その10%をちゃんと使いたくなる人が存在しているっていうことが
まず素晴らしいとは思うんですけどね。
そうですね。どうしても主業務を引っ張られると
なかなか使いにくいっていうところはありますよね。
でも、これもううっちゃけ聞きにくいことも聞いちゃいますけど、
100%って90%と10%に分解できるような計算が
したくなりますけど、
実際は100%とプラス10%だったんじゃないかとか、
そこは好奇心があればやっぱり取り組んでいいフードが
僕はすごく好きなので、実際はめっちゃ忙しかったんじゃないですか。
そうですね。
これ個人的な意見になるんですけど、
自分の100%を150、200にできるようにすればいいっていうぐらいに思っては
いましたね。
それが単なる時間の長さなのかパフォーマンスなのかとか
いろいろありますけど、
そういう精度というかみんなの認識があるってだけで
まずいろいろ取り組みやすい空気があるっていうのは
すごい素晴らしいですね。
そうですね。当時の私の上司とかも
ある程度ちょっと業務時間とかオーバーしてたりする部分も
ちょいちょいあったんですけど、そこは楽しんでやってる部分もあるので
目をつぶっているっていうところは正直ありましたね。
それはいい光景ですよ。
なんか最近、今さらながらネットフリックスで
グランメゾン東京というドラマを見てまして、
ずっとキムタクが厨房に立つ様を見てるんですけど、
主業務とはまず仕入れから始まり、
その日のコースをちゃんと料理しきった後に結局研究してるんですよね。
あの時間がもうむちゃくちゃ楽しそうですごいグッときてるんですけど、
勝手にリンクしてました今のところで。
2018年、10%のある意味隙間から生まれたということなんですけども、
どんなきっかけがあったんですか?
これが技術的なきっかけと、あとはニーズを把握したというきっかけ両方があるんですよ。
ニーズの方は、もともと私、食品の素材とかを開発していて、
その中で大学病院とかと研究することもあって、
全然違う食品素材の研究で大学病院の先生とお話ししてる時に、
雑談で食事療法って大変なんだよねっていうお話を聞いて、
そこで厳々という課題に向き合ったっていうのがまずきっかけです。
先生方は大変とおっしゃるけど、
実際、続けてもらえないというか、患者の方に続けてもらえないというお話を伺って、
でも実際患者の方々からお話を聞くと、
重要性わかっててもなかなか辛くて続けられないという声を聞き、
どのぐらい辛いものなのか自分でも試してみようと思って、
1日の食塩量を半分にする生活を試しにやってみたんですね。
3ヶ月ぐらい経った頃に体重が今、私割と痩せ方なんですけど、
体重がそこから5キロぐらい減っちゃって、
徐々に徐々に食欲が減っていって、
これ食べなくてもいいかな、だんだん食べなくなっていってしまって、
家族からストップかかって3ヶ月で断念する、脱落してしまったという経験がありまして。
そっちパターンの脱落すごいですね。
これは続けられない。
食べたくて禁断の食塩を舐めてしまうとかの方がイメージはきますけど。
ストイックにやってたら。
すごいですね。
これは大事だとわかってても続けられないな、
なんとかしなきゃなっていうニーズ面で気づいたのがまずあります。
なるほど。
それと別々で技術面では業務の10%使って、
ルール使って、
私もともとゲームが大好きなんで、
ちょっと食品とは関係の薄いバーチャルリアリティの学会だったり、
情報系の学会とかも参加していたんですよ。
その時にバーチャルリアリティだと視覚聴覚とかがすごい研究が進んでますけど、
味覚・嗅覚の分野でも研究が進んでるんだっていうのを学び、
今共同研究を一緒にさせていただいている明治大学の宮下先生のご研究内容とかもそこで出会って、
これはこの発見したニーズのところ、
原源の課題のところと掛け合わせたら、
健康課題、社会課題解決できるんじゃないかって思ったのが18年の半ばぐらいのところですね。
すごいセレンディピティがあるというか、
さっきの広島のお話もそうなんですけど、
たぶんやっぱ動かれてるから出会えるんだろうなみたいな、
ちゃんと何かに対して好奇心を持ってるっていうベースがある中で、
課題があるなって思ってたら、
でも全然違うVRの話とか聞きに行って繋がっちゃうみたいな。
いいですね。
ずっと研究室にいたらこんなそうなイメージがあるんで。
そうですね。
外に行って自分の知らないことを知るっていうのが、
すごく掛け合わせだと思ってるんで、その技術も。
なのですごい知らないことを知るのも重要ですし、
自分で何か体験してみるとか、
自分で現体験持ってみるっていうのがすごく重要だと思ってます。
結構多動気味なタイプというか、動き回られてるんですか、普段から。
そうですね。落ち着きがないとも言えるかもしれないですね。
