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2025-02-25 46:02

『幸福な夢を見る すぐ覚めて すぐ消える』

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M5. 《泣けたよね。マリコセンセに一生ついてこと思った。》今回は漫画特集、として、岩館真理子『まるでシャボン』についてお話しいたします。もしかしたら、ずっとやってきた漫画特集の中で最も恋愛の話、なのかもしれません。「週刊マーガレット」で86年〜87年に連載された本作が描くのは《夢みたいにすぐ消えてすぐ覚める》、《幸福な夢》、働くこと、食べること、生活。漂う死の匂い。二十歳の世津子(せつこ)と、ひとつ年上のいとこの草子(そうこ)。同じ顔をした対照的なふたりと、サラリーマンの羽賀タケシ。その視線とサスペンス。ぜひとも、お楽しみください。
◇岩館真理子『まるでシャボン』
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あらすじ:両親がアパートを営む大学生の世津子(せつこ)の家に、一つ年上のいとこの草子(そうこ)が下宿するためにやってきた。草子が住み始めてから1週間後、もうひとつの空き部屋に羽賀タケシという若い男が入居してくるのだが…。
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サマリー

今回のエピソードでは、岩舘真理子の漫画『まるでシャボン』について語り、そのストーリーやキャラクターの関係性を深掘りしています。登場人物たちの恋愛や成長から描かれる繊細な人間関係は、時代背景や作風と共に考察されています。本エピソードでは、週刊マーガレットの歴史や岩舘真理子先生の作品についても深く掘り下げられています。特に、80年代の作品やタイトルセンスの魅力、そしてギャグ作品の変遷についても触れられています。エピソードでは、草子との複雑な関係が描かれており、特に「サークルクラッシャー」というテーマを通じて恋愛の難しさが語られています。また、登場人物の視点から見る青春の実態や、少女漫画が描く夢のような幸福感についても考察されています。このエピソードでは、思春期や若い恋愛の恥ずかしさが描かれ、特に好きな人と向き合うことの難しさについて語られています。さらに、他者とのコミュニケーションにおける微妙な感情や、生活と恋愛の複雑な関係がテーマとして取り上げられています。岩舘先生の作品が電子化され、多くの人に届くことが期待される中で、リスナーからの意見や感想も募られています。

岩舘真理子の作品紹介
シャークくんです。今回は漫画特集として岩舘真理子先生の「まるでシャボン」という作品を特集します。
てらださん今日はよろしくお願いしまーす。
お願いしまーす。
岩舘真理子先生の作品ということで、以前大島弓子先生の作品を取り上げたんですけども、講演もされてるし、
実際大島弓子先生に憧れて出てきた世代の作家さんとして岩舘真理子先生っていうのがいらっしゃるんですけども、
10個ぐらいしたかな。まあ言ったらほんと次の世代っていうことだね。24年組の。
で、岡崎京子の「くちびるから散弾銃」っていう作品があるんだけど、そんな中に
「まるでシャボン読んだと。泣けたよね。真理子先生に一生ついてこと思った。」っていうセリフがあるんですよ。
で、それで、これは岩舘真理子の中でも、もう言ったら岡崎京子がいっぱい固有名詞出す人だけど、
そういう少女漫画っていう枠の中で、タイトル出してる人っていうのはそんなにいなくって。
だから、「ああ、岩舘真理子のまるでシャボンっていうのは読まないといけないんだなあ。」って思いながら、手に取って、
やっぱりすげえ面白いなという、そういう感じでね。掘って、「お、やっぱすげえんだ。」みたいな感じの感じた作品ということで、
今回一緒に「まるでシャボン」という作品を読んでいきたいなということでございます。
まあ初めに、ちょっとあらすじから先に紹介しようか。
ストーリーとキャラクターの分析
まるでシャボン、あらすじですね。
両親がアパートを営む大学生の世津子の家に、一つ年上のいとこの草子が下宿するためにやってきた。
草子が住み始めてから1週間後、もう一つの空き部屋に、羽賀という若い男が入居してくるのだが…
という、まあ本当冒頭の説明だけですけども、そういうあらすじでございます。
で、主人公が世津子という女の子で20歳。
一つ年上のいとことして草子という女の子がいて、家でアパート業をやっているところに、
そこに昔ちょっと住んでた感じがあるっぽいんだけど、
なんかいきなり草子ちゃんが空いてる部屋に入ってくるらしいわよ、みたいな。
えーなんで?みたいな感じでやってきて、草子ちゃんが住み出してから1週間後にまたサラリーマンの羽賀という若い男が急に入居してくるんだけど、
まあこの3人の関係だったり、まああとその他いろいろね、女の子だったり男の子だったりがだんだん出てきたりするんだけど、
まあこの3人の関係みたいなのとかを描いた感じの作品ですね。
まあこういうあらすじなんですけども、ざっくりてらださん読んでみて、
全体の感想というか、思ったことみたいなのを先に聞かせていただきたいなと思うんですが。
そうですね。まあ面白いんですけど、なんか割と中盤ぐらいから、
結構死の匂いというか、がありつつなんかこのサスペンス的な緊張感があったりもして、
でもラストはちょっとまた違う雰囲気になったりする、すごい不思議な漫画やなぁと読んでて思った。
気の抜けたシュールなシーンもあるしね。
ああそうね、意味わかんないんだよな、その料理するところで氷がぴゅって飛んで、草子の顔にぴゅって当たって、「いてっ!」みたいなのとか、
原付きで行こうとしたらガンと、
まあそこは笑うよね、やっぱり。
そういう気の抜けたコメディーみたいな、そんなやらしくない程度にコツコツ入ってる感じはね。
そうやなぁ、なんかあるし、なんかでも僕結構これまで読んできた少女漫画の中では、「なんで好きになるのこの人?」みたいな疑問が結構一番大きかったなっていう漫画でもあったなぁ。
