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ごんきつね
2025-10-04 16:40

ごんきつね

0154 251004 新美南吉 ごんきつね 朗読:龍山康朗
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おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
にいみい南吉 ごんぎつね
昔私たちの村の近くの中山というところに小さなお城があって その中山から少し離れた山の中に
ごんぎつねという狐がいました。 ごんは一人ぼっちの小狐で、夜でも昼でも村へ出てきていたずらばかりしました。
畑へ入って芋を掘り散らしたり、菜種柄の干してある上、火をつけたり、 百姓屋の裏手につるしてあるとんがらしをむしりとっていったり、いろんなことをしました。
ある秋のことでした。 2、3日雨が降り続いたその間、ごんは外へも出られなくて、穴の中にしゃがんでいました。
雨が上がると、ごんはほっとして穴からはいでました。 空はからっと晴れていて、モズの声がキンキン響いていました。
ごんは村の小川の包みまで出てきました。 ふと見ると川の中に人がいて何かやっています。
ごんはそーっと草の深いところを歩き寄って、そこからじっとのぞいてみました。 標柱だなとごんは思いました。
標柱はぼろぼろの黒い着物をまくしあげて、 腰のところまで水に浸りながら、魚をとる針切りという網をゆすぶっていました。
鉢巻きをした顔の横っちょうに、まるい萩の葉が一枚、大きなほくろみたいにへばりついていました。
しばらくすると標柱は針切り網の一番後ろのふくろのようになったところを水の中から持ち上げました。
その中には草の葉や腐った木切れなどがごちゃごちゃ入っていましたが、 でもところどころ白いものがキラキラ光っています。
それは太いウナギの腹や大きなキスの腹でした。 標柱はビクの中へそのウナギやキスをゴミといっしょにぶち込みました。
標柱はそれから何をさがしにか川上のほうへかけていきました。
03:07
標柱がいなくなるとごんはぴょいっと草の中から飛び出してビクのそばへかけつけました。
ちょいといたずらがしたくなったのです。
ごんはビクの中の魚をつかみ出しては川の中をめがけてポンポン投げ込みました。
どの魚もドボンと音をたてながらにごった水の中へもぐり込みました。
一番しまいに太いウナギをつかみにかかりましたが、何しろぬるぬるすべりぬけるので手ではつかめません。
ごんはじれったくなって頭をビクの中につっこんでウナギの頭を口にくわえました。
ウナギはキュッといってごんの首へまきつきました。
そのとたんに標柱がむこうから、
「ほら!ぬずすときつねめ!」とどなりたてました。
ごんはびっくりして飛びあがりました。
ウナギをふりすてて逃げようとしましたが、
ウナギはごんの首にまきついたまま離れません。
ごんはそのまま横っ飛びに飛び出して一生けんめいに逃げていきました。
十日ほどたって、
ごんがやすけというお百姓の家の裏を通りかかりますと、
そこの一軸の木の陰でやすけの家内がおはぐろをつけていました。
ごんは、「はあ、むらに何かあるんだなあ。」
と思いました。
「なんだろう、秋まつりかなあ。
まつりなら太鼓や笛の音がしそうなものだ。
それに第一おみやにのぼりが立つはずだが。」
こんなことを考えながらやって来ますと、
いつのまにかおもてに赤い井戸のある標柱の家の前へ来ました。
その小さな壊れかけた家の中には大勢の人が集まっていました。
よそいきの着物を着て腰に手ぬぐいをさげたりした女たちが、
おもてのかまどで火を焚いています。
「あ、葬式だ。」とごんは思いました。
お昼がすぎるとごんは村の墓地へ行って、
六地蔵さんの影にかくれていました。
いいお天気で墓地には彼岸花が赤いキレのように咲きつづいていました。
と村のほうから、
カーン、カーンと鐘が鳴って来ました。
葬式の出る合図です。
やがて白い着物を着た僧烈の者たちがやって来るのがちらちら見え始めました。
06:02
僧烈が白い髪しもをつけて、
いはいをささげています。
いつもは赤いさつまいもみたいな元気のいい顔が、
きょうはなんだかしおれていました。
「ああ、死んだのは僧烈のおっかあだ。」
ごんはそう思いながら頭をひっこめました。
その晩ごんは穴の中で考えました。
僧烈のおっかあは床についていて、
うなぎが食べたいと言ったにちがいない。
それで僧烈がはりきり網を持ち出したんだ。
ところがわしがいたずらをしてうなぎをとって来てしまった。
だから僧烈はおっかあにうなぎを食べさせることができなかった。
