孤独と人の思い
黒き素船、岩の峰、黒き素船をすかし見れば、
砂にしあがめる影とまがい、沖の小島のうすき見れば、
人の思いに沈む気配、空に見まえる月を仰ぎ、
寂し我が身の玉と見たり、我はそのまま眼を閉じて、
気ゆる世界を今ぞ抱く。受けよ、沈めよ、
知事の悩み、知事の悲しみ、身を場乗せて、
苦なる命は刺激やなり、澄みて重なる夢の小舟、
さして行方を此処に問わじ、この夜、この時、生きむ。