外交青書の概要と日中関係の現状
この時間は、日替わりコメンテーターが独自の切り口で、多様な視点を提案するCatch Up。
月曜日は、元RKB解説委員長で、福岡女子大学副理事長の飯田和郎さんです。
飯田さん、おはようございます。
はい、おはようございます。
よろしくお願いします。
さて、今日の話題なんですけども、外務省が先日、2026年版の外交青書を発表しました。
青、書、書くという字ですね。
今日は、この外交青書に描かれている日中関係の現在地について考えていくということですね。
はい、そうなんです。
外交青書、確かに表紙はブルーなんですよね。
国際情勢がどのように移ってきたか、また日本政府の外交活動をまとめたものなんですよ。
1957年から毎年発行されてきました。
主に過去1年間の情勢を点検しております。
過去の外交青書も含めて、外務省のホームページで公開されていますので、見ていただきたいと思います。
併せてですね、日本が個別の国や地域に、どのような姿勢で挑んでいるのかということも読み取れます。
その中で中国なんですよね。
今年変化がありました。
中国に言及する部分には毎年、二国間関係一般という項目、柱があるんですけど、
その項目で2026年度版はこのような書き出しだったんですよ。
中国とは戦略的互形関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが一貫した方針である。
戦略的互形関係、これは日中関係のキーワードですね。
平たく言うと、日本と中国の間には色々見解が異なる対立もあるんだけど、
互形、互いに利益のあるウインウインを目指しましょうよということなんですよね。
これは日中関係だけじゃなくて、アジア地域、そして世界規模の課題もともに解決していきましょうということなんです。
ちょうど20年前の2006年に当時の安倍晋三総理が北京を訪問し、当時の古今東史跡だとの間で歌い上げました。
まず中国との関係の大原則を明記しているような感じですね。
書き出しがそれですね。そしてこの後こういうふうに続きます。
外交青書における日中関係の表現の変化
重要な隣国であり、様々な懸案と課題があるからこそ意思疎通を継続しながら、国益の観点から冷静かつ適切に対応していく。
ここも書いてある通りだと思うんですよね。
今日の日中関係の冷却化を見てみれば、中国との付き合い方はそこに謳っているように、国益の観点から冷静かつ適切に対応していく。
これはおそらく多くの日本の国民は同意すると思います。
ただ1年前の、2025年の外交聖書との相違に注目したいと思います。
とりわけ漢字という同じ文字を共有する日本と中国の間なんで、微妙な表現の変化は時として相手に敏感に刺さっちゃうんですよね。
重要な隣国、中国を2026年の外交聖書ではそう位置づけたんですけど、25年の外交聖書は違う表現でした。
隣国である中国との関係は日本にとって最も重要な二国間関係の一つであり、両国は緊密な経済関係や人的文化的交流を有している。
もっともっていう言葉があるかないかっていうところもかなり印象が違ってくるのかなと思いますけども。
今回は重要な隣国ということでいうと、位置づけとしてはちょっと交代したような印象ありますね。
そうですね。外交聖書は英語版、フランス語版、スペイン語版もあるんですよ。
今おっしゃったように英語版だったら、もっとも英語のmostが抜けたんですよ。
ちょっとですね乱暴かもしれませんけど、友人関係に例えてみたんですよね。
mostの場合は、君は僕にとってかけがえのない親友の一人だっていう表現ですよね。
1年後の今はこんな表現ですよ。君は僕の大切な友人だよ、というふうになっちゃったわけなんですよね。
田畑さんどういうふうに言われた方としては受け取りますか。
前文がなければ、前の段階がなければ、大切な友達だよって言われて悪い気はしないんですけど、
その前の年にかけがえのない親友の一人だって言われてたのに、大切な友達だよって言われちゃうと、
この間に僕なんかやっちゃったかなとか、なんか気にしますね。
思いますよね。私も同じ思いだと思います。
外交青書が指摘する日中間の懸案事項
この2026年の外交聖書には、他にも日中関係の懸案や課題を具体的に示してるんですよ。
