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鉄道事故 その1
2026-02-28 16:23

鉄道事故 その1

0178 260228 トーマスマン 鉄道事故 その1 朗読:茅野正昌
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おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
トーマス満作 サネヨシハヤオ役
鉄道事故第1話 何か話せ
しかし何にも知らないのだがねぇ まあいいや
じゃあ 何か話すとしよう
もう2年になるが 一度僕は汽車の事故に出くわしたことがあるんだ
いちいち細かいことまでみんなありありと目に残っているよ それは決して最大級の奴じゃなかった
大げさな奴じゃなかった そんなのとは違う
でもやっぱりあらゆる不力の備わった正真正銘の鉄道事故でね しかもおまけに夜あったんだ
こんな目にあった人はそうざらにはあるまい だからそれを一つお聞かせしよう
僕はその時ドレス店へ向かう途中だった 文学奨励者たちに招待されてね
つまり芸術庵屋名称庵屋という僕が今でも時々出かけるのにやぶさかでない奴さ
代表者になる 縁談に昇る 喝采する群衆に姿を示す
ビルヘルム2世のオミタルに恥じずというわけだ それにまたドレス店はいいところだからな
ことにあの画像はね そして僕は用が済んだら10日か2週間ぐらい
いささか影響を養うためにワイセルヒルシュへ行って節制の結果 霊感でも得られたらまた仕事もしてみるつもりだった
という次第でカバンの一番底には原稿を入れておいた ビボウロクと一緒にしてね
茶色の包み紙でくるんだ上をバイエルの黒色の太い紐で縛った堂々たるひと包みさ 旅行は贅沢にするのが僕は好きでことに旅費が無効持ちならね
そこで寝台車を利用することにして前の日に一等室を予約してしまった だからもう大丈夫なのだ
それなのにこういう場合いつもそうなのだがなんだかワクワクしてしまってね なぜって旅立ちというものはいつだって一つの冒険だもの
どうも僕はいつになっても交通機関に対して全然平気になりきることはなさそうだ ドレス店行きの予備車が毎晩決まってミュンヘンの中央停車場を出て
03:05
毎朝ドレス店に着くということはわかりきっているのだが さて僕自身がその列車に乗ってだね
僕の大事な運命をその列車の運命に結びつけるとなればそれはやっぱりまさに大事件だからな そうなると僕はその列車がただその日だけ
しかも人へに僕のために出るんじゃないかというような考えをどうしても禁じ得ないんだ そしてこの不合理な名誉の結果として
勢いのある密かな深い興奮が起こってくる 出発についてのあらゆる面倒
カバンを詰める荷物を乗せた辻馬車で停車場に駆けつける 停車場に着く荷物を預ける
それがみんな済んでしまった上とうとうちゃんと座席についてこれで安心と思うまでは その興奮は収まらないね
もちろんそうなれば緊張が心よく溶けてくる 頭は新しい事物に向かう
ガラス屋根の丸く張った向こうには大きな異境が開けている そうして喜ばしい期待が心を占めるというわけだ
この時もやっぱりそうだった 手荷物を運んでくれた運搬婦にチップを弾んだのでその男は帽子を脱いでご機嫌よう
行ってらっしゃいましと挨拶した それから僕はいつも晩に吸う葉巻を加えながら寝台車の廊下の窓によって
古老の営みを眺めていた そこにはシューシューゴロゴロ言う音や慌ただしい足音や国別の言葉
新聞と食品の売り子たちの歌うような呼び声なんぞが聞こえる そしてすべての上には大きな電気の月が10月の夜霧を浴びながら輝いている
たくましい男が二人荷物を満載した手車を列車沿いに前の貨物車の方へ引いていく ある見慣れた目印で僕には自分のカバンがよくわかった
それは多数の中の1個としてそこにある そしてその底にはあの貴重な包みが鎮座しているんだ
もうこれで心配はないと僕は思ったね あれは確実な手に渡っている
まああの車掌をよく見るがいい 革帯を締めていかめしい早朝ヒネを生やしてむっつりと油断のない目つきをしているじゃないか
その車掌が古ぼけた狂い肩掛けのばあさんをもう少しで二頭に乗りそうにしていたという ので怒鳴りつけている
あの様子を見るがいい あれが我々の父なる国家なのだ
あれが権威というもの安全というものなのだ あの男と関わり合うのは誰でも嫌がる
あの男は幻覚だいや過酷かもしれない だが信用はできる信用は
06:01
だから僕のカバンはアブラハムの懐に預けたも同様なのだ 紳士が一人ホローをぶらついている
ハンゲートルを履いて黄色い秋街灯を着てツナをつけた犬を一匹連れている 僕はこんな可愛い子犬をまだ見たことがない
ずんぐりしたブルドッグでね 艶があって肉が締まっていて黒いブチでその上よく極馬団で見る子犬のように栄養が
