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写真屋さん
小川美名、暑い日でした。
翔ちゃんは、青切りの木の下で滑り台に乗って遊んでいました。
そこへ、髪の長い写真屋さんが入ってきて、
一つ、写させてくださいませんか?
と、頼みました。
この写真屋さんは、機械を下げて、御用を利きに歩くのです。
子供をとってもらいましょうか?
と、お母さんはおっしゃいました。
かしこまりました。
写真屋さんは、翔ちゃんを滑り台の上へかけさせ、
お姉さんにランドセルを背負わせて、下へ立たせました。
お姉さんは、小学1年生です。
翔ちゃん、お口をふさいで。
と、写真屋さんが言いますと、翔ちゃんは、あーんと口をあけました。
ぼっちゃん、いい子ですから、笑ってくださいね。
と、写真屋さんが言いますと、翔ちゃんは舌をぺろりと出しました。
これを見ていたお友達は、翔ちゃんのわんぱくにあきれました。
翔ちゃん、ごらんなさい。
お姉ちゃんは、お行儀がいいこと。
と、お母さんがおっしゃいました。
いいえ、ぼっちゃんもお行儀がよろしいですよ。
さあ、写しますから。
と、写真屋さんが写そうとしました。
すると翔ちゃんは、するすると滑り台を滑りました。
写真屋さんは困ってしまいました。
この次にしましょうか。
と、お母さんはおっしゃいました。
考えていた写真屋さんは、すっかり写す用意をしてから、
さあ、お嬢さんもぼっちゃんも、
よーくお母さんのお顔をごらんなさい。
と言いました。
二人は優しいお母さんのお顔を見ました。
片時も忘れないお母さんだからです。
その途端、パチンと音がして、
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よく撮れました。
と写真屋さんは挨拶をいたしました。