例えば尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での中国の威圧行為。
例えばロシアと中国の連携を含む日本周辺での軍事活動。
そして中国によるレアアースなどの輸出管理措置などがあったってことなんですよ。
またですね、台湾海峡の平和と安定も重要なんだと強調したり、
例えば香港。ここでも自由や人権が損なわれている。
また新疆ウイグルの自治区についても、言葉として深刻に懸念していると述べてましたね。
中国からの批判と日本の外交姿勢
ただそういうことを日本政府から台湾とか香港、新疆ウイグルとかについて言及があると、
中国からすると内政干渉だって反発しそうだなって思いますよね。
そうですね。やっぱりここにも高市カラーが現れているような気がしますよね。
今おっしゃったように、こちらから、つまり日本からの中国が反発する部分に切り込めば、
向こうも当然態度を高下させるんですよね。
実際、中国外務省のスポークスマンは、今年の外交政策に関してこんなふうに評論してますね。
日中関係が現在の局面となった根源は、高市さなえ首相の台湾に関する誤った発言にあります。
信頼を裏切り、中日関係の政治的基礎を破壊したことにあります。
こう批判しました。
外交政策というのは外務省が出してるんですけど、
外務省の茂木俊光外務大臣も会見でこういうふうに述べてましたね。
日中間には課題と懸案があるからこそ意思疎通が重要であり、
我が国としては中国との様々な対話についてオープンであります。
このオープンという言葉をよく使いますね。
国際情勢の厳格な認識と防衛力強化
今日紹介してきた外交聖書なんですけど、
全体の最初の部分にこんな分析があります。
現在の国際情勢をどう認識しているか。
ここも橋本さんに紹介してほしいと思います。
自由で開かれた国際秩序は大きく動揺している。
パワーバランスの変化や知性学的競争の激化を受け、
歴史の大きな変革期にあり、
こうした中で現在、日本を取り巻く安全保障環境も、
戦後最も厳しく複雑で一層緊迫したものとなっている。
かつてのポスト冷戦期といわれた比較的安定した時代は、
すでに終焉を迎えたといえるだろう。
極めて厳しい現状認識が現れていると思います。
中国、北朝鮮をこのエリアでは指すのでしょう。
だから、昨今議論されているように、
今こそ防衛費をさらに上積みして備えようということに
つながるのかなと思っています。
日中関係の現状と今後の戦略
昨今の日中関係を眺めると、
中国が激しい言葉で日本への攻撃を繰り返す。
そして具体的には日本向けの輸出規制を強めています。
これまたボクシングで表現すると、
中国が繰り返しストレートパンチを浴びせている。
一方の日本は、青函を装うんですけど、
今年の外交聖書の文言があらわすように、
実は日本もジャブを返している。
そんなふうに私には見えてしまいますね。
このままだと、戦略的語形関係というか、
ウィンウィンの関係というのは非常に難しいような気がしますね。
そうですね。戦略的語形関係。
戦略的、つまり知恵を巡らせて、
互いに恵みをもたらせよう、
そういうことなんですよね。
そこに日中が誓ったわけなんですよ。
これもよく言われているように、
日中は引っ越しができない隣に住む人なんですよね。
ですから、日本は中国との対話についてオープンだ、
というだけじゃなかなか前に進みません。
最後に外交聖書に戻りますが、
表現が変わったときを紹介してきました。
僕は、こんな時だからこそ、
つまり、いろいろあるけど、
やっぱり君は僕にとってかけがえのない親友の一人だ、
と言ってみるのも策の一つだったんじゃないかなと思います。
それはですね、
そう言うと弱腰だとか言う人がいますけど、
それは弱腰でなく、戦略。
これこそ戦略じゃないかなと私は思いましたね。
ついつい損得感情とか、
勝ち負けでついつい評価してしまう人っていますけど、
そうじゃなくて、
お互いの利益を考えた上での戦略的というのは、
それはありだなと私は思いますね。
飯田さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
元RKB開設委員長で、
福岡女子大学副理事長の飯田和夫さんでした。
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