今日のテーマトークは、『きみの色』です。はい、では、解説お願いできますか。
はい、映画ドットコムから解説を読ませていただきます。
映画、声の形、平家物語などの山田尚子監督が、
思春期の少女たちが向き合う技律と葛藤、恋模様を絵画のような美しい映像で綴ったオリジナルアニメーション映画、
全寮生のミッションスクールに通うトツコは、嬉しい色、楽しい色、穏やかな色など、幼い頃から人が色として見える。
そんなトツコは、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女、きみ。
街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年、ルイの3人でバンドを組むことになる。
離島の古い教会を練習場所に、それぞれ悩みを抱える3人は、音楽によって心を通わせていき、
いつしか友情とほのかな恋のような感情が芽生え始める。
トツコ、きみ、ルイの声はそれぞれ、鈴川沙優、高石あかり、木戸大成と注目の若手俳優たちが担当。
3人を導くシスターひよこ役を荒垣ゆいが務めた。
バイオレットエバーガーデンシリーズの吉田玲子が脚本、
チェーンソーマンの牛尾健介が音楽、
平家物語、犬王のサイエンス猿がアニメーション制作を手掛けた。
はい。
はい。ではここから内容を触れる話が入っていきますので、ネタバレ気にされる方がいたらぜひ見てから聞いていただけたらと思います。
ではアサヒの感想をマリオンさんお願いできますか。
そうですね。いやむずいよ、これ言葉にするの。
いやこれ言葉にしたら負けない映画じゃないですかみたいなことをやってきてますよね、すごく。
ちょっとびっくりしました。この規模感でこんな映画ありなんだっていうこともだし、びびりましたね。
本当にお話とか本当に描きたいこととかすごくなんかシンプルで、いろんな物語とかで触れてきたようなことではあるんですけど、
けどそれとは全然違う映画にやっぱなってるっていうのは本当にすごいなって思いました。
いやむずいなーって感じですけど。
でも僕の中でこんな音楽…そうですね、音楽映画としても結構だいぶ尖ってますよね。
音楽映画としてもだし、普通のそういう青春ドラマとしても、そこどんどん進んでいくんだとか。
でもわかるなそれ、みたいなところがちゃんとすんなり飲み込める。
でなんかそれを…すごいなってしか言えてないんですけど。
あとなんか僕この映画に一個テーマというかなんかちょっとキーワードとしてあるのかなって思ったのは、
見えないものを見ようとすることなのかなとかはちょっと思ったりしていたりします。
まあそれがこううまく説明できるかはちょっと別としてなんですけど。
いやでもちょっとビビりました本当に。こんな映画すごいわ。もう大傑作でした。
はい、大西さんいかがでしょうか。
ほとんどマリオさんと感想同じでむずい。めちゃくちゃむずいんですけど。
ただ一つ教えてあげるとしたら、トツコめっちゃ可愛くなかったですか。
いいですね。
トツコがすごく良くて、画面端でヒョコヒョコヒョコって動いてる姿だけ見てるだけで幸せというか。
しかももうなんていうかな、体格というかフォルムも含めてめちゃくちゃいいんですよね。
はい。
いわゆるアニメーションがこれまで描いてきたような女の子の体型ではあんまりないと思うんですよ。
ちょっとこう福岡な肉付きだったりとか。でもそれがなんかより質感を持ってあの子らしさを出してるというか。
なんかもう説得力しかないというか。それがもう見ててとにかく幸せだなっていう他ないというか。
そういう感じでした。
映画自体ももちろんリズと青い鳥の山田尚子監督でもあるので。
映画に自然派って言葉がつけられるのかどうかわかんないんですけどとにかくこうなんていうかな。
何か演出をそこに持とうというよりもただただその子たちがそのように振る舞っている様を撮っているというか。
そこにカメラがあるだけというか。
なんかそういうふうにだんだん見えてくるんですよね。
アニメーションなのに不思議なことに。
なんかそのリアリズムと、でもそこにあるそのキャラクターたちの言葉にしない思いというか。
