白椿
2026-04-04 16:05

白椿

0183 260404 夢野久作 白椿 朗読:中井優里
Learn more about your ad choices. Visit megaphone.fm/adchoices

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

この朗読は、勉強嫌いで遊んでばかりいた少女・知恵子が、白い椿の花に憧れて花になってしまう物語です。花になった知恵子は、自分そっくりの女の子が勉強を熱心にこなし、周囲から愛される姿を目撃します。やがて知恵子は、自分の代わりに女の子が幸せになることを願い、元の姿に戻ると、勉強ができるようになっていました。この物語は、自己犠牲と成長のテーマを描いています。

MacBook Neoの紹介
初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネームDr.Rainさん。
何もかもスムーズで、早くてビビった。
iPhoneとの連携も最高。
続いてMr.Incredible4883さん。
Apple Siliconのおかげで、バッテリー切れのストレスから解放された。
初めてのMacでそう感じたそうです。
次はあなたが体験する番。
全く新しいMacBook Neo。
心躍るMacが嬉しいプライスで登場。
詳しくはApple公式サイトをご覧ください。
朗読「白椿」導入
おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
白椿。夢の旧作。
知恵子さんは可愛らしい綺麗な子でしたが、
勉強が嫌いで遊んでばかりいるので、
学校を何遍も落題しました。
そして、お父さんやお母さんに叱られるごとに、
ああ、嫌だ嫌だ。どうかして勉強しないで、
学校がよくできる工夫はないかしらん。
と、そればかり考えておりました。
知恵子が椿の花になる
ある日、どうしてもしなくてはならぬ算術をやっておりましたが、
どうしてもわからぬ上に、眠くてたまりませんので、
大きなあくびを一つしてお庭に出てみると、
白い甘椿がたった一つつぼみを開いておりました。
知恵子さんはそれを見ると、
ああ、こんな花になったらいいだろう。
学校にも何にも行かずに、花が咲いて人から可愛がられる。
ああ、花になりたい。
と思いながら、その花に顔を近づけて匂いを嗅いでみました。
その白椿の高貴のいいこと、目もくらむようでした。
思わずむせ返って、はっくしゅんと大きなくしゃみを一つして、
ふっと目を開いてみると、
どうでしょう、自分はいつのまにか白い甘椿の花になっていて、
目の前には知恵子さんそっくりの女の子が立ちながら、
自分を見上げております。
知恵子さんはびっくりしましたが、どうすることもできませんでした。
椿の花になった知恵子と女の子
ただあきれてしまって、その子の様子を見ておりますと、
その女の子は自分を見ながら、
まあ、なんという美しい花でしょう。
そして、ほんとにいい匂いだこと。
これを一輪差しにさして勉強したいなあ。
お母様に聞いてきましょう、と言いながらバタバタとかけていきました。
しばらくすると、知恵子さんのお母さんが花ばさみを持って
お庭におりておいでになりました。
まあ、お前が勉強をするなんて珍しいことねえ。
お前が勉強さえしておくれだったら、
椿の花くらいなんでもありませんよ。
と言いながら、知恵子さんの白椿をパチンとはさみ切って、
一輪差しにさして知恵子さんの机の上においておやりになりました。
知恵子さんは机の隅から見ていますと、
女の子はさもうれしそうに可愛らしい目で自分を見ておりましたが、
やがて算術の手帳を出してお稽古を始めました。
知恵子さんの白椿は真っ赤になりたいくらい決まりが悪くなりました。
算術の帳面には違った答えばかりで、
ところどころにはつまらない絵謎が書いてあります。
女の子はそれをゴムできれいに消して、
間違った答えをみんな直して、
明日の宿題までも済ましてしまいました。
それを見ているうちに知恵子さんは算術の仕方がだんだんわかってきて、
面白くてたまらず自分でやってみたくなりましたが、
花になっているのですから仕方がありません。
女の子の成長と知恵子の後悔
そのうちに女の子は算術を済まして、
読本を開いて、本に小さく鉛筆でつけてあるかなをみな消してしまいました。
おさらいと明日の下読みが済むと、
筆入れや鞄をきれいに掃除して、鉛筆を上手に削って、