だからハチクロ飲んだときに、「なんでこんなはぐちゃんモテモテなん?」みたいな。
はいはい
全然わからんな、みたいなのってあるじゃないですか、その矢印がなんでこんな強く向くんやろうって。
はいはいはいはい。
だからそういうのは、あれ、世津子が羽賀さんのことを好きになるのもだし、草子がなんでこんなモテてんねんっていうのも。
でもなんかね、そういうところを無視してもいいぐらいの良さがある話ではあると思うんだよな。
確かに、話としてこの関係がなんなのかみたいな、すごくミステリアスな人なんだけど、草子ちゃんが。
そこに対しての謎みたいな、大きい線みたいなのがあって、そこだけでもこの2巻というボリュームでもすごく面白いし。
ただなんか、僕は、もしかしたら僕がずっと特集してきた少女漫画の中で一番恋愛の話やなとも思ったのよ。
あー、そうね。
だから、これはがっつり恋愛の話という特集をするエピソードなんのかということも考えつつ、みたいな。
だから要素としては、読む人とか環境とか考えてることによっていろんなものが読み取れる漫画なんかもしれないね。
そうね、でも確かにその話聞いてすごいしっくりきたけど、なんか人間関係の話っていうよりも、もう恋するもんですっていう前提がまずあって、
そこからの関係性の話なんで、そこは確かにすごく恋愛漫画的ですね、これまで読んだ漫画の中でいうと、ずーっと抜けてる。
作品背景と時代性
そうねー、とか、ちょっと初めにタイトルとか出しちゃうのもどうなんかなと思ったけど、俺なんかね、改めて読んで、矢沢あいってめっちゃ影響あるなって思ったよね。
あー、うん、確かにね。僕も矢沢あいかなり思い出しましたね。
あの、「天ない」っぽいのよ。
うんうんうん、わかるわかる。
わかるでしょ。世津子に翠を見るし、草子と先生のルック似てんのよ。
あー、なるほどね。
うん。で、その羽賀と草子の関係とかもさ、あきらと先生のとかなんかあんじゃん。
自分の主人公が恋した瞬間に、相手にはもうすでに過去の恋愛があって、そこには入り込めないみたいなやつあんじゃん。
で、僕は「天ない」でそれを知ったんだけど、この辺の原型ってまるでシャボンにあったのかみたいなことはすごく思いました。
確かにな。
うん。
自分は、蚊帳の外っていう。
そうそう。
そうやな、確かに。でもなんか最終やっぱその、草子が背負ってるもの、世津子が背負ってるものみたいな、割とその恋愛外的な話にも落ちていくから、ラストに進むにつれて、あ、いい作品やなって思うよ。
そうなのよ。その世津子と草子の関係みたいなもんもあんのよ。だからあの、(「天ない」の)《私は冴島翠みたいになりたい》みたいな感じがあんのよ。
だから先生もだし、マミリン・翠の関係みたいなのも、世津子・草子の中にもあんのかみたいな。
そういういろんなね、種がここにあるんだなとか思いましたね。
そうね。
まあちょっと詳しくはまた、いろいろ説明の後に話させていただこうかなと思うんですが、言ったらその恋愛っていうのが当たり前みたいな、ちょっとてらださんが今の感覚でいると引っかかるとこみたいなんて、やっぱ時代性とか掲載誌、すごくあるのかなっていうのは思っていて。
はい。
で、86年に週刊マーガレットで連載してた作品なんですよね。こう言ったらまあ景気がどんどん良くなっていく時のど真ん中の少女漫画誌だから、もう恋愛当たり前みたいな、恋愛最高みたいな時代の中の産物ではあるから、
その中でもすごく繊細な作風だと思うのよ。岩舘先生の作品としては。好きの理由とかじゃなくて好きになるもんだろうみたいな価値観が全然世間にとってまだまだ当たり前だったっていうところがあって、その辺のハードルみたいなのが今の感覚としては低いのかなっていうのはちょっと思ったりしますね。
うん。そうやね。確かにまあ、生きるためには働かなきゃかみたいなあんまなくて、すごいバイト的な働きをするシーンっていうのがあるんだけど、そこの気軽さみたいなものが。
ちょっと緩いよね。
明らかにああ裕福な時代なんだなっていう。
いやそれはあるな。簡単に一人暮らししてるし。
うん。そうね。
なんかその辺が裕福な時代の感じはあるな。で、僕は結構この中で、それこそ働くっていうこととか、食べるっていうこととか、生活、掃除をする、洗濯をするとか、そういったものを結構書いていて、そこで世津子と草子の関係、その人たちがどういうことなのかっていうことも描き出してるんで、どういうふうに働くかどういうふうに生きるかみたいなことで見ても面白いなとは思うんだけど、ちょっとこれも後半話させてもらえたらなと思います。
で、時代的に言うと、これは週刊マーガレットという雑誌でやってたんだけど、今はマーガレットになってるんだけどね。で、全く同時期に別冊マーガレットで、紡木たくの「ホットロード」がやってたという時代です。
うーん、なるほどね。全然まだ、なんか層が違うね、全然。
層が違う。やっぱりそこも時代ってところがあるんだけど、海行くところとか、なんか車乗って行くところとかは、ちょっと確かに相似関係もあるっていうかね。
そうやな、まあ向こうはバイクですけどね。
そうそうそう、結構。で、あの、が運転するっていうね、ここも結構僕的には面白いところだなって思ったりするんですが、そういう時代の作品ですね。80年代半ば、バブルに向かって景気が良くなっていってる時代の中での集英社、週刊マーガレットというところでやった作品でございます。
で、改めて岩舘真理子先生の紹介をさせてください。岩舘真理子さん。
1957年、昭和32年、北海道札幌市生まれ。1973年、週刊マーガレットの秋の増刊号に掲載された落題しますでデビュー。その後、集英社週刊マーガレットを中心に多数の作品を発表し、
87年、「冷蔵庫にパイナップルパイ」で、同社のヤングユーに連載を開始。92年、「うちのママが言うことには」で、第16回講談社漫画賞を受賞というプロフィールですね。
で、岩舘先生も猫をたくさん飼ってます。
猫ね。うん、ありましたね。
すごい少女漫画の作家は猫をたくさん飼うというのが、この国では決まってます。
なんでなんやろうな。
わかれへん。
まあなんかすごいイメージにも合うけどね。
いっぱい猫飼ってる少女漫画家って、いいけど。
そうなんすよ。
