佐野元春氏の紹介とデビュー曲「アンジェリーナ」
さて、今日は3月最終金曜日ということなので、学ぼう社会のカギは恒例のこの歌詞が凄いということで、今年は年齢重ねても輝き続けますJ-POP界のレジェンドたちをご紹介してもらっているんですが、さて今日はどなたなんでしょうかね。元サンデー毎日編集長、潟永秀一郎さんです。
潟永さんおはようございます。
はい、おはようございます。
今日はこのコーナーでも何曲かご紹介していますが、改めて今月13日で70歳になった佐野元春さんです。
佐野さんが古きですよ。
もう70歳なんですね。
私も年を取るはずだとしみじみしてしまいましたけれども。
ということで最初はちょうど46年前の3月1980年のデビュー曲からです。
はい、もう体が揺れてますが、アンジェリーナ。
ほぼ半世紀を経て全く古びないどころか、今新曲ですって紹介されても違和感のない疾走感がありますよね。
歌詞の解説の前に改めて1980年という年を振り返りますと、以前もお話ししましたが、
10年刻みでその前の1960年と70年は安保闘争の年でしたが、80年の流行語はカラスの勝手でしょう。
年だらけんさんね。
政治や社会運動に扱った前の世代と違って、趣味や個人の楽しみを優先する若者たちは新人類とかしらけ世代とか呼ばれたんですね。
ただ私もその世代の一人として思いますが、前の世代と価値観が違うだけでしらけているわけでもないのに、
大人たちの言い方にはなんだよ的な反発があってですね。
佐野さんも当時、あえて挑発的に音楽シーンに重ねて語っています。
僕ってとにかく退屈だった。歌謡曲はもっと。エキサイトしないんです。
悲しいとか失恋したとか日記みたいなものが嫌いでね。僕から言えば勝手にやってくれよ。と。
だから佐野さんがアンジェリーナをデビュー曲に選んだのにはきっとそんな反抗心があって、
社会性や日記的な文脈とは真反対の、体が勝手にシャウトするようなロックを自分が聴きたいと思う歌を、
当時のミュージックシーンに放り込んだ気がします。では歌詞です。
特徴的なのはインを踏む言葉の多さで、典型はサビのアンジェリーナとバレリーナ。
1番ではジェームス・ディーン・キドリのティーン・エイジ。
2番では誰かの車が来るまで闇に車ってなど。
グルーヴ感やビートを大切にしてそこに言葉を乗せていったことがわかります。
だから歌詞を深読してもあんまり意味ないかもしれませんが、
主人公はジェームス・ディーン・キドリ、つまり反抗心を持ちながらも迷い続ける若者で、
アンジェリーナはバレリーナですから芸術的な存在なんだけれども、流れてきた寝なし草。
2人に共通するのは孤独や満たされない思いで、だから2人でいれば大丈夫だぜと信じたい。
都会の夜で愛を探し続ける2人の切実で儚い一夜の恋の物語なんですね。
ちなみにアンジェリーナに続くシングル第2弾が以前ご紹介したガラスのジェネレーションでした。
ここでは前の世代に向けてはっきりとさよならレボリューション、革命と手を振り、
つまんない大人にはなりたくないって決意を歌います。
デビューの年にこの2曲を世に問うた佐野さんの覚悟は今に至るまで変わっていないと思いますし、
本当にかっこいいと憧れます。
「Young Bloods」に込められた若者の内なる情熱
それは勝手にシンドバッドでデビューして当初はコミックバンド的に扱われながら、
今もJ-POP界のトップランナーであり続ける同い年のフワタケイスケさんにも相通じるところがあって、
いろいろ言われましたけれども、実に新人類万歳だと思います。
なんだかもうここで終わってもいいような流れなんですけれども、
すいません、さらに行きます。
次はCDシングルとして初のトップ10入りを果たしたこの曲です。
Young Bloods。1985年国際青少年年のテーマソングとしてNHKで繰り返し流れたので、
思い出す方も多いんじゃないでしょうか。
佐野さんがこの音税をアフリカ難民救済に寄付したことでも話題になりました。
さて歌詞です。
冒頭言ったみたいに80年代の若者も白けていたわけでも冷めていたわけでもなく、
若さゆえの厚さも思いもありました。
ただそれはうちなるもので、おはだかに叫ぶものではない。
それぞれが大事にして鑑賞すべきもんじゃないという思いが強かった気がします。
この歌の主人公もそうですし、それはずっと今もそうかもしれません。
舞台は冬の都会です。
孤独な寒さの中、新年の朝の光を浴びた主人公の心に、
いつの頃か忘れかけていた荒ぶる胸の思いがよみがえります。
それは錆で歌われる鋼のようなウィズダム、輝き続けるフリーダム、
折れない強さと知恵を身につけて自由であり続けたいという思いですね。
社会や誰かに期待するんじゃなくて、自分はそうありたいと誓ったのに、
いつの間にか乾いた心を窓辺に横たえていた一人だけの冷たい夜に、
別れを告げて愛する人と思いを分け合い、共に生きたい。
レッツステイトギャザー、一緒にいよう。トギャザー、一緒に。
と願う、自身の再生と愛する人との絆を求める歌ですね。