それはすごいスキルだと思います。
素晴らしいですね。
そんなきっかけで始まって、
でも最初は学会とかに参加してる中で、
一緒にプロジェクトやりませんかみたいに、
急に声かけに行っちゃった感じなんですか。
はい。結構私肉食系というかガツガツ行く系なので、
もう宮下先生に声かけようと思ったら即メール出して研究室に行って、
一緒に研究しませんかっていうオファーを。
素晴らしい。
それまだ10%状態ですよね。
10%状態です。
すごい良い動きしてますね。素晴らしい。
それがいわゆる10%から徐々に20%、30%となっていったのか、
ギリギリまで溜めて急に本流に行ったのか、どんな経緯だったんですか。
しばらく10%の期間がずっと続いておりまして、
本業でやってる業務もあって。
そうですよね。
なので基礎研究のところ、今のエレキソルトの元になる技術開発のところは、
ちょっと1年、2年ぐらい10%の中でやらせていただいて、
それにお付き合いいただいた明治大学の宮下先生には感謝しかないんですけど、
そこで先生と一緒にこの基礎になる技術の部分はやらせていただきました。
素晴らしい。結構根気がいる時間でしたね、そこね。1,2年。
そうですね。どうしても本業の方も回しつつなので、
バランス取るのが正直結構難しかったですね。
それほどに楽しいテーマだったってことなんですよね。
楽しいですよ。楽しかったですし、今もすごい楽しいです。
そうですよね。素晴らしいです。
それが実際に本業務に今はなられてると思うんですけど、
どういうタイミングで転機が訪れたのかあるんですか。
ある程度技術開発やって、これはいけるなと思ったタイミングで、
またキリンの中に従業員が事業提案できる制度があるんですよ。
ビジネスコンテストみたいな。
それに応募をしまして、先生と一緒に共同で応募いたしまして、
1年ぐらいちょっと事業性があるのか、本当にニーズがあるのかっていう審査を受けながら、
最終審査を通って、そこで本当にプロジェクトにしようっていう形になって、
ようやく10%が50%ぐらいに増えて、本当にお金も獲得しながら、
本格的に進めることができます。
それが時系列で2020年とか。
20年ぐらいですね。
そこからもちょっとしばらく本業の方がまだあったので、
本業の方やりつつ1年ぐらいやったので、
ちょっとその間は半々で、本業と審議事業とが半々でやりながら。
でも実際そのリサーチを例えばやられたりとか、
実際使っていただいたりする中で、
これは今推していくべきだっていうところに徐々に上っていくってことなんですよね。
そうですね。
でもこれやり始めた当初から自分としては絶対これいけるっていう具合に確信めいたものはあったので、
それをどういう形にしてお届けするのが一番価値を生むかなっていうのを調べていってましたね。
最初からスプーンだったんですか?
いえ、もう最初これ見ていただいた、今ここにいろんな実験機並べてるんですけど、
もういろんな形態を作っていました。
やっぱ食事で楽しくないと続けられないので、
食事動作を邪魔しないだったり、食事の中で楽しく使える形態、
自然に使える形態って何なのかっていうのをずっと模索してましたね。
なんか見た限りだとお箸みたいな、お箸ですねこれ。
お椀とか腕に着けるようなものもあったりしますよね。
はい、当時はまだ本当に基板繋いで、手作りの試作品に銅線繋いでやってたような時だったので、
いろんな形を検証していました。
お箸だとかなり小型化しないと、日本人で本当にお箸自由に使われるので動きが悪くなってしまうんですね。
体温計ぐらいの大きさだったりすると、ちょっと箸としての動作が難しかったり。
今ここを持ってきてるのはコードで繋ぐタイプですけど、
コードが邪魔になって箸をうまく動かせないっていうのがあったので。
なるほど、いわゆる外部電源的に繋いでスリムにしたり、いろんなことをやられてるわけですね。
はい。
いやーすごい、これは歴史ですね。
今までもスプーンだと、僕が実際体験させていただいたものも、
本当に全然使いやすいスプーンのサイズになってましたね。
ありがとうございます。
ただ今ご購入いただいてるお客様からいろんなご意見もいただいているので、
裏では実は技術開発まだまだ続けておりまして、
今ちょっと箱状態で中身お見せできないんですけど、
次の製品のモデルも開発中です。
僕の目の前に箱があります。
この箱だけあると逆にめちゃくちゃ誘われるんですけど、
いや素晴らしい進んでることがよく伺えます。
少し角度を変えてお話ししていくんですけど、
キリンって知らない人ほとんどいないような大きい会社だと思うんですけども、
食品とか飲料とか、要は口の中に入るようなプロダクトを作っておられる会社の中で、
食べられないものを作ってるじゃないですか。
結構異色というか異端じゃないですか、これは。
