一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。
今回は井上茶寮さんの和紅茶を淹れながら、ミヒャエル・エンデさんの『モモ』を紹介します。
▼ 今回のテーマ
効率化は誰のため/時間を「守る」
🍵 本日のお茶
井上茶寮 x Olfactive Studio Ne
「和紅茶」
📕 本日の本
『モモ』
ミヒャエル・エンデ(著)
👤 話し手: Fuyuto
「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。
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サマリー
今回は、ミヒャエル・エンデの物語『モモ』を、和紅茶を味わいながら紹介する。時間泥棒の灰色の男たちは、時間を節約すれば豊かになれると人々を誘い、会話や遊び、休息、ケアの時間まで効率化させていく。話を聞く才能を持つ少女モモは、友人のベッポやジジとともに彼らに立ち向かう。語り手は、効率化を自分の意思だと思い込んでいないか、また自分の時間や暮らしを守れているかを考えさせられたと語る。
『モモ』と和紅茶の紹介
こんにちは。本茶本茶へようこそ。 毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して創造性の器を育む スタジオスティルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、ミハエル・エンデさんの書かれた『モモ』という一冊になります。
この『モモ』、ご存知の方もたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思うんですが、
小説というか物語ですね。
岩波少年文庫から出ているものを僕は読んでいるんですけれども、
このミハエル・エンデさんという方は、ドイツバイエルンの生まれの作家の方です。
この『モモ』というのは、時間を扱った物語なんですね。
副題が、時間泥棒と盗まれた時間を人間に取り返してくれた女の子の不思議な物語というような内容になっています。
今日この本を選んだのはですね、先日坂本図書、坂本ライブラリーという場所に行ってきました。
ここは坂本隆一さんが持っていた蔵書を読めるような、図書館のような形で保管をされている場所で、
どなたでも予約制なんですけれども、予約をすると入れるそんな場所なんですね。
そこで蔵書をゆっくりといろいろ読んでいたんですけれども、
その中に今日この『モモ』を書いたミヒアエル・エンデという方と、もう一人ヨーゼフ・ボイスというですね、
アーティスト、彫刻家とか社会彫刻家みたいなことを言っている方の対話の書き起こしの本というのが置いてあったんですね。
芸術と政治をめぐる対話っていう本だったんですけれども、
それを読みながらとても面白かったので、少し思い出して今日はミヒアエル・エンデの一作を紹介しようというふうに思いました。
と言いつつですね、ちょっと今日この後15分20分ぐらいで家を出なければならなくて、
時間泥棒の話をする中になんとも皮肉なタイミングなんですけれども、
今日はテーマに関係なく一つこの本を読んで感じたことをお話ししたいと思います。
まずはその前に一緒に楽しむお茶から。
今日はですね和紅茶を入れてみました。
井上佐良さんというところと香りの研究をしているオルファクティブスタジオネさんのコラボレーションの商品をいただいています。
これは市販をされているものというよりも先日あるワークショップに参加をしまして、
井上佐良さんのお茶にオルファクティブスタジオネさんの精油ですね、ベルガモットの精油なんですけれども、
それをブレンドして香り付けしたお茶を作るっていうワークショップに出てきまして、
1ヶ月前ですね、もっと前か9月の4日に香りを付け始めたものを開けて今日はいただいております。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
話を聞く少女モモと灰色の男たち
この桃という物語なんですけれども、
舞台はですね、昔々大きな都市として栄えた街の円形劇場って書いてありますね。
アンフィシアターと呼ばれる円形のですね、すり鉢型になっている建物、劇場って言うんですかね。
そういうものの一つが廃墟になっている場所、そこが舞台になっています。
ここに桃という名前の少女が住んでいる。
年も出身もあまり詳しくは書かれてないんですけれども、話を聞くことっていうのが特技、才能な女の子が住んでいると。
街の人はですね、皆何かことがあると桃のところに行ってごらんと言って話を聞いてもらいに行く。
本文中人もですね、「小さな桃にできたこと、それは他でもありません。相手の話を聞くことでした。」
なんだそんなことと皆さんは言うでしょうね。話を聞くなんて誰にだってできるじゃないかって。
