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ニュースや世間の気になる話題を、様々な角度から読み解いていきます。
去年の11月、神奈川県で、82歳の夫が40年間介護してきた79歳の妻を、車椅子ごと海に突き落として殺害する事件がありました。
その判決が来週18日に言い渡されるということなんですが、今日はこの件についてということですよね。
潟永さん、おはようございます。
おはようございます。
何ともやりきれない事件なんですが、いわゆる老々介護殺人事件です。
発生の時も少し触れたんですけれども、残念ながら日本では毎年20件から30件というペースで、同じような事件が発生しています。
いずれも在宅で介護する側が追い詰められて、手をかけてしまうというパターンで、
もちろんどんな事情があっても、人をやめるというのは許されない犯罪なんですが、
ただ起きるたびに何とか防げなかったのか、救えなかったのかと思うのも事実ですね。
判決を前に、今日はその視点でこの事件を考えてみたいと思います。
まず毎日新聞の記事を基に事件を簡単におさらいします。
発生は去年11月2日の午後5時半ごろ、神奈川県大磯町の漁港に、老婦人の遺体が浮いているのが見つかりました。
亡くなったのは左半身麻痺で養介護3の認定を受けていた79歳の藤原照子さん。
殺害したのは夫の藤原彦路氏被告、82歳でした。
初公判での検察が冒頭陳述によると、被告はおよそ40年前に妻が脳梗塞で倒れてから介護を続けてきましたが、
去年の6月ごろから妻の体の状態が悪化して、介護の負担が増えたために、
家族から施設に入れる様子を説得されていましたが、施設に入れるくらいなら殺してしまおうと決めて、
岸壁から車椅子ごと付け落としたとされます。
被告は間違いありませんと事実関係を認めました。
そして開かれた今週火曜日の論国休憩広報です。
検察側は、自分が介護しなきゃいけないという誤った信念に基づく自己中心的な犯行で、
周囲の犯行を受け入れて施設で専門職に任せるべきだったとして懲役7年を休憩しました。
一方、弁護側は、妻の症状が急激に悪化して自分の体調も悪くなっていた。
精神的に追い詰められて正常な判断もできず、将来を悲観して無理真珠を図ったものだとして、
執行猶予付きの判決を求めています。
藤原被告は最終意見陳述で肩を震わせて泣きながら、
最後は大きな声でテルコを申し訳ないと言って、決心しました。
この事件は毎日新聞横浜市局の園辺ひとし記者が追い続けていて、
今年2月から計11回も、高地上で被告と接見をあって話を聞くことが重ねてきました。
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その内容は40年介護した妻を車椅子ごと海へ、被告が悔やむ最後の嘘というタイトルで記事にしています。
少しだけご紹介しますと、2人が結ばれたのは被告が26歳だった56年前です。
勤めていたスーパーの同僚だったそうです。
2人の息子にも恵まれて幸せな生活でしたが、その生活が安定したのは41年前。
奥さんが脳梗塞で倒れていくからでした。
被告は仕事に追われ家族を見ていなかった私の責任だと、これ以上つらい思いをさせないというふうに心に決めてスーパーを辞め、
コンビニを経営しながら自宅での介護を選びました。
息子たちが独立してからも妻のために3食を作り、ベランダには妻の好きな花を並べて、
テレ子さんは幸せそうだったと近所の人も言っています。
ところが去年テレ子さんがついに寝たきりになって、被告自身も糖尿病が悪化して、
いわゆる下の世話と自分の貧乳で眠れなくなって体重も激減したそうです。
海に飛び込んで一緒に死のうと考えるようになったのは事件の2,3ヶ月前で、決意したのは当日の朝だったと。
こう言ってテレ子さんを車に乗せました。
海に行こう。息子も会いに来る。記事のタイトルにある被告が悔やむ最後の嘘は、息子も会いに来るって言ったことなんですね。
後を追おうとしてできず、
帰って経緯を連絡した息子からの通報で逮捕されました。
藤原被告はその被告者に、施設に入所させて2人で生き続けることが正しかったんだろう。
でも当時はとにかく混乱していた。愛する人を最後は嘘をついて殺してしまった。
どんな刑になってもしっかり罪を償いたい。
そしてもしいつか外に出られたら真っ先に墓参りしたい。と言って天を仰いだそうです。
そしてその被告者は責任感から介護を一人で抱え込み、助けてって言えない人たちへの支援を訴えます。
日本ではその役割はケアマネージャーに求められているんですけれども、
あるケアマネさんはですね、介護される人に関することだけでも仕事がいっぱいで、
介護する人の異変にまで気づきにくいという声を言っていますし、
介護する人もですね、自治体に直接相談できるイギリスの例なんかを挙げてですね、
介護される人だけでなく、介護する人への支援やサポートの充実を求めています。
