田中 愼一
そうですね 今日はですね 僕自身の出身母体であったホンダがですね 2兆5千億の特損というか損失を出してですね
下手すと今期赤 今期は赤って予想してるんだけども 来期さらにはその次の年もね 本当に黒字化できるのかっていうぐらいに結構
深刻な事態かなっていうことで 感じてますね
なんていうのかな よくわかんないのは 僕自身は16年ぐらいホンダってとこにいたんだけども
その中でも一番ホンダらしいところっていうか その当時80年代だったんで 80年代アメリカで7年間過ごして
アメリカの反日世論をどうやってホンダの味方につけるかで 7年間走り続けて何とかやり遂げることができたっていう経験があるんですけども
その当時のホンダっていうのは やっぱりアメリカに一番そのホンダ的な発想が残っていて
もうその当時80年代は1兆円企業を超えてたから それなりのでかい企業だったんだけども
やっぱりホンダらしさっていうのがアメリカで一番残ってたんですね
アメリカにかなりの人数の日本人がいて アメリカ人たちと一緒に新たなホンダをアメリカで作ろうなんていう意気投合に燃えてた時代で
その当時本体のホンダもそれなりに 他の企業と比べるとそういうホンダイズムっていうのは強く持ってたとはいえ
それを一番感じたのは当時僕はアメリカだったかなと思ってて
そういう中で育って卒業したわけですけども
やっぱりその時に教わったホンダフィロソフィーというか ホンダウェイっていうものがあってですね
このホンダウェイっていうのは偉い人がこれがホンダウェイだっつって プリーチングをするようなもんじゃなくて
仕事してると自然と先輩や上司やいろんな人たちと議論して
結構上下関係にあまりこだわらない会社だったんだね当時
だから言いたいことは言いながらワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤ
ワイガヤっていう文化が生まれて
その中から人それぞれがこれが俺のホンダウェイだっていうものを見つけて
それに基づいて仕事をしているっていうそんな雰囲気のとこだったんですね
そういう中で僕自身もホンダ辞めて
それからセガの後はフライシュマヒラードジャパンという会社を作ってやってきたんですけども
その中でも基本的には自分なりのホンダ哲学っていうものを生かして
いろんなサービス開発とか経営とかということを一生懸命やってきたわけなんですけどね
僕の場合は直接本田さんと10日間アメリカでデトロイトで一緒だったっていうことが強烈な現体験になっていて
そういうことでもっとある意味極端に言うとホンダ教、ホンダ哲学というよりは
もう宗派だともう俺は語り部なんだっていうぐらいの気持ちで多分生きてきてるんだと思うんですけどね
そこからすると今回のホンダの生年2兆5000億というとてつもない損を出したっていうのが
やっぱり非常にですね何でそういうことが起こっちゃったのかなと
ホンダっていうのは今までかなり現実路線で動いてたから
決してこうあるべきだっていうようなものに思い込んでそこに突っ走るような会社じゃなくて
本当に外から見るホンダってなかなかそういうふうには見られないかもしれないんですけど
なんか絶えず新しいものにチャレンジしてるっていうような印象なんだけど
中から見るとめちゃ保守的なんですよ
保守的っていうのは僕はいい意味で今使ってるんですけど
現実に即してっていうのがものすごい保守的なんですね
だから空理空論っていうのは最も嫌う体質
だからとにかく現実に基づいてでホンダでは三現主義っていう考え方があって
三現の現っていうのは現実、現物、現場
だからすべて物事を判断するときに現物の現物というのは目の前に
しっかりその問題の部品を目の前に触りながらまず考えろ判断しろっていうのと現物ですね
それから現場それが起こったところに行けと
起こっているところに身をも連れてって感じ取れと
それからいわゆる現実っていうのは現実というのはもちろんいろんな形で現れてくるんだけども
その現実っていうものをしっかりと把握しろと
だから現物現場現実っていう三つの三現主義っていうのが
一つの徹底した思想にまでなってるわけですある意味ね
そうすると物事を考えるときっていうのはあってんで
みんな事務所で考える工場だったら事務所で考えるんじゃなくて実際の現場まで歩いてって
そこで現物現場で現実を議論するっていうね
こういう習性のある人たちが多くいてですね
それが別にものづくり生産関係だけじゃなくて販売やその他諸々のあらゆるところにそういう人間が散らばってて
いろいろワイガヤしながらことを進めてたっていうところですね
そういうやり方っていうのは僕も今でもやってて
僕の仕事の中でやっぱり全てを現場で判断する現物現実っていう
田中 愼一
それがですね例えば今回のその大きな2兆5000億の損を出した原因
直接な原因っていうのはやっぱりEVシフトっていうのを徹底的にやってしまったと
もうEVなんだともう全てAVにシフトすると
ある意味EVに全てシフトするっていうのはですね
今極端な言い方はしてるけれどもいわゆるホンダっていうのは世界で一番大きなエンジンメーカーなんですね
来年期間のエンジンですね
なぜかというと自動車だけじゃなくて二輪車も作ってるし
あとホンダのエンジンを使って汎用機とか発電機とか幸運機とか柴刈機っていうのも売ってるんですね
だからエンジン単体っていうことで考えている世界でナンバーワンなんですね
当然ナンバーワンですから技術もナンバーワンということで
それをEVに100%シフトするっていうことは実はそれを捨てるって話なんですね今まで
