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美術展・山内光枝展 潮ノ記
2026-10-08 15:10

美術展・山内光枝展 潮ノ記

クリエイティブプロデューサー・三好剛平が時事のニュースについて、解説・コメントします。

田畑竜介
Groooooow Up

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サマリー

三好剛平が、福岡市美術館で開催中の山内照恵展「潮ノ記」を紹介する。山内は、海女の写真との出会いをきっかけに、海に生きる人々の生活や文化を見つめる制作へ転じ、韓国・済州島で海女のもとに通い、実地に潜水漁を学んだ。展示では、済州島と福岡県の海女が呼吸を海の向こうへ送る映像作品や、津島の海女・勝木鶴江を金崎へ連れて行った2018年の映像作品「つれしお」が紹介される。後者は、作家の意図を介在させず、82歳の鶴江を見つめる旅を記録した作品で、呼吸、土地の記憶、自然、生と死などのテーマが刻まれている。

福岡市美術館の山内照恵展「潮ノ記」
この時間は、日替わりコメンテーターが独自の切り口で、多様な視点を提案するCatch Up。 木曜日は、クリエイティブプロデューサーの三好剛平さんです。 今日はリモートでのご出演です。三好さん、おはようございます。 おはようございます。
今日はどんな話題でしょうか。 はい、今日はですね、映画ではなく、ちょっと久しぶりに美術館での展示をですね、ご紹介したいと思います。 いいですね。芸術の秋。
そうですね。今日はですね、福岡市美術館で現在開催中の展覧会をご紹介します。 タイトルは、「山内照恵展潮の木」というですね、展示でございまして、これ福岡出身の現代美術作家であります山内照恵さんというですね、女性がいるんですけれども、
彼女の個展として、先月9月8日の火曜日からですね、12月20日の日曜日まで開催中の展覧会ということになるわけですけれども、これがね、めちゃくちゃいい内容だったので、ちょっとその魅力をですね、ここからご紹介したいというわけですね。
まずはその展示のですね、主役になります山内さんのプロフィールからご紹介したいと思います。 山内照恵さんは1982年福岡県生まれでいらっしゃいます。
現在も福岡を拠点に活動している現代美術作家なわけですけれども、もともとロンドン大学のゴールドスミスカレッジというところでファインアート科を卒業されたり、あとは2015年からは文化庁を立ったりとか、2016年には国際交流基金などの支援を取り付けながら、それぞれも実績を重ねていきながらですね。
福岡はもちろんですね、国内そして国外で様々な場所で美術作家として制作と発表を重ねているような、そういうアーティストなんですね。
海女との出会いと制作の転換
そんな彼女なんですけれども、2010年頃に実はですね、ある一枚の写真と偶然出会ったことで、もうね、それ以前の作品からそれ以降の作品が全く表現からそのテーマからガラリと、
ガラリというかですね、変わってしまったような作家なんですね。
そんなに影響を受けた作家?
そうそうそう、そうなんです。
その写真って何だったかというとですね、それは津島にですね、マガリという地域があるんですけれども、この津島のマガリという地域で海辺に立つ、そのスモグリ漁をするアマサンの姿をですね、捉えた一枚の写真だったんですって。
で、彼女はですね、その写真にですね、もうエモいわれるような圧倒的なインスピレーションを得てですね、それまで取り組んでいたテーマに区切りをつけて、以降はアマサン、そして海に生きる人々の生活とか、文化を見つめる表現を探求していく作家にシフトしていくわけですね。
で、彼女がその一枚のね、アマサンの写真にどうしてそこまで惹かれたのかっていうところですね。
その理由を聞いたところですね、それはまず、アマサンの生き生きとみずみずしい生命力に満ちあふれた、その存在感に圧倒されたっていうことがまずあったそうなのですね。
で、その存在感っていうのは山内さんにとっては、まるで人々が普段の社会生活の中で縛られている規範であったりとか、システム、あるいは価値観、そういった区引きみたいなものからですね、ものともしない、非常に軽やかで自由な生き生きとした存在のように感じられたっていうことがまずあったようなんですね。
さらにその写真のこと自体を調べていくと、先ほども触れたように撮影されたのが、実は千葉の曲がりっていうですね、そういうエリアだったっていうことからも、これは自分の駆け離れたものではなくて、自分が生きて暮らしている地元九州にこのような人たちがいるんだっていう、その実感から、現実に地続きの存在としてアマサンを再発見するような経験だったみたいなんですね。