何ですかね。さっき岡田マリーさんの名前が出たのでちょっとあえて比較すると。
岡田マリーさんが言葉っていうところをすごく重点を置いてやってる作家なのであれば。
山田尚監督は言葉じゃないコミュニケーションをずっとやってきてる人なんだろうなっていうのをやっぱり見れば見るほど思えてきて。
今回でも音楽もそうですし。あるいはその動きもそうかもしれないですし。
何かそういう非ノンバーバルなというか非言語的なコミュニケーションっていうところがいかに彼らの間で繰り広げられてそれを僕らがただただ眺めてるというか。
静かに見守ってるというかそういう作品になっていたなと思って。
めちゃくちゃ大傑作だなって思いました。
僕としてはですね、傑作だと思うんですけどよくわかんないんですよね。
よくわからないんですよね正直。
なんとなく僕が見た限り感じたことを言語化しようとしてみた限りだと。
揺らぎに関する映画なのかなとは思ってて。
物事の色が決まってるわけじゃなかったりとか。
そうそうそうそう。だからそもそもスマホがいらないかどうかわからないにしても、
それで繋がれるほどそんなに人が多くないというか。
なんなら学年彼だけだったりするのかなとかって思いながら見てましたけど。
あと家庭環境的にもあんまり負担かけたくないからガラケーでいいやみたいな感じとかあったりするのかなとかちょっと思ったりしましたけど。
確かに。
あんまりそこは別に語られてないので、あくまでも完全憶測ですけど。
あんまり語らないですしね。
そうなんですよね。そもそもいろんなところに空白というか余白がある作品ですよね。
そうですね。だからこそいろいろちゃんと何というか、わからないから見なきゃいけないって感覚にすごいなるんですよね。見ていたら本当に。
あれは何だったんだろうなみたいなのを想像するみたいなのをしっかり観客に求めてくるっていうのが、
この機関でやってくれるのすげえなって思いましたけどね。
あとキリスト教のお祈りの手に関しては、多分ああいう手を揃えて合わせるお祈りの仕方はあると思うので、そこはまあまあまあ。
ある意味日本のキリスト教文化の中で築かれてきたものだったりもするのかなとかっていうのはちょっと、まさに舞台が長崎だってこともあるんで。
僕もキリスト教でそういう手を合わせるのか合わせるのかあんまりよくわからないのですけど、
祈り方は自由じゃないかなっていうのもちょっとあるんですよね。
いろいろスタイルあるかなって思うので、その人その人にとっての世界を見え方、信じ方みたいなものにもつながるのかなって思って。
まさにシスターヒヨコがバンドも一種の聖火隊って言ったのと同じようにってことですよね。
そうそうそうそうそう、そういうことかなみたいな。本当に実際どうなのかわかりませんけど。
ちょっと前にエックスで流れてきたので、カソリックが指を伸ばして揃えてお祈りして、プロセスタントが指を交互に組んで祈るみたいなのが流れてきて、
そうなんかなって言って調べてみたら、別に必ずしもそうではないみたいではあって。
僕が見てたキリスト教の解説してるYouTube、その人牧師さんなんですけど、
その人の最終結論は、祈りたいように祈ったらいいって言ってました。
やっぱそういうことですかね。
現象のキリスト教はそもそも手を挙げてのがお祈りみたいです。
両手を掲げるのがそもそものお祈りみたいです。
いろいろ変わってきてるんですね、そもそもね。
時代によって変わるものだし、その時代といかに共存していくかってことですもんね、たぶん。
いろいろ形を変えていくものだと思う。
次行きましょうか。
じゃあ、牧師さんお願いします。
はい、えむはらさんからいただきました。
面白かったと同時に、めちゃくちゃ尖った映画だというのが正直な感想です。
山田尚子監督のアニメ監督デビュー作である慶恩そっくりの展開ですが、
キャラクターの行動は緩やかな日常を描いた慶恩とは真逆。
保護者に拘束を破って男女交際はするわ、何も言わずに自主退学はするわ、
部外医者を女子寮に連れ込んで宿泊させるわ、はっきり言って不良ですよ、この人たち。
バンドの楽器構成もかなり前衛的ですし、最後はゴリゴリのテクノやっているのも尖りすぎている。
