妖怪、こういう生き物ですっていうのは、
あんまり出てこないね。
ルーツとして、獣語に出てくる土蜘蛛の話で、
09:06
その蜘蛛が8本足なのが6本になってるんだよね、ゴンスが。
そうですね。いろいろあって6本になったんだっていうことで、
そもそもこの数少ない登場人物のうちの名キャラクターが、
すでに不思議な存在でっていうファンタジーが、
もうそこから始まっているんですよね。
さっき言った夜のパート、昼のパートで言うと、
夜のパートの主人公は、ゴンスが主人公というか語り手になり、
小日向さんとともに夜の京都を延々と散歩をして、
いろんなところに出かけていくという話で、
このゴンスっていうのは描写的には、
でも結構大きいんだよね、1.何メートルとか。
最初にまあまあ大きいっていう。
だから巨大な蜘蛛と一緒に京都を散歩してるって言って、
映像的にはかなり気持ち悪いような気もするけれど、
でも想定の表紙のイラストは結構シュッとした感じになっていて、
どっちで想像して読んだらいいのかなとか思いながら読んだりしたんですけど。
これは全く蜘蛛を想像して、
私もどっちかっていうとトロールチックな大きさというか。
だから映像にしたらちょっとどうかなと思うんだけど、
でもまあとにかくこのゴンスというのがいい味を出しているというか。
そうなんですよね、すごく純粋でというか、
ものすごく真っさらな気持ちで小日向さんに恋をしていくという、
まあ切ないんですよね、ずっと。
ゴンスは自分が怪獣だというのもわかっているし、
人間とのかなわぬ恋といえばそうなのかもしれないけれど。
そういう種族の違いがどうとかというより、
小日向さんという人がどこから来たのかとか、
これからどこへ帰っていくのかとか、
そういうことをほんのり自分で理解していて、
それでも今一緒にいる時間を大事にしたいんだという慈しみというか、
なんかそういう優しさみたいなものはずっと夜のパートには流れていて、
それがすごくいいんですよね。
これがだから人間の形をした妖怪とかというのと違うというのも面白いなと思って。
そうですね。
だから読み手に与える印象としても、
これが何かいわゆるイケメン的なというのと全然違うよね、やっぱり。
なんかそういうものじゃないから、こっちもこう想像して、
その優しさをこう何て言うんでしょう、
まっすぐ受け止めることができるみたいなところが。
という気がするな。
で、一方で昼のパートの小日向さんというのは、
12:01
何、彼氏がいて、その彼氏が。
そうですね、ちょっとあんまりいい奴じゃないって。
DV彼氏ね。
とか自分の幼い頃のDVの記憶、家族からちょっとね、しんどい暴力を受けたりとか。
自分の養子のコンプレックスの話もありましたね。
何て言うんでしょう、ここすごい現代チックだなって思って。
今の女の子ってSNSとかこういうもので見た目の良し悪しによってすごく比較されるということが、
どんどんどんどんリアルに自分にダイレクトに影響が出てきてしまってるとか、
それを何か気にせずに生きていくっていうことがすごく多分難しくなってるんじゃないかなと思ってて。
私ぐらいまでがギリギリそれをその一番高んな子、真十代の前半とかに、
まあもうギリギリ感じなくても済んだかなっていう最後の世代。
もうこの佐藤さんぐらいの世代からもう結構、スマホがもう多分中高生ぐらいから持っててみたいな、
辛いだとするとなんかそういう息苦しさとか傷つきやすさっていうのはあるのかなって思いながら読みましたね。
そうそう、ちょっと話脱線するかもしれないけど、
小比奈田さんは、だから自分が美しくないというか、もっとあり得ると見にくい、
ブスであるっていう意識を持っていて、そこに生きづらさって言ったら単純化しすぎかもしれないけれど、
そういう意識の中で他人と比べられたり自分で比べたりっていうところの苦しさみたいなものを抱えるとともに、
肉体的な暴力、美衆に伴う精神的な暴力みたいなのにも受けているという女性だけど、
これって今の話脱線するというのは、
現代になればなるほど、そういうのってルッキズムとかって言われて批判されていて、
かつてはそれこそ養子で差別を受けてみたいな話が、だんだん社会的にはそういうのはおかしいっていうのが高まっているようにも思うのが、