ここからが彼女が面白いところなんですけど、とにかくそのように引き付けられたアマサンに迫ってみたいと、人並みならぬ情熱が駆動してしまって、まさに何の後ろ盾もない状態にもかかわらず、アマサンのところに会いに行くんですね。
韓国での海女修業と師匠との交流
場所場所に眠いては、アマサンに積極的なアプローチを開始するわけですけども、何せどこの馬の骨かもわからぬ山内さんに、アマサンたちがそう簡単にすぐに心を許してくれます。
そりゃそうですよね。構えちゃいますよね。
ちょっとうまくことは運ばないところから始まるんですけど、それでもアマサンに惹かれてやまない彼女は、なんとですね、韓国チェジュ島にあるハンスプルアマ学校というアマサン養成を目的とした学校があるんですが、ここに通うことを決意されるわけです。
やっぱりアマサンになろうと。
そう、なるんですね。なるとしちゃうわけですね。
なんだけど、そこの学校も週1回の授業みたいなことで、割と限られたカリキュラムだったことに、ちょっと物足りなさを感じた彼女は、なんとですね、ここがすごいんですけど、
韓国語もほとんど6人前習得できていない状況にもかかわらず、現地で暮らすアマサンたちをですね、海辺で見つけてはとにかく引き続きタイ辺りで声をかけ続けるってことをやるんですね。
チャレンジャー。
そのうち、ついに見つかったそのお一人のアマサンと関係を育んでですね、なんと4ヶ月間もの間、彼女の家に居候させてもらいながら、実地のアマ寮をですね、手伝う経験を重ねていくわけですね。
で、その初めての師匠とも言うべき、その韓国人のそのアマサンの日々の生活を共に重ねながら、言葉も伝わらないにもかかわらず、徐々にですね、その自分に対して、例えば彼女が発する声かけのトーン一つで、このことで声かけられてるんだなっていうその要件が察知できるほどにですね、何かこう言葉を超えた効果というかね。
すごいコミュニケーション能力だな。
そうなんですよ。
でも命に関わることもありそうなのに。
すごいですね。
でも何かでもやっぱりそういうフィジカルで何かもう一回その何か世界と出会い直すような感覚っていうのは、彼女がきっとそのアマサンに惹かれたその問題意識と多分ちょっと繋がるものでもあったんだろうなっていうふうに察するところなんですね。
呼吸を描く映像作品「長跡」
そんなことを重ねていってですね、彼女はまず2012年に初めてそのアマサンをモチーフとした作品を発表します。
で、これが長跡というですね、あの作品、映像作品なんですけど、これがですね、韓国のチェジュ島でアマサンとしてやっている女性と、あともう一人は福岡県の村形市の金崎っていうですね、ここは非常にアマサンにとっては重要な場所で。
発祥の地とも言われているところですね。
そうなんです。そうなんです。で、まさしくその金崎の地で同じくアマサンとしてやっている日本人の女性と、それぞれの女性たちがそれぞれの岸辺に立って、海の向こうに向けて、ふーっとね、呼吸を送る様子をですね、捉えた映像になってるんですね。
へー。
で、なんでその呼吸かっていうと、まさしくその呼吸っていうのは、まず彼女たちのアマサンのすもぐりにおいて、もう最も大事なものなわけですね。
そうですね。
で、それをもう引いて言えば、やっぱり私たち人間にとっても最も重要なものでもある呼吸ということなわけですけれども、それを海の先の向こう側の誰かとか何かに向けて、ふーっと放つことが、なんかね、まるでやっぱり人間が五感を世界に向けて開いて、その創造力を向こうの何かに届けようとするっていうね、そういう作品にも見えてくるような作品なんですね。
へー。
で、この作品は後にね、福岡市美術館にコレクションとして収蔵されることになりまして、今回の展示でも実際に鑑賞することができる作品になっています。
で、そうしてですね、徐々にですね、実際に潜れるアーティストになった彼女をですね、その後もね、様々な土地で天山たち、そして海辺とか沿岸で暮らす人々っていうものと時間を重ねていきながら、その生活とか文化をじっくりと見つめて、その経験から作品を発表するということをですね、続けていくわけですね。
で、その中でいろんな作品が発表されていくんですけども、中でもね、今回僕がこのコーナーで紹介したいっていうぐらい強く惹かれることになった、今回の展覧会で鑑賞できる一つの映像作品にもちょっと触れてみたいと思います。
82歳の海女を記録した「つれしお」
はい、その作品がスレシオというですね、彼女が2018年に発表した78分の映像作品なんですね。
へー。
