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#153【獣の奏者/上橋菜穂子】長編ファンタジー獣の奏者・読了記録
2026-07-20 17:52

#153【獣の奏者/上橋菜穂子】長編ファンタジー獣の奏者・読了記録

今日はなっしーのひとりごと回/大好きな上橋菜穂子さんの長編ファンタジーを一気読みしました!/ネタバレありなので注意/闘蛇と王獣という獣がいる世界/①生き物を観察する面白さ/②主人公の才能が見いだされる獣ノ医術師の学校/③王獣と闘蛇の政治的意義/獣と人は真に心を通わすことはできるのか?/読んだことある人お便りください!!


▼今日紹介した本

「獣の奏者」(上橋菜穂子)


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感想

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00:11
スピーカー 1
明かりが落ちた店内。いつもとは違うBGM。 一人、また一人と、店員もキロにつくこの時間。
一人残った本日は、私なっしーが、気の向くままにおしゃべりをしたいと思います。 今宵はそんな一人語りにお付き合いくださいませ。
スピーカー 2
お久しぶりです。 今週は、ひとりごと回です。
喫茶クロスロードのひとりごと会は、普段の店員同士の会話形式ではなく、 店員一人がひたすら自分の推しを語る会。
スピーカー 1
今日私が紹介するのは、大好きな植橋菜穂子さんの長編ファンタジー、獣の奏者。
こちらを今更ながら独領し、この熱を誰かに届けたいという思いで配信させていただきます。
植橋菜穂子先生は、私の大好きな作家さんで、過去配信でも紹介させていただきました。
気になる方は、第68回や第86回の配信を聞いてみてくださいね。
この獣の奏者シリーズは、前4巻と番外編1巻の5巻分で、なかなかヘビーな長編です。
ですが、面白く最後まで読める作品でした。
今回はその中の前半部分。
第1巻、トーダ編。
スピーカー 1
トーダは、戦うヘビと書いてトーダと読みます。
また第2巻、王獣編。
これも王様の獣と書いて王獣と読みます。
この2巻分を紹介していこうと思います。
結末までは明かさないつもりなんですけれど、
この重厚なファンタジーの面白さを語るには、ちょっとネタバレも多くなってくると思うので、
スピーカー 1
もしこれからこの作品を楽しみたい方がいらっしゃれば、
この本を読んだ後に、ひとりごと回を楽しんでいただきたいと思います。
まず最初に、この物語の世界観を説明しておきます。
この物語では、動物と人間の関係は基本的に今の私たちの世界と同じです。
馬を飼って農耕したり、蜂を使って蜂蜜を集めたりします。
狩猟や農耕で成り立っているどこかの王国、それがこの物語の舞台です。
ただ、この王国をファンタジーと位置づけるのは、
03:03
トーダと王獣という私たちの世界には存在しない、かつ圧倒的な力を持つ獣が描かれているためです。
スピーカー 1
トーダはこの世界にとっては大きな武力、戦力です。
鋭い爪が生えた前足と後ろ足のある大きな蛇で、水中で生活していますが、陸上を動くこともでき、また馬のように人がまたがって操ることもできます。
もう一方の獣、王獣は狼のような顔、鋭い爪のある大きな足、そして巨大な翼を持つ生き物です。
先ほど出てきたトーダの唯一の天敵でもあります。
王獣が出す音を聞くと、トーダはひっくり返ってしまって、簡単に王獣に食べられてしまうんですね。
スピーカー 2
物語の舞台は、リョザ・シン王国という国です。
この王国はヨジェという女王の治める王国です。
スピーカー 1
ヨジェは政治的な実権を持ちつつも、アルハンに武力で守られているという構図になっています。
アルハンは家来の方ですね。
このため、アルハンの領地の住民はひとたび他国との戦いになれば、借り出されてしまいますし、戦死することもあります。
スピーカー 2
それでも、ヨジェの統治に不満がないのは、この国は神の子孫であり、象徴であるヨジェがいるということと、そのヨジェが育てて守っている王獣の存在があるかたです。
スピーカー 1
そんな王国に生まれた主人公エリンは、10歳の女の子。
トーダ、戦う蛇の方ですね。
トーダの芸術師である母に育てられています。
エリンの母は、アルハンにとって一番大事な戦闘用のトーダを育てています。
ところがある朝、母の育てていた戦闘用のトーダは全滅します。
その責任を問われて、エリンの母は処刑されることになります。
なんとかその母を助けようと、エリンは処刑場に乗り込むのですが、それはかなわず、母が操るトーダに乗せられて、なんとか処刑場を脱出します。
