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おしゃべり本棚。この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
ハンス・クリスチャン・アンデル先作 大久保裕役
はだかの王様後編 どうなされたのですか
もしかして お気に召さないとか
二人の詐欺師は不安そうに尋ねました。 そして何もないはずの布を
まるでアルカのように見せびらかせました。 ほらこの王様の偉さにぴったりのこの模様
どうでしょうか 詐欺師は言いますが布はどこにもありません
役人は思いました 私は馬鹿ではない
自分にふさわしくない仕事をしているだけだ そうだ馬鹿ではない
おそらく この布は
とても風変わりなのだろう しかし
このことを誰にも知られてはならないのだ 役人は少し考えてから言いました
見えない布をあたかも見えているように 大変見事な布だ
色合いも美しいし柄も申し分ない 私はこんな布を見られて
とてもうれしいよ そうして城に帰った役人は
王様に向ってこう言いました 大変
結構なものでした 町はその珍しい布の噂で持ちきりでした
噂がどんどん盛り上がっていくうちに 王様も
自分で見てみたくなってきました 日に日にその思いは強くなるのですが
一向に布は完成しませんでした 王様はいてもたってもいられなくなって
たくさんの役人を連れて 二人のずる賢い詐欺師の仕事場に向かいました
連れて行った役人の中には 前に布を見に行った二人も含まれていました
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詐欺師の仕事場に着くと 二人は一生懸命に働いているふりを
しました 糸を一本も使わないで
真面目に仕事をしているふりをしました さあどうです
王様にぴったりな大層立派な布でしょう 前に来たことのある二人の役人がみんなに
向かって言いました 王様王様ならこの布の色合い柄をお気に召しますでしょう
そして二人は殻の旗織きを指差しました 二人は
他のみんなには布が見えると思っていたからです でも
なんだこれは 何もないじゃないか
と王様は思いました 王様は
自分が馬鹿かもしれないと思うと だんだん怖くなってきました
また王様にふさわしくないかと考えると 恐ろしくもなってきました
王様の一番恐れていたことでした 王様が王様でなくなるなんて耐えられ
なかったのです だから王様は詐欺師たちを見て言いました
まさしくそうであるなぁ この布が素晴らしいのは
私も認めるところであるぞ 王様は満足そうにうなずいて
空っぽの旗織り機に目を向けました 何も見えないということを知られたく
なかったので 空っぽでも布があるかのように王様は
見つめました 同じように王様が連れてきた役人たち
も見つめました 王様が見ているよりももっと見よう
としましたでもやっぱり何も見えて はいませんでした
これは美しい美しい 役人たちは口々に言いました王様
この布で作った立派な服を近々 行われる行進パレードのときに
お召しになってはどうでしょう と誰かが王様に言いましたその
後みんながこれは王様にふさわしい 美しさだと褒めるものですから
王様も役人たちもうれしくなって 大賛成でしたそして王様は二人の
詐欺師を王国特別旗織師と呼ば せることにしましたパレード
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の行われる前日の晩のこと 詐欺師たちは働いているように
見せかけようと十六本もの蝋燭 を灯していました人々は家の外
からその様子を見て王様の新しい 服を仕上げるのに忙しいんだと思
わずにはいられませんでした 詐欺師はまず布を旗織きから外す
ふりをしましたそしてはさみで 切るまねをして糸のない針で縫い
服を完成させました たったいま王様の新しい服が
出来上がったぞ王様と大臣全員 が大広間に集まりました詐欺師
はあたかも手の中に服があるように 両手を挙げて一つ一つ見せびら
かせましたまずズボンですそして 上着に最後にマントです詐欺師
は言葉をまくしたてましたこれ らの服は蜘蛛の巣と同じくらい
軽く出来上がっております何も 身につけていないように感じる
方もおられるでしょうがそれが この服が特別で価値があるという
言われなのですまさしくその通り だ大臣はみんな声をそろいました
でもみんな何も見えませんでした もともとそこには何もないんです
から どうか王様ただいまお召しになっている
服をお脱ぎになって下さいませんか 詐欺師はいいましたよろしければ
大きな鏡の前で王様のお着替え をお手伝いしたいのです王様は
さっそく服を脱ぎました二人の 詐欺師はあれやこれやと新しい
服を着付けるふりをしました着付け 終わると王様はあちこちから鏡
に映る自分を見ましたなんとう つくしいよくお似合いですその
場にいた誰もがそう言いました この世のものとは思えなく美しい
柄言い表しようのない色合い素晴 らしい立派な服だとみんな褒め
るのでしたその時パレードの進行 役がやって来て王様に云いました
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行進パレードに使う天蓋が準備 できました担ぐ者たちも外で今
や今やと待っております うむ私も支度は終ったぞと王様
は進行役に答えましたどうだこの 服は私に似合ってるかね王様は
鏡の前でくるっと回って見せました なぜなら王様は自分の服に見と
れているふりをしなければなら なかったのですからお月の召使い
はありもしない服の裾を持たな ければなりませんでした地面に
両手を伸ばして何かを抱えている ようなふりをしましたやはり
召使いも何も見えていないことを 知られたくなかったので裾を持ち
上げているような真似をしている のでした王様はきらびやかな天蓋
の下堂々と行進していました人々 は通りや窓から王様を見ていて
みんなこんなふうに叫んでいました いや新しい王様の服は何て珍しいん
でしょうそれにあの長い裾とい ったら本当によくお似合いだこと
誰も自分が見えないということ を気づかれないようにしていました
自分は今の仕事にふさわしくない だとか馬鹿だとかいうことを知ら
れたくなかったのですですから 今までこれほど評判のいい服は
ありませんでした でも王様裸だよ
突然小さな子供が王様に向かって 言いました
王様裸だよなんてこったちょっと 聞いておくれ無邪気な子供のいうこと
なんだ 横にいたその子の父親が子供の
いうことを聞いて叫びましたそして 人伝いに子供の言った言葉がどんどん
ひそひそと伝わっていきました 王様は裸だぞ
ついにひとり残らずこう叫ぶよう になってしまいました王様は大
王様だってみんなの言うことが 正しいと思ったからですでも今
さら行進パレードをやめるわけ にはいかないと思ったのでその
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まま今まで以上にもったいぶって 歩きました召使いは仕方なくあり
もしない装を持ち続けて王様の 後を歩いていきましたとさ