よくっておどけている 小さな体いっぱいの力を出して極馬場の周りを駆け回っては見物を喜ばせる
あの子犬のようにだね この犬は銀の首輪をはめていてつないであるひもは5歳の革を編み合わせたもの
なのだ しかしその持ち主すなわちハンゲートルの紳士を見ればそんなことは不思議でもなんでもない
紳士は確かに最も高貴な生まれに違いないのだからね 片眼鏡を目にはめているがそれが顔立ちを変に見せないでキリッとさせている
それに口ひげが豪然と跳ね上がっているのでそのために口の端にも顎にもなんとなく人を見下したような豪福そうな趣が現れているのだ
紳士は例の優相な車掌に何か尋ねる するとこの木直な男は相手が誰ということをはっきり感じているから手を帽子に上げたまま答える
そこで紳士は自分の人格の効果に満足してなおもブラブラ歩いていく ハンゲートルの足で商用として歩いていく
顔つきは冷たい人や物に鋭く目をつける 旅の興奮なんということは夢にも知らないのが見ただけではっきりわかるのだね
旅立ちというような平凡な事柄はこの男にしてみれば冒険でも何でもない この男は人生を我が家のごとくに心得ていてこの世の制度や暴力をちっとも怖がっていない
自分自身で暴力に属しているものだもの 一言で言えば強者なのだ
僕はこの男の様子をいくら見ても見飽きないのだ もう時間が来たと思うとその男は乗り込んできた
車掌はちょうど背中を向けていたっけ 廊下で僕の後ろを通り過ぎる時僕にぶつかったくせに失礼とも何とも言わない
なんという紳士だろう しかしそれに続いて起こったことに比べればそんなことはものの数でもないのだ
その紳士は平気の平座で例の犬を寝室の中へ連れ込むじゃないか それは疑いもなく禁制なのだ
もし僕だったら犬を信頼者へ連れ込むなんてそんな思い切った真似がどうしてできよう ところがこの男は人生における強者の権利を振るって連れ込んでしまったのだ
そして入った後扉を閉めてしまった 警笛が鳴って機関車がそれに応ずる
09:08
汽車はそろそろ動き始めた 僕はなおしばらく窓際に佇んだなり取り残されて別れの合図をしている人たちを
眺めたり鉄橋を眺めたり灯火が揺れて動いていくのを眺めたりしていた やがて車の中へ引っ込んだ
信頼者はそうひどく混んではいなかった 僕の隣は空っぽで寝る用意もしてなかったから
僕はそこへ行ってゆっくりくつろぎながら静かな読書のひとときを過ごすことに決めた そこで書物を取ってきていろいろ身の回りを整えたのだ
長い椅子には絹の甘い色の布が貼ってある たたみ込みのできる小宅の上には灰皿が載せてある
ガスは明るく燃えているというわけさ で僕はタバコを吹かしながら本を読んでいたのだね
そこへ信頼者の車掌が役目で入ってきて夜行乗車券を見せてくれというので僕はそれを その男の黒ずんだ手に渡してやった
口の聞き方は丁寧だが純粋に職務的で人間同士としてのお休みなさいという挨拶は省いている そしてすぐ隣の部屋の扉を叩きに行ってしまった
だがそれはやめた方が良かったのだ なぜならそこにはあのハンゲートルの紳士が住んでいるのだからね
犬を見られないと思ったのかあるいはもう寝床に入っていたのか知らないが ともかく紳士は自分の安静を不届きにも妨げようとした奴があるというので恐ろしく腹を立てた
実際列車がゴーゴー言っているのに僕には紳士が直接に猛烈に感触を破裂させたのが 薄い壁越しに聞こえたのだ
一体何事だ と紳士は叫ぶのだね
むっちゃといてもらおうこの山猿め 紳士は山猿という言葉を使ったのだ
教者の使う言葉だ 記者や騎士の使う言葉だ
ダフをしてたたしめる響きがある ところが車掌はどこまでも断じ付けようとする
何しろこの紳士の乗車券を調べないわけには実際行かないのだろうからね で僕は様子を残らず詳しく見てやろうと思って廊下へ出たので
しまいに紳士の扉がぐいっと細めに開いて 乗車券の閉じ込みがさっと車掌の顔の真ん中へ
車券に激しく顔の真っ只中へ飛んできたのを目撃したのだ 車掌はそれを両手で受け止めると閉じ込みの片端が目に入って涙が出たほどなのに
きちんと両足を揃えて手を帽子に上げたまま礼を言うじゃないか 酷く感動して僕は自分の書物のところへまた帰ってきたのさ
12:00
もう一本葉巻を吸ってはいけないかと考えてみたが別に何の差し支えもなさそうに 思ったのでそこで車輪の轟きを聞きながら本を読みながらもう一本吹かして
愉快な思想に富んだ気持ちになった 時は過ぎていく
10時になり10時半 あるいはもっとになる
信頼者の乗客たちはみんな眠りについてしまった 結局僕もそれに習うことに意義を認めなくなったのだね
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どうぞ5匹に
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