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世の中はですね、明日から始まる日本シリーズとワールドシリーズ、そして、あさっては日本の未来を決める総選挙と大きな話題、オンパレードなんですが、
今日の学ぼう社会のカギは、最終金曜日ということで、元サンデー毎日編集長、潟永秀一郎さんのこの歌詞がすごいを届けていただきます。
さて、今日はどんな曲が登場するんでしょうか。
潟永さん、おはようございます。
はい、おはようございます。世の中大変な時にこの歌詞なんかやっててすいません。
いやいやいやいや、これ毎月楽しみに皆さん知ってるし、僕も楽しみですよ。
まあでも、どんな時も人の営みはあるわけで、夏に燃え上がった恋が冷め始める秋は、失恋の季節とも言われます。
そこで今日はですね、昭和が生んだ三大女性シンガーソングライターといって、たぶんいろんな方いらっしゃらないと思うんですが、
このお三方が1980年代に同じテーマで書いた失恋ソング、これをちょっと角度を変えて分析してみたいと思います。
まずはこの曲からです。中島美行さんの悪女です。
ご存知の通り初期の美行さんは、この歌や別れ歌、化粧、ひとり上手、幸せ芝居、春なのに、などなど、失恋にまつわる名曲が多くて、
失恋ソングの女王とも呼ばれました。中でも切なさという点では悪女じゃないかと思いますが、
この歌一言で言うと、もう自分のことは好きじゃない。別の人を愛し始めている彼に、別れよって言ってもらうために悪女を演じるという、そういう歌です。
じゃあどんな悪女のフリかというと、一緒に暮らす彼に、自分が他の男の人と遊んでいるように見せかけるために、仲のいい女友達に電話をしては止めてもらったり、
それもあんまり、度重なると彼女に悪いから、オールナイトの映画館や深夜喫茶で時間を潰して、始発電車で帰って、夜遊びを装うわけですね。
歌詞で紹介すると、例えば彼女は女のつけぬコロンを買って、深夜の砂天の鏡でうなじにつけてから、つまり男の人と夜を明かしたように装って、夜明けを待って一番電車で帰ります。
それも、悪女になるなら裸足で夜明けの電車で泣いてから、涙ホロホロホロホロ流れて枯れてからって、彼の前では泣けないから電車の中で思い切り泣いてから帰るんです。
これ、切ないですよね。
愛しすぎて自分から別れを言えないからっていうのもありますが、それだけじゃないんですね。
最後のフレーズは、涙も捨てて情けも捨てて、あなたが早く私に愛想をつかすまで、あなたの隠すあの子のもとへ、あなたを早く渡してしまうまでって、彼が自分に罪悪感を感じずに新しい恋を生きられることすら願ってるんです。
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本音はコーラスで歌われる、「行かないで。」なのに、もう切なすぎて胸が痛くなりますね。
これ、娘だったら耐えられないかもしれないですね。
いやー、っていうか、これを逃した彼はバカチンやね。
バカチンですね。
こんな良い女はいないでしょう。
こんな女性は今の時代いないかもしれませんよ。
それはわかんないですよ。
どう?ここまで、ちょっと私は改めて聞きながら、確かにそうだけど、もう別の方法があったのでは?って、すみません、思ってしまう一面も。
神様みたいな女性ですけどね。
すごいですね。
さて、ではこの悪女、これをモチーフにこれから展開していきますけども、この悪女のテーマの一つ、恋人との関係が終わりそうな時を、この人はどう歌ったんでしょうか。
はい、ユミ、松戸屋ユミさんのスイートドリームスです。
この歌を一言で言うと、私はまだ大好きなのに気持ちはすれ違うばかりで、もうこの恋は終わるんだよね、という失恋の歌です。
その痛みは悪女と同じですが、違うのは未練の度合いでしょうか。
悪女の主人公の本音はさっきも言ったように、「行かないで。」ですが、この歌の主人公はどうしたってもう元には戻れないと割り切ってもいます。
それは冒頭の、今聴いていただいた、「この電話が最後かもしれない。他人ごとに思える涙だけ溢れて。」という歌詞に明らかで、終わりを受け入れているからこそ、どこか他人ごとのように思えてしまうんですね。
そんな客観性の象徴が写真立てです。電話をしながら、おどける二人、今日を知らずにキスしている写真を、こんな日が来るとは思いもしなかった無邪気だったあの頃の自分を電話をしながら、ただ懐かしく見つめています。
悪女とはまた違う切なさです。
ただ、彼女もまた、悪女の主人公と同じく去っていく人に愛を残します。
それは次の歌詞。
できればひどい捨て台詞投げて、嫌われてから消えたいの。という思いです。
夢ばかり追っかけている彼に、優しくできなかった自分を振り返って、私といると回り道だから構わないでと、私に悪いなんて思わず、あなたは夢を追ってねって願う最後の愛です。
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では、もう一曲。この方です。
竹内マリアさんのもう一度です。
これも先の2曲と同じく、恋人との思いがすれ違って冷え切ってしまった関係を歌った歌なんですが、全く違った歌になっています。
一言で言うと、この歌を。一緒に暮らし始めた頃はあんなに幸せだったのに、時を経ても愛を語ることもなく、傷つけ合うようになったけど、私は変わるから、もう一度やり直そうという、いわば真逆の歌です。
