00:00
毎週木曜日のこの時間は三好剛平のCatch Up、クリエイティブプロデューサーの三好剛平さんです。おはようございます。
さあ、今日はどんな作品にしようかね。 本日はですね、福岡では来週の週末になるんですけど、7月5日の金曜日からKBCシネマで公開されます。
韓国映画のWALK UPという作品をご紹介します。 この映画ですけれども、今では新作を撮れば必ず国際映画祭に招待されるような名監督になりました。
ホン・サンスという監督ですけれども、この監督の28作目かな、による新作で、究極にミニマム、最小限な作りの映画でありながら、見ている間中、とにかくずっと面白いだけでなく、見終えた後にはどうしてこんな映画が作れちゃうのかなっていうぐらい、
もうその達人ぶりというか、名人芸に圧倒される一本になっておりますので、その魅力をご紹介していきたいと思います。
まず今日はですね、ご紹介するこのWALK々UPのあらすじからご紹介したいと思います。 主人公は映画監督のビョンスっていう男です。
このビョンスっていう男がですね、インテリア関係の仕事を志望している娘さんと一緒に、インテリアデザイナーとして活躍している旧友の女性、ヘオクさんが所有しているこじゃれたアパートを訪ねますと。
そのアパートなんですけども、1階がレストラン、2階がレストラン兼料理教室、そして3階は賃貸住宅、4階は芸術家向けのアトリエ、さらに地下はヘオクのインテリアデザイナーの作業場にもなっているっていうような感じのアパートなんですけど、
このレストランとか屋上を備えたこの建物がビルが立ち並ぶ都会の一角に、ちょっとこじゃれたエアポケットみたいな雰囲気でですね、佇んでるとても素敵なアパートなんですね。
そんなアパート1階のレストランで、そのビョンスと娘とヘオクっていうインテリアデザイナーの3人で、和やかに語り合い始めまして、ワイン組み交わしながらですね、楽しくお話を始めるわけですけども、
その檻にですね、ビョンスの元に仕事の電話が入って、娘とヘオクさんをですね、残して、一旦ちょっとその場を離れなきゃいけなくなるっていう展開になるわけですね。
で、ここから映画はちょっと不思議な展開を見せていきます。で、アパートの1つ1つのフロアごとで繰り広げられていく物語が展開していくわけですけども、その物語1つ1つがいつしかそのビョンスとですね、彼を取り巻くいろんな女性たちとの4つのエピソードに枝分かれしていくっていう感じなんですね。
一回ごとに1個ずつのエピソードが展開していくみたいになっているんですね。で、果たしてこれはビョンスのもしもの人生を提示したパラレルワールドなのか、それとも、みたいな映画になっていくという。
ちょっとね、あらすじだけではどんな映画って感じなんですけども、とにかくですね、この映画、なんといってもやっぱりその舞台がアパート1棟だけなんですよ。
で、さらに出演者も数名のみっていうですね、極端にミニマムな映画である上に、これモノクロでも撮られているような作品なんですけども、そのミニマムさが全く問題にならないぐらい、とにかく抜群に面白い。
03:02
そしてさらには最後には、あれ、なんかちょっと1人の人生見ちゃったかも、みたいなちょっと地味深い気持ちというかですね、そんな気持ちで劇場アートにできるような本当に素晴らしい作品になっているんですね。
で、どうしてそんなすごいものになっちゃったかっていうことで言えば、やっぱりこれはね、監督ホン・サンスの名人芸で、もう、というしかないっていうことで、ちょっとここからですね、ホン・サンスっていうこの監督がどういう人なのかってことをご紹介していきたいと思います。
監督ホン・サンスですけども、1961年生まれ、ちょっと見た目もいい感じのナイスミドルなおいちゃんなんですけど、この監督、96年に豚が井戸に落ちた日っていう映画で長編映画デビューをしまして、この映画は早速ロッテルダム国際映画祭で最高賞を受賞したと。
で、以来とにかくコンスタントにずっと映画制作を続けて、まあ大体1年とか2年に1本必ず撮っていくみたいなペースなんですけど、そうなんです。で、ほぼ全ての作品がカンヌとかベルリンとかベネチアをはじめとにかく主要な国際映画祭で上映されては、まあだんだん評価を高めていく。
最後にも2010年代以降に入りますと、もういよいよそれで受賞までしていくような、もう本当に名称になっていくわけですね。で、この監督の映画作りと作風にはめちゃくちゃ一貫した特徴があって。
まあ繰り返し言ってるんですけど、まず1つはとにかくその究極で身軽なミニマムな体制の映画作りということになるんですね。で、ホンサンス自身がその制作、監督、脚本、編集、音楽まで手がけて、近年はそれに加えて撮影まで自分でやっちゃうので、現場にはですね監督ご自身とあと数名の技術スタッフと出演者のみっていうですね。
