00:00
初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネームDr.Rainさん。
何もかもスムーズで早くてビビった。
iPhoneとの連携も最高。
続いてMr.Incredible4883さん。
Appleシリコンのおかげでバッテリー切れのストレスから解放された。
初めてのMacでそう感じたそうです。
次はあなたが体験する番。
全く新しいMacBook Neo。
心躍るMacが嬉しいプライスで登場。
詳しくはApple公式サイトをご覧ください。
おしゃべり本棚。
この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
小川美名。
春さきの朝のこと。
外は寒いけれど、いいお天気でした。
なんといっても、もうじき花が咲くのです。
私は遊びに行こうと思って門から往来へ出ました。
するとあちらに性の高い男の人が立っています。
いま自分戦闘帽をかぶりゲイトルをしているのでおかしく思いましたが、
待て、この人は福院したばかりでないのか。
そして訪ねる家がわからぬので探しているのではないか。
こう考え直すと私はしばらくその様子を見守ったのでした。
どうやらこの人は頭の上の桜を眺めているのです。
ああ、無事に帰って母国の花を見るのが懐かしいのだろう。
こう思うと私はその人の気持に同情してそばへ行きたくなりました。
私はつい近づいて一緒に立ちながら枝を見上げました。
いつの間にかつぼみはびっくりするほど大きくなっていました。
下を通っても気がつかなかったなあと思っていると、
つぼみの先が赤くなりましたね。
と、ふいにおじさんが私に話しかけました。
03:04
おじさんは今頃福院なさったの?
と聞きました。
そう、けさついたばかりさ。
しかし花をこうして二度見られるとは思わなかったよ。
おじさんは私を見てほほえみました。
君、学校は何年生になったの?
五年生。
そうかい、ほんとに子供だけはいいな。
とおじさんは言いました。
どうして子供だけがいいの?
と私は聞きかえしました。
君、ちっとここへかけない。
とおじさんは垣根の外側の切石の上へ自分が先に腰をおろしました。
けれど私はその前に立っておじさんの顔を見ていました。
子供を好きなわけを話そうかね。
それはどこへ行っても子供は正直で純真だからさ。
こちらへ帰ってみて驚いたのは
誰に会ってもこせこせして顔に優しみというものがない。
戦争前まではあれほど礼儀正しかったのがと
何かにつけ昔が思い出されて情けなくなる。
戦争は形のあるものを焼いたり壊したりしたばかりではなく
人間の心の中まですさましてしまったのだ。
今ここに立っているちょっとの間も嫌なことばかりだよ。
とおじさんが言いました。
私は今と聞いてどんな嫌なことがあったのか知りたかったので
どんなこと?とおじさんに聞きました。
きっとおじさんは教えてくれるだろうと思ったから。
この頃はアキスや泥棒が横行するというから無理もないが
ここを通る者がみんな私の顔を冷たい目つきで見ていく。
そうかと思うとまだ働き盛りの若者が
キョロキョロした目つきで道に落ちたものを探しながら
06:02
脇見もせず突き当たりそうにしていった。
まったく情けなくなったよ。
もし君がやってこなければ寂しかったよ。
君は僕の心がわかったように一緒に花を眺めてくれた。
これでやっと救われたというものさ。
私はこう聞くと気の毒に思いました。
やっと遠方から帰ってきて同情するものがなかったから
力の落しようはどんなかと思うからでした。
この時おじさんは煙草を出してマッチをすりました。
その青い煙が毎夜の霜に焼けて赤くなったさっきの木をかすめて
ゆるく流れました。
おじさんのお家はどこなの?
と私はそれを知りたかったのです。
こちらで戦争に行くまで働いていた工場はどうなったかとすぐに見に行ったのだが
あたりはまったく焼け野原になっていた。
仕方がない。これから田舎へ帰るよ。
おじさんの田舎はどこなの?
ずっと北の寒い国だ。まだ雪があって花どころではないだろう。
それから見れば君たちは温かなところに生まれて幸せなものさ。
学校から帰るとどんなことをして遊ぶの?
とおじさんが聞きました。
僕たちコマを回したりボールを投げて遊ぶよ。
と私は答えました。
そうかい。どこの子供も同じだね。
僕なども夕焼けのした春の晩方、お寺の鐘の鳴るころまでよくかくれんぼをして遊んだものだ。
そして遅く帰ってお叱られた。
あんな面白かったことはもう大きくなってからない。
君もよく勉強してよくお遊び。
私はいいおじさんだなと思いました。
おじさんは思い出したように、
桜の花盛りもきれいだが、スモモの花盛りもきれいなものだよ。
と、その景色を目に浮かべるようにしみじみとした調子で言いました。
09:01
私はまだよくスモモの花を知らないので想像がつきませんでしたが、
白い花?と聞きました。
真っ白で雪のような花さ。
それが満開の自分は、ちょうど一村が銀世界となる。
中国の田舎にはスモモばかりの村があるよ。
スモモの木に馬をつないで休んだときのことだ。
村の子供が大勢そばへ寄ってきて、
はじめは遠慮して黙って見ていたが、
少し仲良しになると馬に乗せてくれと言って聞かない。
その様子があまり無邪気で可愛いので、
つい一人乗せてやると、
今度は俺の番だ、俺にもと言って次々に前へ出る。
仕方がないから公平に代わる代わる乗せてやると、
中には馬をひいて歩かせてくれというものもある。
子供は正直だ。
思った通り言うんだな。
ただ一人どうしても馬に乗らない子があった。
乗せてやると言っても後ずさりする。
どこにもこういう気の弱い子がいるものだ。
その子は一番可愛らしい女の子みたいな顔をしていた。
国は違っても人情や子供の遊びにちっとも変わりはない。
たとえ大人同士が喧嘩をしても、
子供同士は関係なくいつだってお友達になれるよ、
とおじさんは心が明るくなったような話をしてくれました。
こう聞くと私は、
なぜ大人同士は互いに理屈を言わなければならないんだろうと不思議な気がしました。
世界中の子供がもう戦争はしたくないとお友達になればいいんだね。
私は波の輝く遠い海のあちらの美しい花の咲く国を思いました。
ああ、そうだともそうだとも。
そうすれば君たちの時代には嫌な戦争というものがなくなるのだ。
おじさんは戦場のことでも思ったのかちょっと寂しい顔をしてため息をしました。
12:01
それから立ち上がりました。
君は体に気をつけてよく勉強していい子になっておくれ、とおじさんは言いました。
おじさんもう行くの、と私はなんだか別れるのが悲しくなりました。
これから停車場に行って汽車に乗るのだよ。
こちらへ来たらまた会えるかもしれない。
おじさんはちょっと私にえしゃくしてあちらへ去りかけました。
私が丁寧に頭を下げていつまでも後姿を見送りました。
ああ、また会えると言うが、それはいつのことだろう。
チャンネル登録してフォローお願いします。