岩舘先生についての本は、岩舘真理子、小倉冬美、大島弓子の「私たちができるまで」っていう本が角川から出てて。
この角川版の本はちょっともしかしたら手に入りにくいかもしれないんですけど、2014年に復刊ドットコムより復刊されてるので、このバージョンだったらまだ手に入るかなという感じですね。
で、大島弓子さんから岩舘真理子さんに対しての50の質問とか、そういったものが載ってたりとか、岩舘さんが全部書いてきた作品についての全作品解説とか、
大島弓子、岩舘真理子往復書館みたいな1ページこう書き合ったりみたいなものとか載ってるんで、
その辺の少女漫画の先生たちがどんなことを考えてたんかみたいなことが気になる人、岩舘真理子、大島弓子が気になるなという人はぜひね、
この本読んでもらったら大体の感じがわかるかなっていう本なんで、今回のエピソードもそれを参考にしてお話してます、僕はって感じですね。
週刊マーガレットって僕らってもうその時別マしかなかったから、僕の世代はね。もう「マーガレット」と「別冊マーガレット」だったんだけど、もともと「週刊マーガレット」っていう雑誌だったんだよ。
で、週刊マーガレットがどんな作品で成り立ってきたかっていうと、一番初めは「アタックNo.1」。で、その次、もうここで歴史変わります。少女漫画の歴史変わりますっていう作品だと、「ベルサイユのばら」。
はいはい、今映画やってる。
映画やってる。映画も最高なんですよ。ぜひ見てください。「ベルばら」があって、もう大ブームになるんで、一つの「歴史もの」みたいな。
だから、ここで少女漫画の二つの型ができてるっていう、「スポ根」、「歴史もの」。
あー、確かにね。結構特徴的な、二つが。
そう。ベルばらみたいな人がスポ根っていう合わせ技やなって思ってるエースを狙え。
合体したら。
合体してる部分もあると思うのね、「エースをねらえ!」。ベルばらの終わりぐらいに始まってます。で、あとは、少女漫画のもう一つの型として、バレーものってあるのよ。
「アタックNo.1」のバレーじゃなくて、踊るほうのバレエね。
はいはい、ありますね。
バレエものの少女漫画って、もう未だに傑作で出続けてるのよ。
の、有吉京子先生の「SWAN」という、「白鳥SWAN」という作品っていうのもやってて。
週刊マーガレットの影響
スポコン、歴史もの、グラムっぽい感じの雰囲気、バレーみたいな、そういう少女漫画大ヒットエンタメの方っていうのを、の重要作っていうのは結構週刊マーガレットから出てるという感じですね。
なるほどね。まあなんか普通の恋愛漫画じゃなくて、なんかこう一個やっぱりしっかりジャンルとして強固な感じがしますね、どれもね。
うーん、まあだからエンタメとか、お隣の別冊マーガレットの方がやっぱ、いわゆる少女漫画史としては重要とされる。みんな別マについて語るんだよね。
うん。
漫画スクールがあったりとか。で、別冊マーガレットって、あのくらもちふさこ先生の土壌なのよ。
あーなるほど。
そうそう、くらもち先生がいて、紡木たくがいてみたいな。で、河原和音がいて、咲坂先生がいてみたいな。まあ少女漫画らしい少女漫画っていうものは別冊マーガレットの方にあって、週刊の方はこういうエンタメっぽいものがあるっていう分け方ができるなっていうのは僕は歴史を見て思ったりしてます。
なるほど。
で、岩舘先生の今作を見るとどっちかというと別冊マーガレットっぽい人じゃない?
うーん、そうやな。
今あげた作品って60年代後半から70年代にかけての作品なんだけど、80年代、70年代後半ぐらいから岩舘先生がこの週マの方に書き出して、で、どんどん人気を博していって、で、この週刊マーガレットというのが88年にマーガレットって英語表記になるんだけど、
週刊マーガレットが終わる時まで、80年代前半から半ば終わる時までは岩舘先生時代みたいな感じの看板作家なんだなっていう印象が僕がいろいろアーカイブ読んでみると思いました。
で、岩舘先生の連載ものとしては週刊マーガレット最後の作品が「まるでシャボン」で、週刊なんで毎週なんだけど、やっぱそれハードなんで隔週っていう形で連載っていう感じでやったみたいですよね。
で、マーガレット、英語表記になった時は方向変えんのよ。で、そこで楠本まき先生の「KISSxxx」とかが連載されるわけ。
ほんまに雰囲気変わりますね。
だからもうガツンって変えたんだろうね。テコ入れとして。楠本先生の回でも喋ったけど、ワイド版で出してるし、キスは。
そこは楠本先生のこだわりで、雑誌が変わるっていうので好き放題できたんですみたいなことはおっしゃってたと思うんだけど。
で、尾崎南先生の「絶愛」もこの時マーガレットで始まってるんで、これは「絶愛-1989-」っていうのがあって、その後「BRONZE zetsuai since 1989」っていうので長いこと連載されてた作品なんだけど、
これは今、「絶愛」って言っただけで今絶叫してるお姉さん方がいる可能性があるんですけど、
そんなすごい漫画なんや
うちの4つ上の姉は絶愛でBLというものを知ったんですよ。
ああ、あ、BLなんですか、はっきりと。
そうです。で、多分商業ベースに乗ったBLとしては、BL漫画、しかもその主演者のマーガレットでやってるもののBLっていうとしては、まあ本当にブロンズ、絶愛からだと思うね。
へえ、すごいですね、確かにね。だから少女漫画とかに乗ってたんや、BL。
だからこっから始まったの。
で言ったら、CLAMP、尾崎南、高河ゆんっていう、同人誌の人たちが80年代で同人誌バブルでグワーってなって、CLAMP、高河ゆんとかウイングスでデビューするわけ、商業デビューとして。
で、尾崎南はマーガレットで出るのよ。
岩舘真理子の作品の魅力
ああ、なるほどね。まあ確かに、今表紙台本に貼ってありますけど、そういう感じの絵柄よね、完全に表紙の雰囲気とかもね。
そうそう、絶愛、ブロンズね。これはいつかやらなあかんなとは思ってる。重要な作品なんで。
へえ。
と思ってるんやけど、これはまあ、はっきり言っちゃうと、ボールは友達みたいなサッカーの漫画があると思うんやけど、それの同人誌を商業ベースに載せてるのよ、言ったら。
え、ああ、そうなん。じゃあ、二次創作やけど、まあ多少アレンジしてあって載せてるみたいなことですか?
