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おじいさんの家 前編
2025-01-25 16:45

おじいさんの家 前編

0121 250125 小川未明 おじいさんの家 前編 朗読:田畑竜介
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おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
小川美名作 おじいさんの家
前編 学校から帰るとマサオはボンと楽しく遊びました。
ボンは利好な犬で、何でもマサオの言うことはよく聞き分けました。 ただ物が言えないばかりでありましたから、マサオの姉さんもお母さんもみんながボンをかわいがりました。
ただ一つ困ることは、日が暮れてからボンが吠えることであります。 しかしこれは犬の役目で、
夜中に何か足音がすれば吠えるのに不思議なことはありませんけれど、 あまりよく吠えますので、近所で迷惑することであります。
ボン、なぜそんなにお前は吠えるのだ。 もう今夜から吠えてはならんよ。
ご近所で眠れないっておっしゃるじゃないか。 とマサオのお母さんがお叱りになると、
ボンは尾を振ってじっと利好そうな目つきをして顔を見上げていましたが、 やはり夜になると、うちの前を通る人の足音や遠くの物音などを聞きつけて、
相変わらず吠えたのであります。 マサオは床の中で目を覚まして、またボンが吠えているが、
近所で迷惑しているだろう、どうしたらいいかと心配しました。 マサオは起きて戸口に出てボンを呼びました。
するとボンは喜んですぐに走ってきました。 思いがけなく夜中の寂しい時に呼ばれたので、
ボンは嬉しさのあまりマサオに飛びついて、 頬をなめたり手をなめたりして喜んだのであります。
「ボンや、あんまり吠えると、またいつかのようにひどい目にあわされるから、 だまってるんだぞ。
夜が明けたら一緒に散歩に行くから、おとなしくしておれ。」 とマサオはボンの頭をなでながらよく言い聞かせました。
そうしてまたマサオは床の中に入って眠りました。 そのあとでもおそらくボンは吠えたか知れません。
03:06
けれどマサオはよく眠ってしまいましたから、 何事も知らなかったのであります。
朝起きるとマサオは戸口に出てボンを呼びました。 ボンはさっそくそばにやってきましたけれど、
どうしたことかいつものように元気がなかったのでありました。 ボンは病気にかかっているように見えました。
マサオを見ますといつものようにおをふりましたけれど、 すぐにぐたりとなって地面に腹ばえになってしまいました。
そうして苦しそうな息遣いをしていました。 口笛を吹きましてもついてくる気力がもうボンにはなかったのであります。
マサオは驚いて家の中へ入って、 ボンが病気ですよとお母さんや姉さんに告げました。
そこでみんなが外に出て見ますと、 ボンは脇腹のあたりをせわしそうに涙て苦しい息をしていました。
そうしてもう呼んでも起き上がっておをふることもできなかったのであります。 あんまりお前が吠えるものだから、誰かに悪いものを食べさせられたのだよ、
とお母さんはボンの頭をなでていたわりながら言われました。 姉さんはボンの苦しむのを見てかわいそうに思って、
さっそく獣医のもとへボンを車にのせて連れて行こうと言いました。 お母さんもそれがいいというのでマサオは車を迎えに行きました。
そのうち車が来ましたのでボンをのせて姉さんとマサオはついて行きました。 獣医のもとへ行ってみますと、他にもたくさんの病気の犬や猫が入院していました。
ほかの病気の犬は檻の中から首をかしげて、 新たに来た患者を眺めていました。
獣医はさっそくボンの診察にかかりました。 診察の結果はお母さんの言われた通り、
誰かに毒の入った食物を食べさせられたのだろうということです。 医者はボンの体を試作に調べていましたが、
あとわしについている傷跡を指さして、 この傷はいつつけたのですかと聞きました。
その傷は2、3ヶ月前にやはり誰かにいじめられてつけたのでございます。 何しろ夜になるとよく吠えますので近所から憎まれていますもんですからと姉さんは答えました。
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ボンのあとわしにはかなり大きな傷がついていました。 ボンは助かりましょうかとマサオは心配しながら獣医に聞きました。
さあ手を尽くしてみますがそのへんのことはわかりかねますと不安な顔つきをして 獣医は答えました。
