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おしゃべり本棚。この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
小泉薬も作 博多にて後編
この混流計画を成就するためにはさらにおびただしい鏡が必要となる すでにたくさんのものが頭部を作るためにつぶされ懐中されている
このような展示物を前にしても仏教はいずれ消滅するだろうと言えるだろうか けれどもこの光景を見て私は決して愉快な気分というわけにはいかなかった
確かに高貴な像となることを思わせる芸術的センスを満足させるものではあったが この混流計画が有する膨大な破壊という目に見える証拠によって衝撃を受けたからである
日本の聖堂の鏡は 今日では西洋の工芸品によるごく安価なガラスの製品にとって変わられつつあるが
美術品と呼ばれるに値するものである その優雅な形に精通していないものでも月を鏡に例えるという
東洋人の魅力を感じないわけにはいかない 片面だけが磨かれていて他の面には樹木花鳥
動物昆虫風景伝説幸運の印神の像などの浮き彫りの装飾が施されている これらはありふれた鏡である
しかし他にも多くの種類がある 中には魔法の鏡と呼ばれるようなとても素晴らしい鏡もある
これはこの鏡から反射したものがスクリーンや壁に投影されるとき その光の輪の中に鏡の背面のデザインが輝いている像を見ることができるからである
これら山と積まれた銅の宝納物の中にどれだけ魔法の鏡があるかはわからないが 多くの美しいものが存在していることも確かである
とても古風で趣のある作品がこうして打ち捨てられ そして間もなくすべて消滅する運命である
これらのものを目の当たりにすれば哀れになるかなと感じられる おそらくあと10年もしたら銀や銅の鏡は永遠に消滅してしまうだろう
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これらを探し求める者はその時には嘆き以上のものを持ってこれらの運命の物語を聞くことになるだろう
それぞれの家庭から捧げられた鏡がこうして雨や日光にさらされ 往来の埃にまみれている無残な姿を見て何の考えもないだろうか
きっとこれらには 花嫁や赤ん坊
そして母親たちの微笑みがたくさん映し出されたことだろう 優しい家庭生活も
ほとんどすべての鏡に映し出されたに違いない しかし日本の鏡にはそのような思い出以上の霊的な価値が与えられているのである
古い言い伝えでは鏡は女の魂であると言われる これは想像されるように単に比喩的な意味においてではない
というのは多くの伝説には 鏡がその持ち主である女性の喜びや苦痛を感じたりすることがあるし
また鏡が曇ったり輝いたりして女主人の気持ちに不思議な同情を示すことがある ことが伝えられているからである
それだから 鏡は生と死に影響を与えるものと信じられている
また鏡はそれを所有していた人と共に埋葬されるという このような神秘的な儀式に古くからそして現在でもなお用いられているのである
これらの異物の童の光景を見ると 魂の滅亡や少なくとも霊魂的な事柄についての思いを引き起こさせるのである
これらの鏡たちがかつて映し出したすべての動作や顔がほとんど鏡のそれぞれに今もつきまとっているに違いない
何者かがどこかでまだ存在し続けていること また鏡にそっと近づいてそれらのうちの何枚かを光の方に突然向けてやると
縮み上がったりまた身ぶるいしたりする その行為の中に過去をつかまえることができるのではなかろうかと想像せずにはいられない
さらにこの光景の哀れさが私にある記憶を特に呼び起こしてくれた それは
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松山鏡という日本の昔話の記憶である この物語はとてもシンプルな手法といいまた最も簡潔な言葉遣いといい
読者の経験や能力に応じて眼畜が広がるということでは 芸手の素晴らしい童話にも匹敵するとも言えるだろう
昔々越後の国の松山というところに若い侍の夫婦が住んでいた 当の昔のことなのでその名前は忘れられている
夫婦には幼い娘があった 夫がかつておそらく越後藩主のお供をして江戸に行った
帰るときに江戸の土産を買った 甘いお菓子と幼い娘のために人形を一つ
少なくとも作者はそう言っている その妻には銀メッキの銅の鏡を一つ買った
若い母親にとってこの鏡はとても美しいものに思えた というのはそれは松山にもたらされた最初の鏡であったからである
彼女は使い方を知らなかった 彼女が覗いたときに誰かの微笑んだ顔がそこにあった
夫が妻に笑いかけながら なぜかってそれはお前の顔ではないか
愚かなことを言うでない 妻は恥じてそれ以上は尋ねなかった
しかし急いでそれをしまいこんで不思議なことだと考えた そして彼女は何年もの間それを隠しておいた
元の話ではなぜかについては全く触れられていない おそらくどの国でもささやかな贈り物でさえ神聖なものとされ
見せられないという単純な理由からであったろう しかし病気でなくなる間際
母親はこの鏡を娘に与えていった 私に万日のことがあったら
朝な夕な この鏡を覗いてごらんなさい
私に会えますからね 悲しむことはないのよ
ほどなく母は息を引き取った それから娘は朝に夕に鏡を覗き込んだが鏡の中の顔が自分自身の姿であるとは知らなかった
それは自分が似ている亡き母の面影だろうと思っていた 彼女は来る日も来る日も気持ちを込めてあるいは日本の昔話が優しく言うように
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母に合う心で鏡の中の影に話しかけた ついに父はこのことを知るに及んで不思議に思い娘に訳を尋ねた
娘はすべてを打ち明けた とここで昔話の語り手は言う
すると伊藤哀れに思われ 父の眼は涙で曇りぬ昔話はこんな風である
しかし娘の純真な勘違いは父親が思ったように本当にかわいそうなことだったのだろうか あるいは父親の気持ちは私がここに集められた鏡の運命を嘆くのと同じように
虚しいものだったのだろうか 少女の純真さの方が父の気持ちよりももっと永遠の真実に近いものであったと私は思わざるを得ない
というのは事物の宇宙的秩序においては存在は過去の繁栄でなければならない それが作り出されるバリエーションは限りなく
語り尽くせないほど存在するとしても光がそうであるように私たちはみな一つだったのである 私たちは
一つである そして私たち各人は霊魂の世界に存在しているから多数である
確かに娘は自分の若い瞳や唇の影を見ていたのだが 愛を語りながら母親の魂そのものを見て話しかけたのである
そうしてこのように考えると古いお寺の境内にある奇妙な展示物は新たな意味を持ってくる それは壮大な期待のシンボルとなるのである
私たちの一人一人は実は宇宙の幾百かをイメージしている一つの鏡なのである それは宇宙の中の私たち自身の試作をまた反射している
おそらくすべてのものの運命は全能の創造主である死によって ある非常に甘美な感情のない統一体へと作り変えられるべきものである
膨大な仕事が成し遂げられようとも私たちの後に続く者たちのみが知ることができる 現代西洋の私たちにはわからないし
ただ夢見ているにすぎないが 東洋の人々は古くから信じている
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ここにその信仰の素朴なイメージがある 形あるもの一切はついには滅びてしまい
そうしてその微笑みが永遠の安息を意味し またその知識が無限の洞察である
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