ただマクリヌスもそんな一面的な上昇思考とか支配欲、権力欲だけを持ってる人物じゃないというか、
複数の側面を常に持ち続けてて、グラディエーターのプロモーターでもあるけど元グラディエーターっていう、
元気のグラディエーターたちに感情移入する年代というのを持ち合わせてるし、
ローマの貴族たちに取り入って政治を上手いことやるっていう老快さも持ち合わせててっていう。
だからこれをやるんだっていうのは常に種としてばら撒いてて、
その目が出るのを待ち続けてる感じやなっていう、もちろん執念深くもあって、
最終的にローマの頂点を目指すっていう野望はもちろん持ってるんですけど、
それだけに全部振ってないというか、ふとした瞬間にルシアスの背中を押してやるみたいなことも気まぐれでやって、
それも割と人生の中で楽しんでそうな複雑さがあるんですよね。
なんかほんと一面的な悪役というかローマの上に立とうとしてる陰謀を巡らせる人って感じには見えないんですよね。
確かにもちろん陰謀は結局巡らせていることにはなるんですが、
でもなんかその陰謀もそんなにこう計画的にやってるっていうよりも、
その場その場で多分一番の最適化はこれだって思いついてやってる感じというか、
そういう意味ですごい人間的魅力みたいなものもめちゃくちゃこのキャラクターにあって、
あともう30分くらいこの2人、
ポール・メスカルとデンゼル・ワシントンのやりとり見たかったなぐらいな感じもあったりもしましたけど。
そうですよね。
だからその歴史において支配者となった人が、
初めからその支配者となることを目指してたのかっていう、
というよりはその時々のサバイバルをしていったら、
結果的にその頂点を目指すことがサバイバルの最適化だったからそこにいたみたいなのって、
まあ歴史でしばしばあることかと思うんですけど、
もちろんローマ相撲に対する復讐心みたいなのもちろん彼は持ってたらしい。
多分それはルシアスに近いものだと思うんですよ。
ただそれも別に成し遂げられなかったとしても、
彼プロモーターとしてノーノーとやり続けてた気もするんですよね。
そこがすごい良いというか、権力に座につけるタイミングが来たら絶対に逃がさないけど、
別にそれのために全身全霊をかけてるわけじゃなさそうっていうのがすごく魅力的だし、
非常に怖い。
そうなんです。
やっぱりそこはすごい現実のいろいろな政治に、
こう政治をされる方々をちょっと連想したりもしてしまって、
いやでもそういうことよなってちょっと思うというか、
ビジネスパーソンが政治家として適してるわけではないがっていう、
でも多分結果としてそこに飾るを得ない人いるんだろうなっていうのをすごい見てて思ったりもしました。
そうそう。マクリヌス、ビジネスパーソンなんですよ。
そう。
そこがね、やっぱ本作の結構強烈なエッジの部分だと思うんですけど。
そうなんですよね。だからあくまで自分が設けられるというか、
ある意味賭けに勝てるかどうかっていうところで全てをジャッジしてる感じがある。
それで結局ビジネスをやってる社会、ビジネスパーソンであれば大体は経験してることで、
もちろんだから前もちょっと言いましたけど、英雄には多分誰もなりたくないわけですよ。
基本的には。結果的になってしまうマキシマスみたいな人もいるかもしれないんですけど、
それに比べたらデンゼル・ワシントンがやってるやり方の方が割と身近にやってるなって感じがするというか、
その自覚もあるからなんかこのキャラ嫌いにはなれないんですよね。
そう、自分が皇帝になるんじゃなくてあくまでそのナンバー2のコンスルなんですよね。
で、あのすっげー象徴的だなと思ったシーンが、皇帝の名前忘れちゃったんですけど。
カラカラ帝とゲタ帝かな?