そのうちにボンは次第に気力が衰えてゆきました。 マサオや姉さんがその名を呼びましたけれど、
姉妹には全くその声がボンには聞こえないようになりました。 そうして薬を飲ましたり手当をしたりした甲斐もなく、
とうとうボンは目を閉じたまま死んでしまいました。 マサオは悲しみました。
姉さんも目をしめらして悲しみました。 そうしてボンをまた車に乗せて家へ帰りました。
ボンが死んだということを聞かれてお母さんも悲しまれました。 みんなは相談をしてボンを丁寧にお寺の墓地へ葬りました。
そうして坊さんに頼んでお経を読んでやりました。 そのとうざマサオはボンがいなくなったので寂しくてなりませんでした。
朝起きても学校から帰ってきても飛びついて自分を迎えてくれるものがなくなり、 また一緒に散歩をするものがなくなったと思うと今までのように楽しみがなかったのであります。
こうして早幾日か経ってしまいました。 マサオはボンのことを今までほど思い出さなくなりました。ある日のこと。
戸口から尾を振りながら入ってきた犬があります。 なんの気なしにその犬を見ますとマサオは驚いて声をあげました。
「あっ!ボンが帰ってきた!ボンが帰ってきた!」 と続けざまに言いましたのでみんなはびっくりしてその方を見ますと、
なるほどボンが帰ってきたのでありました。 どうしてボンが帰ってきたろうとお母さんは不思議がられました。
死んだボンがどうして生きてきたのでしょうねと姉さんもびっくりして言いました。 マサオはすぐさま戸口に走り出てボンを見ようとしました。
ボンはよろこんでマサオの足下にすり寄ってきました。 マサオは夢中になってボンの頭や背中をなでたのであります。
しかし死んだ犬が生きてくるはずがないですねお母さんと姉さんは言いました。 私もそう思うよああして死んでお寺に埋めてしまったのじゃないか。
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それがどうして生きてきたんでしょうとお母さんも不思議がっていられました。 けれどその形から毛の色からどこまでもボンと変わりがありませんでした。
マサオは確かにボンが帰ってきたのだと思いましたから。 だってちっともボンと変わりがないじゃありませんか。どうしてもこれはボンですとマサオは言い張りました。
ボンは後足に傷跡があったはずだからそんなら調べてみればわかるでしょうと姉さんは言いました。
マサオは犬を抱くようにしてその犬の後足を調べていましたが急に大きな声を立ててこれこんなに後足に傷跡がありますと叫びました。
お母さんも姉さんもみんなそばに来てそれを見てびっくりしました。
まあどうしてボンが生き返ってきたろうと不思議がありました。 とにかくボンが帰ってきたのだというので肉をやったりご飯をやったりお菓子をやったりボンが好きであったものをやったりしてうちじゅうは急ににぎやかになったのでありました。
そうしてマサオはまたあすから朝早く起きて一緒に散歩をし学校から帰ってきても一緒に散歩することのできるのを喜んだのであります。
するとその日の晩方のことでありました。
白いひげの生えたおじいさんが戸口を入ってきて
ああここにうちの犬が来ていたか。
さあ来い来いと言ってボンを呼びました。
しますと今までマサオのそばに喜んでいた犬が急に立っておじいさんのほうへ走って行きました。
マサオはおどろいて
あっこの犬はぼくのうちの犬ですよ。つれて行ってはいけません。
とマサオはおじいさんに向かって言いました。
はっはっはっこの犬はわたしのうちの犬じゃ。それはぼうの思い違いじゃ。
これこのとおりわたしについてくるじゃないか。
とおじいさんは笑って答えました。
いいえどうしてもそれはぼくのうちの犬ですから。
つれて行ってはいけません。
とマサオはあくまでもいいはりました。
12:00
はっはっはっ困ったぼうだとおじいさんは笑っていました。
そのときお母さんは出てこられてマサオに向かい
うちのぼんはこのあいだ死んだのじゃないか。
やはりこの犬はおじいさんのうちのですよ。
そんなききわけのないことをいうものでない。
と叱られました。
マサオもなるほどと思いました。
わたしは何町何番地のだれというものじゃ。
今度の日曜にでもぼうはあそびにおいで。
とおじいさんは立ち去るときにいいました。
そうして杖をついて門口を出ますと、
ぼんはおじいさんのあとについてさっさと行ってしまったのであります。
みんなは不思議に思ってそのうしろ姿を見送りました。
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