実態としては今さっき広瀬さん言ったように、ますますそういうものに対するプレッシャーというか。
これを私が世代を代表して喋っていいかどうかちょっと置いといて、
なんか感じることとしては、ルッキズムはダメですよとか、そういうふうに判断するのをやめましょうって言いながらも、
結局見た目がいいか悪いかっていうことは人間のその判断にものすごく深く根付いているし、
15:00
それを利用したコンテンツというものがもうあふれかえっていて、
それがスマホなりSNSなりの普及に伴ってものすごくどんどん身近になっていった結果、
みんなそのSNSの中で芸能人と自分を比べるみたいなすごい極端な話ですけど、
自分のアイコンの隣に例えば橋本カンナの顔があるとか、もうしょうがないじゃないですか。
それがなんかもうすでに手元にある現実だっていうところになんか、なんていうんでしょう、返りというか、
口ではみんなそう言うけどみたいな。
それは多分、
口では言うし悪いこととされているとかっていうのと、
実際にこう当事者としてどう意識するかっていうのは違うのかなというか、
ますますなんとなく息苦しくなるっていうか、
出ると思いますね、なんか。
生まれながらにもうすでになんか差のある要素の一つとして、
多分若い人たちは多分私よりももっとなんか、
なんていうんでしょう、息づらさの一つとして抱えているものなのかなって思います。
そういう現実を生きるこひなたさんが、
夜の京都にどういうきっかけかって言ったらあれだけど、迷い込んできて、
ゴンスと出会うと。
なんていうんでしょう、スタートからいきなりすごく不思議じゃないですか。
いきなり落ちたところで妖怪が大丈夫ですか、
ときにこんばんはって声をかけてくるっていう、
その親親みたいなファンタジーが、
私はなんかこう、なぜか京都の街とマッチしてるなっていうのを、
まあいろんな作品にも感じるんですけど、
今回この美王録では一番強く感じて、
なんでかなって思ったんですけど、
それはやっぱりこの作者の方が過ごした京都での時間っていうのは、
たぶん私が京都で学生時代過ごした時間とほぼ重なるというか。
変な街だった。
変さってなんだろうって考えたんですよ。
ゴンスが出てきてもおかしくないっていうこと。
ちょっとそこは飛躍があるかもしれないんですけど、
京都ってすごく変な街じゃないですか。
みんな変だとは言わないけど、
何が変かっていうと、お寺さんとか大きい神社とかが、
街並みに急にポンって出てくるっていう。
観光に来られた方はたぶんそこめがけていくから、
全然その感じが気にならないかもしれないんですけど、
歴史的な建造物と生活感のある建物がすぐ隣にあるみたいな。
18:02
八坂神社出てきますよね。
オンハス向かいってサンドラックかな。
野球部があるんですよ。
今はもうないです。閉まっちゃいましたけど。
オンハス向かいにギオンカゲツっていう劇場があったりとか、
なんていうんですかね。
確かにいわゆる観光名所であったり史跡とかというのと、
都市が混在しているというか、都市の中に組み込まれているから、
今の八坂神社というか、市場通りで四条大橋渡って八坂神社の方を東に向かってみると、
ちょっと不思議な光景ですね。
いわゆる祇園の繁華街が左右に見えて、
正面にぼんやりと少し暗いところに八坂神社があって、
あれ京都らしい風景かなという気がするけど。
なんか祇園も不思議な位置関係ではあるじゃないですか。
あんな神社がパッとあって、
でも一本入ったら急にクラブのたくさん散らなった看板が出るような狭い路地に
お兄さんお姉さんたちがちょっと見えちゃったりしてっていう。
実際この小説でも八坂神社の横を通って、
ありましたね。
祇園の繁華街の方に入っていくシーンが。
お店に立ち寄るというシーンが。
それは夜のバーとか。
そうですね。
ゴンスが引き付けのバーに行くという。
白いカエルってなんだっていうのを訪ねに行くというシーンなんですけども。
人の営みのすぐ隣に暮らしとか、祈りとか神様とかお寺さんとかがあるということを
みんな何とも思っていないっていう。
そういう街の特殊さみたいなのがすごくこの物語に不思議さを支えているものなのかなっていう気がします。
やっぱりこの二条城の周辺の夜って独特な雰囲気ってない?