そんな天外孤独の少女が主人公です。
そしてエリンは、逃げ出した先の場所でジョンおじさんと出会います。
ジョンおじさんと出会ったその場所はアルハンの領地ではなく、国の王であるヨジの領地であり、そこでエリンは王獣とも出会うことになるのです。
06:00
スピーカー 1
さて前置きが長くなってしまったのですが、ここからこの物語の面白いポイントを3点にまとめて話していこうと思います。
この獣の少女の見どころは、
1.生き物を観察する面白さ
2.主人公の才能が見出される獣の医術士の学校
3.王獣とトーダの政治的意義
という3つです。
そしてこの3つを重ね合わせて、
人と獣は真に心をかよわすことができるのか、という問いを私たちに考えさせてくれるところだと思っています。
それでは1つ目から話していきましょう。
1.生き物を観察する面白さ
スピーカー 1
ということですが、エリンはトーダの医術士だった母にも認められるほど、生き物を観察する能力に長けた女の子でした。
トーダの匂いの変化に気づいたり、生き物の営みについて深く考えたりすることが得意な女の子です。
スピーカー 2
ジョンおじさんに拾われてミツバチを観察するようになっても、その特技は相変わらず発揮され、
スピーカー 1
かつ自分でいろいろと試してみる主人公は、生物学の面白さを私たちに伝えてくれる存在でもあると思います。
ではここで質問です。
スピーカー 1
生物学の面白さって何だと思いますか?
これは私の高校の生物の先生の言葉で印象に残っている言葉なんですけれど、
自然界の生物には、なぜそんな風に行動するのかはわからなくても、きちんとその規則通りに動いているということがたくさんあります。
スピーカー 2
本に出てくるのは、蜂が新しい女王バチとともに住み会をしたり、女王バチがいなくなった巣が新たな女王バチを作る過程だったりします。
スピーカー 1
蜂は誰に教えられたわけでもなく、その営みを続けている。
そしてそれを理解した人間がうまく蜂を使うことで、蜂蜜を集められている。
そんな風に生物学的な面白さもきちんと描写されていて、またその事実、人間が動物を操っているというものも見えてくるのがこちらのシーンです。
主人公エリンはその人間が動物を操っているという部分に嫌悪感を持っているという姿も描かれています。
スピーカー 2
続いて二つ目のポイント、エリンの才能が見出される獣医術士の学校というところです。
スピーカー 1
ジョンおじさんのところに来て4年、14歳の時にエリンはおじさんの元から離れなければいけなくなってしまいます。
09:02
スピーカー 2
その後の行き先が傷ついた王獣が住む場所であり、獣医術士を育てる学校です。
スピーカー 1
ジョンおじさんと過ごしている間に野生の王獣を見ることもあったエリンは、その美しさに惹かれて、生き物として王獣に興味を持っています。
そのことから、この獣医術士の学校に行くことを希望するのです。
この学校が全寮制の学校なんですけれど、厳しい学長が女性で、ちょっと幕後流る先生っぽいなとか、
ハリーポッターの世界に通じるところもあるんじゃないかなっていうところも、ナッシーのワクワクポイントだったんですけれど、
この学校に在籍している間に、エリンはその観察力で大きな功績をあげるんですね。
スピーカー 2
それが、傷ついた幼い王獣に餌を食べさせるということです。
スピーカー 1
この王獣は幼くして母と離され、かつ怪我をしてしまい、一切餌を食べなくなってしまっていました。
スピーカー 2
さあ、孤独で傷ついた獣にどうやったら餌を食べさせることができるでしょうか。
スピーカー 1
エリンはこの王獣に文字通り月っ切りで一緒に過ごして観察します。
観察して得られた情報を掛け合わせ、最終的にピースをはめていく感じで、餌を食べさせることに成功します。
そしてエリンは王獣と言葉のようなものを飼わせるようになるんですね。
これは今まで王獣を飼育した誰もができない試みだったんです。
ちなみに、エリンはハリーみたいにヘビ語を話せる特殊能力者だったっていうオチではありません。
あくまで今まで観察してきたことと、自分にできることを組み合わせて、王獣と意思を交わすことができるようになります。
その組み合わせでできるようになったことに結構胸が熱くなるんですよね。
私たちもこんなふうに獣と意思を交わすことができるんだろうか。
そんなふうに思わせてくれるのがこのシーンのところです。
そしてついに3つ目のポイント。
スピーカー 2
王獣とトウザの政治的意義というところです。
スピーカー 1