ちょっと難しいんやけど、A×Bみたいなカップリングがあって、その同人誌をガーって書いてはって、それをオリジナル作品として商業ベースにやってるっていう。もちろん名前とかは違うし。
キャラクターを置き換えてるけどもってことやね。
そうそうそう、ベースがボールは友達さ!みたいな感じのA×Bみたいなカップリングっていう、それがマーガレットに載ってたっていう衝撃ですよ。
いやあ、それはすごいね。
もちろんCLAMPとかもそうなんだけどね。スタンドバトルの同人誌のものが商業ベースに変換されて出てるとか、まあそういう時代ですよ。
へえ、それは読み手っていうのはわかってるもんなんですか?やっぱり。
えーとね、こっから知ったっていう人もいるし、昔から読んでる人はわかってただろうね。
へえ、面白い時代ですね。
うん、そういう交差点ですね。インディーズからメジャーに来てるみたいな。まあそういうのもリニューアルしてからはあったし、
ブロンズやってた時に姉がマーガレット買ってて、それで僕も読んでるんだけど、ブロンズとかは。
その時、別マじゃなくてマーガレットを買うというのの看板作品は「花より男子」です。
ああ、さすがに僕も。
みんなドラマとかで知ってると思うんですけど、「花より男子」のスーパーヒットというので、マーガレットというのはありました。
僕が読んでた時のマーガレットっていうのはそういう作品がありました。
なるほど。
心の砂地。
で、岩舘先生のキャリアに戻るんですけども、70年代の半ばくらいから週刊マーガレットで書いてるんだけど、初期はいわゆる乙女チック路線と言われる陸奥A子さんとか田渕由美子さんとかの作品みたいなのを書いてます。
だから絵柄もそういう感じの絵ですね、当時は。
80年代入ってから、家族の話とかの中で深い話みたいなのが出てくるようになって、だんだんちょっと言ったらシリアスな作品に移行していってる時期みたいなのが80年代前半ですね。
「乙女坂戦争」とか、「ふくれっつらのプリンセス」「ガラスの花束にして」とか。
ここでちょっと変わってきたなっていうのは、僕が読んで思ったのは「1月にはChristmas」、「森子物語」っていう。
今回は草子って女の子が出てくるけど、森子と書いてシンコっていう。
変わってるね
うんうん。
作品があるんですけど、この辺からちょっと今回読んだような、「まるでシャボン」の雰囲気になってくるって感じですね。
正直この70年代前半ぐらいの作品も面白いんだけど、岩館真理子先生の作品読むんだったらこの辺の80年代半ばぐらいからが面白いのかなと思っていて。
特に傑作が連発されるなと思うのは、80年代半ばから後半にかけて。「私が人魚になった日」「おいしい関係」「終末のメニュー」「遠い星を数えて」「まるでシャボン」、「君は三丁目の月」、「五番街を歩こう」。この辺全部傑作です。
うーん。タイトルに一定のセンスがやっぱり。
いや、そうなの。
あらかにするね。
この辺の、「1月にはChristmas」とか「森子物語」とかもそうなんだけど。
ってか、乙女チックの時もそうなんだけど、岩館先生の作品ってマジでタイトルのセンスいい。
ああ、確かに。
僕、タイトル大好きなのよ。
タイトル大好き。
いろんなもん好きやんか。映画だったり、舞台だったり。
で、俺、やっぱタイトルがピンときてるもんが好きなのよ、基本。
ああ、まあ確かにね。
「恋愛的瞬間」とか、吉野朔実さん。もう最高のタイトル。もうそこですべて勝っている。
ギャグ作品の変遷
確かにな。
なんかね、そういうタイトルが最高だなと。特にこの辺の80年代後半の85年から89年。
言ったら、週刊マーガレットで書かれた最後の方というのは、すごく油が乗ってるし、岩館先生的には20代後半から30代ぐらいかな。
僕は本当この辺から読むっていうのをお勧めしますね。で、そのマーガレットがリニューアルするっていうので、
ヤングユーっていう雑誌をメイン媒体として書かれるようになったりして、で、そこでもすごくいい作品書かれていて、っていう感じではあるんだけど、
この「冷蔵庫にパイナップルパイ」っていうタイトルの作品があるんですけど、で、表紙にも載ってるんですけど、これはもう本当に、なんて言ったらいいかな、怪作ですね。
へえ、怪作。
奇作、怪作。
じゃあ、なんて言うんでしょうね。ちょっと一筋縄ではいかない作品でもあるってことなのか。
言ったらもうこれギャグなのよ。
あ、ギャグな。
だから、「まるでシャボン」の中にあるようなシュールなやつあるやん。あっちだけやってんのよ。
へえ。
で、3、4頭身ぐらいの子どもたちの4ページギャグなのよ。
へえ、なんか読みたくなるな、でも。そこまで振り切ってたら。
そう、で、でも岩舘先生の作品見て思ったと思うけど、顔の描き方は岩舘真理子なのよ。
ああ。
目とか、ちびっこなのに目はあれなのよ。だからなんかすげえね、言葉が難しいけど異形の。
ああ、なるほどね。
感じがちょっとあって。
ちょっと違和感があるみたいな感じではあるか。
うん、なんかめっちゃシュールなのよ。
へえ。
で、この表紙の感じとか、時代からちょっと読み取ってほしいんですけど、まあ子供たちのギャグの、少女漫画のギャグ漫画の歴史というので重要人物がいると思うんですけど。
さくらももこさんですか。
そうですそうです。に正直影響があったなと思う。
ああ、やっぱそうなんや。
へえ、なるほどね。確かにこれだけなんか、表紙の雰囲気全然違うもんね。
全然違うし、なんかちょっとそっちっぽいっしょ。
うんうん、確かに。
で、中身もゆったらさくらももこ、岡田あーみん的な感じがあるんだけど、まあでもなんかすげえシュールなのよ。
へえ、なんかタイトルからはちょっと想像つかんない。
だから、これから先に読んでこういう作家だと思ってはいけないっていうだけで。
ああ、確かにね。
うんうん、そうそうそう。でもこれをこれで俺、すげえ再評価のしがいがあるなみたいな、読んでてすごく面白かったっすね。
っていうので、まあ、漫画賞を取った「うちのママが言うことには」っていう作品もすごくいいですし、
「キララのキ」「アマリリス」とか、まあ後半もやっぱめっちゃいいな。