なんか二条城ってすごく異質ではありますよね。
二条城って観光名所で昼間とかは観光バスも止まるし、堀川通り沿いってものすごい人でごったがいしてるやん。
これが夜になると、確かに正面側の方は結構観光客がいたり、今では外国人の観光客とかいるけど、
二条城の外周で、あそこって市民がウォーキングしたりランニングのコースになってるけど、
反対側とか行くと全然雰囲気が違うやん。
あんまり夜行ったことないですね、あっち。
少しなんていうのかな、薄暗いってわけでもないんやけど、独特の温度感というか空気感があるなと思ってて。
21:08
私の大学時代の下宿先の一番近い真四角のエリアって京都五所だったんですけど、
多分五所の寺町側も近い雰囲気ありますかね。
ちょっとこう薄暗くて、街灯もぽつぽつしかなくてみたいな。
五所はほら三面が結構大通りで、今出川と丸田町に南北挟まれて、西側もからすまだから車通りがずっとあるけれど、
二条城は外周のうち堀川通りに面してるところは、いわゆる都市の空気があるけど、
ちょっと入ると何やろうな、住宅街とも違うし不思議なところやなと思ってて、
そこの空気感がこの小説の冒頭でうまく出てるなと思って。
確かにあそこなら不思議なことが起こってね、というふうに思ったんですが。
いや、すごくよくわかります。
夜中に京都の街を歩いてると、京都の夜ってすっごい静かじゃないですか。
だからこう、街のその不思議な景色と自分が二人っきりになるような感覚があって、
そういう静けさってすごく何者でもない自分の孤独な感じをすごく強めるような作用があったなって、
ちょっと学生時代を思い出してましたね。
その先になんか不思議な生き物がいてもいいんじゃないかなとか。
佐藤幸野さんがそういうところからこの物語に入っていかがったっていうのはすごくよくわかる気がしますね。
なんやろうね、やっぱり静かで真っ暗でもないし、
だからやっぱり夜の京都を思い浮かべると、そのままファンタジー的なものにつながっていっても全然違和感がないなと思って。
全然わかんないです。
これ冒頭は二条城のお堀から始まって、その後ゴンスと小比奈田さんは散歩して、
どこだったかな、西大寺通りを上がっていくんだったかな。
とにかく北の天満宮の方に向かっていくと。
北の天満宮の出店が出てる。
あ、そうそう。
妖怪ストリートの男と。
あ、そうですね。妖怪ストリートですよ。
あ、そうだ。
そこがいいなと思って、まず。
あれ、そこはゴンスの下宿というか、ゴンスが住んでいるとされるアパートなんだよな。
なんでアパートにクモが住んでいるのかとか、妖怪が住んでいるのかは置いといて、
そこの描写もすごい道路ちょっと舗装されてて。
24:01
あ、そうです。今結構綺麗なんですよね。
で、なんかファンタジーというかメルヘンな要素が確かにあるんだよな、あそこ。
本当に妖怪の模型というか、飾ってあるところとかも確かありましたよね。
この辺、取材でもあってた時期があったので、あれにギュッとした記憶があって、昼前に。
いや、妖怪ストリートって言うと、観光名所みたいに、妖怪ストリート言ったっけ?違った。
妖怪ストリートだったと思います。
だけど、なんかそんなんじゃなくて、本当に普通の商店街というか路地みたいな感じで、
ちょっとあそこも独特な雰囲気があっていいなと思って。
そうそう、だから描写で全体にオレンジ色の細い小道が始まりますっていう風になってて。
で、ベージュの建物があって、まるでバッチワークのようにオード色のコンクリートで舗装されているっていう。
この描写が夜、ゴンスとひなたさんが歩いている時に、その情景を重ね合わせるとなんとなくファンタジーな世界にそのままなっていくなっていうのがあるな、ここは。
あれは本当に道の色オレンジなので、気になる方はぜひ遊びに来ていただいてということで。
これも昼間ここを歩いたり、あるいは作品として描写してもこんな風には、幻想的な感じにはならないなという気がして。
言ってみれば普通の街というか。
なんかむしろもう観光客の方でごった返している太い歩道というか。
私、車の免許取るのに2畳の教習所に通ってたんですけど、この辺は本当に人がうわーっと流れていく横断歩道いかに止まるかみたいなのを一生懸命やった記憶があります。
そうなんですよね。
夜、水があるっていうのも雰囲気ありますよね、このおどいというか。
どこ?