エリンはこの王獣と言葉を交わすという偉業を成し遂げたことで、自分の住む王国の祭りごとに大きく影響を与える存在になってしまいます。
冒頭にも説明したように、エリンのいる王国はトウダを率いるアルハンがヨジェを守るという仕組みになっています。
ところが国を守るという負担を強いられるアルハンの住民がヨジェを殺そうとする勢力が盛り上がってきていました。
12:03
スピーカー 1
しかし戦闘用に飼育することができるトウダとは違い、王獣は決して人にはなれないと言われており、王獣を押し付けることもできないとされていました。
この構図の中に王獣と言葉を交わせるエリンが登場したのです。
エリンはその餌を食べさせることができた幼い王獣とその後も意思疎通をするうちに、その王獣に乗って空を飛ぶこともできるようになったりします。
こんな風に王獣を操ることができるようになったエリンという存在は、トウダに対する有効な戦力という見られ方をするようになっていくのです。
スピーカー 2
また、唯一エリンがそのような存在になった理由としては、王獣を飼育される際に決められていたルールがあったからです。
スピーカー 1
エリンは獣医術士の学校に入学した時、このルールを知らずにルール外の行動をしてしまったことで、獣と言葉を交わし、最終的には操る手段を見つけてしまったんですね。
この今まで誰も操られなかったというところの部分も面白いところで、この部分が王国の成り立ちの謎にも結びついているんですけど、
一旦ここはそれを置いといて、さああなたが自分が国をも揺るがす力を持ってしまったとしたらどうしますか?
スピーカー 1
エリンもその事実に衝撃を受けて大きく悩みます。
でもエリンとしては基本的に王獣を操りたくはないんですよね。
幼い王獣と言葉を交わしたいと思ったのも、このままでは死んでしまう、助けたいと思ったから。
だから、王獣でヨゼを守ってくれという申し出があった時にも、一旦は断るのですが、自分の恩師や一緒に学んできた友を人質に取られ、従うことを余儀なくされるのです。
ここつらいんですよ、エリン苦しいシーンなんですよ。
スピーカー 1
また、助けた王獣も言葉を交わせるから絶対にエリンを傷つけないかと言われたら、そうではありません。
時として、獣として、エリンに牙を剥くこともあります。
さあそんな状況で、人は獣と心を通わせられるのか?
この世界で生きていく時にどんな繋がりであれば王獣は幸せでいられるのか?
そんな問いを私たちに投げかけながら、物語はトーダと王獣が相まみえる戦場のクライマックスへと向かっていきます。
15:05
スピーカー 1
私がこの話ですごく印象に残っているのが、やはりエリンは獣を操る術を持ちつつも、人が獣を操るということ自体をとても嫌がっているところなんですよね。
エリン自体はどちらかというと、動物たちに自然に生きてほしいと思っているし、
そんなふうに獣への愛を持つエリンだからこそ、意思疎通ができるようになり、逆に戦に使われるような存在になるというジレンマがこの物語では描かれています。
じゃあ、そもそも言葉を交わせるようにならなかったらよかったのか?って言うと、そうじゃないですよ。そうじゃないんです。
やっぱりクライマックスはどうしても戦いにはなってしまうんですけれど、エリンと王獣に絆が生まれているんじゃないかなっていうことが見えるようなシーンもあって、
やっぱり私はそこに感動してしまうし、希望を持ってしまうんですよね。
すごいそのシーンがオススメなので、一体何のことを言っているんだみたいな感じになったリスナーの方はぜひ読んでほしいと思います。
スピーカー 2
あとやっぱりこれを読みて、単に生物学とか獣医学の話だけで終わらせずに、それをこのファンタジーの世界の政治的意味合いに話を広げて世界観を作り上げていく植橋先生もさすがだなと思って、最後の方は一気に読み進めることができる作品でした。
スピーカー 1
植橋先生最高です。もしこの獣の草舎を読んだことがある人はぜひお便りを送ってください。一緒に熱く語りましょう。この獣の草舎という壮大なファンタジーの扉をあなたも開いてみませんか。
ここまででトークテーマは終了ですが、喫茶苦労ではいつでもお便りを話題募集しています。トークのご感想や本にまつわるお悩みなどをぜひご投稿ください。
スピーカー 1
ポッドキャストやノートにお便り投稿フォームのリンクをご用意しておりますので、そちらからご投函いただけると嬉しいです。今後も喫茶苦労は毎週月曜日夜21時よりゆるゆる営業していきます。
本日はお越しいただきありがとうございました。またお待ちしております。おやすみなさい。
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