00:00
おしゃべり本棚 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
小川美名作 ひすいを愛された妃
後編 双方とも視力を尽くして戦いましたから
容易に勝敗はつきませんでしたが 多くの犠牲を払って
最後に藤野花咲く国は勝ったのでした そして
西国の女王の首にかかっていた貴重なひすいは ついに
藤野花咲く国の妃の首飾りになったのであります ほどなくして
美しい妃は病気となられました
王様は国中の名誉及びになって治そうとされましたけれど 命数だけは人間の力ではどうすることもできなかったのです
妃は青い石に限りない未練を残して この世から
去ってしまわれました 王様は泣いて妃を藤野花が咲く山の
麓に葬られました 後に残されたたくさんの青い玉は
虚しく古典の中に寂しい光を放っていました 王様は亡くなられた妃の供養のために
大きな金を射ることになされました その時
妃が大事にされた数々の宝石をご覧になって この青い宝石を砕いて鉄と一緒に溶かして形をなくしてしまおうと
お考えなされたのです 石も鉄も溶かしてしまうために
強い火が焚かれました 金を射る者は王様の命令に従って仕事に苦心をしました
そして 大きな重い
青みを含んだ金が出来上がったのでありました その金は
03:00
町から仰がれる山の上に鐘楼を立て そこに吊るされることとなりました
朝晩 その鐘をつくときに
鐘の響きは森を越え町のいえいえの空になり渡るだろう 人々はその絶えなる鐘の音を聞くたびに
きっと我が美しい優しかった妃のことを思い出すに違いない それがすなわち
苦毒になるのだと 王様はお考えなされたのであります
いよいよ出来上がった金を吊るすときにあたって あまりその金が重いので
どんな綱も切れてしまいました これは
どうしたというのだろう 王様はお考えになりました
何かこれには司祭のあることかもしれない ともすると
妃の魂がこの世に対して深い未練を持っているからかもしれない 一つ占ってもらうことにしようと思われたのです
ちょうどその頃どこからともなく城下へ回ってきた占い者がありました 鳥のように諸国を歩いて
人々の運命を占う 性の低い目の光の鋭い男でした
王様の命令によってその占い者は召されました 占い者は山へ登って金のそばに座って祈りを捧げたのでした
そしてしばらく瞑目していましたが 初めて夢から覚めたように顔を上げると
死なれたお妃の望まれるところでございます どうか
1000人の若い女の髪の毛で酔った綱を持って金を吊るしてもらいたい そうでなければ
決して飢えはかからぬとのことでございます と申し上げました
王様は深い悲しみのうちに占い者の言葉を聞かれました
愛しい妃の望みとあればせめてこの最後の望みをも叶えてやりたいものだと思われたので このことを国中に触れされますと
06:03
若い女たちは娘も女房もどうか籠に預かりたいと思って 自分の髪の毛をおしげもなく切って建祭ったのであります
非ならずして 太い女の髪の毛で作られた綱ができました
賑やかな儀式が行われた後で その綱で金を釣り上げましたところ
やすやすと嬢老に吊るされたのでした これを見た一堂の者は今さらながらことの不思議なのに感心されたのであります
それで 翡翠を見分けるために御殿へ召された老人は
妃が亡くなるともはや仕事がなくなったので暇を出されました 一時は王様にも妃にも長愛されて
熱いもてなしを受け威張っていた者が 御殿を出されると再びさすらいの旅に登らなければなりませんでした
老人は以前と違ってすでに贅沢に慣れてしまったので 昔のように山に寝たり野原に伏すことができませんでした
老人は 今度は祭国へ行って女王に仕えようと思って
とぼとぼとやってきました しかし祭国ではそれどころでありません
女王は老人を見ると大層お怒りになりました
お前がつまらないことを言ったばかりに 藤野花咲く国と戦争をするようになってしまった
この国では 翡翠ばかりでない
一切の青い石は禁物である もうお前には用事がない
この国からも追われた老人は その後どこへ行ったか知るものはなかったのでした
そして いつしか
翡翠に対する異常な流行は止んでしまいました その時から
幾世紀は山を行く雲の流れとともに経ったのであります 麓の町は田畑となり
山の上の鐘楼は昔の塊として半分壊れたまま 長い間残り
09:08
そこには青錆びの出た鐘が雨風にさらされてかかっていたけれど 誰もそれを鳴らすものがありませんでした
たまたま見物に山を登って行く人はありましたけれど 道は草に埋もれて消えかかっていました
ただ 当年と変わりのないのは
初夏の頃になると 藤の花がところどころ見事に咲いて山を飾っていたのでした
この鐘の中には 翡翠が溶かし込んであるという話だが
青い色がなんとなくそこびかりして見えるなぁ と
旅人は壊れかけた鐘楼にたどり着いた時に 見上げながら連れのものに話したのでした
人が山を下ると 辺りは赤然としました
蜜蜂が羽を鳴らして藤の花の上へ集まっています 小鳥は巣を作るために小楼に泊まって
鐘を吊るしてある綱の髪の毛をつついては 引きちぎって
どこかへ加えて飛んで行きました ある日のことであります
ここから遠く離れた町にあった鉄鋼所の主人は この鐘が雨風にさらされているということを聞いて
惜しいものだと思いました 安い値で鐘を買い受け人儲けしようと思って
わざわざ山へ見に来ました すると
いつ落ちたものか 鐘を吊るしてあった綱は切れて
鐘は下に転がっていました 主人は眉をひそめて司祭に鐘を見聞しましたが
もう古い鉄はボロボロになっていて 何の役にも立ちそうでなく
まったく自分のくたびれ損に終わったことを 知りました
12:05
バッテン少女隊のバッテンラジオ隊
バッテン少女隊の春野きいなと 青井りるまです
RKBラジオでお送りしているガールズパンツ バッテン少女隊のバッテンラジオ隊は
ポッドキャストでもお楽しみいただけます
ラジコ、スポティファイ、アップルポッドキャスト
アマゾンミュージック、ユーチューブミュージックで
バッテンラジオ隊と検索してフォローお願いします