二条城の周りですね。
二条城の周りな。
その後、二条城終わって、妖怪ストリートの方に行って、北の天満宮に行くっていうのが多分第一夜かな。
第一夜というか、それで一旦夜のパートは終わるのかな。
終わって現実世界に戻ってきますよね。
で、また夜のパートが始まったら、次の夜に変わってるよね。
そうなんです。そこから祇園まで行ってたのかな。
だから、小比奈太さんが勤めてるラウンジなのか、キャバクラなのかわからないんですけど、そういうお店がたぶん祇園の方に。
祇園にあるね。
夜と昼のパートは別々に進むけど、ちょっとずつクロスしたり風景が重なったり。
27:02
現実の小比奈太さんも祇園でアルバイトなのかしていたりとかするから。
その辺も、たぶん昼の京都があるからこの夜のパートが際立ってるのかなという気もするよね。
やっぱり昼のパートって結構ハードというか、ひたすらにしんどい現実を小比奈太さんが一生懸命過ごしている。
毎日をやり過ごしているっていうところが描かれるんですけど、
それを夜の京都の街が受け止めてくれているという。
ゴンスと夜の京都の街が。
ゴンス自体が夜の京都の街の具現化というか、
実際にはゴンスは現実にはいないんですけど、
昼の息づらさみたいなものを京都の夜っていうのはいろんな形で受け止めている。
いろんな人にとっての夜の京都の街っていうのが存在してて。
確かにね。
そういう存在なのかなって思いながら読みました。
なんか小比奈太さんが、お母さんがあんまりいいお母さんじゃなくて、出て行ってしまってるのやったっけ。
おばあちゃんに育てられてるんだけど。
あんまり子育てをきちんとしないタイプの方だった。
このおばあちゃんがまた厳しくて、字を教えたら、間違えたら辞書で殴るみたいなんで。
この小比奈太さんが目と布を間違えるのよくね。
そうですね。
ひらがなの練習をしてる時に、目と布って似てるやん。
似てますね。似てるんですよ。
確かに言われてみればそうやなというか、間違えたかなと思うけど、大人になったらすっかり忘れてる感覚だけど、
この目と布を間違えるたびに辞書で殴られているのが、夜の京都でゴンスはそれを受け止めてくれて、
目と布の言い間違いをゲームにして楽しむっていうシーンが。
ありましたね。
ああいうのがいいなというか。
りんごは目が、りんごは布とか。
りんごは布になって、町にある目と布を探して言い換えて遊んでるっていう。
そんなこと大したことじゃないっていうのは、でも現実の小比奈太さんにとってみれば、
それは辛い記憶というか、それと暴力と結びついているものを。
そういうふうになんとなく夜と昼を結びつけながら話は進んでいくという。
なかなか構成としてもトリッキーな感じなのかな。
30:00
自分の欠点とかコンプレックスを面白がってくれるとか、
そういう認め方をしてくれる人の存在っていうのがものすごく人を救うという感覚が、
このゴンスっていう人格の中に確かに宿ってて、
あったかいなと思って読みましたね。
すごい良いです。
あと私はキッサソワレのシーンが大好きで。
実質最後のデートの最終着点みたいな場所になるんですけど。
ソワレって市場の極まち上がったところでね。
高瀬川沿いにある老舗の喫茶店で。
カラフルな四角のジェリーポンチが大変有名なお店でして、
行ったことある?