でもそれは間違いです。本当に聞くことのできる人は滅多にいないものです。
そしてこの点で桃はそれこそ他には例のない素晴らしい才能を持っていたのです。
そんなような話を聞くことが上手な桃。
桃には友人がいてですね、道路を掃除する道路掃除婦と自分で言っているベッポというキャラクターと、
おしゃべりが得意な観光ガイドのジジという2人と一緒によく遊んでいる。
そんな中ですね、灰色の男たちといういかにも怪しげな人たちが街に現れて、
時間を節約すれば将来もっと豊かになれると。
どんどん時間を、無駄な時間を節約しましょう。時間帳蓄銀行に預けましょうということを言いながら、
いろんな大人たちを巻き込んでいくんですよね。
無駄な会話とか遊びとか休息をやめて、どんどん効率的にしていく。
どんどん忙しくなって時間を切り詰めていく。
そんなことをこの灰色の男たちが進めていく、そういうようなストーリーになっています。
この灰色の男たちというのは、こうやって人々から時間を盗んで生きている、そんなような存在なんですけれども、
そういう灰色の男たちと桃が戦っていくような、そんなようなストーリーになっています。
効率化は誰のためか
僕がこの桃を読み直して、とても今心に残ったところはですね、
この灰色の男たちがですね、町の人たちから時間をどんどん奪っていく、そんなシーンなんですけれども、
例えば床屋さんにこの灰色の男たちが現れて、どういうことに何時間使っているかみたいなのを、
お金のようにですね、何分かける何年、人生で何億秒無駄にしてますみたいなことを言いながら、
それをどんどん節約していきましょうみたいな話をするんですよね。
例えば一人のお客さんと話しながらやったら30分とかかかるのを、
もう無駄なおしゃべりはやめて10分、15分で済ますとか、
あるいはお母さんのところにケアに行く時間を鎧に入れてしまうとか、
そうすると毎日何分何時間節約していける、時間を節約すれば2倍になって戻ってくるみたいなことを言いながら、
どんどん効率化の波にというかですね、この床屋さんを巻き込んでいくんですけれども、
ただこの床屋さんがそういうことをやるのを灰色の男たち、灰色の紳士にそそのかされてやってるんだけれども、
それを自分の考えだとばかり思い込んでいるっていうことがとても味わい深い部分だなというふうに思ってます。
効率化とか最適化とか生産性みたいなものって、
やっぱり生きていく中でより効率的にって思わず考えちゃうことだと思うんですけど、
今それ当たり前だと自分の考えでそうしてると思っているものの、
本当にどこまでが自分がやりたかったことで、どこからが灰色の男たちにそそのかされてることなのか、
そんなことを改めて考えるポイントになったなというふうに思います。
自分の時間を守る
もう一つはですね、時間を守るということですね。
よく時間を守るって言うと、何て言うんでしょう、
集合時間に遅れないとか、そういう意味の守るっていうこともあると思いますが、
どちらかというと少し違うニュアンスでこの本では書かれています。
一文引用すると、
人間は自分の時間をどうするかは自分で決めなくてはならないからだよ。
だから時間を盗まれないように守ることだって自分でやらなくてはいけない。
私にできることは時間を分けてやることだけだ。
これはですね、本文中に出てくるマイスターホラーという、
時間を司るおじいさんみたいな感じですかね、が話している一文になるんですが、
時間を守る、盗まれないように守るという意味の守るですね。
この物語の中で時間貯蓄銀行の灰色の男たちが、
時間を節約しなさいとどんどんそそのかしてくるんですけれども、
その時間がどこにたまっていつ帰ってくるかっていうのは、
毎回はぐらされながら進んでいくんですよね。
というのも、それは帰ってこないからっていうことなんだと僕は理解をしています。
人間が時間を節約すればするほど生活は痩せ細っていくのです。
そんなふうに書かれている箇所があったり、
人間は一人一人がそれぞれ自分の時間を持っている、
そしてこの時間は本当に自分のものである間だけ生きた時間でいられるのだよ、
という一文があったり、
自分の時間を自分で守らなきゃいけない、
それは裏返すと自分の暮らし、生活、生きることを自分で守らなきゃいけないと、
そういうメッセージを僕は受け取りました。
やっぱりこれはもしかしたら子ども向けの、
小学5、6年以上って書いてあるので、
そういう世代に向けた物語なのかもしれないですが、
大人が読んでもとても気づかされることが多いのと、
読むたびに違うところが訴えかけてくるような気がするものなので、
もしよろしければお読みいただけるといいかなというふうに思います。
本日は井上佐良さんとオルファクティブスタジオNEさんの
オリジナルのブレンドティー、和紅茶をいただきながら、
桃をご紹介しました。
それではまた。
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