くらもちふさこ先生もそうだけど、後半もやっぱすごくいいっすね。この辺の作品もいいし。
ぶ〜けでもちょっと描かれたりとか、角川ヤングロゼでもね、描かれたりもしてたんで、
その辺すごくずっといい作品を描かれている作家さんという歴史です。
はい。
じゃあちょっと「まるでシャボン」に戻りましょうか。
じゃあ改めて、「まるでシャボン」の内容とか感想、話したいことっていうのを話していければなと思うんですが、
印象的なシーンとか、言葉とか表現とか、どの辺具体的なところでなんかあったりしますかね。
そうですね、僕がでも結構印象的だなと思ったのは、2巻の方の草子と神島くんが浜辺で喋ってるシーン。
ってかそこ以降ですよね。死ぬ前の神島くんと喋り合って、最後その事故に遭うまでのシーンの、ずっと幽霊みたいなタッチで描かれてるんですよ。
そこの死の匂い感みたいなものがすごいなっていう表現力としては、なんか夢を見てるかのような感じがして。
1巻の後半から2巻にかけてみたら、なんかやっぱすごいよね、その辺の。言ってるようなギャグ要素みたいなのはなくなって、グーンとエンジンかかってる感じというか。
そうですね、だからこの草子とか神島くんとか、その辺りの人がね、生きてないみたいな感じするんですよね、僕の中では。
確かにな。
草子との関係
ちょっと人間らしさがないというか、なんかでもね、僕の中では、なんかやっぱその当時っていうか、わかんないですけど、この世津子みたいな気持ちの女の子がたくさんいて、草子みたいな子にすごくこう、やっぱりそういう人に対するコンプレックスみたいなのがすごく感じる場面っていうのがあったんじゃないかなっていうのを。
うーん、僕もそう思うな。
影がある人がどんどん自分の欲しい人たちを魅了していくみたいな。そういうのはありませんよね、男性でもやっぱり。そういうフラストレーションみたいなものっていうのが、最後やっぱりそういうものが爆発するシーンもあるけど、そこには結構僕は共感はしたんですよ。
好きになる、好きにならないっていうところはちょっとわからないところはあるけど、なんかすごい世津子の気持ちっていうのが痛いほどわかるし、こういう経験ってやっぱあったなっていうのは。
いや、ほんとそうね。わかるわかる。なんかやっぱ、草子と世津子は漫画を見る限りはほぼ同じ顔なんだけど、いろんな要素でそういう差異みたいなのが描かれていってみたいな。
草子っていうのはなんかもう無条件にみんな、草子のことを好きになっていってしまうし、たぶんそれを望んでないんだけど周りの関係も壊してしまうみたいなことがあるっていう。
で、これを2020年代に生きてる私たちからのチャラい言葉で形容するような指し方で言うと、いわゆるサークルクラッシャーってやつですよね。
まあまあ確かに一番しっくりくるかもね。
それこそサークルクラッシャーものってなんかあるとは思ってて、恋愛の残酷さみたいなのとかを描くものとかってやっぱそういう女性を描いたりすることみたいなのあるんだけど、
その構造、いわゆるサークルクラッシャー的なことが起きてしまうっていう構造もしんどいし、草子本人もしんどそうみたいな。
まあそうやな。
っていうことを結構考えたな、僕は。だから、ぐっと自分の話にすると、少なからず僕もてらださんもこういう人を見たことがあるし、もっと言うと、こういう人に関わったことは結構誰しもあるっていう。
いやそうですね。僕ら今30になってこの20歳の人たちの恋愛っていう漫画を読んでるわけやけど、なんかでもラストでさ、やっぱ草子が世津子に対してさ、《明るい家庭で普通に育って、人を傷つけないで、自然に暮らしているように見える。
そういうの結構羨ましいわ、私》みたいなこと言うのが。もう今やから受け入れれるけど、僕が20歳ぐらいの時に読んだら、「うわ、こいつ嫌いやわー!」って絶対。
やっぱ渦中にいた頃の気持ちをすごい思い出してしまうぐらいのリアリティがあるというかね。
いやいやもう、あんたがはっきりしてくれたらいいのにとか思っちゃうよね。やっぱそういう人に対してはさ。もう本当に綺麗に生まれて、それに無条件に群がる。これが男から女っていう矢印っていうところもいろいろ読み取れるところあると思うんだけど、あんまり反対ってそんなないじゃん正直。
男性がサークルクラッシャーに。あるけど、そういうんじゃないやん。矢印をいっぱい向けるからサークルを壊すやん、その男性のサークルクラッシャーって。
向けられるわけじゃなくね。いろんな人に手を出すから。 そうそう。向けられて壊すことじゃないじゃんか。でもそういういっぱい矢印を向けられてしまう人の苦しみとか、で、そのいとこっていう関係がめっちゃ良くて。そこもやっぱすごい良い配置っていうか。なんか繋がってるところがあるけど全然違うっていう。
もう顔も言ったら僕は一緒だと思ってるから、この少女漫画の一つの型っていうの中に「双子との」っていうのもあるじゃないですか。ちょっとその辺の匂いもするっていうか。
確かにね。顔は一緒やけど中身は全然違うとか。
最後のシーンとかって、あ、これ草子かって思うと、せっちゃんだっていうシーンがあるんですよね。とかって、あの辺ってちょっとモロ言っちゃうと「半神」とかのラストみたいな。萩尾望都の「半神」とか。そういうものを想起させるけども、なんかああいうもしかしたら会った形っていうのも、こいつ嫌やわーとかなんやねんって思うのという見方もあるし、
もうちょっとグッと感情移入して入り込むと、もしかしたらこう自分もあれたかもしれないみたいな、そこに手が届く存在としても書かれてるなっていうことは、以前は僕読んだ時はわかんなかったけど、読み直してからそういう気持ちで読んだ人もいるだろうなっていうことはすごく思いましたね。
ああ、確かにね。そこは、だから実は大きくは違わないかもしれないっていう、草子自身のセリフでもね、あの時自分がいなかったら、タケシさんはあなたを選んだかもしれないみたいなこと言うシーンもあるし。
確かにな。