20代最後の年に佐野さんが若者たちに届けたかったのは、きっと君は一人じゃない。
諦めないでくれっていうメッセージだった気がします。
別れの歌「グッドバイから始めよう」に見る恋愛観
さて、佐野さんの個人を尊重する姿勢は多分、
恋愛感にも現れていて、大好きなラブソングというか別れの歌があります。
この曲です。
グッドバイから始めよう。
ビートルズのイエスタデイにも通じる美しい旋律とストリングスの調べに乗せて、
一枚の絵のような別れの情景が描かれます。
では歌詞ですけれども、
冒頭、ちょうど波のようにさよならが来ました。
言葉はもう何もいらない。ただ見送るだけというセンテンスから浮かぶのは、
潮が引いていくように、何を言ってももうどうしようもない別れですね。
続く遠く離れるもの、ここに残るもの、僕が決めても構わないなら、
何も言わないけど、もう同じで、
見送るか引き止めるか、僕が決められたらいいのにね、という意味で、
彼にはもう見送る選択肢しかありません。
出色は、どうしてあなたはそんなに手を振るのだろう、
僕の手はポケットの中なのに、というサビで、
とりわけポケットの中です。
彼女が決めた別れだから、彼女は大きく手を振って次に進んでいきます。
もう前を向いてるんですね。
でも僕はポケットに手を入れたまま立ち尽くすしかありません。
歌は、あなたはよくこう言っていた、終わりは始まりで閉じますが、
それはあくまで彼女の言葉で、
強い意志を持って、別れも始まりだと前を向く彼女とですね、
それを受け止めきれずにいる彼の対比が切なくも美しくてですね、
それまでの歌ってどっちかというと逆ですよね。
女が愛し延ぶんだみたいな、男は旅立つんだみたいな、
フォークソングではそんなイメージですよね、そういう歌詞が多いですよね。
そんなステレオタイプな男女像に囚われない恋愛感に、
当時そうだよなーって、こっちの方が多いよなと頷いたのを思い出します。
多くの人々を励まし続けた「サムデイ」
さて最後は、ごめんなさい、以前も取り上げたんでどうしようか迷ったんですけれども、
やっぱり佐野さんを語る上でこの歌は外せません。
サムデイです。
佐野さん、去年の7月からデビュー、45周年ツアーで全国を巡り、
私も行きましたけれども、フィナーレとなった先週土曜日の東京追加公演で、
佐野さんはいろいろ80年代の思い出はありますけど、
何と言ってもサムデイ、この曲を書いて本当に良かったと思いますって語ったそうです。
でもそれは私たちにとっても同じで、
この曲を作ってくれて本当に良かった、ありがとうっていう思いがありますよね。
知見の物質で先輩たちと合唱しましたからね。
若い時に大声で歌いたくなる歌ですよね。
今から45年前、佐野さんがコンサートで初めてこの歌を歌う時、
みんなもきっといつかと思うことがあると思うんだ。
そんな気持ちを歌にしました。サムデイって紹介したそうですが、
まさにそうですね、どれだけ多くの人が夢破れたりくじけそうになった時、
いつかってこの歌に運ばれ、救われたんでしょう。
ごめんなさい、以前と同じ話をしますけれども、
私も作詞家だと、かなうはずもない文夫そうな夢を抱いて田舎から上京して、
食べるにもことかく生活を送っていた学生時代。
窓辺にもたれ夢の一つ一つを消していくのはつらいけど、
若すぎてなんだかわからなかったことがリアルに感じてしまうこの頃さ、
っていう歌詞は自分のことだと思いました。
織田勝雅さんや作家の村上隆さんも自分のことだと思ったと同じことを言っていますから、
そう感じた若者は日本中にどれだけいたのか。
きっと今も次々に生まれているんでしょうね。
そんな私たちにこの歌は、サムデイ、この胸にサムデイ、
誓うよサムデイ、信じる心いつまでもって繰り返します。
いつか、いつかきっとって。
やがて大人になって時に作り笑顔をしなきゃいけない時も、
素敵なことは素敵だと無邪気に笑える心が好きさっていう歌詞を聞いて、
この心だけはなくさずに生きていこうって思いました。
60を過ぎた今もそうです。
佐野元春氏の楽曲と今後の展望
歌の力ってすごいですよね。
勝長さん、同志ですよ。
みんな本当にこの歌に励まされたと思いますけれども、
さてこの他ですね、ロックンロールナイトや約束の橋とか、
悲しきレイディオとか、取り上げたい曲はまだまだたくさんあるんですけれども、
ごめんなさい、そろそろ時間ですね。
でもぜひこの機会にですね、
佐野さんの名曲の数々を改めて聞いてみてはいかがかと思います。
ということで、J-POP界のレジェンドシリーズ70歳後期を迎えた方々は、
桑田さん、松山千春さん、今日の佐野さんでひとまず閉じてですね、
来月からはさらにその上の世代をいただきたいと思います。
いっぱいいりますからね。
じゃあまた4月の最終金曜日を楽しみにしております。
ということで、今日の学ぶ社会の鍵はこの歌詞がすごい。
元サンデー毎日編集長が田中修一郎さんでした。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。