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キコアベのかけら、キコカケ。
みなさんこんばんは、ぽっくんです。
今週のぽっくんは、先週ご案内した朗読《羅生門》を、ぽっくんの父親が褒めてくれたことについてお話しします。
ぽっくんが芝居を始めたのは、22の時。
大学の2年から3年になる時の試験で失敗して、留年が決まったのがきっかけでした。
同級生の就職活動を横目に、ぽっくんは地元の劇団に入り、役者活動を始めました。
そんなぽっくんに、父親は特に何も言いませんでした。
けれど、ぽっくんの舞台を見に来ることもありませんでした。
結局、卒業もせずに大学を辞め、東京に出てきたのですが、
それから現在に至るまでにも、ぽっくんの舞台を見たことはありません。
母親はあります。地元でやってた時も見てくれたし、東京でやった時もタイミングが合えば見てくれました。
次はいつやるのと、やる時が分かれば何ならそれに合わせて東京に来ようとしたくらいです。
でも父親はそうじゃありませんでした。
一度、見たくないと言われたような気がします。
はっきり覚えてませんが、覚えてないくらいぽっくんにはショックでもなかったんだと思います。
ああ、やっぱり芝居やってることが気にいらないんだろうな、と改めて思った程度です。
でもこうして喋る原稿を書いていると、本当は悲しかったんだなあ、と分かってきました。
まあ、つらかったんだなあ、と。
出なければ尋ねもしないのに、この前の朗読はよかったぞ、と父親に言われて感じたじっくりした喜び。
それは例えれば、灰色の冬空の雲の切れ間から差してきた一筋の光に、頭から足先まで温められたような、そんな感じです。
そんな喜びを感じたりはしなかったと思うからです。
僕は、ここはあえてぽっくんと言わずに、僕と言わせてください。
僕は自分の人生を振り返って、正直言って誇らしく思うなんてできません。
けれども今は、よかったぞと父親に言われたことで、少し報われた気がしてるんです。
はい、さあ、朗読をもっともっと頑張ろうと思ってます。
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次も芥川の予定です。その次は漱石。
予定は未定なところもありますが、ぽっくんが読んで楽しんでくれたり、怖かったり悲しかったり、考え込んだりといったような、聞いてくれる人の心に何かを届けられるような朗読を、これからもしていこうと、ますます強く思った先春のぽっくんでした。
どうぞこれからも豚さん文庫の朗読をよろしくお願いいたします。
では最後に、今週は木こわべのエンディングをパクって終わりにしたいと思います。
父曰く、先週の朗読もよかったぞ。しかし、もう少し間があったほうがいいな。
サンキューファーザー。週末も皆さんが健康に過ごせますように。さようなら。