00:00
おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
和田満吉 竹取物語前編
昔、いつの頃でありましたか、竹取の沖名という人がありました。 毎日のように野山の竹座に入って竹を切り取って
いろいろのものを作り、それをあきなうことにしていましたので、俗に竹取の沖名という名で通っていました。
ある日、いつものように竹座に入り込んでみますと、一本妙に光る竹の幹がありました。 不思議に思って近寄ってそーっと切ってみると、
その切った筒の中に、高さ三寸ばかりの美しい女の子がいました。 きっと天が我が子として与えてくれたものであろうと考えて、その子を手の上に乗せて持ち帰り、
妻のおばあさんに渡して、よーく育てるように言いつけました。 おばあさんもこの子の体操美しいのを喜んで、籠の中に入れて大切に育てました。
このことがあってから奇妙なことには、多くの竹を切るうちに、節と節との間に黄金が入っている竹を見つけることがたびたびありました。
それで、沖縄の家は次第に裕福になりました。 竹の中から出た子はずんずん大きくなって、三つ木ばかり立つうちに一人前になりました。
そこで、乙女にふさわしい髪飾りや衣装をさせましたが、大事の子ですから、家の奥に囲って外へは少しも出さずに、いよいよ心を入れて養いました。
大きくなるにしたがって、乙女の顔形はますます麗しくなり、家の中が隅から隅まで光り輝きました。
沖縄には、この子を見るのが何よりの薬で、また何よりの慰みでした。
さて、これまでつい乙女の名をつけることを忘れていましたが、名のないのも変だと気づいて、いい名付け親を頼んで名をつけてもらいました。
03:14
その名は、名よたけのかぐや姫というのでした。
この美しい乙女の評判が高くなったので、世間の男たちは妻にもらいたい、また見るだけでも見ておきたいと思って、家の近くに来て、隙間のようなところから覗こうとしましたが、どうしても姿を見ることができません。
そのうちで、どうにかしてかぐや姫に会って志を見せようと思う熱心家が五人ありました。
みな位の高い身分の尊い方で、一人は石作りの巫女、一人は蔵餅の巫女、一人は宇大神安部の美牛、一人は大名言大友の美雪、一人は中名言磯の神の魔露でありました。
この人たちは思い思いに手立てをめぐらして姫を手に入れようとしましたが、誰も成功しませんでした。
沖縄も余りのことに思って、あるとき姫に向かって、
わしは七重の坂を越して、もういつ命が終わるかわからぬ。今のうちに良い婿をとって、心残りのないようにしておきたい。
姫を一生懸命に思っている方がこんなにたくさんあるのだから、この中から心にかなった人を選んではどうだろう。
姫は答えしぶっていましたが、思い切って、私の思い通りの深い志を見せた方でなくては、夫と定めることはできません。それはたいして難しいことでもありません。
5人の方々に、私の欲しいと思うものを注文して、それを間違いなく持ってきてくださる方にお使いすることにいたしましょう。
沖縄も少し安心して、例の5人の人たちの集まっているところに行って、そのことをお告げますと、みなすぐに承知しました。
ところが、姫の注文というのはなかなか難しいことでした。
06:01
それは5人とも別々で、石造りの巫女は天竺にある仏の三石の鉢、
倉持の巫女には、東海の蓬莱山にある銀の根、金の茎、白玉の実を持った木の枝一本、
安倍の右大臣には、もろこしにあるヒネズミの革衣、
大友の大名言には、竜の首についている五色の玉、
磯の神の中名言には、ツバメの持っている小安貝一つというのであります。
そこで沖縄は言いました。
それはなかなかの難題だ。そんなことは申されない。
しかし姫は、「大して難しいことでもありません。」と言い切って平気でおります。
沖縄は仕方なしに姫の注文通りを伝えますと、みな呆れ返って家へ引き取りました。