だからこれは並大抵の判断じゃなくて
僕がホンダがシフトするって言った時やっぱりびっくりして
かなりの人間がOBもびっくりしたんじゃないかと思うけど
え?って思ってちょっと今まで培ってきたすべてのものを
もう無しにしてすべて新しいこれから身につけなきゃいけない技術の方に
シフトするってこれ現実的なのかと思った時に非常に不安を持ったわけですね
しかも三部さんってエンジンの技術者の方なんですよねもともと
田中 愼一
車体の方なんですよ
中川 浩孝
車体なんだ
田中 愼一
だから本流じゃないんですエンジン
あのもともと研究所の本流はまさに今ねヒロちゃん
ヒロさん言ったようにエンジン開発なんですよ
でもカイの場合どっちかと車体の方の関係だから主流派ではないですね
でもちろんその前の社長も含めて
最近はエンジン主流っていうのがあんまりなくなってきて
ってことは事実なんですけども
だからそのなんていうのかな
いずれにしてもそれがどれだけ関係してたかわからないけども
自分たちを支えてきた技術をそこまですっきりと数年で変えちゃうってことがね
悪いけど現実的じゃないなって僕なんか思っちゃう
そうするとある意味そういう意味から考えると
トヨタみたいにある程度現実的に全てがEVに行かないだろうって言いながら
360と対応したとこでさえも
EVに今ブレーキかけてるわけですよね
ところがホンダの場合は今回ブレーキかけたわけですよ
遅すぎんじゃないっていうのもあるし
いずれにしてもアウトプットがですね
今回のここ数年のEVに関するホンダの発信っていうのが
あまりにも極端から極端にいっているっていうことを感じざるを得ない
で僕の知っているホンダの体質からすると
こういうことって普通はありえなかったんですよね
結構僕なんかべき論で走る傾向が昔から強くて
こうあるべきだってよくホンダの中でもやってたんだけど
そうすると必ずバシーンと壁にぶつかってバカバカって叩かれて
で叩かれてもこっちはじゃあ叩き返すぞって言って
この激しい議論の中でもワイガイが発生してて
その中でなるほどやっぱりここまでが現実的なのかなとかね
見極めっていうのをいろんな人との議論
しかも現場で現物見て現実っていうものを認識しながら戦っていくと
いろいろワイワイガヤガヤって結構ね
うるさい連中というふうに僕はホンダの連中っていうのは
みんなうるさい奴がたくさんいて
そのワーワーやりながら何とかかろうじて
現実の路線っていうものを守ってきたっていう人間からすると
今回のその判断っていうのは
あまりにも軽々しくしたんじゃないかなっていう想像ですよ
これイメージなんだな
本当にそうだったかどうかは知らないけど
なんかそういうイメージを持たざるを得ないってことは
僕の言葉で言うとホンダがその本来持っていたそのワイガヤ体質っていうか
ワイガヤホンダかっこよく言うとホンダフィロソフィーとか
ホンダ発想とか言うんだけど
そのワイガヤっていう体質っていうのを失ってるんじゃないかなと
これは実際によくホンダを知ってずっとホンダを追っかけてきてる
いろんなジャーナリストの方とか有識者学者の人とか話してると
やっぱりワイガヤ体質なくなったんじゃないっていうワイガヤって言葉が出てきますね
確かね日経でもこの前記事が出たと思うんだけど
ワイガヤ体質って言葉も記事の中に出てきてましたよね
だからちょっとそこあたりがですね非常に何て言うのかな
ただそういうことを考えると案外何て言うのか
僕自身もべき論者だったから昔から
今でもある程度べき論を好む体質なんだけども
でもべき論が陥る罠っていうのがあって
やっぱり人間はある程度こうあるべきだっていうべき論っていうものをね
言いながら一つの理想に向かっていくっていうのは確かにあるんですけどね
でも一方でべき論に走ったがために
全てを失ってしまったっていうようなこともたくさんあるわけで
これ日常の我々の生きている中でもありますよね
なんかべき論で突っ走っちゃって痛い目に遭ったとかね
特に僕なんかべき論好きとしてはですね
田中 愼一
ちょっと気をつけなきゃいけないかなっていうのを
今回のホンダの判断っていうか決断っていうかね
あったかなともちろんね
2兆5千億をこれ全部一気に落とすっていうね2年で
これの判断もすごいけど
もうとにかく今早く動いて徹底的にやらないと後に加工を残すっていう判断で
これはまあそれなりに評価してもいいのかもしれないですけど
でもそこに行く前のねやっぱりその判断っていうものはですね
やっぱりべき論にちょっと押されちゃったんじゃないのかなと
社会全体がねEVって向かってましたからね
EVがEVがいって
これは別に本田だけの問題じゃなくて
トヨタもある程度板手をこう持ってるし
あともっと言うならばヨーロッパ勢も
中川 浩孝
ヨーロッパ勢ですよね本当に
田中 愼一
すごいアメリカ勢もね両方ともねすごい金の損失を出してるんですよ
だからなかなかホンダ一社をとはなかなか言えないのもあるし
経営者としてもなかなかねそういう世の中の流れの中で
なかなか決断するのは難しいんだろうけども
ある意味これからますます現実の方が加速化して変わってきますよね
だから本当にホンダ流で言うと三現主義っていうのをもう少し徹底的に
僕の場合は具体的にはワイガヤをやるっていう発想しかないんだけども
やりながら現実路線って何なのかっていうのを見極めながら
人間がつい持ちがちなその何々べき論っていう理想的なところっていうものの
罠に落ちないように行かなきゃいけないんだろうなっていうのは
ちょっと反省したところであります