十月四日、日曜の午後。中島は午前の出荷を終え、昼食のあと娘とキーボードのドラムモードで騒ぎ、そのまま植え付けに向かった。曇り空の下、朝はTシャツにシャツとマウンテンパーカーを重ねていたが、土を掘るうちに暑くなり、いまはシャツ一枚。Kの石のベンチで汗を引かせながら、マイクを回している。
先週金曜に、関さんちから、もういらないと言われた苗をもらってきた。アイアンウィード、ユーパトリウム・チョコレート、ブラキトリカ。根がタコのように張っていて、掘り上げるのも植えるのも骨が折れる。グラス系は市場に送っても値がつかず、関さんちも減らすのだという。それでも中島は一株もらって割り、造成した畑の入り口の縁に植えた。畑の周りは、強いものをちょろちょろと足していくうちに、少しずつナチュラルガーデンの顔になってきた。まだ隙間だらけだが、秋になれば道が浮かび上がるだろう。
一方で、アマランサスは思うようにいかなかった。ホットビスケットは「ボリュームが小さすぎる」と市場で事故扱いに、廃棄した。中島の腹の六十センチと、買い手の思い描く六十センチが違っていたのだろう。九月の日照の短さに加え、西に山を負う畑では西側ほど背が低く、東へ行くほど伸びている。暑い夏を見込んだ読みは外れたが、小さくても可愛い、とは思っている。
十月十日の土曜は、菅谷農園さん主催の花マルシェ。初回からほぼ毎回出ている。農家がマルシェに出ること自体が妙で、その変さが刺さったのだろうと中島は笑う。出展ブースの色にも、ハナボウズの色というものがあるらしい。会場で見かけたら、一緒に写真を撮ってほしい。シーズンは終わりに近づき、植え替え、片付け、採種、種の購入が続く。ハウス一棟目には、まだ出せるものが残っている。
感想
まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!
サマリー
10月4日、午前の出荷と娘とのキーボード遊びを終えた中島が、畑で植え付けをしながら話します。関さんちから譲り受けたアイアンウィードやユーパトリウム・チョコレート、ブラキトリカを植え、強い植物を足してきた畑の周囲がナチュラルガーデンらしくなってきた様子を語ります。10月10日の菅谷農園主催・中野城の花マルシェには、農家なのに出店する「ハナボウズ色」で参加する予定です。アマランサスは日照不足などで生育や市場評価が振るわず、ホットビスケットを廃棄することになりました。シーズン終盤の畑では、植え替えや片付け、採種を進めつつ、ハウスにはまだ出荷できそうなエキナセアが残っています。