岡の家
2026-04-11 15:30

岡の家

0184 260411 鈴木三重吉 岡の家 朗読:中井優里
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サマリー

貧しい農家の少年が、丘の上に見える金の窓の家に憧れる物語。ある日、少年はご褒美に一日休みをもらい、金の窓の家を訪ねるが、そこには金の窓はなかった。しかし、そこで出会った女の子との交流を通して、少年は自分の家にも金の窓があることに気づき、喜び勇んで帰っていく。

少年と金の窓
おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
岡の家 鈴木みえきち
岡の上に農家のお家がありました 家が貧乏で手伝いの人を雇うこともできないので
小さな男の子がお父さんと一緒に働いていました 男の子は毎日農へ出たり
穀物小屋の中で仕事をしたりして 一日中休みなく働きました
そして夕方になるとやっと1時間だけ 勝手に遊ぶ時間をもらいました
その時には 男の子はいつも決まって
もう一つ後ろの丘の上へ出かけました そこへ上がると
何十丁か向こうの丘の上に 金の窓のついたお家が見えました
男の子は毎日その綺麗な窓を見に行きました 窓はいつもしばらくの間キラキラと眩しいほど光っています
そのうちに家の人が戸を閉めると見えて 急にひょいと光が消えます
そしてもうただのお家とちっとも変わらなくなってしまいます 男の子は日暮れだから金の窓も閉めるのだなと思って
自分もお家へ帰って 牛乳とパンを食べて寝るのでした
ある日お父さんは男の子を呼んで
お前は本当によく働いておくれだ そのご褒美に今日は1日お暇をあげるから
どこへでも行っておいで ただこのお休みは神様がくださったのだということを忘れてはいけないよ
うかうか暮らしてしまわないで 何かいいことを覚えてこなければ
と言いました 男の子はたいそう喜びました
金の窓の家への旅
では今日こそはあの金の窓の家へ行ってみようと思って お母様からパンを一切れもらって
それをポケットに押し込んで出ていきました 男の子には楽しい遠足でした
裸のまま歩いていくと往来の白い埃の上に足の跡がつきました 後ろを振り返ってみると
自分のその足跡が長く続いています 足跡はどこまでも自分についてきてくれるように見えました
それから自分の影防止も自分のする通りに一緒に踊り上がったり 走ったりしてついてきました
男の子にはそれが愉快でたまりませんでした そのうちにだんだんにお腹が空いてきました
男の子は道端の池垣の前を流れている 小さな川の淵に座ってパンを食べました
そして透き通った綺麗な水をすくって飲みました それから食べ余した固いパンの皮は小さく砕いてあたりへ振り巻いておきました
そうしておけば小鳥が来て食べます これはお母さんから教わったことでした
男の子は再びどんどん歩きました そしてようやくのことで高い真っ青ないつも見る丘の下へ着きました
男の子はその丘を登っていきますと 例のお家がありました
しかしそばへ来てみると そのうちの窓はただのガラス窓で
金謎はどこにもはまってはいませんでした 男の子はすっかり当てが外れたので
それこそ泣き出したいくらいにがっかりしました とお家からおばさんが出てきました
農家の女の子との出会い
そして何かご用ですかと優しく聞いてくれました 男の子は
私はうちの後ろの丘の上から見える このお家の金の窓を見に来たのです
でもそんな窓はなくて ただガラスがはまっているだけですねと言いました
おばさんは首を振って 私の家は貧乏な農家ですもの
金などが窓についているはずはありません 金よりもガラスの方が明るくていいんですよ
こう言って笑いながら男の子を戸口の石段に腰をかけさせて お父を一杯とパンを一切れ持ってきてくれました
おばさんはそれから男の子とちょうど同い年ぐらいの女の子を呼び出しました そして2人でお遊びなさいというようにうなずいてみせて
再びお家へ入って仕事をしました その小さな女の子も自分と同じように裸足のままで
黒っちゃけたモメンの上着を着ていました しかしその髪の毛は
ちょうど男の子がいつも見ている光った窓のように綺麗な金色をしていました それから目は真昼の空のように真っ青に澄んでいました
女の子はニコニコしながら男の子を誘ってお家の牛を見せてくれました それは額に白い星のある
黒い子牛でした 男の子は自分のお家の栗の皮のような赤い色の牛のことを話しました
女の子は底いらになっているリンゴを一つもいで2人で食べました 2人はすっかり仲良しになりました
男の子は金の窓のことを女の子に話しました 女の子は
え私も毎日見ていますわ でもそれはあっちの方にあるんですよ
あなたはあべ声の方へ来たんですわ と言いました
いらっしゃいこっちへ来ると見えるのよ と女の子はお家のそばの少し高いところへ男の子を連れて行きました
そして金の窓は見える時が決まっているのだと言いました 男の子は
ああ決まっているお日様が入る時に見えるのだと答えました 2人は小高いところへ登りました
本当の金の窓
女の子は ああ今ちょうど見えますほらご覧なさい
と言いながら向こうの丘の方を指差しました あああんなところにもある
と男の子はびっくりして見入りました しかしよく見るとそれは丘の上の自分の家でした
男の子はびっくりして私はもうお家へ帰ると言い出しました そしてもう1年も大事にポケットにしまっていた
赤い筋が一筋入った白い綺麗な小さな石を女の子にやりました それから土地の実を3つ
ビロードのような艶のある赤いのと ポチポチのついたのと
牛乳のような白い色をしたのとその3つをやりました そしてまた今度来るからと言って大急ぎで走って帰りました
女の子は男の子が慌ててかけて帰るのをびっくりして見送っていました キラキラした夕日の中にいつまでも立って見ていました
男の子は勢も休めないでどんどん走って帰りました しかし道がずいぶん遠いのでお家へ着いた時にはもうすっかり暗くなっていました
自分のお家の窓からはランプの明かりと炉の焚き人が黄色く赤く見えていました ちょうどさっき丘の上から見た時と同じように綺麗に輝いていました
男の子は戸を開けて入りました お母さんは立ってきて頬ずりをして迎えました
小さな妹もよちよちかけてきました お父さんは炉のそばに座ったままニコニコしていました
お母さんは どこへ行ってきたの面白かったと聞きました
えずいぶん愉快でしたよと男の子は嬉しそうに言いました 何かいいことを覚えてきたかいとお父さんが聞きました
私は自分たちのこのお家にも金の窓がついているということを教わってきました と
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