さらに違うのは、彼女が愛を取り戻すため、胸を熱くした日々を取り戻すためにどうするか。
こう歌われます。少しだけあなたを心配させてみたい。輝いていた頃の私に再び戻って。
出会った頃の私、優しくて明るくて輝いていた私に戻って、他に好きな人できたの?誰にも渡したくないと心配させようって言うんですね。
すごいポジティブさですね。
そうですね。
だから有名な歌、失恋した女性の応援歌として有名な、元気を出してにも通じる、この前置きさがマリアさんの真骨頂ですね。
そうですね。
誤解を恐れずに言うと、作品イコールその人じゃなくて、例えば殺人の小説を書く人が悪い人じゃないのと同じで、イコールじゃないけれども、恋愛に関する歌の自己肯定感の高さというかポジティブさで言うと、
3人は高い順にマリアさん、ユーミン、ミュウキさんという風になりますよね。
私一番共感できるのはユーミンかな。
では次に悪女のもう一つのテーマ、恋人に他に好きな人ができた時のユーミンとマリアさんの歌を掛け合わせて紹介します。
まずはユーミンからです。
はい、真珠のピアスです。
怖いです。
この歌、以前もこのコーナーで取り上げたので簡単に言いますが、自分を捨てて他の女性を選んだ彼と一夜を過ごした最後の朝、ベッドの下にこっそり真珠のピアスを片方捨てていくという歌でした。
もうすぐかわいいあの人と引っ越しする時気づくでしょうって、もう揉めますよね。
怖いですね。
いやいやいや、これ違う違う違う。おふくろのおふくろのって。
そんなわけないでしょ。何なのよこれ。私の他に女がいるの。
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最後にそういう仕掛けをしていくという。
そしてこの歌でも主人公は別れをどこか他人事のように別の視線で眺めています。
帰り際に自分を抱きしめる彼の背中に回す指の力とは裏腹なあなたの表情が見たいという冷めた目がですね。
それからピアスと恋愛の掛け言葉になっているどこかで半分なくしたら役には立たないものがある。
そうですね。
この割り切りですね。
どんなに傷ついても自分を客観視できる強さがユーミンの描く女性にはあって、それが独特の映像性。
まるでドラマを見ているような映像性というか都会っぽさを生んでいる気がします。
では最後はこの曲です。
竹内マリアさんのシングルアゲインです。
この曲は恋人を他の女性に奪われた後の歌でして、
あなたを連れ去るあの人の影に怯えて暮らした日々はもう遠いんですが、
彼がまた一人に帰ったと、つまり彼女と別れたと風の頼りに聞いてから忘れかけた思いが胸の中でざわめいているというそういう歌です。
じゃあ彼女はよりを戻したいのかというと、そんなことはマリアさんは歌えません。
忘れかけた思いというのは、歌詞にも出てきますが、彼女を選んだわけさえ聞けなかった割り切れなさで、
私と同じ痛みをあなたも感じているなら電話くらいくれてもいいのにと、自分の過ちを振り返るよう求めながら、
でも手放した恋を今あなたも悔やんでいるなら、君と別れるんじゃなかったとあなたが後悔しているなら、やっと本当のさよならできる。
もう思い残すことはないわというですね、見事にサバサバした女性の歌ですね。
やはりマリアさんはポジティブです。
まあということで、今日は中島みゆきさんの悪女をモチーフに、同じテーマでも作り手によって歌はこんなに変わるというお話だったんですけども。
冒頭、しょうしさんは悪女の女性、こんな人なんで捨てるんだということでしたけど。
しょうしさんは3人の女性像で言うと、悪女の彼女が甘い、そこまで思ってくれてる人っていうのを残念でしょうがないと思いますよ、彼は。
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私はというとですね、そうなんですけどね、ちょっと鬱陶しいかなと思って。
ねえ、ちょっとね。
重い?
私もちょっと感じる。
重いですか?
いや、そんな偽装工作みたいに自分をね、嫌われる方向に持っていく必要がある?
いや、そのぐらいでも思ってくれてる人なんじゃんっていうことよ。
もっと女神みたいな人だと思いますけど。
で、後田中さんは誰なんですか?
いや、私はまあ、あのー、そうですね。
私に優しければ誰でもいいです。
近くに奥さんがいません?
いませんけど聞いてますけどね。
聞いてます。
言いにくいね。
いやいや、そんなことじゃなくて、私に優しくしてくれる人だったら誰でもいいです。
で、最後に水木さんは、さっきにゆきさんかなと言っちゃってましたけど、
ユーミンですね。
ユーミンと一緒ってましたけど、私、マリアさんの匂い感じるんですか?どうなんですか?
超ポジティブ。
そうですね。まあ、終わり方にもよるのかも。
まあ、厳しい女子や仲良いを生き抜いてきた女ですから。
ちょっと自分を客観視できるくらいの余裕があるといいなと。
ということで、もう一度ですね、ぜひ、これ歌詞を読みながらですね、
今日ご紹介した歌。
どの曲も必ず一度は聴いてる曲ですけどね。
もう一度深く、改めて聴いてみたいです。
ありがとうございました。月に一度のこの歌詞がすごい。
元サンデー毎日編集長、がたながし一郎さんでした。
どうもありがとうございました。