時間表に合わせた書物や雑記帳と一緒に入れて、
机の上に正しく置きました。
それから机の引き出しを開けてきちんと片付けて、
押し込んだいたずら書きの紙くずや糸くずをちゃんと伸ばして、
紙は長面に作り、糸は糸巻きに巻きました。
その間の知恵子さんの決まりの悪さ、
消えてしまいたいくらいでした。
女の子はそれから台所で働いていらっしゃるお母様のところへ走っていって、
手をついて、「お母さん、お手伝いさせてちょうだい。」と言いました。
お母様はしばらく黙って、女の子の顔を見ておいでになりましたが、
濡れたままの手でいきなりしっかりと女の子を抱きしめて、
「まあ、お前はどうしてそんなに良い子になったの。」
と言いながら涙をはらはらとお流しになりました。
白椿の知恵子さんは身を震わしてこの様子を見ておりました。
知恵子さんもお母様からこんなにして可愛がられたことは今まで一度もなかったのです。
あんまり羨ましくて情けなくて口惜しくて、
思わずほろほろと水晶のような梅雨を机の上に落としました。
女の子の模範的な行動
それからこの女の子がすることは何一つとして知恵子さんを感心させないことはありませんでした。
遊びに誘いに来る悪いお友達はみんなお母様に頼んで断っていただいて、
良いお友達と遊ぶようにしました。
知恵子の知恵子の大バケヤイ!知恵子の知恵なしラクダイ坊主!
一年二度ずつ縁やらや!学校出るのにツーツーたかせ!
と悪い男の生徒が囃しても家の内から笑っていました。
その他、勉強の暇には編み物をお母さんから習いました。
夜はおじいさまの肩を揉みました。
お母様のお使い、お父様の御用向きでもはいはいと働きました。
そうして自分のことは何一つ、お母様やお婆様にご迷惑をかけませんでした。
お家の人はみな驚いて、感心をして褒めちぎっていろいろなものを買ってくださいました。
しかし女の子はそれを大切にしまって、今まで知恵子さんが使い古したものばかり使いました。
けれどもお家の人よりも何よりも驚いたのは学校の先生でした。
今までは何を聞いてもうつむいてばかりいた知恵子が、
今度は何を聞いてもすっかり勉強して覚えていて、
時々は先生も困るくらい良い質問を出します。
そればかりでなく、今まで運動場で遊んでいても、
すぐに泣いたり怒ったり拗ねたり余計な憎まり口を聞いたりして嫌われていた知恵子が、
急に親切に優しくなって、どんな遊戯でも嫌がらずに、
それはそれは元気よく愉快に仲良く遊びますので、
友達のできることできること、今まで寄りつかなかった良いお友達が、
みんな遊びたがってお家にまで来るようになりました。
女の子はいつも良いお友達とおとなしく遊んで、おとなしく勉強しました。
来るお友達も来るお友達も、
みんな知恵子さんの机の上の一輪挿しに行けてある白つばきの花を褒めました。
その時、女の子はいつもこう答えました。
私はこの白つばきのようになりたいといつも思っています。
本当にね、と、
友達はみな女の子の清い心持ちに感心をして、ため息をしました。
知恵子の自己犠牲と目覚め
知恵子さんの白つばきは日に増し寂しく悲しくなってきました。
私のような悪い子はこのまま散ってしまって、
あの女の子が私の代わりになっている方が、どれくらいみんなの幸せになるかもしれない。
どうぞ神様、私の代わりにあの女の子が幸せでいるように、
そうしていつまでも変わらずにいるように、
と心から祈って涙をほろほろと流しました。
そのうちにだんだん気が遠くなって、がっくりとうなだれてしまいました。
まあ、知恵子さん、大変じゃないの。
総考を取っているのに、何だって今までみたいに成績を隠すのです。
起きなさいってば、知恵子さん。
そんなに勉強ばかりして体に触りますよ、
と、お母さんの声がします。
ふっと目を開けてみると、知恵子さんは三術の本を開いて、その上にうたた寝をしているのでした。
目の前の机の上の一輪挿しには、椿の枝と葉ばかりが刺さっていて、
花はしおれかえったまま、うつ伏せに落ちておりました。
RKBポッドキャストの案内
聞きたいラジオ番組、何にもない。
そんな時間はポッドキャストで過ごしませんか?
RKBでは毎週40本以上のポッドキャスト番組を配信しています。
あなたのお気に入りの声にきっと出会えるはず!
ラジコ、スポティファイ、アップルポッドキャスト、アマゾンミュージック、ユーチューブミュージックで
RKBと検索してフォローしてください。
RKBオンラインのポッドキャストまとめサイトもチェック!
16:05

コメント

スクロール