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手袋を買いに
2025-11-29 16:09

手袋を買いに

0162 251129 新美南吉 手袋を買いに :朗読 中井優里
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おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
にいみなんきちさく。
手袋を買いに。
寒い冬が北方から、キツネの親子の住んでいる森へもやってきました。
ある朝、ホラーなから子供のキツネが出ようとしましたが、
アッと叫んで目を押さえながら、母さんキツネのところへ転げてきました。
母ちゃん、目に何か刺さった。抜いてちょうだい。早く早く。
と言いました。
母さんキツネがびっくりして慌てふためきながら、
目を押さえている子供の手を恐る恐る取り除けてみましたが、
何も刺さってはいませんでした。
母さんキツネはホラーの入り口から外へ出て、初めて訳がわかりました。
昨夜のうちに真っ白な雪がどっさり降ったのです。
その雪の上からお日様がキラキラと照らしていたので、
雪は眩しいほど反射していたのです。
雪を知らなかった子供のキツネは、あまり強い反射を受けたので、
目に何か刺さったと思ったのでした。
子供のキツネは遊びに行きました。
まわたのように柔らかい雪の上を駆け回ると、
雪の粉がしぶきのように飛び散って、小さい虹がすっと映るのでした。
すると突然、後ろでドタドタザーッとものすごい音がして、
パンコのような粉雪がフワーッと子ギツネに追っかぶさってきました。
子ギツネはびっくりして雪の中に転がるようにして、
十メートルも向こうへ逃げました。
なんだろうと思って振り返ってみましたが、何もいませんでした。
それはモミの枝から雪がなだれ落ちたのでした。
まだ枝と枝の間から白い絹板のような雪がこぼれていました。
03:00
まもなくホラーナへ帰ってきた子ギツネは、
お母ちゃん、おててがつめたい。おててがちんちんする。
と言って濡れてボタン色になった両手を母さんギツネの前に差し出しました。
母さんギツネはその手にはーっと息を吹っかけて、
ぬくとい母さんの手でやんわり包んでやりながら、
もうすぐあたたかくなるよ。雪をさわるとすぐあたたかくなるもんだよ。
と言いましたが、かわいい坊やの手にしもやけができてはかわいそうだから、
夜になったら町まで行って、
坊やのおててに合うような毛糸の手袋を買ってやろうと思いました。
暗い暗い夜が風呂敷のような影を広げて野原や森を包みにやってきましたが、
雪はあまり白いので、包んでも包んでも白く浮かびあがっていました。
親子のギツネはホラーなから出ました。
子供のほうはお母さんのお腹の下へ入り込んで、
そこからまんまるな目をパチパチさせながら、
あっちやこっちを見ながら歩いていきました。
やがて行く手にぽっつり明かりが一つ見え始めました。
それを子供のキツネが見つけて、
母ちゃん、お星さまはあんな低いところにも落ちてるのね、と聞きました。
あれはお星さまじゃないのよ、と言って、
その時母さんギツネの足はすくんでしまいました。
あれは町の灯なんだよ。
その町の灯を見た時、
母さんギツネはある時町へお友達と出かけて行って、
とんだ目にあったことを思い出しました。
およしなさいっていうのも聞かないで、
お友達のキツネがある家のアヒルを盗もうとしたので、
農家の人に見つかってさんざ追いまくられて、
命からがら逃げたことでした。
母ちゃん、何してんの、早く行こうよ、
と子供のキツネがお腹の下から言うのでしたが、
母さんギツネはどうしても足が進まないのでした。
そこで仕方がないので、
坊やだけを一人で町まで行かせることになりました。
坊や、おててを片方を出し、
とお母さんギツネが言いました。
その手を母さんギツネはしばらく握っている間に、
かわいい人間の子供の手にしてしまいました。
坊やのキツネはその手を広げたり、
握ったり、つねってみたり、かいでみたりしました。
なんだか変だな母ちゃん、これ何?