一回だけあります。
このキッサソワレさんのジェリーポンチは、
たぶん昔ながらのレシピで作っておられるのか、
たぶんあんまり甘くないですね。
甘くなかったかな。
確か。
最近のお菓子ってやっぱり砂糖と油もしっかり使えるから、
やっぱりしっかり甘みみたいなパンチみたいなものが多いのか、
たぶんこれ結構昔からこのレシピのままなのかなって、
確か食べた時にそういうふうに思った記憶があるんですよ。
ソワレは学生時代だから今から30年近く前には、
よく行ったってわけじゃないけど何度か行ったことはあって、
好きな喫茶店だったし。
その時からあんまり変わってないのかな。
もうそれこそ10年以上行ってないけど、
ソワレは本当独特の空間で、そのシーンがいい。
すごい素敵でしたね。
なんかこのちょっと甘さ控えめのそのジェリーについて、
どんな味でもいいんだっていう。
すいませんちょっと。
なんかやっぱりこれソワレって、
今原さんにホームページから映像を出してもらってるけど、
照明がブルーが希少で、
これもね、なんか素敵。
たぶんこの小説の色のイメージが、
青ですね。
ソワレから来てるなっていう気は、
象徴してるような気がして、
だいたい京都の夜の色のイメージって、
赤の方が多いかなって気がするんだよな、
その小説で言っても。
33:01
ちょうちんとか祭りとか神社とかもそうだし、
それがこの人のこの作品の夜の京都って、
二条城の周辺もそうだけど、
淡い、淡いのかな。
そうですか。
淡いイメージなのかな。
淡いです。
これは他の。
ゼリーキューブを味わって小比奈田さんが言いましたと。
ゴンスは自分の下に自信がなく、
この限りなくプレーンで全量の味わいを、
一体何と表現していいのかいつも考え込めていたのですが、
小比奈田さんの言う通りですと。
このゼリーはきっと各々にそれぞれが思い描く、
一番好ましい味わいのものとしていただいて良い食べ物なのです。
もっともっともゼリーキューブに限らず世界を構成する部品は、
あまねくもっと自由に好きなものに置換していいのかもしれません。
現実をただの現実を捉えないこと、
一つ一つの事象を自分にとって好ましいモチーフに書き直すこと、
それが許される時間だからこそ夜は素敵なのかもしれません。
すごい好きで、
このソアレからこの一節が生まれたんだとしたら、
偉いことだと思って、
ロマンチックとかそんなレベルではないというか、
夜の淡くて儚い表現、
不思議さの中に儚さがあるという、
切ないんですよね。
本当にこのソアレのシーンというか、
舞台もよくここをマッチした、
これで選んでいるというのは、
と言いつつソアレは長い間行っていないけど、
最近ニュースで、文化財になりましたね。
洋風な夜って何ですかね。
女性が夢を抱くファンタジーにおける夜って、
やっぱりこの深いブルーですね。
赤ではない、黒でもない。
淡い色なんやろうな、きっと。
この小説全体としても、
昼の京都がむしろそういう強い色のイメージがあるから。
妖怪とか全然可愛くないし、
私はユニコーンとか、
ふわふわしたものが好きだっていうところから、
女性はだいたい薄紫とかパステルのピンクとか、
サンリオキャラクターとかに使われがちな、
ちょっと優しいタッチの色味をすぐスッと想像できるので、
36:04
そことこのソアレの雰囲気っていうのも、
すぐくっつくところがあるかなと思ったり。
作品全体として色のイメージが出てくる作品で、
それがうまく京都の夜のイメージと、
今までの京都の夜のイメージとちょっと違うと思うけどね。
この本の想定なんですけど、
グリーンというか、でもこの表紙がですね、
この小比奈田さんとゴンスと王式登場人物が、
祇園の白川のあたりですかね。
そうなんかな。ちょっと見せて。
ちょっと今表紙を安倍さんと一緒に見ているんですが、
確かに。
その空の色が、深いブルーとグリーンの間のような色で、
確かにこっちですね。
そうですか。
まあでも、あんまり読まれている印象がないなというか。
私、このポッドキャスト自体も、
まだ走り出したばかりで大変おこがましくあるんですが、
これを聞いた人がぜひこれを読んでほしいなと思う作品でしたね。
いやー、これ若い人ほど刺さるんじゃないかなという。
京都文学賞の第3回だけど、これ出版社は京都の三島社さんですかね。
三島社さんという会社で、京都市の上行区にあります。
なんかやっぱり最初に話したけれど、
タイトルがやや難しくしているのかなというのは思う。
そうですね、確かに。
あとこの小説のジャンルは何ですかと言われると、
不思議なところにあるかもという気はしますね。
なかなか説明がというか。
恋愛小説というには。
広くは恋愛小説。
そうですね。
ゴンスの恋の物語なのかな。