その作品なんですけど、これどういう作品かというと、彼女がもうね、その撮影当時ですでにもう8年間ぐらいですね、天山たちの世界に触れ続けてきたわけですけども、その中で出会った1人の高齢の天山に勝木鶴江さんというですね、女性がいるんです。
はい。
彼女は津島のまさしくマガリっていう土地で、もう今となっては現役最後となっていた天山で、82歳かな当時ね、女性だったんですね。山内さんもその撮影当時に、もうすでに数年にわたって鶴江さんと親交を重ねていたわけですね。
その親交を重ねていく中で、ある時期から鶴江おばあちゃんがですね、織に触れて、ご自身たちの先祖というか祖先というか、その人たちがまさしくマガリに至る前に、もともとやっぱり宇中田市の金崎から渡ってきたんじゃないかという話があるんですって。
そういうこともあって、いつか金崎の海に潜ってみたいんだよねっていうことをおばあちゃんが織に触れて、やっぱり言うようになっていたんですって。それを耳にした山内さんは、その願いなんか叶えたいし、それを見届けたいっていうふうに思ったようで。
実際におばあちゃんを連れてね、82歳なんですよ。おばあちゃんを連れて金崎に渡って、共に重ねた時間と経験を記録した映像作品が、この「つれしよう」という作品になっているわけですね。この作品本当に素晴らしくてですね、結構いろんな角度からその魅力を語ることができるなとぐらい思ってるんですけど。
海女を見つめる眼差しと展覧会のテーマ
特にこの作品が素晴らしいのが、やっぱり山内さんがつるえさを見つめるその眼差しにあるんですよ。山内さんね、それまでも自身の作品表現においてカメラを向ける対象になる、その対象を自らのテーマに自分都合で引き寄せたりしてないかということにめちゃくちゃ自覚的で慎重な態度を持つ作家でもあるわけですね。
もっと言えば、やっぱり自分が天さんの作品を作ってしまっているからこそ、天さんのみたいなことを言われちゃうんだけど、彼女はきっぱりと自分自身は天ではないっていう、その敬意を持って線引きをするような人物でもあるわけですけども。
その彼女にとってね、実際にやっぱりその天さんとして、その恒例のつるえさんと実現できるかもわからない旅をですね、記録して作品化するというのは、かなり予測不能な旅になったわけですね。
彼女は今までの作品作りとは結構違うアプローチで、こちらの計画とか狙いが全く通じない、本当に海に出るような経験として映像作品を作るということを決めて、自らの意思を一切映像に介在させないというか、とにかくひたすら対象となるつるえさんを見つめて映像に収めるということをまず始めるわけですね。
で、そうして完成した映像作品が結果的にはね、やっぱりね、山内さんがつるえさんに抱いていたその異形の念であったりとか、彼女も引いてはやっぱりその天さんの所作一つ一つをどのように山内さんが見つめていたのかということが、つるさに、観客の私たちにも追体験できるような映像になっててですね。
なんかね、そこにはね、やっぱりね、ただの気力とかっていうのを超えた、なんかちょっとね、ワンダーがね、宿ってるようにも感じる。非常にね、いい作品になってるんですね。
なんか神々しさみたいなものを感じそうですね。本当にね、なんかね、すごいなんかすごいなんかね、引き込まれる作品になってるんですね。さらにはやっぱりその山内さんが天さんというテーマを掘り深める中でずっと見出してきた様々なテーマ。
それは呼吸っていうことであったりとか、本来やっぱり境界なんてなく海でつながっていた土地と土地、その記憶とか経験、自由とか葛藤とか、自然環境との関わりとか、人類の理智を超えた超越的な自然の中で直面する生と死とかね。
そういった数多のテーマが全てこの作品の中に登場する鶴江さんの一挙手一投足、山内さんと過ごした時間の向こう側に確かに刻み込まれているような作品になっていて、本当に素晴らしい作品でした。この作品はこの展覧会の中でも上映開始時間が公式ホームページとか会場にしっかり掲載されて、きちんと頭から見ることができるような立て付けにもなっているので、ぜひともご覧いただきたいと思います。
すみません、ちょっと時間が長くなってきてしまったので、会場ではここまで紹介した作品以外も様々な山内さんの作品を見ることができます。非常に良い内容になっているので、福岡市美術館で12月20日まで開催中の展覧会、山内鶴江展、塩の木というこの展覧会、ぜひご覧くださいというご紹介でございました。
はい、三好さんありがとうございました。
三好合併のキャッチアップをお送りしました。
15:10

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