この記事は全文が毎日新聞デジタルで読めますので、関心のある方はぜひ読んでください。きっと胸に迫ると思います。
改めて今の日本の現実をデータから見ます。
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2022年の高齢者白書によると、これ厚生労働省がまとめてますが、
総人口は1億2550万人、このうち65歳以上人口は3621万人で、
人口に占める割合、高齢化率はおよそ29%です。この30年で2倍になりました。
このうち養介護とか養子園の認定を受けた人がおよそ660万人、2割近くを占めてですね、高齢者の。
同居で介護をしている人のおよそ73%がなんと60歳以上ですね。
労働介護と言われるのは65歳以上ですので、それ以上に限ってもおよそ6割で、
だからみんなまさに明日は我が身ですよね。
じゃあなんでそんなことになるのかなんですが、大きいのはやっぱりお金の問題です。
何らかの介護サービスを受けた養介護者のうちですね、施設入所者はおよそ100万人で、
残り400万人は在宅です。施設の入所費用ってこれは様々なんですけれども、
特別養護老人ホーム、特労と言われるところですね、ここを除くと、
安くても月十数万円以上、都市圏、首都圏とかだと20万円以下っていうのはほとんどないですね。
しかも上を見ればキリがありません。
ですから10万円程度で収まる特労は秋待ちが続いていて、待機者はおよそ30万人いるそうです。
ですから都市部では申し込んでから数年待ちの状態で、亡くなるまでに間に合わないケースが続出しています。
また子どもに迷惑はかけられないという心情的な壁とかですね、
頼るようにも現役世代は介護休暇が少なかったり取れないといった制度的な問題もあります。
神奈川の事件でも藤原被告は被告人質問で、
施設に入れば息子たちに金銭や精神的に迷惑をかけると思い、
2人で侵入すれば迷惑をかけないと思ったと答えてるんですね。
ただ光もあります。
これ、介護する人を支援する条例制定の動きです。
先進地は埼玉県で、これ2020年、3年前に全国に先駆けて制定しました。
毎日新聞がキャンペーン報道したヤングケアラー、幼い介護者たちへの支援がきっかけだったんですけれども、
全てのケアラー、介護する人を対象にしていて、その第3条にはこうあるんですね。
全てのケアラー、介護者が個人として尊重され、
健康で文化的な生活を営むことができるように行われなければならない。
だから介護者の支援は、県、県民、市町村、事業者、関係機関、民間支援団体等の
多様な主体が相互に連携を図りながら、
介護者が孤立することのないよう、社会全体で支えるようにしなければならない。
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というふうにあるんですね。
さらに、この社会全体で支える、孤立しないようにするというのは大事ですよね。
さらに理念だけじゃなくて、支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画を作るというふうに定めていて、
そのために必要な予算や体制の実現にも努めるというふうにしてるんですね。
実は同様の条例制定はその後、北海道や茨城、鳥取各県など18の県や市で相次いでいて、
九州では長崎県が去年の10月に条例を公布しています。
理念専攻で効果を疑問視する声もあるんですけれども、
少なくとも、介護する人も支援が必要なんだと、見守るべき人なんだという意識が県民、市民に広まって、
誰より党人が、つらい時は頼っていいんだ、行政や人を頼っていいんだと思えるようになることが大切ですよね。
繰り返される悲劇を防ぐために、多くの自治体が介護者支援に乗り出す、こういう条例制定も含めて乗り出すことを望みますし、
イギリスやオーストラリアなどでは既に国レベルで法整備もされていて、
介護者への支援金の給付とか、カウンセリングとかのサービスが提供されてるんですね。
先進国でもずば抜けた高齢化率を考えると、日本こそ充実すべきサービスだと私は思いますよ。
最後に、事件報道は基本的に被害者に寄り添うものなんですが、
今回の事件では多くのメディアがなぜ防げなかったのかという痛みを抱いて、その視点から報じてました。
毎日新聞だけじゃなくていろんなメディアがそうでした。判決は週明けの18日ですけれども、
これは裁判員裁判なので、裁判員の皆さんがどのような判断をされて、そしてそれがどのようにまた報じられるのか、
私はまた注目したいなというふうに思っています。
本当ですね。この判決がまたその世論とか、動かして、そして国を動かしてという動きになっていくことを望みますよね。
ということで、今日は来週18日判決が出されます。
牢牢殺人のことについてお話を伺いました。
元サンデー毎日編集長が田中周一郎さんでした。どうもありがとうございました。
はい、どうもありがとうございました。