そうですね、そうかな。
でもファンタジーとくくってしまっても。
それこそ風景は全部現実世界だから、
異世界物ではないよね。
そうですね。
でもこれ本当に、
なんて言うんでしょう、
京都で一人の夜を乗り越えたことがある人には
必ず届くという気がしますか。
この人、私は推したいですね。
39:03
すごい想定も素敵ですし。
ぜひこの番組きっかけで読んでほしいなと。
読んでもらえたら嬉しいなという。
そうは言いながら、
この作品はあれだけど、
この人、さっき紹介で作者の佐藤さんは、
もう一個文学賞。
流れるという作品で、
岩手、宮城、福島、未来文学賞を受賞されています。
これ出版はされてないのかな。
どうなんでしょう。
見つからなかったけど。
他の作品もぜひ読みたいなという。
そうですね、本当にすごい。
今のこの悩みをこんなに綺麗に、
綺麗にというとあれですけど、
開けるものなんだっていう感動と、
私は思い当たる、
孤独さみたいなものに
心当たりが割とある方だったので、
ものすごく心を揺さぶられながら読みました。
どっちかと言ったら全然世代も違うし、
それこそ小比奈田さんへの感情移入とかっていうのは、
全然違うから難しいけれど、
50歳の男性が読んでも別に。
それがすごいなと思ったんですよ。
今回は安倍さんが面白いと思う作品を
次に紹介しましょうということで、
これに決まったんですけど。
なんで面白いのと思ったって。
なんて言うんでしょう。
上の世代のしかも男性が読んでもって思うっていうところの、
その心はなんだろうと思いながら。
面白いですね、すごく。
とにかく京都を舞台にして描いた小説の中では、
かなり得意な位置にあるかなという気もして、
こういうふうに京都を、
物語で風景を変えるというか、
物語、フィクションを載せることによって、
現実世界の見え方っていうのが変わることってあるやん。
そういう小説って。
ありますね。
それを強く感じた小説かな。
だから夜の京都っていろんな小説で、
例えば森見富彦さんって、
夜は短しにある毛乙女とか。
なんか、結構雰囲気インスパイアされてる部分あるなと思って。
近い部分はあるんだけど、
なんかやっぱり違うと思うな。
42:00
森見さんも夜の京都の描き方って独特だけれど、
この佐藤さんの作品とは、
まさに色のイメージが違って、
森見さんの夜は朱色の赤のイメージが、
祭りの印象が大きいのかもしれないけど、
あるいは鴨川沿いの夜の描写とかは、
どっちかっていうと、もっと沈んだ暗いイメージというか、
闇に近いような感じだけど、
この佐藤さんの夜はね、ずっとぼんやり明るいというか。
確かに。優しい暗さを。
淡い夜のイメージかな。
原さんどうですか。
原さんもリサーチ係として、
作品を毎回読んでもらっているんですが。
毎回読んでいただいているので。
ゴースって1000年生きてるじゃないですか。
1000年生きてるでしょ、ゴース。
なんで字を書けないのかなと思ったんですよ。
1000年も生きてて。
ゴースは説明をすると。
その美貌録というのに大切なことを書き留めているんです、
というくだりがありまして、
美貌1、自分から挨拶をすることという項目があるんですけど、
大変説明難しいんですけど、
自分の字がちにてんてんで、
文はカタカナのふにてんてんで、
ひらがなっていうぐらい、
ひらがなとかカタカナとか漢字がごちゃごちゃで、
笑顔になることみたいな項目もあるんですけど、
それはニコリマークの絵文字みたいなのが書いてあって、
たぶん字がうまく書けないっていうことですね、
当て字をいっぱい使っちゃうような表記上は。
思い出した文字を使ってるっていうような感じで。
この美貌6っていうタイトルについて少し触れると、
今さっき広瀬さん言ったように、
美貌1、美貌2っていうふうに、
自分が大切で守らなきゃいけないこととか、
心がけることを項目に分けて、
分けてというか、1から5まであるのかな。
6って、6が何になるのかなっていうのが、
最後の方の物語の結構大事な部分になってくる。
原さんは、千年生きたという設定のゴンスが、
なぜ字が書けないんだという。
けものがたりの話とか、
昔の伝説の話、こうなんですよ、こうなんですよっていうのは、
たくさんよく喋る。
でもゴンスは忘れっぽいんやな。
千年生きてるけどいろんなことを忘れてるから、
で、忘れないようにまさに美貌6を書いている。
だから字も覚えられないんだけど。
45:02
でもその字が覚えられないっていう特性が、
小比奈田さんを救うというか、
小比奈田さんにとってかけがえのない感性であったということですよね。
りんごはぬとか、
めんとぬのさっきの話。
おめんじゃなくておぬんとかっていう、