と言って、雪あかりにまたその人間の手に変えられてしまった自分の手を、
しげしげと見つめました。
それは人間の手よ。
いいかい坊や、町へ行ったらね、
たくさん人間の家があるからね。
06:01
まず、表に丸いシャッポの看板のかかっている家を探すんだよ。
それが見つかったらね、
トントンと扉をたたいて、こんばんはって言うんだよ。
そうするとね、中から人間がすこーし扉を開けるからね。
その扉のすき間から、こっちの手、
ほら、この人間の手を差し入れてね。
この手にちょうどいい手袋をちょうだいって言うんだよ。
わかったね。
決してこっちのお手手を出しちゃだめよ、
と母さん狐は言い聞かせました。
どうして?と坊やの狐は聞き返しました。
人間はね、相手が狐だとわかると手袋を売ってくれないんだよ。
それどころか捕まえて檻の中へ入れちゃうんだよ。
人間ってほんとに怖いものなんだよ。
ぷーん、決してこっちの手を出しちゃいけないよ。
こっちのほう、ほら、人間の手のほうを差し出すんだよ。
と言って、母さんの狐は持ってきた二つの白銅貨を
人間の手のほうへ握らせてやりました。
子供の狐は町の灯を目当てに
雪あかりの野原をよちよちやっていきました。
はじめのうちは一つきりだった日が
二つになり三つになり、果ては十にも増えました。
狐の子供はそれを見て、
火には星と同じように赤いのや黄いのや青いのがあるんだなと思いました。
やがて町に入りましたが、
通りの家々はもうみんな灯を閉めてしまって、
高い窓からあたたかそうな光が
道の雪の上に落ちているばかりでした。
けれど表の看板の上には
たいてい小さな電灯が灯っていましたので、
狐の子はそれを見ながら帽子屋を探していきました。
自転車の看板や眼鏡の看板や
そのほかいろんな看板が、
あるものは新しいペンキで描かれ、
あるものは古い壁のように剥げていましたが、
町に初めて出てきた狐には
それらのものが一体何であるかわからないのでした。
とうとう帽子屋が見つかりました。
お母さんがみちみちよく教えてくれた
黒い大きなシルクハットの帽子の看板が
青い電灯に照らされてかかっていました。
狐は教えられたとおり
トントンと戸をたたきました。
「こんばんは。」
すると中では何かことこと音がしていましたが、
やがて戸が一寸ほどごろりと開いて、
光の帯が道の白い雪の上に長く伸びました。
09:03
狐はその光がまばゆかったのでめんくらって
間違った方の手を
お母様が出しちゃいけないと言ってよく聞かせた方の手を
隙間から差し込んでしまいました。
このおててにちょうどいい手袋ください。
すると帽子屋さんはおやおやと思いました。
狐の手です。
狐の手が手袋をくれというのです。
これはきっと木の葉で買いに来たんだなと思いました。
そこで先にお金をくださいと言いました。
狐は素直に握ってきた白銅貨を2つ帽子屋さんに渡しました。
帽子屋さんはそれを人差し指の先に乗っけて
かち合わせてみるとチンチンと良い音がしましたので
これは木の葉じゃない本当のお金だと思いましたので
棚から子供用の毛糸の手袋を取り出してきて
狐の手に持たせてやりました。
狐はお礼を言ってまた元来た道を帰り始めました。
お母さんは人間は恐ろしいものだっておっしゃったが
ちっとも恐ろしくないや
だって僕の手を見てもどうもしなかったものと思いました。
けれど狐は一体人間なんてどんなものか見たいと思いました。
ある窓の下を通りかかると人間の声がしていました。
なんという優しい、なんという美しい、なんというおっとりした声なんでしょう。
狐はその歌声はきっと人間のお母さんの声に違いないと思いました。
だって狐が眠る時にもやっぱり母さん狐は
あんな優しい声でゆすぶってくれるからです。
すると今度は子供の声がしました。
母ちゃんこんな寒い夜は森の狐は寒い寒いって泣いてるでしょうね。
すると母さんの声が
森の子狐もお母さん狐のお歌を聞いてホラーの中で眠ろうとしているでしょうね。
さあ坊やも早くねんねしなさい。
森の子狐と坊やとどっちが早くねんねするか。
きっと坊やの方が早くねんねしますよ。
それを聞くと子狐は急にお母さんが恋しくなって
お母さん狐の待っている方へ飛んでいきました。
お母さん狐は心配しながら坊やの狐の帰ってくるのを
今か今かと震えながら待っていましたので
坊やが来ると温かい胸に抱きしめて泣きたいほど喜びました。
12:05
2匹の狐は森の方へ帰っていきました。
月が出たので狐の毛並みが銀色に光り
その足跡にはコバルトの影がたまりました。
母ちゃん、人間ってちっとも怖かないや。
どうして?
坊、間違えて本当のお手手出しちゃったの。
でも帽子屋さん捕まえやしなかったもの。
ちゃんとこんないい温かい手袋くれたもの。
と言って手袋のはまった両手をパンパンやってみせました。
お母さん狐はまあと呆れましたが
本当に人間はいいものかしら?
本当に人間はいいものかしら?
とつぶやきました。
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