そうですね。
開始した当初はやっぱりなんでキリンでこんなデバイスっていうのは、
社内の中でも正直意見はありました。
ただ、今キリンって健康の領域にすごい力を入れているのと、
あとグループの中に医薬品の事業だったり美容の事業だったりも持っているんですよ。
なのでキリンとしてはおいしい楽しい食卓、
ご家族、友人とが集まる食卓っていうのを実現する事業を
今までもやってきましたし、
これからも別に食品の形じゃなくてもそれを実現できるんだったらいいんじゃないっていう形で
社内で説明したら、なるほどねっていうので、
そこからは全然異色扱いをされることはほとんどなくなりましたね。
素晴らしいですね。
それはなんか説明が、ちゃんと今僕が初めて聞いてもそうだなって思いましたし、
それをやっぱり受け入れてもらえる時代で良かったですねっていう気もすごくしますし。
実際でも今、
我々はこのデバイスを提案したいわけじゃなくて、食生活としての価値を提供したいので、
そこはちょっと得意としていらっしゃる社外の方々と、ここもパートナーシップを組んでやっています。
実験機の時から本当に原源のレシピと合わせるであったり、
例えば社員食堂の料理と合わせるであったりっていうので、合わせた形での実験とか提案というのをやってましたね。
いいですね。なので、いわゆるちょっと病院食とか我慢の場面を想起しますけれども、
逆にむちゃくちゃ三ッ星レストランみたいなところで、本当にこうイノベーティブな料理が出てきたりするじゃないですか。
その時に、まずはボタンを一回押して召し上がってください。
次にもう一回押してくださいとか、なんかそういうようなある意味エンタメ性のあるようなグルメな使い方みたいなのも結構想像できちゃうなと思って、
すごい幅を感じましたけどね。
ありがとうございます。原源のレシピとか作る時にも料理研究家の先生からは、
素材の味を楽しむツールとしていいねっていうお声もいただいていて、
なので、原源という課題だけじゃなくて、本当により食事を楽しむっていう目的でも使えていけるんじゃないかなっていう具合には思っています。
そうですよね。まさにそのXR、VRの世界観ができた時に、
例えば遠隔で離れている人たちがゴーグルでつながって同じものを見ている時に、
素材を食べながら、この段階ってこういう味だよねとか、こういう意思疎通に使うこともできそうな気がしますし、
実はCSの中で結構面白いなと思ってた他のプロジェクトで、ドコモさんのフィールテックプロジェクトは行かれましたか?
はい、もちろんです。
素敵なプロジェクトだなと思っていて、いわゆる人の感覚の差っていうものをまず把握して、
それが違うんだよっていうことをちゃんと体感できるようにする。
例えば、僕が感じているこのお味噌汁のしょっぱさと、生まれたての赤ちゃんが同じものを食べた時に感じているしょっぱさが違うみたいな、
多分そういう話があって、その差に関して調整していくみたいなことも捉えされていたので、めちゃくちゃそういう現場で使えそうですよね、これって。
そうですね。まだ本当に研究者の妄想かもしれないですけど、
例えば味の情報とかを電気信号として遠隔地に伝えて、そこで同じものを出力して味わっていただくであったり、
過去美味しかったなっていう情報をデータベースとして取っておいて、それをこのエレキソルトみたいなこういうデバイスで出力して味わうであったりみたいな、
そういう味のものが今まで物質としてしか扱えていなかったものが、そういう電気の信号、情報として扱えるようになってくると、本当にだいぶ世界が変わるんじゃないかなって思いますね。
そうですよね。しかもこれがなんか飛躍ではないと思うんですけど、宇宙とかそういうなかなか地球の食材が手に入りにくい場所みたいな利用シーンも想定できるなと思っていて、
この一さじの塩であと1ヶ月やらなきゃいけないみたいな状況って、SF映画とか見てると結構ありそうだなと思うんですけど、そんな時にもすごい助けてくれそうですよね。
そうですね。やっぱり体が求めている、体にとって必要な量と、食べておいしいっていう嗜好での量がまた違ってくるので、嗜好性が満足できないと食事がおいしくないで食欲低下してしまうので、
そこの嗜好性を満足する、幸せをもたらすようなものになるといいですよね。
そうですね。塩分は塩分で、必要な分は取らなきゃいけないですけど、というようなところでしたね。
素晴らしい。本当にこう、作ってるのはスプーンだったり食器だったりしますけども、結局そこからいい食体験とか、
ウェルネス、ハッピネスみたいなところがすごくキーワードとして出てるので、いろんな産業をまたいで、
僕もなんかやりたいですっていう人が集まってきそうだなっていう予感がすごい分かったので、
パート2でもいろいろ勉強させていただいてありがとうございました。