そもそも少女漫画で描かれるキャラクターだから、すごく綺麗だし可愛い女の子として描かれてるけども、なんか読んでる読者としては、ハナから草子に乗るっていう人ももちろんいると思うのね、僕は。中心になるのは世津子なんで、多くの人は世津子に感情移入して読んでいって、そこから見て、うわちょっとなんでやねんなんでやねんと思いながらも、わ、でももしかしたら自分も草子になったかもしれん、なれたかもしれん、だったかもしれんみたいなことを思うみたいなね。
恋愛の難しさ
なるほどね。
っていうところのバランスで、なんかその辺がこのタイトルの「まるでシャボン」っていう、シャボンの丸い形でふわふわふわっていっぱい飛んでいくけど、すぐパンパンパンって消えるみたいなものとか、この中のテーマになってる幸せな夢っていうやつですね。幸せな夢の中だったら、もしかしたら自分が草子だったかもしれんみたいな、なんかそういういろんなものが重層的に重なり合ってて、もうこれですよって感じですかね。
もうやっぱ少女漫画のこの重なり合いっていうのがやっぱ最高ですよっていう。
確かにね。言われてみれば、そっか、その辺りも。話自体はね、普通に本当に面白いですよね。話として読んでもね。
そうそうそう。こんなんな。なんかあの韓国とかで映画にしてくれたら、だから俺正直韓国ドラマとか映画とかでありそうだったらすげえ傑作感ある。
そうやな。
なんかあのこう雪降ってる感じとかね。
うんうんうん。確かに確かに。
ホンサンスとかが撮ったらすげえかっこいい映画だと思うな、これは。
神島くん、めちゃめちゃこう儚げなイケメンなんやろうね。映画化したら。
まあ坂口健太郎でいいでしょう。
ああなるほどね。いやでもそういう感じよな、もういろじろの。いやなんかでもそれで言うとちょっとタケシさん、タケシさんどうなんですかっていうのは。
羽賀タケシ。男たちね。えっと羽賀さんっていうのは草子を追っかけて、追っかけてって言っちゃうけど、草子を追っかけてきた男の人なんですけど、でまあサラリーマンで元婚約者でみたいな話なんだけど。羽賀さんなあ…。
羽賀さん結構むずいと思いますね、これ語る上でね。
うーん。岩舘真理子作品ガッと読んで、あの羽賀さんみたいな男はなんかよく出てくんのよ。
へえ、そうなんや。
っていうか、えっとなんていうかな、あんまり言ったら多くを語らない岩舘作品の特徴として、世津子が何も話さない羽賀さんをずっと見てるみたいなシーンがあるのね。
うんうん、あるね。
なんかそういう、まあそれこそでもまあ、若い恋愛の視線、この人のことがなんか好きになるなあみたいな、でらずっと見ちゃうみたいな、で勝手に想像してすごく好きになっちゃうみたいな、そういうところを描いてるんだと思うんだけど。
そうですね、だって、なんかこう好きな、なぜ好きかみたいなところもこうなんか窓の外にいて、自分の窓の手前でこけてくれたら眺められるのにみたいな、だからこうすごく見つめるっていうことをやっぱ。
そうそう、見っときたいっていう、だからなんかそこも言ったら、実際はグダグダで結構ダメなやつなの。やってることも結構、いやもうお前ちゃんとしとったらうまいこと言ったけどなみたいな感じやん。でもなんかその辺のズレみたいなもこれはまあ作為的だと思っていて、だから夢の中の理想像みたいなのに恋しちゃうみたいな、なんかまあ…恋愛の…バグみ?
だからさ、タケシさんに惚れてない状態でタケシさんの行動を見てもね、タケシさんにあんまり惚れられないのよ。あんまりストレートなかっこよさが登場するとこがないから。
うーん、まあちょっと確かにその辺は、あのまあもちろんね、30何年経ってるから、その辺の恋愛幻想みたいなのはちょっとないからわかんないっていう人が多いのかもしれないね、今思えば。
僕はやっぱその少女漫画読むときのOSを多分起動させてるから、一発で、まあそこそこ、世津子の気持ちにスッとなれるというか、あ、ここでもう好きになっちゃったんだねってことが、読者の目として理解はできるし、
あ、いい男なんだろうなみたいなことは、読みながらはそんな違和感感じないんだけど、改めて考えると確かにようわからんなって今思ってる。羽賀ようわからんくて。
あの、夜に羽賀タケシと草子が話すシーンがあるんですけど、タケシがさ、大家さんの娘かわいいよな、みたいなこと言うシーンの口元が結構。
ああ、あるある。にやっとしてるな。嫌な感じに見えてるんだけどな。
あそこ、めちゃめちゃ嫌なシーンじゃん。
あれ、わざとだよね、これね。
あれは絶対わざとだなっていうね。
うーん。
ああ、そんなこと言わんといてほしかったなと思ってしまったね、僕は。
これな、だからやっぱ、あの、草子一緒に暮らしてた時期もあるし、だからその夢マジックがないのよ。
ああ。
だから、草子といる時のタケシは、ちょっと顔の描き方とか違うのよ。
ああ、わかるわかる。あんまかっこよくないんですよね。
し、なんかどっちかというとなんかこう、若造って感じのリーマンなのよね。
ああ。
で、だから、世津子から見た時の羽賀タケシは、精悍な顔つきをした、あまり喋らない感じの男、に描いてあるよね。
確かにね。そうか。なんかそう、フィルターかかってるかかかってないかみたいな感じで言うと、確かに。
なんか僕そのさ、草子と話してるシーンのキャラ変ぶりがね、ちょっと不気味やってんけど、その、やっぱフィルターがあるかどうかって話やな。
っていうので書き分けてあるんだよね、多分。
なるほどね。
うん。
ああ、いやあ、そっか。じゃあちょっと僕何回も読み直さなあかんかもしれんな、やっぱ。
そうそう、これね、読み直すとめっちゃわかる。1ページ目とかもさ、初め見ると全く意味わからんねんけど、読み直すと、あ、これ、いなくなったっていうシーンなのねっていうのもあるし。
そうね。僕も2週目で気づきました、それは。
意味わかんないもんね。
手紙と指輪が置いてあってね。
そうそうそう。そういうのはあるから、2巻で、本当にこれはね、持っといた方がいい作品で。まあでもタケシ以外もダメなやつしか出てこないんだよな、男。
アルバイト先のお家にいる大学生の。
ああ、あいつは若いし、まあまあわかりやすくダメなやつだから。
まあそうね。
神島君もなんかわからんけどダメな感じするし。
いやそうね。
まあでもその辺も、そうね、なんかカメラがちゃんとこう近い風に撮ってるからあれやけど、離れてみるとこう、うーんって思える感じ?その恋は幻、加減?