ウルトラミニマム体制なんですよ。もうインディー映画家、学生映画家っていうぐらいのミニマムさなんですよね。なんですけれども、もうそれでも見事な映画を成立させてしまうというその手腕。で、あと監督なんですけど、事前に完成した脚本を用意しないんですね。で、毎回撮影日の朝ごとにその一部分のシナリオを役者に渡すっていうですね。
セリフを覚えるのもね、俳優さんたち大変ですね。
かなりのやり方でやってるんですけども、それもやっぱり現場で起きるものを取り込んでいくというかですね、その柔軟なやっぱり映画作りというところがやっぱりあります。で、さらにその作風自体にもですね、一貫性があって監督の映画のほとんどが酒やタバコをですね、たしなみながら、とにかく会話を重ねていく長回しの会話シーンっていうのがメインに構成されてるんです。
どの映画見ても必ずそういうシーンが出てくる。さらに映画ファンならお約束とも言うべきその長回しの会話シーンとか独特のカメラワークとか音楽使いとか、とにかくもうお約束尽くしなんですよ。なんですけども、それ見るたびに映画ファンとかになるともう、ああ今年も俺本産寸の新作今見てんな嬉しいなっていう喜びを感じるようになってるんですね。
06:07
もう恒例行事じゃないですか。
この本産寸の映画にも何回も主演勤めてるんですけども、韓国の名優のコン・ヘヒョさん。これあのドラマの冬の育てでね。
キム・ジチョウとしてもね、もう皆さん大好きな韓国映画のバイプレイヤーでございますけれども。
ドラマにもたくさん出てらっしゃいますよね。
本当にそうなんです。いい俳優ですよね。このコン・ヘヒョさんがあるインタビューでお答えされてあったんですけれども、監督の映画では演技においてはアドリブは一切存在しないと。
あくまで監督から当日朝に渡される台本通りに演じることがまとめられるというわけですね。
逆にアドリブOKなのかと思いますね。
でしょう。そう思いますでしょう。でもそうじゃないんですね。しかも時には15分以上にも及ぶ長回しの会話シーンが平気で登場するわけですけども。
それを実際にお酒とかご飯を食べながら完璧に台本の中身まで理解して、相手の動きやセリフにも耳を傾けながら真摯に反応を返すというようなことをすごい集中力で実はやってるわけですね。
緊張感もありますよね。
すごいんですよ。だから緩く作られているようで実際に作品の出来上がりもすごく言ったらノンシャランとしたシャダツな感じなんですけども、実はかなりの集中力によって作られたものであるということを踏まえてみると、実はこの映画っていうのはとんでもない監督と演者の技の応集によって作られているということがわかってくる。
さらに監督の脚本がとにかくめちゃくちゃ圧倒的なんですよ。この映画で言えば各フロアごとで繰り広げられていく10分以上の長回しの会話シーンを積み上げていくことで主人公のビョンスっていう男の人生を描いていくということになるわけですけども、そうなると当然どんな会話を展開するかっていうことが一番重要になってくるわけじゃないですか。
なんですけど、この映画、例えばそこにちょっとそこで豚肉いいの買ってきたから屋上でご飯にしようとか、コンビニでタバコ売ってたからちょっと買ってきたけどさ、みたいな本当に途方もなく無駄にも見えるような何でもないやり取りを積み上げていくんですよ。
なんだけど不思議なぐらいそのやり取りを重ねていく中でふと現れるちょっとした振る舞いとかちょっとした瞬間みたいなものの中にこそ実は主人公と相手の関係とかドラマが立ち起こるし、とにかくその延々続く会話が一切だれることなくめちゃくちゃ面白い。
すごいもう名人芸だと思います。何にも真似できないと思います。そんな感じで本山さんはそういうお約束を繰り返していく作家ではあるっていうこともあって、有名な哲学者の著書のタイトルをもじって反復と差異の映画作家なんていうふうな紹介もされるんですけども、まさしくその繰り返し反復を積み上げるうちにこそささやかな差異が際立ってくるわけですね。
09:02
そうやって観客にまだこんな驚きが映画にあったか、あるいはまだこんな驚きが人生にあったかっていうようなさわやかな驚きを与えてくれるような映画監督でもあるわけです。ということで、とにかく抜群に面白い上に圧倒的な達人芸を堪能できるこの映画ウォークアップですけれども、7月5日からKBCシネマ、そして8月23日からは佐賀のシアターシネマでも上映されていきますので、
ぜひご覧いただきたいなというご紹介でございました。
オンラインのポッドキャストまとめサイトもチェック。