そういう偶然が人を幸せにしていることもあるんだっていう、
なんかそういうのもいいなと思って読みました。
ゴンスって土蜘蛛だから、
いっぱいたぶんいじめられたりしてきたんでしょ、きっと。
昔はね、悪いやつだっつって。
そうですね、悪者。
それなんでもやっぱ忘れたかったから。
字まで忘れてしまう。
忘れて。
覚えておきたいことだけ覚えておくっていう風になったんかなっていう風に思いました。
そう、確かに。
そうですね。それはそうかもしれない。
もともとこれ、兵器物語も出てくるし、あんまりこれ詳しくないけれど、
土蜘蛛の話っていうのはいろんな題材とかにもなってるよね。
そうですかね、他の。
悪者、昔話の悪者にありがちな。
源の雷光、よりみつに退治される。
ぬえも退治されるし、この土蜘蛛も退治されて、
いわゆる嫌われ者であると。
こひなたさんは現実世界で自分が嫌われ者であるというか、
むしろ自分の自意識としては自分は怪獣だというふうに思い込んで、
なんとかやり過ごそうとしているという。
そこが重なってくるんだろうけど。
なんかこれ、この美貌録読んだ後に、
騎士館をいろんな自分が知ってる風景がたくさん出てきたってことももちろんなんですけど、
この変身の物語として、
これ現代女性版の三月記じゃないかと思ったんですよ。
それは中島敦の三月記は、
李徴という歯科になれなかった方が、
臆病な自尊心と尊大な羞恥心によって、
虎に変化してしまうって話なんですけど、
現代の女性に臆病な自尊心と尊大な羞恥心は、
あんまりしっくりこない。
別にそんなに一生懸命守るものも、
この10代、20代くらいの女性にはまだそんなに痛くないだろうし、
っていうところが、
物語の中で出てくる小比那多さんのつらい現実、
自分をうまく愛せなかったりとか、
人に依存してしまうことへの嫌悪であったりとか、
世の中と自分がずれているということを、
48:03
俯瞰できちゃうんですよね、小比那多さんは。
できてしまってるんですよ。
それが自分自身を蝕んでいくっていう、
その過程が昼のパートでずっと書かれてて、
それが、
ここ、つらすぎて虎になってしまったっていう履帳の姿と、
すごく重なる、最後、
結末は言っちゃいけないので、あれなんですが、
なんていうんでしょう。
でも、夜の世界に舞い降り込んだっていうのも、
これは天使の羽が描いてるんよね。
そこは別にネタバレじゃないよね。
それ冒頭で出てくるので大丈夫じゃないでしょうか。
小比那多さんは。
そうなんです、天使の羽。
ある種変身譚というふうにも読めるのかな。
どうでしょう、これはいろんな人に読んでもらって、
どんな感想をみなさん持たれるのかもすごく気になるところだなと。
確かにいろんな読み方ができるような気もするし、
ちょっと人によってはわからないというか、
部分も含めて、でもトータルでいろいろ想像したり考えたりもできる小説なのかな。
そうですね。
とにかく有名になってほしいという。
十分有名なのか、ちょっとでも。
もっともっとという雰囲気が、すごく好きでした。
なかなか小説読むとき、気合い入れてよしと思って読むんですけど、
これについてはページをめくる手が止まらずという。
あと、これは短い小説やね。
そうですね、そんなに。
156ページかな。
そんなに読みやすい。
そうですね。
さっと読めるというか。
さっと読めますね。
でも描いている世界とかテーマというのは本当に濃いといえば。
そうですね。
重たいテーマの部分もあるよね。やっぱりそういう側面というのも。
そうですね。重たい、とても重たい。
現代の若い人が持つ痛みというか傷つきやすさというか、
誰しもどこか大なり小なりということはあると思いますが、
痛いなって思いながら読むところがみんなあるんじゃないかなと思わずにはいられずという感じですが。
51:02
取り留めのない話にまた今回もなったけれど。
でもすごい素敵な作品に出会えたなという感じがしております。
夜だからさっきも言ったように歩いて京都の夜を歩いたときに、
たまにやっぱりこの小説の記憶って何となく頭にふっと思い浮かぶことがあって、
少し風景が変わるなという感じがする。
確かに。
というので、夜の散歩のお供に1回読んでから京都を歩いてみたらどうでしょうかという。
ぜひこれを読んで夜の京都を散策してみてはいかがでしょうかというような締めで。
いいんでしょうか、そういうことで。
原さんなんかなかったですか。
はい、今言いました。
大丈夫ですか。
原さんね。
はい、では今回は京都にまつわる小説、美貌録、佐藤幸野さんの作品についてお話ししました。
ここまでお聞きいただきありがとうございました。
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