うんうん。
っていうのも、まあまあしょうもないでみたいなところもちゃんとあるんやろうなぁ。
うーん、そう。
少女漫画の夢
うん、やっぱ。
なんかそこをすごく意図的に描いてるんやなってことを思うと、感想の冒頭で言いましたけど、あの神島君と、そう、こんなあの運命のシーンとかも、やっぱ夢の中みたいな描き方とも取れるなっていう。
そうね、だから「幸福な夢」だよね。
ってことですよね、あれがね。
うーん。
っていうとこがあるんやろうなぁ。
とか、まあいろいろ絵の構図とかで言うとさ、そのまあ、せっちゃんの目線みたいなところで見ていくと、やっぱそういうタケシがすげえかっこよく見えたり。
うん。
あるんだけど、あの俺結構すげえなと思ったんが、その神島君の顔をせっちゃんはあんま見れてなくて。
はいはいはい。
足元ばっかり見てたみたいな。
うん、ありますね、そういうシーン。
うーん。
10代とか20代前半って、いろんなことすげえ恥ずかしかったなっていう記憶めっちゃあんねんか。
ああ、なるほど。
うん、まあ自分の話で恐縮なんだけど、ちょっと綺麗な店員さんとかに話しかけるのも恥ずかしいみたいな。
へえ、なるほどね、そうか。
幼い頃やけどね。
はいはい。
思春期みたいなのが到来したときにあったりとか、なんかこう顔を見ることが恥ずかしいとか。
うんうん。
向き合うことがすごい恥ずかしいから、好きな人でも顔を見れない、目が見れないみたいな。
うん。
って、もう忘れてしまってて、だからそれで覚えてるのはいつも足元だっていう。
うん。
好きだった人の足元ばっかり覚えてるみたいなのとかって。
うん。
ああ、なんかその、まあ20代でもあれなんかな、まあ若い時の恋愛ってそういうもんだよなーみたいなところがすごく描かれていて。
確かにね。
なんかその、向き合いなさみたいなところにすごいスポットライトが。
うん。
あるよな。
うん。
でも、やっぱりこう、あんまり誰もちゃんと話せてないっていう感じがするよね、ずっとね。
うん。
そうそう。
うん。
結構グッと寄るからドライブ感はあるんだけど、なんかその辺の、若い時の恋愛ってこういうもんだよねっていうところを描く切り取り方っていうのがすごいうまいんだろうな。
うん。
足元しか覚えてないみたいなことってやっぱ忘れてるし。
うん。
タケシ その辺がすごくいいっすね。
生活と恋愛の複雑さ
確かにな。なんかうまく取れてなかったコミュニケーションの記憶みたいな。がね、すごく確かに思い出すな。
うん。
あとは結構生活とか働くっていう話。
うん。
前半にもちょっとしたとこなんだけど。
うん。
結構あるよね。その、せっちゃんは運転をする、草子は助手席。
うんうん。
で、掃除できるできない、仕事できるできない。
うん。
すぐ食べる食べれないみたいな。
はいはい。
うん。どういう風に生きていくかっていうことをすごく全部クリアしてるのに、そこと恋愛っていうのが別の残酷さみたいなのとか。
うん。
人の魅力というものの説明にもなってるし、生活してる感じ、働いてる感じみたいなのが、いろいろあるのが面白いなと思ったね。
そうね、確かにね。
うん。
うん。ごはん描写って俺やっぱすごい、漫画読むときとか、なんか思うときにすごく大事にしてるから。
うん。
あれなんやけど、執拗に草子がご飯食べるのめっちゃ遅いっていうのをやるんよね。
やりますね。出だしからやるもんね。
うんうん。
ご飯食べるのすごく遅い。
そうそうそう。あのうどんを1本ずつ食べて、2時間とかかかるみたいなね。
そうね。
うどん食べるのに。
なんかあれとかやっぱすごい好きだね。
うん。
まあ見たことないけど、うどん2時間かかるの見たことないけど、めっちゃ綺麗な子とかで、なんかそれってすごいリアリティあるなって思う。
うん。そうね。なんかいたような気がする。
うん。
いやー、そうやなー。
そういうチャラい話で、ああいうデートとかのときにあんまりたくさんご飯食べない方が可愛いみたいな。なんかあるやん。
うん。まあ恋愛的な価値観としてはあるかもね。
そうそうそう。
まあもうそんな絶滅してると思ってるけど、なんかあると思ってて、
そういうとこ、ご飯全然食べない感みたいな。で、でも自分、世津子はめっちゃ食べるみたいなね。
うん。
大きい口かけていつも食べてるのにとか。
うん。
なんかそういう人間感とか生活感がないような人。
うん。
幻想的な人がやっぱり結局人を狂わすよねみたいな感覚は。
うん。
まあそこに魅力を感じちゃうよねっていうとこなんかな。
っていう話なんでしょうけど。
うん。
いやこれ難しいのはどうなんでしょうか。
シャークさんも違うと思ってるんですけど勝手に。
あんまそういう人好きじゃないんだよなっていう。
ああ。
まあ根源的にちょっとあるかもな。
困るよね。
うん。
いやでも多分みんなそうだよね。
全然食べん子が好きっていうやつは存在してないね。
うん。
でも、なんかやられてまうっていう話だよね。
ああ。普通に考えたら全然マイナスなんだけど、そこにやられちゃう。
うん。
マイナスなんだけど、
そういう人なんだけど、
ここをいいとは思ってないけど、
そういう人だから好きっていう話を。
ああ。
いやちょっとイコールではないかもしれんけど、
なんかそのダメ男を好きになってしまうみたいな。
ああ、まあまあまあ、そうそうね。ニアリーなんじゃない。
感覚でもあるじゃない。
その表面的な、
単純な加点とかの要素じゃなくて、
普通に捉えるとマイナスなんだけど、
でもそこがいいんだよな、
好きなんだよな、
魅力的なんだよなって自分は思うっていう良さ。
そういう描写が何個か入ってるっていうのは、
キャラクターの描いてるところで出てくると思うんだけど、
でもいつも、
草子は2時間とかかけて最後まで食べるわけ。
なんで食べんのかっていうところの話も、
この漫画では最後出てきたりするんですよね。
その辺も、
ああ、やっぱり草子のことを最終的に