それでもどうにかして神谷姫を自分の妻にしようと覚悟した5人は、
それぞれいろいろの工夫をして注文の品を見つけようとしました。
第一番に石造りの巫女はずるい方に才のあった方ですから、
注文の仏の三石の鉢を取りに天塾へ行ったように見せかけて3年ばかり経って、
大和の国のある山寺の瓶鶴様の前に置いてある石の鉢の真っ黒にすすけたものを、
もったいらしく二式の袋に入れて姫のもとに差し出しました。
ところが立派な光のあるはずの鉢に蛍火ほどの光もないのですぐに注文違いといって跳ねつけられてしまいました。
第二番に倉餅の巫女は蓬莱の玉の枝を取りに行くと言いふらして船出をするにはしましたが、
実は三日目にこっそりと帰って玉職人を多く召し寄せて、
ひそかに注文に似た玉の枝を作らせて姫のところに持って行きました。
沖縄も姫もその細工の立派なのに驚いていますと、
そこへ運悪く玉職人の親方がやってきて、
千日余りも骨を折って作ったのにまだ採掘賃をくださるという御沙汰がないと苦情を持ち込みましたので、
まやかし者ということがわかってこれもたちまち突っ返され、
巫女は大恥をかいて引き下がりました。
09:00
第三番の安倍の右大臣は財産家でしたから、
ちょうどその年に日本に来た当選にあつらえてひねずみの革衣というものを買ってくるように頼みました。
やがてその秋雨戸は洋洋のことで、
もとは天竺にあったのを求めたという手紙を添えて革衣らしきものを贈り、
前に預かった大金の不足を請求してきました。
大臣はよろこんで品物を見ると革衣は根性色で毛の先は黄金色をしています。
これならば姫の気に入るに違いない、きっと自分は姫のお婿さんになれるだろうなどと考えて、
大めかしにめかし込んで出かけました。
姫も一時は本物かと思ってないない心配しましたが、
火に焼けないはずだから試してみようというので火をつけさせてみると、
ひとたまりもなくめらめらと焼けました。
そこで右大臣もすっかりあてがはずれました。
四番目の大友の大名言は家来どもを集めて言明を下し、
必ず達の首の玉を取って来いと言って、
屋敷にある絹、綿、銭のありたけを出して炉用にさせました。
ところが家来たちは主人の愚かなことをそしり、
玉を取りに行くふりをして命名の勝手な方へ出かけたり、
自分の家に引きこもったりしていました。
右大臣は待ちかねて自分でも遠い海に漕ぎ出して、
達を見つけ次第、矢先にかけて言おとそうと思っているうちに、
九州の方へ吹き流されて激しい雷雨に打たれ、
その後赤城の浜に吹き返され、
波風に揉まれて死人のようになって磯旗に倒れていました。
そこへ家来どもが駆けつけてお見舞いを申し上げると、
ダイナゴンはすもものように赤くなった目を開いて、
達は雷のようなものと見えた。
あれを殺しでもしたらこの方の命はあるまい。
お前たちはよく達を取らずに来た。
ういやつどもじゃ。
とお褒めになって、
家に少々残っていたものを褒美に取らせました。
もちろん姫の難題にはおじけをふるい、
かぐや姫の大語りめ、
と叫んでまたと近寄ろうともしませんでした。
五番目の磯の神のチューナゴンは、
ツバメの小安貝を取るのに苦心して、
12:00
いろいろと人に相談してみたのち、
ある男のすすめにつくことにしました。
そこで自分でかごに乗って、
ツナで高い棟に引き上げさせて、
ツバメがたまごを産むところをさぐるうち、
ふと平たいものをつかみあてたので、
うれしがってかごをおろすあいずをしたところ、
ツナがぷっつりと切れて、
運悪くも下に落ちて目をまわしました。
水をのませられてようやくしょうきになったとき、
こしはいたむが、
小安貝はとったぞ。
それ、みてくれといいました。
みながそれをみると、
小安貝ではなくて、
ツバメのふるくそでありました。
チューナゴンはそれきりこしもたたず、
きやみもくわわって、
しんでしまいました。
ごにんのなかで、
いちばんむごいめをみたのが、
このひとです。