はい、そうですね。だからカラカラの方の刃を持ってる手を持ってゲタの喉を切り裂くっていう、
あれってめちゃめちゃメタファーというか、現実の陰謀劇ってそうやってやるもんじゃないと思うんですけど。
ただ、陰謀とはどういうことかっていうのは、人の手を持ってそいつの手で実行させるっていうことの映画的な要領だなと思ってあそこ。
そんな直でやらんみたいなことは映画はやるんですよね、やっぱあそこで。
そうそう、そうですね。
で、俺ナンバー2ですよって言ってるけど、実質そいつが考えてること通りに物語が進むっていうのが、やっぱりずるくて悪ですよねあそこが。
いやーそうなんですよ。その後のゲタ帝の首を持ってるのプレゼンテーション?
何あれって思いましたけど。
でも確かにプレゼンターとしてはちょっとやっぱ引かれちゃうとかあんなって思いながら見てましたけどね。
まるでアップルの新製品を紹介するからように。
あれ絶対賛成するしかない場になりますからね。
あんなにしたらそりゃそうなるでしょっていう。
いやーだからね、めちゃめちゃ示唆的だなと思って。
今回のラスボスがビジネスパーソンってめちゃめちゃ暗示的だなと僕は思ってるんですけど。
勝てる確率があってより利益を得られるんだったら最悪の選択肢を選べるもんでしょビジネスってっていうことを
やれなかったらやれないけどやれるんだったらやりますよねビジネスってっていうことを言ってると思って。
実際結構ビジネスパーソンの視点が今なんか世の中を嫌な方向を持ってきてるなっていう感覚は僕は結構あるんで。
はいはいわかります。非常によくわかります。
いやーだからすごい非常に現代的な前作みたいな親と子の因縁みたいなものに根差した悪の肯定みたいな感じじゃなくて
その悪の肯定っていうわかりやすさは今回ゲタとカラカラに分離させて
本当にゲタとカラカラやばいくらい空っぽの悪役だったと思うんですよ本当に。
すごかったっすよねちょっと。
本当にコムズスの表面だけ剥がしてペタって貼ったくらいの感じで
やっぱコムズスは複雑だったんでね内面が。
そうなんですよね。
でもそういうわかりやすくて軽薄な悪徳さみたいなものは今回クリニスは持たずに
あくまでその利益の最大化と確率論によってベタを目指したら最悪の選択肢を選ぶっていう
そのビジネス的な悪として描かれているのがなんか良かったんじゃないかなっていう
その前作よりも複雑になってた部分かなとは思ってて。
だから最後の対決も早速ちょっと触れちゃいますけど
なんかもう資本主義と正しさの戦いみたいな感じに見えてきちゃいますもんね。
そうですよね。
あんなわかりやすく対決できたらどんなにいいんだろうって思います現実を見てると。
そうなんですよね。だからアルシュルシアスがあるべき民主主義の権限みたいになっていて
それに対してクリニスが資本主義の権限みたいになっているから
すごい現代とはこの2つになりたってるじゃないですか。
多くの社会において。
その2つの戦闘というかパワーバランスを図ろうとしているようにも見えたなと思って。
そうですね。
最後はもう現代劇と言ってもいいというか
今の話してるなっていうのはすごい見ながら思ってました。
そうなんですよね。
だから前作の神話祭に比べてめちゃめちゃ現代的なポリティカルな話になったなっていうのはすごいありましたね。
なんか一方でなんですけどキャラクターでいうと
ペトロパスカルが意外とあっさり退場したのがちょっとびっくりして。
そうなんですよ。もったいない。
もっとポール・ミスカルとやり合うシーン見たかったなと思ったら
本当に瞬間的に消えていくんでちょっとびっくりしたんですよね。
本作のアカシウスの役割むちゃくちゃいい役なんですよ。
そうそうそうそう。
というか完全にこれマキシマスの写し身なんですよね。
そうなんですよ。
冒頭でヌミディアを侵攻してたのってやっぱマキシマスがやってたことじゃないですか。