そんなに嫌な奴だと僕は思ってないんだけど、
草子の苦しみだったり、
草子の思うことみたいなのもすごく描かれてるとこが、
いいんだろうなっていうね。
草子が背負ってるものもあるっていうのはね、
ありますね。
リアリティと感情の描写
そこは、
だからまあ、
今、僕は30やからフラットに見て、
うん、そうやんなって思うところでもある。
ただなんか、
20代の僕は普通に草子にキレてるっていうところもある。
分かる分かる。
どっちもあるよね。
どっちもあるわ。
いやー、
そうね、なんか不思議やな、
そう考えるとね、
なんかほんま、夢の中みたいな感じのシーンもあるねんけど、
なんかリアリティがあるねんよな、
そういう意味で言うと。
なんか知ってる人間関係の話ではあるのよ。
そうそうそう。
そう、嘘みたいな話じゃないけど、
なんかこう、リアリティなもんもすごく感じるし、
うん。
なんかなかないよな、
同時期にやってる、「ホットロード」とかって、
うん。
もっとキュッとしてるやん。
二人の暴走みたいな、
そこの、むっちゃ恋愛が拡大されるみたいな、
うん。
ところに、
距離持ってみれるやんか、
今読むと僕らは。
でもなんか、まるでシャボンの方は、
割と今の自分にも、
ちょっと、つついてくる感じがあるというか。
うん。
そうね。まあ、地続きな感じがするね。
そうそうそう。
なんかこう、想起させられる。
ホットロードってそういう神話とか、
みたいなもんに、もうダイビングする感じやけど、
うん、そうね。
このまるでシャボンのこの、
まあレベルとしてはやっぱちょっと、
一枚二枚って上手つうか、
どっちが好きかって話とかではあると思うんやけど、
うん。
つついてくる感じの強さというか、
こういうのもやっぱ面白いよなっていう。
確かにな。
タケシ で、まあやっぱラストがめちゃくちゃいいっていうのは、
タケシ あるじゃないですか。
タケシ 本当のラストのラストね。
タケシ うん。まあめっちゃいいね。
タケシ その、まあ僕岩舘真理子先生の作品他読んでないですけど、
タケシ うん。
タケシ あのタイトルかっこいいのやっぱり最高やなって一番思う流れのね、
タケシ ラストが来るっていう。
タケシ 思うしね。
タケシ うん。
タケシ ロードムービーの最後みたいな。
タケシ ああ、そうね。
タケシ 車でうーんみたいな。
タケシ いいんだよね。
タケシ いや、なんかこういうとこもやっぱね、韓国映画っぽくない?
タケシ 韓国映画っぽい。
タケシ なんかOVAとかにはなった作品とかもあるんだけど、
タケシ ぜひやってほしいですけどね、韓国リメイク。
タケシ 韓国リメイクね。
タケシ まあでも本産主だな、本産主ですよこれは。
タケシ なんかさ、
タケシ 登場人物全部作者やんみたいなタイプの作家さんっているんですよ。
タケシ はいはい。
タケシ バリエーションあるようで、
タケシ 言ってることとか結構、
タケシ 同じとこから出てんなーみたいな感じがきてるんやけど、
タケシ 違うとこから来た人がいっぱい出てくるのがいいよね。
タケシ この作品って。
タケシ そうですね。
タケシ 確かにね。
タケシ いわゆる劇団何々から来てる感じではないというか、
タケシ 何々ワールドから来てる感じじゃない、
タケシ 漫画のほうが僕は好きなんだけど、
タケシ そういう感じがするな。
タケシ そう。
タケシ 神島君と付き合ってた女の子とか出てくるやん。
タケシ うんうん。
タケシ あの子のかき乱す感じとかもさ、やっぱり。
タケシ いや、あとあの、タケシの元カノとかね。
タケシ はいはいはい。
タケシ そうね。
タケシ あの、
タケシ はいはいはい。そうね。
タケシ ちょい出てくるんやけど、めっちゃ嫌な、
タケシ ソークが嫌なことされるっていうシーンもちゃんとあるんですよ。
タケシ その上の女の人。
タケシ 元カノに嫌なことされるっていうシーンとかもあるんですよ。
タケシ そうやな。
タケシ 確かにそういうのもちゃんと描いてるわ。
タケシ よくよく考えたら。
岩舘先生の作品と電子書籍
草子の苦しみね。
そういうちょい出てくる人もね、やっぱ効いてんのよね。
うん。
登場人物的にはそんな多くないけど、
うん。
広がりがあるよね。
タケシ いやー、傑作だー。やっぱ。
うん。
傑作です。
タケシ はい。
タケシ まるでシャボン。
タケシ これね、岩舘先生の作品は結構電子化されてるんですよ。
集英社
タケシ えー。
タケシ なんで、Kindleとかでも買えますんで。
タケシ でかいね。
タケシ ぜひ手に取りやすいんで。
タケシ 単行本は正直ね、なかなか難しいかもしんないんですけど、
タケシ 持ってくるのが。
タケシ 紙で読んでほしいけど、全然Kindleでも読めると思うので、
タケシ Kindleなど電子書籍でも手に取っていただければなと思います。
タケシ 傑作だと思います。
タケシ はい。
タケシ まるでシャボン。
タケシ ぜひとも読んでみてください。
リスナーからのフィードバック
タケシ はい。
タケシ というわけで、心の隣は引き続きお便りをお待ちしております。
タケシ すべてのあずらけは、
タケシ 各配信サービスの概要欄に載っているGoogleフォームからお願いします。
タケシ Apple podcast、
タケシ スポティブアイデンの評価、
タケシ 番組のフォローもぜひともよろしくお願いします。
タケシ 各種SNSでの投稿は、
タケシ ハッシュタグKOKOSNAです。
タケシ よろしくお願いします。
タケシ 投稿していただく際には、
タケシ エピソードのリンクも貼っていただけると嬉しいです。
タケシ 今回も聞いていただきまして、
タケシ ありがとうございました。
タケシ ありがとうございました。
タケシ それでは皆様、
タケシ ごきげんよう。
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