そのままおっかあは死んじゃったにちがいない。
ああ、うなぎが食べたい。
うなぎが食べたいと思いながら死んだんだろう。
あんないたずらをしなけりゃよかった。
僧烈が赤い井戸のところで麦をといていました。
僧烈はおっかあが死んでしまってはもうひとりぼっちでした。
俺と同じひとりぼっちの僧烈か。
こちらの物置のうしろから見ていたごんはそう思いました。
どこかでいわしをうる声がします。
いわしのやすうりだい。
いきのいいいわしだい。
ごんはそのいせいのいい声のするほうへ走っていきました。
するとやすけのおかみさんがうらとぐちから
いわしをおくれといいました。
いわしうりはいわしのかごをつんだ車をみちばたにおいて
ぴかぴかひかるいわしをようてでつかんでやすけのいえのなかへもってはいりました。
ごんはそのすきまにかごのなかからごろっぴきのいわしをつかみだして
ひょうじゅうのいえのうらぐちからいえのなかへいわしをなげこんで
あなへむかってかけもどりました。
ごんはうなぎのつぐないにまずひとついいことをしたと思いました。
つぎのひにはごんはやまでくりをどっさりひろって
それをかかえてひょうじゅうのいえへいきました。
うらぐちからのぞいてみますとひょうじゅうはひるめしをたべかけて
ちゃわんをもったままぼんやりとかんがえこんでいました。
へんなことにはひょうじゅうのほっぺたにかすりきずがついています。
ひょうじゅうがひとりごとをいいました。
いったいだれがいわしなんかをおれのいえへほおりこんでいったんだろう。
おかげでおれはぬすびとと思われていわしやのやつにひどいめにあわされたとぶつぶついっています。
09:04
ごんはこれはしまったと思いながらそうっとむのおきのほうへまわって
そのいりぐちにくりをおいてかえりました。
つぎのひもそのつぎのひもごんはくりをひろってはひょうじゅうのいえへもってきてやりました。
そのつぎのひにはくりばかりではなくまつたけもにさんぼんもっていきました。
つきのいいばんでした。
ごんはぶらぶらあそびにでかけました。
なかやまさまのおしろのしたをとおってすこしいくと
ほそいみちのむこうからだれかくるようです。
それはひょうじゅうとかすけというおやくしょうでした。
「そうそう、なあかすけ。おらこのごろとてもふしぎなことがあるんだ。」とひょうじゅうがいいました。
「なにが?」
「いやおっかんがしんでからはだれだかしらんがおれにくりやまつたけなんかをまいにちまいにちくれるんだよ。」
「ふーん、だれが?」
「いやそれがわからんのだよ。おれのしらんうちにおいていくんだ。」
「ほんとうかい?」
「ほんとうだともう。うそと思うならあしたみにこいよ。そのくりをみせてやるよ。」
「はーん、へんなこともあるもんだなあ。」
それなりふたりはだまってあるいていきました。
おしろのまえまできたときかすけがいいました。
「さっきのはなしはきっとそりゃかみさまのしわざだぞ。」
「え?」とひょうじゅうはびっくりしてかすけのかおをみました。
「おれはあれからずっとかんがいていたがどうもそりゃにんげんじゃないかみさまだ。
かみさまがおまえがたったひとりになったのをあわれにおもわしちゃっていろんなものをめぐんでくださるんだよ。」
「そうかなあ、そうだともう。だからまいにちかみさまにおれをいうがいいよ。」
ごんは、「へえ、こいつはつまらないなあと思いました。
おれがくりやまつたけをもっていってやるのにそのおれにはおれをいわないでかみさまにおれをいうんじゃおれはひきあわないなあ。」
そのあくるひもごんはくりをもってひょうじゅうのいえへでかけました。
ひょうじゅうはものおきでなわをなっていました。
それでごんはいえのうらぐちからこっそりなかへはいりました。
そのときひょうじゅうはふとかおをあげました。
ときつねがいえのなかへはいったではありませんか。
こないだうなぎをぬすみやがったあのごんぎつねめがまたいたずらをしにきたな。
よしひょうじゅうはたちあがってなやにかけてあるひなわじゅうをとってかやくをつめました。
12:01
そしてあしおとをしのばせてちかよっていまとぐちをでようとするごんをどんとうちました。
ごんはばたりとたおれました。
ひょうじゅうはかけよってきました。
いえのなかをみるとどまにくりがかためておいてあるのがめにつきました。
おやとひょうじゅうはびっくりしてごんにめをおとしました。
ごんおまえだったのかいつもくりをくれたのは。
ごんはぐったりとめをつぶったままうなずきました。
ひょうじゅうはひなわじゅうをばたりととりおとしました。
あおいけむりがまだつつぐちからほそくでていました。
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