どんな作品が出てくるかは身構えていましたが、期待にたがわずとても尖った作品で満足しています。
はい、ありがとうございます。
ありがとうございます。
尖ってますよね、特にキミーは勝手に学校を辞めるってなかなかの尖りっくりですし、
別に音楽やっていくっていう強い思いで辞めたわけもなさそうというか、
てっきりプロのミュージシャン目指そうとしているのかなと思っていたら、
そういうわけでもなく、むしろ今始めたぐらいの感じだったから、すごいですよね。
特に彼女が辞める理由ってあんまりはっきりと描かれないですよね。
でも保護者のサインとかいらんかったのかなと思ったりもしたんですけど、辞めるとき。
それはちょっと思ったりはしました。
でもちょっと思ったのが、このアニメ作品の公開が8月28日かな。
要は8月の最終週じゃないですか、最終週の土日というか、金土日で。
この時期って10代がすごい学校に行きたくないとか、
結構ネガティブなワードの検索が一気に上がる時期なんですって。
聞いたことあります。
でもそのネガティブなワードのネガティブさって、たぶん10代にとっては言語ができてないというか、
なんでそうなのかすらたぶんわからない状態の子のほうが多いんじゃないかな、最近ではしているんですよ。
だからこそ、この作品のキミちゃんって結構そこと通じるとこがあるのかなって気はしていて。
この時期に公開した意味みたいなもの。
例えば夏休みの東方アニメ映画だったらもっとど真ん中にやってもいいわけじゃないですか。
でもあえてこの時期にやるっていうのはやっぱそういう子たちというか、
そういうような人たちへのメッセージにもなりうるキャラクターとして描いているのかなってのはちょっと想像はしました。
そうですね。
キミが学校を辞める理由って、僕は説明なくていいなとは思ったんですよね。
そんな漠然としたものの話であってもいいかなとは思ってて。
何というか、単価読むときにとりあえず5文字の言葉を上に置いてみるみたいな、そういう感じだと思うんですよね。
リズム感というか。
分かる分かる分かる。
その代表作が水金近く.アーメンという、とんでもないキラーフレーズっていう感じですかね。
それを映像でやってる感じというか、リンゴといえばニュートンみたいな。
連想ゲームみたいな。
リンゴっていうあの形で赤いものがあそこにあると、映像としてのリズムがいいみたいな。
ふりこの玉が連なっているのが画面にあると、映像としてのリズムがいいみたいな。
意味じゃないところに意図を持って置かれてる感じはするとしますかね。
本当にどういうつもりで置いてるか分からないですよね。
監督本人がね。
確かに、あのふりこ使わないでなんでメトロノーム使わないんだろうって思っちゃいましたし、
気持ちいいからっていう理由なのかもしれないなっていう。
でもこういう意味でつなげてみたくなる映画でもあったけどな、僕的には。
見えない概念を見ようとする話って感じが僕はすごいしたんですよね。
色にしても音にしても見えない波じゃないですかっていうところとか、
あとルイくんが扱うテレビっていうのも文字通り見えない、何かを触っているように見えるし、
あと船の時に電波が届いてないやっていうのも見えてないから気づかないよね、その波みたいなところを耳に感じたりとかはしたんですよね。
映像としては僕たちちゃんと見えるようにしてくれてるんだけど、
実際に本当にはきちんと目の前に広がっているもの以上のことが見えなくて、
でもそれを本人たちの気持ちだったりとか淡い感情だったりみたいなことですけど、
それをやっぱり映画の構造としてもすごく見ていかなきゃいけないっていうことにすごく意識的に取り組んでらっしゃるみたいな感じを僕はすごくしたので、
だから僕は見えないものを見ようとするっていうふうなキーワードをこの映画に持ち込んだって感じなんですよね。
声の形が聞こえない声を聞こうとする話だったので、それを今度は視覚的にやったって感じなのかなと個人的にはすごく思いました。
マリオさんのお話にも踏まえて僕なりの言い方にすると、意味よりまず世界があるっていうことを描こうとしている作品っていう感覚なんですよね。