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春の真昼
2025-05-03 16:21

春の真昼

0135 250503 小川未明 春の真昼 朗読:髙見 心太朗
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初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネーム、ドクターレインさん。
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初めてのMacで、そう感じたそうです。
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詳しくは、Apple公式サイトをご覧ください。
おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
小川みめ。
春の真昼。
のどかな暖かい日のことでありました。
静かな道で、ミミズが歌を歌っていました。
田舎のことでありますから、めったに人の来る足音もしなかったから、ミミズは安心して、自分の好きな歌を歌っていました。
俺ほど、こう長く息の続くうまい歌い手は、世間にそうはないだろう。
と、心の内で自慢していました。
暖かな春風は、そよそよと空を吹いて、野原や田の上を渡っていました。
本当にいい天気でありました。
辺りの者は、みんなミミズの泣き声に聞き取れているように、黙って他に音がなかったのです。
この時、不意に他の中から、
クラッ、クラッと言って、
カエルが鳴き出しました。
アペナ、何の音だろう。
と、ミミズはちょっと声を止めて、その音に耳をすましましたが、
すぐに、あの不器用なカエルの鳴く声だとわかりましたから、
カエルの奴めが負け抜きで歌い出したわい。
03:01
と、ミミズはそれを気にもかけぬという風で、再び歌を歌い続けたのであります。
カエルもなかなかよく歌いました。
水の中から頭を出して、うららかに照らす太陽を見上げて、
思い切り、ほがらかな調子で喉をならしたのでした。
あの日陰者の陰気な歌と、私の歌と比べるものになるかい。
お日様にうかがってみても、どちらが上手かわかることだ。
と、カエルはひとりごとをしたのでした。
けれど、お日様はもとより、どちらが上手いなどとは言われなかったのです。
ミミズもカエルも、よく歌っているなあ。
と、目もとにほほえんで、地上を見おろしているばかりでした。
ミミズは思い切り息を長くひいて、
ジー、ジー、といい、
カエルは太く短く、
コロ、コロ、といって歌っていました。
ちょうどそこへ、どこからか庭のツバメが飛んできて、
電線にとまると、ふたりの歌に耳を傾けたのです。
ああ、なんというやさしい歌の声だろう。
と、一羽のツバメはいいました。
ああ、なんという春の日にふさわしい、
陽気なほがらかな鳴き声だろう。
と、ほかのツバメはいいました。
こうのツバメはミミズの歌をいいといい、
オツのツバメはカエルの鳴き声をいいといいました。
そしてこんどはいつか庭のツバメが争いはじめたのです。
あの、コロ、コロ、いう鳴き声は、
私がここから遠い東のほうの町を飛んでいるときに、
白壁の蔵のある古い大きな酒屋があった。
06:01
つい入ってみる気になって日差しから奥へはいると、
美しいお嬢さんがことを断じていた。
ちょうどそのとき聞いた微妙なことの音を思い出す。
と、オツのツバメはカエルの鳴き声をほめました。
すると、こうのツバメは、
私は去年の夏の日、
北方の青い青い森の中を飛んでいました。
そのとき木の枝にからんだ蔦の葉の上にとまって、
なんという虫か知らないが、
細かいかすかな優しい声で歌を歌っていた、
その音色を忘れることができない。
今聞えるあの音は、まったくそのままであります。
と言って、ミミズの歌をほめたのでした。
どちらがいいか悪いかと言って、
庭のツバメが電線の上でかまびすしく争っていたときに、
その下をこの近くの村に住んでいる黒猫が通りかかりました。
何をお前たちはそこでやかましく言っているのだ。
と言って猫は立ち止まって上を仰いだのです。
こうオツのツバメは、
カエルとミミズの歌から争っていることを話しました。
いつになく黒猫は機嫌がよく、
のどをころごろ鳴らして、
太った足で肩をいからしながら、
二三歩前大股に歩きましたが、
どれ、私がどちらがいい声だか判断してやろう。
と言って、ごろりと草の上へ寝ころびました。
庭のツバメは猫に判断をたのみました。
そして、もしこうのツバメがまけたら、
オツのツバメをいいところへ案内し、
オツのツバメがまけたら、
まだこうのツバメが知らない景色のいいところへ、
こうを連れて行く約束をしたのでありました。
09:05
私たちはこのあたりをひとまわり飛んできますから、
どうかそのあいだにミミズの歌がいいか、
カエルの鳴き声がいいか、
よく聞いて判断してくださいまし。
と、ツバメは猫に声をかけたのです。
にゃお。
と、黒猫は答えて、
寝ころびながら自分の手足をなめていました。
庭のツバメは大空をおもしろそうに飛んで行きました。
ただ道端では、
あいかわらずミミズがじーじーと歌をうたい、
他の中ではカエルが根気よくお日さまを見あげながら、
コロコロと言って泣いていたのでした。
ツバメはそのあたりをひとまわりして戻ってきますと、
猫はいびきをかいてぐうぐうねむり行っていました。
庭のツバメはいくらおこそうとして電線の上からさきびましたけれど、
猫は目をさましませんでした。
そのとき、
一ぴきのトンボがここへ飛んで来ました。
トンボはひろい世界へ生れ出てからまだ間がありません。
薄い絹のように輝きのある羽をひらめかしていました。
何をそんなに騒いでいなさるのですかとトンボは言いました。
ツバメは猫をおこそうとしていることを告げました。
私がおこしてあげましょうとトンボは言った。
猫ですかあなたが
その小さなトンボを見ながらツバメは目をまるく見はったのです。
私は身が軽くすばしっこいから大丈夫。
猫になどとらえられるようなことはありません。
とトンボは答えました。
トンボは下へおりて行きました。
そして猫の頭の上へとまろうとしてやめて大胆に鼻の先へとまったのです。
12:03
猫はびっくりして目をさますとトンボが鼻の上にとまっているので
怠きな俺をばかりしているなと火のようにおこりひとつかみにしようとしたが
トンボはひょいと飛び立ったので黒猫はおどりあがってトンボをとらえようとしました。
もう少しでトンボはとらえられるところあやうく逃げてしまいました。
その拍子に猫は田の中へ落ちました。
これを電線の上で見ていたツバメはどんなに小さな胸をとどろかせたことでしょう。
カエレは水の中にもぐりこみミミズはだまってしまいました。
ただうららかな春の太陽だけが静かな空ににこやかに笑っていました。
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